268 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 17:50:28.93 ID:+7gbc1tIO
ツンは絶体絶命だった。
(`・ω・´)「とりあえずこっちこい!」
ξ゚听)ξ「いや!離して!」
(`・ω・´)「うるせぇ!!」
シャキンはツンの口をガムテープでふさぎ、両腕を縛った。
ξ゚□゚)ξ「んー!!んー!!」
(`・ω・´)「おとなしくしてろよ…!」
シャキンたちが今いる場所からあの廃墟までは40分。
ブーンたちが修行を終え、移動時間を含めると間に合うかどうかはわからない。
(`・ω・´)「…へっへっへ………」
ξ;□;)ξ「んー…!!」
(`・ω・´)「どうなるかはわかってるよな……?」
ξ>□<)ξ「んーんー!」
シャキンの問いに、ツンは首を横に振った。
(`・ω・´)「そうかぁ…わからないのかぁ……」
そう言うと、シャキンはツンのスカートに手をかけた。
ξ>□<)ξ「んー!!!」
271 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 18:01:34.40 ID:+7gbc1tIO
その時。
バイクの轟音とともに何者かがシャキンの顔面を蹴り飛ばした。
(`・ω・´)「ぐはぁぁぁぁぁ!!!!!」
ξ゚□゚)ξ「ん…?」
そこにいたのは…ブーンだった。
( ^ω^)「ケガはないかお?」
ブーンはツン口に貼られたガムテープをはがし、手足の縄をほどいた。
ξ゚听)ξ「ブーン……」
( ^ω^)「もう大丈夫だお…」
ξ゚听)ξ「でも相手は…!!!」
( ^ω^)「……もう僕は負けない!!」
(`・ω・´)「…いい度胸してんじゃねぇか……!!!」
( ^ω^)「ツンは逃げるお!!」
ξ゚听)ξ「……うん…!」
ツンが離れたのを確認したブーンは戦闘態勢に入った。
273 :
◆/MTtOoYAfo :2006/04/14(金) 18:09:05.18 ID:+7gbc1tIO
( ^ω^)「僕が勝ったら……もう誰かを傷つけるのはやめるお!」
(`・ω・´)「…ハハ!勝てたらな!」
シャキンはあざ笑いながら約束した。
( ^ω^)「僕は誰かを……特にツンを傷つける奴を許さないお。たとえ僕がどんなに傷ついても……ツンは守るお!」
(`・ω・´)「ふん…ブーンのクセに生意気なぁぁぁぁっ!!!!」
シャキンの拳がブーンに迫る。
しかし…今までブーンを確実にとらえてきたその拳は空を切った。
(`・ω・´)「何!!?」
274 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 18:20:53.82 ID:+7gbc1tIO
(`・ω・´)「バカな…ブーンが俺の攻撃をキャワシタァ!?」
( ^ω^)「なめるなお!!必死で鍛えたんだお……ツンを…大事な人を守るために!!」
(`・ω・´)「くっそぉぉぉ!!!」
( ^ω^)「お前の攻撃はもうくらわないお!!」
(`・ω・´)「何故だ!!何故当たらない!!」
( ^ω^)「お前と僕じゃ…"拳の理由"が違うからだお!!!」
ブーンはシャキンの腹を一発殴った。
(`・ω・´)「ぐ……っ!!」
シャキンはそのままその場に伏した。
( ^ω^)「僕の勝ちだお…約束通りもう誰かを傷つけるのはやめるお!」
そしてブーンは廃墟を後に……
278 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 18:27:16.47 ID:+7gbc1tIO
……しようとした。
しかし、その時シャキンの手に握られた鉄パイプがブーンの頭に直撃していた。
( ^ω^)「ぐぉぉぉぉっ!!」
(`・ω・´)「ハッハッハァ!!!何が"僕の勝ち"だ!!」
( ^ω^)「ぐ……卑怯だお…」
(`・ω・´)「卑怯もクソもあるか!!」
シャキンは鉄パイプでブーンを殴り続けた。
辛うじて防いでいたブーンであったが、ダメージは確実に蓄積されていった。
( ^ω^)「ぐ…(何とか隙を……!!)」
以前のブーンだったら確実に死んでいただろう。
だが、ブーンは異次元での1年間で成長した。肉体的にも…精神的にも。
そして、ブーンはわずかな隙を見つけた。
282 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 18:37:02.22 ID:+7gbc1tIO
( ^ω^)「おおおおおおおおおお!!!!!!」
そのわずかな隙に、ブーンはシャキンの鉄パイプを弾き飛ばした。
(`・ω・´)「ぐ……!!」
鉄パイプはなくなった。しかし、鉄パイプによるダメージは残っている。
(`・ω・´)「…でも鉄パイプのダメージのおかげで……対等に戦えるぜ」
( ^ω^)「まだ戦うつもりなのかお!!!」
(`・ω・´)「当たり前だ!!まだ勝負はついちゃいねぇ!!!」
( ^ω^)「…わかったお。やるからには手加減はしないお!」
(`・ω・´)「随分デカい口を叩くようになったな……」
( ^ω^)「僕は強くなれたお。今はお前に言いたいことを言える!」
(`・ω・´)「何があったか知らねぇが……初めて俺とまともに戦えた相手がお前だなんて信じられないぜ……!!」
( ^ω^)(……笑ってる…!?)
