36 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:42:40.16 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「どっかに空手教室とかないかおー。」
昼飯を食べた後、ブーンはパソコンを立ち上げた。そして検索を始める。
( ^ω^)「おっ!これは!!」
通信空手!これであなたも強くなれる!
( ^ω^)「通信教育で空手が習えるなんてすごい便利だお!!」
・・・
( ^ω^)「でも、詐欺っぽいからやめるお。」
―カチカチカチカチ
キーボードを打つ音が部屋に響き渡る。
なんだか、その音が虚しく思えた。
( ^ω^)「ああああああああああ、こうなったら修行だお!!今までの僕を変えてやるお!!」
そのままの格好でブーンは部屋を飛び出した。
38 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:46:27.09 ID:j8yUO/Ga0
―ガチャ
ブーンは傘をさして、自転車に乗る。
( ^ω^)「とりあえず、道場とかそういうの探すお。」
雨の中ブーンは自転車を漕ぎ出した。
目的も知れず。
( ^ω^)「ああぁ・・・雨の日に外に目的も決めないで出るなんてなんて馬鹿なことしたんだお。」
衝動。
( ^ω^)「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・ったく道場なんて見つからないお。」
坂道を登りながら荒い息を通りしてブーンが言う。
そして運命に操られるかのように何時間も漕ぎ続けた。
いつしか、見たことも無い場所に来ていた。
( ^ω^)「はぁはぁ・・・大体はこの街のことは知ってるはずなのに・・・ここはどこだ・・・ん?なんかお寺?見たいなの発見だお。」
お寺みたいなの。
40 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:53:48.94 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「結構でかいお。なんで今まで知らなかったのか不思議だお。」
そしてインターホンを押す。
( ^ω^)「さすがにインターホンはついてるんだおwww時代の流れに追いつこうとしてるおwww」
「どなたですか?」
( ^ω^)「中に入れてくれお。」
「どなたですか?」
( ^ω^)「中に入れてくれお。」
一方的にブーンは応える。
「・・・悪戯なら帰ってください。」
( ^ω^)「ごめんだお。修行がしたいんだお。ここでは修行はできるんですかお?」
しばらくの沈黙の後、門が開いた。
そしてインターホンから声がした。
「どうぞ、中にお入りください。」
44 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:59:49.04 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「いやはや、簡単に中にいれてくれるなんて・・・。」
大きな玄関でおばあちゃんが屋敷の一室に案内してくれた。
「ここで、しばらくお待ちください。」
( ^ω^)「はいだお。」
部屋の中を見渡すと、やはりどこかの道場のような感じだった。
( ^ω^)「畳だし。古風でいいじゃないかおww」
ここまで来たんだから、空手でも少し習って帰ろう。
そんな風に思っていた。
しばらくすると、強そうな・・・いや、見掛けはごく普通のおじいちゃんなのだが、オーラが違った。
(・´ω`・)「ようこそ、我が道場へ。」
( ^ω^)「どうもですお。」
(・´ω`・)「金はあるのか?」
( ^ω^)「ないですお。」
(・´ω`・)「!!」
おじいちゃんは驚いた顔でたじろいだ。
47 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:02:49.47 ID:j8yUO/Ga0
(・´ω`・)「じゃあ・・・なぜ・・・こ、この道場は金がないんだ!!タダでなんて!!」
( ^ω^)「じゃあ、他をあたりますお。」
なんだか、おじいちゃんのリアクションが大げさなので、からかうのが楽しかった。
(・´ω`・)「い・・・いや、せっかくの客だ。いいだろう。ただ、覚悟はしておけよ。タダなんだし。」
( ^ω^)「強くなれるのかお?」
(・´ω`・)「あぁ、なれるさ。タダなんだし。」
毎回、毎回最後にタダとつける・・・嫌味にも程があるだろうと思った。
けど、何故かわくわくしていた。
これから何かが始まる気がしていた。
単調な生活から僕は飛び出した。
新しい世界へ。
そんな気がしていたんだ。
50 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:08:37.10 ID:j8yUO/Ga0
(・´ω`・)「じゃあ、さっそく滝に打たれてこい。タダなんだし」
( ^ω^)「ちょwww外雨だおwwしかもどんだけ昔の修行なんだおww」
(・´ω`・)「早くいけ!!」
そんなんだったら帰る。
そう言おうとしたのに。
名前も知らないおじいちゃんの圧倒的なオーラに負けて滝のある場所まで連れて行かれた。
( ^ω^)「けど、山なんかないのに・・・滝なんて・・・。」
(・´ω`・)「人工でワシが作った滝がこの先、30分ほど歩いた場所にある。」
( ^ω^)「この先って・・・ジャングルみたいじゃないかお・・・。」
確かにおじいちゃんが指差す方向は森のようで雑草が茂っている。
足元は雨でぬかるんでいる。ここを傘もささず、雨に打たれていけというのか?
