12 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 20:14:02.13 ID:DKxOQ1PEO
―最終話―

レナが死んで以来、彼女から笑顔が消えた。
そしてそのまま1年が過ぎた。

彼女はレナが死んでから、敵に容赦をしなくなった。
敵がどんなに泣き叫ぼうと、確実に息の根を止めるようになっていた。
彼女が暗黒面に堕ちていくのをブーンは止めることができなかった。

…そんなある日。

( ´∀`)「…その情報は本当か!?」
(*゚ー゚)「はい…!地球に…地球に超巨大隕石が接近しています!!」

 
13 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 20:25:56.04 ID:DKxOQ1PEO
その情報は瞬く間に全世界に緊急発信された。

<本日未明、地球に高速で接近する超巨大隕石を観測しました。この隕石の衝突は2ヶ月後だと計算されており、現在、地球の総力をあげて対策を練っていますが、衝突を防ぐことができる可能性は極めて低いとの見通しです。>

全世界はパニックに陥った。
逃げ場もなく、防ぐ手だてもない。

死という運命から逃げようとする者たちがいた。
残りの人生を楽しもうとする者たちもいた。
自ら命を絶つ者たちもいた。

そして……諦めない者たちもいた。

( ´∀`)「ブーン君……君に超S級任務だ。」

 
15 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 20:50:58.77 ID:DKxOQ1PEO
( ^ω^)「超S級任務…」
( ´∀`)「隕石を破壊して欲しい。」
(;^ω^)「…そんな…どうやって?」
( ´∀`)「衝突は2ヶ月後。1ヶ月で宇宙船を整備し、地球から離れた場所で隕石に超高威力の核ミサイルをぶち込む。とても危険だが、君にしか頼めない。」
( ^ω^)「……わかりました…やりますお。」
( ´∀`)「そうかね?ありがとう!」
( ^ω^)「…僕にできることなら…!」
( ´∀`)「じゃあ…操縦の訓練をしてもらうよ。」
( ^ω^)「はいお!」

 
17 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:01:37.31 ID:DKxOQ1PEO
ξ゚听)ξ「……ウソでしょ…?」

ブーンから全てを聞いたツンは、驚愕し泣き崩れた。
ξ;;)ξ「そんな…生きて帰ってこれるの!?」
( ^ω^)「多分無理だお。」
ξ;;)ξ「!!!」
( ^ω^)「…ごめんお、ツン…でも…僕はツンや…この地球に生きる全てのものを守りたいんだお。」
ξ;;)ξ「ブーン……」
( ^ω^)「僕は命に替えても隕石を破壊し…地球を守るお。だからツンは…僕の子孫を残して欲しいお。」
ξ;;)ξ「ブーン……」

その夜、二人は初めて体を重ねた。

 
20 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:09:41.81 ID:DKxOQ1PEO
1ヶ月後。

ブーンが宇宙(と書いて"そら"www)に飛び立つ日が来た。

( ^ω^)「じゃあ……行ってきますお。」
ξ;;)ξ「絶対帰って来なさいよ!」
( ^ω^)「…悪いけど、その約束はできないお。」
ξ#;;)ξ「バカ!こういう時はウソでもいいから"帰って来る"って言いなさいよ!!」
( ^ω^)「僕は…ツンにウソはつきたくないお。」
ξ;;)ξ「……ブーン…」
( ^ω^)「じゃあ…行ってくるお。」
ξ;;)ξ「…行ってらっしゃい…!」

ブーンは宇宙港へ向かった。
その背中は、今まで見た中で一番大きく見えた。

 
21 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:17:37.42 ID:DKxOQ1PEO
川 ゚ ー゚ル「……」

彼女は「ブーン号」と名付けられた迎撃用宇宙船を眺めていた。
銀色の機体。流線型のライン。そのボディは、どこか見たことがあるような懐かしい輝きを放っていた。
ブーン号を食い入るように見つめ続ける彼女。

…突然、彼女の記憶にかかっていたモヤが晴れた。

( ^ω^)「ふぅ…」

ブーンは宇宙服に着替え、パイロットアラートで待機していた。
もうすぐ自分の…いや、地球の運命をかけた最大の任務が始まる。
そう言えば彼女に別れを告げていなかった。名前も聞いていなかった。
なぜ今まで彼女の名前の事を考えなかったのだろう。
そんなことを考えているうちに、アラートに彼女が入ってきた。

川 ゚ ー゚ル「ブーン……さよなら。」

 
25 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:26:31.86 ID:DKxOQ1PEO
十分後。

ブーン号は宇宙へ飛び立った。
ブーン号は超高速で隕石に接近できるワープ機能を搭載していた。
レーダーに移るブーン号は、一瞬のうちに隕石との距離を縮めていく。

そして…

(*゚ー゚)「巨大隕石、消滅を確認!」

オペレーターがそう報告すると、管制部から歓声があがった。

<緊急速報です!!ただいま、巨大隕石の破壊に成功したとの情報が入りました!!>

そのニュースは、世界中を沸き上がらせた。
あらゆる人々が歓喜する。
地球全体で、一つの感情を分かち合う。
彼らは、自分らの命を救ってくれた英雄に感謝し、褒め称えた。

