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名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
投稿日: 2006/06/20(火) 16:37:55.05 ID:kekraPo30
第3話「起立!」
━月面−静かの海市トレーニングセンター━
キコキコキコキコキコ
ひたすらこぎ続ける内藤
(;^ω^)「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
(;^ω^)「はぁ、はぁ、200km突破・・・・」
(;^ω^)「ふひー、はぁ、はぁ、ひ、一休みだお・・・」
(;^ω^)「もぐもぐ」
(;^ω^)「バナナうめぇwwww」
('A`)「お、内藤」
('A`)「頑張ってんな」
(;^ω^)「お、ドクオ」
(;^ω^)「トレーニングしにきたお?」
('A`)「いや、通りかかっただけだ。」
('A`)「今日は仕事入ってんだよ。マンドクセェ」
ドクオ
25歳
宇宙警察勤務6年目 機動隊員
内藤と同じく、エルメス2号の船外活動員希望者である
(;^ω^)「そうかお。じゃあ漏れはトレーニング続けるお」
('A`)「おう、じゃ・・・」
プルル、プルル
ドクオの携帯電話が鳴る
('A`)「? はい、こちらドクオ。」
('A`)「・・・・・・」
('A`)「了解しました」
ピッ
('A`)「よし」
(;^ω^)「どうかしたお?」
('A`)「今日は外の※時化が強くて出動できないってよ。」
('A`)「休みになった。俺もトレーニングやるよ」
(;^ω^)「把握した」
※フレア(太陽面爆発)が起こす太陽風の影響で、磁気嵐・極光・電離層の乱れる状態
━その頃D.T国際宇宙港 ツンの自室━
カリカリカリ
ξ゚听)ξ「えーっと・・・・第一次高度のピークが1000kmだから・・・・」
カリカリカリカリカリ
ξ゚听)ξ「この場合の通信速度は・・・・・・・これでいいのね」
カリカリカリ
ξ゚听)ξ「えっと・・・この場合の対応は・・・・・・・」
ξ゚听)ξ「あ、違うわ・・・・ここはこうじゃなくて・・・・・」
ツンは勉強していた。
その時間たるや平日8時間、休日12時間の猛勉強。
オペレーティングに絶対の自信と実績を持つツンだが、経験不足がある。
その経験を補うために、必死に知識を飲み込んでいた。
━再びトレーニングセンター━
二人並んで走りこむ内藤とドクオ
(;^ω^)「はっ、はっ、はっ、はっ」
('A`)「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、」
(;^ω^)「はあ、はあ、も、もうだめぽ・・・」
(;^ω^)「ちょ、ちょっとストップ、休憩だお・・・」
('A`)「ほっ、ほっ、なんだw?もうへばったのかw?」
(;^ω^)「はあ、はあ、ドクオ、体力だけはあるお」
('A`)「ほっ、ほっ、世界マラソン3連覇は伊達じゃないぜ」
ドクオは大学時代にマラソンの選手として活躍していたことがあり、
世界屈指のトップランナーとして活躍していた。
将来有望氏されいたドクオだが
子供からの夢であった宇宙警察をあきらめきれず、入隊。に現在に至る。
(;^ω^)「と、ところで」
('A`)「ほっ、ほっ、ん?」
(;^ω^)「ドクオはなんで土星行きたいお?」
('A`)「・・・・・」
走るのをやめるドクオ
(;^ω^)「?」
('A`)「よくぞ聞いてくれた」
('A`)「お前、あの人知ってるか?」
壁に貼られている軍のポスターを指差す。
( ^ω^)「?」
('A`)「あの写真の人だよ。まさか、知らないのか?」
( ^ω^)「知らないお」
('A`)「おいおいまじかよw 世界的英雄だぞ?」
( ^ω^)「知らないお」
('A`;)「ほ、ホントに知らないのか・・・・」
('A`;)「・・・・まぁいい、教えてやる」
( ^ω^)「うんだお」
('A`)「この写真の人の名前は、ジョルジュ長岡少佐」
('A`)「さっきも言ったように世界的英雄であり」
('A`)「・・・・俺の命の恩人だ」
━15年前・宇宙豪華客船フォックス号船内━
ビーッビーッビーッビーッ
艦内にけたたましい警報音が鳴り響き、船内は火で包まれている
『お客様、どうか落ち着いて!落ち着いて船員の指示に従ってください!!』
(`Д´;)「くそ!脱出ポッドはどこだ!!早く俺らを出せ!!」
(;‘∀‘)「ど、どうなってるのよ!!救助はまだなの!!」
(#`д。')「て、てめぇ!押すんじゃねぇ!」
(=;゚ω゚)「お、お客様!どうか落ち着いて!落ち着いてください!」
(;-;;;#)「うわあああ!!痛いいいいい!!助けてくれえええ!!!」
( ;∀;)oO(こ、こわい・・・・・こわい・・・・・)
( ;∀;)oO(とーちゃん、かーちゃん・・・・・・)
(;∀;)oO(・・・・・・・・・??)