286 :
◆/MTtOoYAfo :2006/04/14(金) 18:46:51.15 ID:+7gbc1tIO
(`・ω・´)「まだまだぁ!!」
( ^ω^)「何の!!!」
二人の戦いは長い間続いていた。
互いにに傷が増え、逆に体力は減り、だんだん消耗戦になっていった。
( ^ω^)「何でお前は人を傷つけるんだお!!」
(`・ω・´)「てめぇにゃ関係ねぇ!!」
( ^ω^)「じゃあいいお…勝ったら話してもらうお!」
(`・ω・´)「お前自分が勝った時の条件出しすぎだ!!セコいと思わねぇのか!!!」
( ^ω^)「後ろから鉄パイプで殴る奴に言われたくないお!」
(`・ω・´)「ぐ……」
一瞬…ほんの一瞬、シャキンの拳が止まった。
ブーンはそれに気づいたが、拳を止めることができなかった。
(`・ω・´)「ぐあぁぁあ!!!」
( ^ω^)「!!」
シャキンが倒れた。
(`・ω・´)「俺の…負けだ。」
287 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 18:56:22.42 ID:+7gbc1tIO
( ^ω^)「話してもらうお…人を傷つけるわけを」
(`・ω・´)「…俺は…"ひとり"だったんだ。」
( ^ω^)「……」
―俺はひとりだった。
誰も俺を守ってくれる人がいなかったから自分の身は自分で守るしかなかった。
最初は自分を守るためだけに拳を振るっていた。
―だがいつからか、俺は人を殴ることに快感を覚えていた。
初めのうちは人を傷つける度に自分の心も傷ついていた。
しかし、すぐに慣れていった。
みんなは俺を恐れ、近づかなくなった。
ひとりでいるのは嫌なのに、自分でひとりになる道を歩いていた。
…そうだ…俺が欲しかったのは力なんかじゃない。
俺が欲しかったのは―
(`・ω・´)「―俺が欲しかったのは……友達…だったんだ…!」
シャキンの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
この涙が…ブーンが最初に見たシャキンの涙だった。
293 :
◆/MTtOoYAfo :2006/04/14(金) 19:08:58.03 ID:+7gbc1tIO
( ^ω^)「…僕がなってあげるお」
(`・ω・´)「え?」
( ^ω^)「…僕が友達になってあげるお。」
(`・ω・´)「…無理だ!…俺はお前を…お前たちみんなを傷つけた!今更…」
( ^ω^)「…まだ遅くはないお。」
(`・ω・´)「本当に…友達になってくれるのか……!?」
( ^ω^)「そのかわり…もう誰も傷つけないと約束するお。」
(`;ω;´)「ブーン……」
彼らは固い握手を交わした。
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川 ゚ ー゚ル「さすがブーンね…」
陰から見ていた彼女は、満足そうに微笑んだ。
そして記憶を一部消した。
295 : ◆/MTtOoYAfo
:2006/04/14(金) 19:23:01.49 ID:+7gbc1tIO
翌日。
( ^ω^)「おはおー」
ξ゚听)ξ「ブーン!!大丈夫!?」
( ^ω^)「大丈夫だお!こんな傷、屁でもないお!」
ξ゚听)ξ「……ブーン…あんたなんかいきなり変わったわね……って背伸びてない?」
Σ( ^ω^)「え!?きっと気のせいだお!!」
ξ゚听)ξ「そうかしら……」
その時、シャキンが教室に入ってきた。
<;`∀´>「シャキン!どうしたのさ?」
(`・ω・´)「…お前は…本当に俺を心配してるのか?」
< `∀´>「…え?」
(`・ω・´)「お前は…ただ俺に殴られないように俺のそばにいるだけなんだろう……」
<;`∀´>「そ……そそそんなことは…」
(`・ω・´)「いいんだ。お前は悪くない。それよりお前に頼みがある。」
< `∀´>「?」
(`・ω・´)「お前に…頼みがある。」
(`・ω・´)「腰巾着じゃなくて……友達になってくれ。」
< `∀´>「……もちろんジャマイカ!!」
(`・ω・´)「…ありがとう。」
クラスメートたちはそんな二人のやりとりを奇異の目で見ていたが、シャキンはそんなことは気にしていなかった。
ξ゚听)ξ「?…何なの?アレ…」
( ^ω^)「これでいいんだお。」
第三話「戦い(後編)」終
296 :
◆/MTtOoYAfo :2006/04/14(金) 19:24:14.09 ID:+7gbc1tIO
オマケ
(´_ゝ`)「私の出番はまだか」