そして数分後…

ブーンは目覚めた。

 
26 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:35:55.27 ID:DKxOQ1PEO
ブーンが目覚めたのはパイロットアラートだった。
周りには誰もいない。
外に出ると、目の前にいきなり"巨大な何か"が降ってきた。
銀色に輝くそれは、炎を上げながら地面を抉る。

(;^ω^)「これは…ブーン号!?なんでこれが墜落してくるんだお!?」

ブーンは今起こった出来事が理解できずに立ちすくむ。
燃え上がるブーン号を見ていると、中から人影が現れた。

川 ゚ ー゚ル「ぐ…」

中から現れたのは、所々破損した彼女だった。

 
29 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:45:44.65 ID:DKxOQ1PEO
(;^ω^)「…何で…!!」
川 ゚ ー゚ル「巨大隕石は無事に破壊したわ…」
(;^ω^)「…何でお姉さんがブーン号に…」
川 ゚ ー゚ル「…思い出したの…何もかも。」
(;^ω^)「え…?」
川 ゚ ー゚ル「ブーン号を見ていたらね…何故かはわからないけど、あたしがこれに乗って隕石を破壊するヴィジョンが見えたの。」
(;^ω^)「でも何で僕は…」
川 ゚ ー゚ル「ごめんね…あなたを一発ぶん殴って気絶させたの。生身の人間じゃ…確実に死んじゃうから。」
(;^ω^)「でもこの任務は僕に与えられた…」
川 ゚ ー゚ル「過ぎたことをグチグチ言わな…うっ…!!」
(;^ω^)「!?」
川;゚ ー゚ル「……どうやら…もうお別れの時間みたいね。」

 
31 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:52:20.22 ID:DKxOQ1PEO
(;^ω^)「お別れ!?どういうことだお!」
川;゚ ー゚ル「あたしの体はもうボドボドなのよ…」
(;^ω^)「な……!?」
川;゚ ー゚ル「機械でできたあたしでさえ…なんとか地球に帰ってくる事しかできなかったの。全身のあちこちが破損して、もってあと数分…」
(;^ω^)「そんな…ウソだと言ってお!」
川;゚ ー゚ル「ウソじゃないわ…」
( ;ω;)「そんな……!!」
川;゚ ー゚ル「こぉら!大の男がメソメソしない!」
( ;ω;)「嫌だお!お別れなんてしたくないお!!」
川;゚ ー゚ル「出会いがあれば…別れは必ずやってくるものなの。」
( ;ω;)「僕はまだ立派な人間になってないお!だから死んじゃダメだお!!!」
川;゚ ー゚ル「いいえ…あなたはもう立派よ。」

 
36 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 21:59:56.92 ID:DKxOQ1PEO
川;゚ ー゚ル「あたしの役目は終わり…あたしが死んでも元気でね…」
( ;ω;)「死ぬなんて言うなお!」
川;゚ ー゚ル「…あたしはもうすぐ機能を停止するけど…」

彼女はそう言うと、一枚頭から一枚のチップを取り出し、ブーンに渡した。

川;゚ ー゚ル「…これをあたしだと思って…大切に…してね…」
( ;ω;)「わかったお…最後に…最後に名前を教えてくれお…!!」
川;゚ ー゚ル「あた…し…はね…名前…無いの……。…名前を…つけ…られる…ま…えに…設計者が…死ん…じゃっ……た…から…」
( ;ω;)「…お姉さん…」
川;゚ ー゚ル「…ありが…とう…ブーン……楽しかっ……」

そこで彼女の全ての機能が停止した。

( ;ω;)「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

彼は慟哭した。声が、涙が枯れるまで。

( ;ω;)「…僕が…君に名前を付けてあげるお……!!」

 
38 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:13:42.08 ID:DKxOQ1PEO
その後、ブーンは実働部隊から開発・研究部門へと移籍した。
彼は生体工学、機械工学、電子工学など様々な分野の技術を結集させるべく研究を重ねた。何年も…何年も。

月日は経ち、ブーンはずっと研究室に閉じこもりきりだったため倒れた。

( ´ω`)「父さん…死んじゃ…死んじゃイヤだお!!」
ξ゚听)ξ「ブーン……」

ブーンはもう長くなかった。
彼は必死に力を振り絞り、二人に伝えた。

( ^ω^)「ツン…ずっと愛してるお…。50年というやや短い人生だったけど…君のおかげで幸せだったお。」
ξ;;)ξ「ブーン……何言ってるのよ!!死んじゃダメ!!」
( ^ω^)「ごめんお、ツン……。…ホライズン…お前には頼みがある…」
( ´ω`)「なんだお…?」
( ^ω^)「…僕の研究を継いで欲しいお…お前なら完成させられる。」
( ´ω`)「わかったお。」
( ^ω^)「完成したら伝えて欲しいお。あまりに哀れな何もできない死んだ魚のような目をしたウジ虫のようなクズだった昔の僕を更正させてやってくれと…」
( ´ω`)「わかったお。必ず。」
( ^ω^)「それと、これも伝えて欲しいお。『君の名前は―」