(;∀;)oO(? どこかから声が・・・)
<よし、ここだ。>
<レーザーチェーンソーを使うぞ>
<了解>
(;∀;)「だ、だれか・・・だれかそこにいるの?」
( ゜∀゜)<ボウズ、もう大丈夫だぞ!今助けにいくからな>
(;∀;)「・・・」
<慎重に切断するんだ・・・・エアパイプに傷をつけるな・・・>
<よし、みんなジョルジュ隊長につづけ!!>
━現在・トレーニングルーム━
('A`)「あの日、俺は親父とお袋の結婚記念日で船に乗ってた。」
('A`)「世間では事故と言ってるが━」
('A`)「あの事件はテロだった。」
( ^ω^)「!」
('A`)「ジョルジュさんの隊は、宇宙中どの隊よりも一番早く救助に来てくれた・・」
('A`)「俺はジョルジュさんの迅速な対応と冷静な判断で助かったんだ」
('A`)「親父とお袋は最初の爆発で死んじまったが━」
('A`)「船には著名人がかなり乗ってた。それで、ジョルジュさんは一気に世界的英雄になったんだ」
( ^ω^)「・・・・・」
('A`)「俺はあの人に憧れてんだ。」
('A`)「あの人は土星往還船に乗る。」
('A`)「そして俺は、あの人のために働きたいんだ。ただ、ただそれだけだ」
( ^ω^)「・・・・・なるほどお」
('A`)「・・・・・」
('A`)「余計なこと口走っちまったかもな」
('A`)「よし、俺は帰るぜ。明日は仕事があるかもしれねぇ」
( ^ω^)「把握した」
('A`)「じゃ、試験は来月だ。頑張ろうぜ。じゃあ・・・ん?」
( ^ω^)「!!!!」
('A`)「どした?」
内藤はTVのモニターに指を指す
(;‘台‘)『えー、たった今!入った映像です!』
一部が欠落した宇宙ステーションが映されている
(;‘台‘)『えー、ご覧ください!D.T国際宇宙港が何者かによってテロ攻撃を受けたようです!!』
(;‘台‘)『宇宙連合軍の救援隊が救助に向かうようです!!』
(;'A`)「な、なんだあ?またテロか?」
(;^ω^)「ツ、ツンが・・・・」
急に向きを変え、走り出す内藤
(;'A`)「お、おい!何処行くんだよ!内藤!!」
━ルナベース(月面国際宇宙港)━
(;^ω^)「た、たしかこの辺にスクーターが一台あった・・・・・・」
(;'A`)「内藤!」
(;^ω^)「どこだっけ・・・・どこだっけ・・・・・」
(;'A`)「ちょ、お前まさかスクーターで宇宙港行こうとしてんじゃないだろうな!?」
(;^ω^)「そ、そうだお・・・・」
(;'A`)「落ち着け!そんなんで行けるわけないだろ!」
(;^ω^)「で、でも・・・・スペースプレーンは出てるわけないお・・・」
(;'A`)「・・・・・・」
(;^ω^)「ど、どうやっていけばいいって言うんだお!」
(;'A`)「・・・・」
「俺の船に乗りな」
(;^ω^)「!?」
(;^ω^)「の、乗せてくれるお!?」
「ああ、どっちみち俺も招集されてるからな。」
(;^ω^)「ありがとうお!!感謝感謝だお!」
「よし、ついて来な」
(;^ω^)「把握した」
(;^ω^)「? ドクオどしたお?」
(゜A゜)「・・・・・・」
(゜A゜)「あ、あの人は・・・・・」
( ゜∀゜)「? どうした?行かないのか?」
(゜A゜)「じょ、じょるじゅ・・・・」
(;^ω^)「ドクオ!早くするお!お前もついてくるお!」
そんな夢見たいな話があるか
(゜A゜)「あ・・・うん・・・・・・」
憧れの人がこんな近くにいるなんて
内藤とドクオとジョルジュは船に乗り込んだ
━D.T国際宇宙港━
( ゜∀゜)「よし、着いたぞ」
( ^ω^)「すごいお!速いお!」
(゜A゜)「・・・・・」
( ゜∀゜)「よし、指令船船内だ。救助部隊はあそこに集まってるな。」
( ゜∀゜)「指令船に向かうぞ」
( ^ω^)「把握した」
( ^ω^)「・・・・そういえばあんたの名前聞いてなかったお。」
( ^ω^)「漏れは内藤、あそこで口開けて座ってるのはドクオだお」
(゜A゜)「・・・・・」
( ^ω^)oO(自家用船なんて持ってるってことは、かなりのお金持ちとお見受けするお)
( ゜∀゜)「俺はジョルジュ長岡。軍の人間だ。よろしくな内藤、ドクオ。」
(;^ω^)「!!!」
( ;^)クルッ
(゜A゜)「・・・・・」