(・´ω`・)「まずは、我慢することからだ。そして、痛みに耐えること。苦痛に。タダなんだし。」
( ^ω^)「・・・。」
(・´ω`・)「今回だけは一緒に行ってやる。単調な生活から抜け出したいという気持ちは素晴らしい。」
( ^ω^)「それは言ってないはず・・・。」
お前の気持ちなど見通している。
そうおじいちゃんは鋭い目つきで言った。
53 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:15:24.51 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「うぅ・・・これはきついお・・・つか、足が気持ち悪いし・・・。」
うじゃうじゃと虫もたくさんいる。
(・´ω`・)「我慢しろ。タダなんだし。」
( ^ω^)「もうタダなんだしはやめてくれお・・・。」
(・´ω`・)「そうだな。タダなんだし。」
( ^ω^)「だから(ry」
(・´ω`・)「お、ついたぞ。」
―ダァアアアアアアアアアアアアアアアアアア
―ザァアアアアアアアアアアアアアア
雨の音激しく。滝の音激しく。木々揺れる。
まさしく自然だった。
( ^ω^)「す・・・すごいお・・・。」
(・´ω`・)「人工だけどね。」
56 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:23:21.77 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「人工・・・まさか怪しい宗教で・・・御布施でお金を・・・。」
(・´ω`・)「そんなんじゃない。そのうちわかるだろう。まぁ、しばらくここで修行しろ。ここにこれたお前は幸せもんだ。タダなんだし。」
( ^ω^)「自分で言うなお。」
(・´ω`・)「さぁ服を脱げ。滝の下にいけ。」
( ^ω^)「ちょww脱げってwww」
(・´ω`・)「もうびしょびしょだろ。」
よく考えてみれば、もう服を着ていないも同然だった。雨で完全にぐしょぐしょにぬれている。
ブーンは服を脱いで、ぬかるんだ土の上を歩きながら、滝のほうへと向かう。
(・´ω`・)「その岩の上ね。うん、そこ。じゃあ、ワシは帰るから。一時間打たれたら戻ってこい。」
( ^ω^)「居亜チャ:亜sfd・亜sdf・・stpyわt・がs・dふぁ!!」
ブーンは滝に打たれながら必死に訴えるがなにも聞こえない。
そして無情にもおじいちゃんはその場から去っていった。
59 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:31:47.67 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「ぐふぇかkレジェlじゃkfだsfぁjdsfぁ;w!!」
もう滝に打たれているのか、雨に打たれているのか、川を泳いでいるのか、自転車を漕いでいるのか、コンビニいるのかわからなかった。
それより、考える事事態ができなかった。
( ^ω^)「あたまがあまたがああああああああああああああ!!」
―ぷかぷかぷかぷか
雲は雨を降らすのをやめ、太陽が雲の切れ間から顔だした。
その様子をブーンは滝の周りの池の上に仰向けにきながら見ていた。
( ^ω^)「一時間ぐらいはきっとたったお・・・。それより・・・」
輝く太陽の日差しが気持ちよかった。
61 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:37:37.63 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「さて、帰るか・・・」
その時、ブーンは気付いた。
衝撃の事実に。
( ^ω^)「帰り道が・・・わからないお!!」
そう、ここに来るまで道を辿ってきたのではなく、なにもない場所をおじいちゃんが先陣きって連れてきてくれた。
( ^ω^)「道がないんじゃあ・・・。」
それも30分もかかる道だ。
( ^ω^)「最低でも1km以上は絶対あるお・・・。」
これはもうだめかもわからん。
そう心のどっかで呟いていた。
( ^ω^)「進むしかないみたいだお。」
進め。
前へ。
( ^ω^)「つまり前進ってことだお。」
ブーンは森の中へと消えていった。
64 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:47:10.03 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「ぐはあああああああああ!!完全に迷ったお!!やばいお!!」
何故、おじいちゃんはブーンを一人ぼっちにしたのだ?