…ブーンは夭逝した。

 
40 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:20:47.50 ID:DKxOQ1PEO
( ´ω`)「父さん…僕は必ず成し遂げてみせるお!」

ブーンjrは必死に研究を続けた。そして、2つの研究のうちの一つ、タイムマシンを完成させた。
だが、彼の体は病魔に蝕まれていた。

…しかし、それでも彼は諦めなかった。
死ぬ限界まで、父の研究を継続させることを考えた。
自分は父が生きている間、父に孝行らしい孝行ができなかった。
だから、せめてもの償いに、父の研究を完成させる。そう決めていた。

…だが、病魔には勝てなかった。
彼は、父の最期の言葉を一時一句洩らさずに遺書に書き、最期の研究を続けた。

( ´ω`)「クー、ホライザン、すまないお。」

数日後、彼が研究室で倒れているのを発見したのはブーンの孫にあたるホライザンだった。

 
42 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:29:42.35 ID:DKxOQ1PEO
('ω`)「父さん……」

彼は涙を流し、冷たくなった父の体を抱き上げた。
幼い頃から研究ばかりで殆ど家にいなかった父。
でも、家に帰って来たときは暖かく自分を包んでくれた父。そんな父が、自分は大好きだった。
父が成し遂げられなかったことを…自分が成し遂げる。
彼は決意した。

------------------

数年後。
彼ら3代に渡る研究が遂に完成した。

川 ゚ ー゚ル「…おはようございます、ドクター・ゲロさま。」
('ω`)「ちゃうwww」
川 ゚ ー゚ル「あたしの名前を教えてくれます?」
('ω`)「…残念ながら、君には名前が無いんだお。製作者が命名直前に倒れてしまったらしくてな。」
川 ゚ ー゚ル「…で…あたしは何のために造られたの?」
('ω`)「君を造りだしたのは他でもない、僕のジーチャンを厚生させてほしいんだお。」
川 ゚ ー゚ル「わかりました。」
('ω`)「なんか…あまりに哀れな何もできない死んだ魚のような目をしたウジ虫のようなクズだったらしくてな。」
川 ゚ ー゚ル「徹底的に叩き直してきます!」
('ω`)「それじゃあ、頼んだお。」
川 ゚ ー゚ル「行ってきまーす!」

 
44 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:33:29.99 ID:DKxOQ1PEO
( ^ω^)「はぁ…」
綺麗な青空の下、ひとりため息をつく少年がいた。
彼の名は内藤ホライゾン。
皆はブーンとしか呼ばない。
彼は成績も悪く、スポーツもまるでできない、典型的なダメ人間であった。
そんな彼の人生に、ある日転機が訪れる……


〜THE END〜

 
50 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:44:36.78 ID:DKxOQ1PEO
今までこんな駄文に付き合っていただき、本当にありがとうございました!

http://p.pita.st/?m=yvo7bvw7

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/27(木) 22:46:17.95 ID:d5HtJoJb0
・・・・・レナは誰が作ったの・・・・?

 
53 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/27(木) 22:57:14.37 ID:DKxOQ1PEO
22世紀

―ブーンと一緒にいたい…

('ω`)「こないだあいつのメモリーを見たときこの気持ちが一番強かったな。だが…」

彼は考えた。

('ω`)「別に任務終わったら戻って来いなんて一言もいってないお。」

彼はさらに考えた。

('ω`)「あいつはもう未来には来なさそうなカンジだったし…そうだ!」

彼は何かを造り始めた。

…数ヶ月後。

リト゚ ー゚ノリ「…?」
('ω`)「やぁ。君の名前はレナ。ガイノイドだ。」
リト゚ ー゚ノリ「ガイノイド…?なんであたしを造ったの?」
('ω`)「君には僕のジーチャンをダメ人間にしてほしいんだお。」
リト゚ ー゚ノリ「?何で?」
('ω`)「いいからいきなさい。犯すぞ」
リト゚ ー゚ノリ「行ってきます!!」

('ω`)「レナがジーチャンをダメ人間にし、その度にあいつが更正させる。完璧なコンボだ。」

彼はどこか抜けていた。…が、まぁそんなわけで、レナはブーンの元へやってきたのだった。
<終>

 
61 ◆/MTtOoYAfo :2006/04/28(金) 00:08:38.03 ID:ULfijK9WO
さて、物語も一応終わりこのスレも後は落ちるだけとなりました。
今一度、最後まで付き合っていただいた皆様方に感謝の言葉を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
またいつかお会いしましょう。


…もし明日このスレが生き残ってたら、その時はオマケや絵を投下したいと思います。

 
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