内藤はドクオが硬直している理由を理解した
━宇宙連合軍指令船船内━
(軍・∀ ・)「おお!ジョルジュ少佐だ!」
(軍゚q゚)「ジョルジュ少佐!」
川 ゚ -゚) 「ジョルジュ少佐、待っていました」
( ゜∀゜)「おお、クー。悪い、待たせたな。状況を報告してくれ」
川 ゚ -゚) 「はい、どうやら今回のテロは反宇宙開発組織の過激派の犯行と思われます」
( ゜∀゜)「・・・またやつらか」
川 ゚ -゚)「船外から衛星デブリを人為的にぶつけられたようです」
川 ゚ -゚)「しかし内装にまでダメージは無かった模様」
( ゜∀゜)「強化型※ホイップルバンパーに直撃したようだな」
川 ゚ -゚)「そのようです」
※対デブリ用の装甲
( ^ω^)「・・・・・」
(゜A゜)「・・・・・」
( ゜∀゜)「内藤、ドクオ」
( ^ω^)「なんだお」
(゜A゜)ビクッ
( ゜∀゜)「お前らは人を探してここに来たらしいが━」
( ゜∀゜)「ステーション内にはもう誰もいないようだぞ」
(;^ω^)「え・・・・・・・」
( ゜∀゜)「おっと心配しなくていいぞ。非難は完了してあるって意味だ。」
( ゜∀゜)「ここは俺らに任せて避難所にあたってみるといい。」
( ゜∀゜)「紹介状を書いておくから、格納庫にいる船員の船に乗せていってもらえ」
( ^ω^)「なにからなにまでありがとうお!!」
(゜A゜)「・・・・」
( ^ω^)「ドクオ、ぼーっとしてないで行くお!」
( ^ω^)「ジョルジュ、ありがとうお!」
(゜A゜)「お、おう・・・」
( ゜∀゜)「おう、気をつけてな」
プシュー
内藤とドクオは急いで格納庫に向かった
━第3国際軌道宇宙港(避難所)━
( ^ω^)「ありがとうお!助かったお!」
(軍 ̄ー ̄)「おう、気をつけて行ってきな」
(゜A゜)「・・・・・」
━避難所ホール━
ξ゚听)ξ「参ったわ・・・電話が混雑して・・・・・」
ξ゚听)ξ「連絡が取れないわ」
ξ゚听)ξ「あ」
(;^ω^)「ツン!」
(;^ω^)「ツン!無事だったお!!」
ξ゚听)ξ「な、内藤!」
( ;ω;)「よかったお・・・心配したお〜・・・」
ξ゚听)ξ「?な、なに・・・よ」
ξ゚听)ξ「もしかして・・・心配してくれたの・・・?」
( ;ω;)「当たり前だお・・・・すっ飛んできたお・・・・」
( ;ω;)「ツン死んじゃったかと思ったお・・・・」
ξ///)ξ「ば、ばか!私が簡単に死ぬ訳ないでしょ!」
ξ///)ξoO(内藤がこんなに心配してくれるなんて・・・・)
(゜A゜)「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(;'A`)「はっ!」
(;'A`)「・・・・・・・・」
(;'A`)「もしかし俺・・・・凄い失敗を犯してしまったんじゃ・・・・・」
162 :1
:2006/06/20(火) 20:11:47.99 ID:kekraPo30
( ;ω;)
ξ///)ξ「もう!いつまで泣いてんのよ!」
ξ///)ξ「ほ、ほら、カレーでも食べにいきましょ」
( ;ω;)「・・・・・・・」
( ^ω^)「おごりだお」
ξ;゚听)ξ「むっ・・・・・・・・・」
ξ;゚听)ξ「そういうとこは・・・しっかりしてるのね・・・・・・」
ξ゚听)ξ「今日は気分がいいからおごってあげるわ。感謝しなさい」
( ^ω^)「うひひwwやったおww」
( ^ω^)「あれ?ドクオは?」
ξ゚听)ξ「あら・・・ほんとね。ドクオ君っていうの?彼。いなくなっちゃったわね」
気がついたらドクオは姿を消していた
163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:12:04.35 ID:kekraPo30
━第3国際軌道宇宙港・B通路(路地裏)━
('A`)oO(はぁ・・・・・)
('A`)oO(俺ってあーゆう肝心なところで・・・・・・)
('A`)oO(・・・・・・・・・・・)
('A`)oO(精神的に弱いってのは船乗りには痛いよな・・・・・・)
('A`)oO(・・・・・・・・・・・)
('A`)oO(・・・・なんか自信なくなってきちまった・・)
プルル、プルル、プルル
('A`)oO(・・・・?電話?)