( ^ω^)「置いてけぼりなんて酷いお・・・。」
だんだん泣きたくなってきた。
何分歩いたのだろう?何十分?何時間?
( ^ω^)「うぅ・・・。」
このまま帰れないと思うと怖い。
周りは大きな木しか見えない。
( ^ω^)「うわあああああああああああああああああ!!」
孤独。
それは突然訪れた。
68 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 21:56:01.02 ID:j8yUO/Ga0
だんだんと暗くなっていくのがわかった。
それに連れて視界も薄暗くなっていく。
( ^ω^)「やばいお・・・このままじゃ・・・虫がうじゃうじゃいるところで野宿だお・・・。」
そして、何も食えずに息絶える。
( ^ω^)「飢餓なんていやだお・・・うっ・・・。」
孤独がブーンを包む。
( ^ω^)「落ち着けお・・・ブーン、落ち着くんだお!!」
しかし、増え続ける孤独は止まることはしらない。
( ^ω^)「怖くなんてないお!!」
そしてしばらく静寂が続く。
( ^ω^)「だめだ・・・やっぱり・・・怖いお・・・。」
ブーンはその場で泣き崩れた。
70 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 22:02:21.54 ID:j8yUO/Ga0
―おい、そこでなにやってんだ。
後ろから声がした。
( ^ω^)「・・・。この声は・・・。」
(・´ω`・)「ったく、帰り道もわからんなんて・・・。」
( ^ω^)「ジジイ!!お前のせいで!!」
(・´ω`・)「ジジイと呼ぶなら、帰るぞ。タダなんだし。」
( ^ω^)「ごめんだお。」
そして、2人は屋敷のほうへと戻っていった。
気が付けば、既に日が暮れていて、真っ暗だった。森の中で一日を過ごしたら・・・と思うとぞっとした。
一室へ案内されると豪華な料理が用意されていた。
( ^ω^)「お金ないんじゃあ・・・。」
(・´ω`・)「考えるな。食え。タダなんだし。」
―シャムシャム
ブーンは勢いよく目の前にあるご馳走を食い始めた。
72 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 22:06:13.29 ID:j8yUO/Ga0
(・´ω`・)「勢いがいいのぉ。」
( ^ω^)「もち。」
勢いに乗せて、ブーンがおじいちゃんに尋ねる。
( ^ω^)「そういえば、なんで僕の居場所がわかったんだお?」
(・´ω`・)「だから、考えずに修行をしろ。頭でなく身体で動け。」
( ^ω^)「・・・わかったお。」
言ってることがよくわからなかったが、確かにブーンは心身ともに疲れていたので何も考えられなかった。
(・´ω`・)「今日は早く寝ろ。」
( ^ω^)「わかったお。」
(・´ω`・)「布団は用意してある。」
( ^ω^)「!!」
てっきり家に帰れといっているのかと思った。
初対面の人の家に泊めてもらうなど・・・なんと図々しいことか。
74 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 22:11:06.69 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「と・・・とりあえず、泊まるなんて失礼だから・・・今日は帰らせてもらう・・・。」
強烈な睡魔に襲われた。そして、その場で倒れこんでしまった。
(・´ω`・)「やれやれ、おい、ばあやよ。コイツを布団まで連れて行ってやってくれ。」
「わかりましたよ。」
そうしてブーンは名前も知らないおじいちゃんの屋敷の一室で散々な一日を終えた。
「しかし、森の中に1人置いてくるのはかわいそうじゃないかえぇ?」
ばあやと呼ばれる人物が言う。
(・´ω`・)「まぁ、あれも修行の一貫だ。」
「けど、いつもならあんなこと・・・。」
(・´ω`・)「コイツは・・・飛ばなきゃいかんのだよ。」
「飛ぶ?」
(・´ω`・)「そう・・・飛ばなきゃな。」