('A`)『はい、こちらドクオです』
( ゚∀゚)『やあドクオ』
(;'A`)『!?』
( ゚∀゚)『俺だ、ジョルジュだ』
(;'A`)『ジョルジュさん!?』
165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:12:33.72 ID:kekraPo30
(;'A`)『な、なんで俺の番号を・・・・』
( ゚∀゚)『ああ、軍内部のネットワークで君のプロフィールを見つけてね』
( ゚∀゚)『ほら君が、会った時着てたTシャツ。宇宙警察のロゴが入ってたから。』
(;'A`)『は、はぁ・・・』
( ゚∀゚)『心配だったからかけさせてもらったよ。探してた人、見つかったか?』
('A`)『あ、はい。内藤のツレは見つかりました』
( ゚∀゚)『そうか。それはよかった。じゃあ内藤によろしく言っといてくれ。』
( ゚∀゚)『それじゃ、失礼するよ』
(;'A`)oO(・・・・・・・)
166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:13:10.45 ID:kekraPo30
(;'A`)『あ、あのま、・・・・』
(;'A`)『まってください・・・』
( ゚∀゚)『? なんだ?』
(;'A`)『あ、あの・・・・俺、その・・・・ジョルジュさんに憧れてて・・・』
(;'A`)『ど、どうやったらジョルジュさんみたいになれるのかなって・・・・・』
( ゚∀゚)『・・・・・』
(;'A`)『・・・・・・・・・・』
(;'A`)『・・・・・・・ば、馬鹿な質問してすいま・・・・』
( ゚∀゚)『ドクオ君』
(;'A`)ビクッ
167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:13:34.31 ID:kekraPo30
(;'A`)『は、はい!』
( ゚∀゚)『君、土星往還船の乗組員に志願してるんだよな』
(;'A`)『は、はい!・・・』
( ゚∀゚)『選考されるのは20万人の中のたった6人だぞ』
( ゚∀゚)『これ、もし選ばれたらとんでもないことだよな。』
(;'A`)『は、はい・・・』
( ゚∀゚)『だから━━━』
(;'A`)『?』
( ゚∀゚)『君が土星にたどり着いたら、教えてやる。それじゃあ失礼する』
(;'A`)『え?、ちょ・・・・・・・』
プツン
168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:14:01.73 ID:kekraPo30
('A`)「・・・・・・・・・・・」
('A`)「なんだよ・・・・・・」
('A`)「答えになってないじゃねーか・・・・」
169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:14:30.58 ID:kekraPo30
言葉にならない気持ち
('A`)「くそっ!!」
憎いとか、悔しいとか、羨ましいとか、清清しいとかじゃなくて
170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:15:20.33 ID:kekraPo30
('A`)「なんだよこの・・・・・土星行けってことだろ・・・・・」
('A`)「行けば・・・・いいんだろ行けば・・・・・マンドクセェ・・・・・・・」
('A`)「ったくマンドクセェ・・・・・・・・・」
('A`)「ほんと、マンドクセェ・・・・・・」
ドクオは立ち上がり、通路を歩き始める
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/06/20(火) 20:15:48.78 ID:kekraPo30
「起立!」完
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