315 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 20:35:40.34 ID:vlTq0Y7E0
ツンは僕の目の前でぐっすり眠っている。
誰かがキスをするのを待ってるかのように。
( ^ω^)「けど、僕はそんな事はしないお!」
いくらなんでも、酔いばかり回った女性に悪戯をしてはいけない。
ブーンの理性が欲望を締め付ける。
けれど・・・
ξ゚听)ξ「ブーン・・・。」
寝言を吐くツン。なぜ、ブーンの名前を呼んでいるのだろう。どんな夢を見ているのだろう。
知りたくてしょうがなかった。キスでもするべきだろうか?いや、ツンが僕のことを好きかなんてわかっていない。
自分の都合のいいように物語を作りすぎだ!
( ^ω^)「・・・。僕は帰るお。」
ブーンはツンの手を強く握った。そして、温くもりを抱きしめて、そっと冷たい風の吹く夜の中に消えていった。
323 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 20:42:23.20 ID:vlTq0Y7E0
( ^ω^)「はぁ・・・夜は暗いお。」
彼を照らすのは人工で作られた蛍光灯の明かり。
そんな時、どこからか叫び声が聞こえた。
「ギャアアアアアア!!」
「・・・。」
「ナ、、sダlナイングfナイフ・・・!!」
―グサッ
鈍い音が聞こえた。生ぬるい臭いが漂う。ブーンのすぐ近くで何かが起こっている。
見渡すと路地がすぐ横にあった。
恐る恐るそこへ入ってゆく。
「お・・・おまえが・・・おまえが・・・通り魔・・・か・・・?ま・・まて・・。」
―ガンっ!!
「じゃlsfkd!」
何かで思い切り殴られたような音が静かな夜に鳴り響く。
―カラン、カラン・・・
( ^ω^)「・・・だ、だれですかお?な、なにをやってい・・・。」
今まで見たことの無い光景が・・・ブーンの目の前に広がっていた。
325 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 20:50:38.79 ID:vlTq0Y7E0
暗くてよく見えなかったが、体に害のあるような臭いの先には血まみれの人物がナイフを片手に倒れているのがわかった。
もっと目を凝らせば、よく見えたかもしれないがブーンの身体がそれを拒否したのだろう。
そこに倒れている人物を見ず、見つめる先はブーンが入ってきた方向と別の方向の路地の入り口に向けられた。
つまり、出口。
そこには去っていく黒スーツの人間が見えた。路地を曲がる時、顔が少し・・・みe
ブーンは悟った。
アイツがこの人物を傷つけたと・・・そして・・・
追えなかった。
声も出なかった。
なにをすればいいかわからなかった。
いや・・・わからなくなった。
やがて、叫び声を不審に思った住人が警察に電話し、数分もしないうちに現場へ到着した。
そして警察は立ち尽くすブーンに向かって言った。
「そこでなにをしている?・・・こ、これは!!」
懐中電灯が倒れている人物に当てられる。そしてブーンに。
「お・・・おまえがやったのか?」
327 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 20:58:19.96 ID:vlTq0Y7E0
確かに。倒れている血まみれの人物。そこに立ち尽くしたブーン。考えてみれば、犯人がブーンである要素はある。
しばらくすると、救急車が到着する。周りが明るくなり、金属バッドが転がっているのを目にやる。そして、ブーンは警察署に同行させられた。
あくまでも・・・重要参考人として。
警察がかけつけてから、警察署に到着するまでブーンは自分にかかった容疑を否定しようとしなかった。
なぜだろう・・・言葉が出なかった。
そして、ドラマなんかでよく見るような箱みたいな一室に運ばれる。
「おまえがやったのか?」
唐突に男は言う。
( ^ω^)「・・・や・・・や・・・。」
「はっきりしろ!!」
―バンっ!
机が強く叩かれる。
( ^ω^)「やってないお・・・そもそも、僕には返り血みたいなのは一切ついてないじゃないかお!!」
「・・・返り血を浴びないようにしたかもしれんだろ。被害者は・・・ナイフで刺され、バッドで叩かれていたが・・・。じゃあなぜ現場にいた?」
( ^ω^)「たまたま、叫び声がしたんだお。だから見に行ったんだお。」
「あんな夜にか?あんな場所をうろついたのか?・・・被害者は抵抗したみたいだな。持っていたサバイバルナイフで。」
( ^ω^)「サバイバルナイフ・・・?」
男は一息ついて言った。
「ま・・・とりあえず、お前は加害者では無いことは確かなようだな。」
( ^ω^)「サバイバルナイフについて教えてくれお。」
男は吐き捨てるように言った。
「今流行のサバイバルナイフだそうだ。ご用心にもファッションにも使えるらしいぞ。ま、それも無駄だったみたいだがな。」
330 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:09:27.55 ID:vlTq0Y7E0
もうすぐ夜明けだという時間帯にブーンは警察から解放された。解放される直前、被害者が亡くなった事を知らされた。
( ^ω^)「ふあぁ・・・かえって寝るお。」
まとまらない頭を抱えながら、ふらふらと家路を辿る。
―ガチャガチャ
家の鍵を開け・・・ベッドの上に倒れ込む。
疲れた。
疲れた。
最近はやけに変な事が続けてまわりに起こる。
誰にでもあるような、平凡な日々。
やっぱりそれがいいな。
―おやすみ。
ブーンは深い眠りの中へ落ちていった。
333 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:13:28.42 ID:vlTq0Y7E0
紫色の塊が僕の体の中で動き回るよ。
昨日見た悪夢が僕の身体をぶち壊すよ。
淡く光る不気味な感情、僕を侵食していくよ。
( ´_ゝ`)「・・・・。」
―グサッ
( ^ω^)「うわああああああああああああああああああああああ!!」
起きると、午後2時だった。
( ^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
体中が汗まみれだった。寝ていただけなのに。
そして、ブーンは風呂へと向かいシャワーを浴びた。
―シャワアアアー
( ^ω^)「ふぅ・・・。」
―ジョボジョボボボボボボ
お気に入りのチキンラーメンにお湯を注ぐ。
―カチカチ、トン
卵を割ってかき混ぜる。
―ジュルルルルルルルルっ!!
( ^ω^)「おいしいお。」
昨日見た光景は・・・夢かな?
夢から覚めて。
334 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:19:49.00 ID:vlTq0Y7E0
けれどやっぱり・・・夢じゃなかった。
―いいともー!
テレビを見ていると、ブーンは携帯にメールが溜まっている事に気付く。
( ^ω^)「メールなんて、あんま使わないから、たいへんだお。」
全部で4通。
1通目『ツン』-10:23
件名;none
本文;・・・昨日・・・あたしかなり酔ってた?なんかブーンに送ってもらったような気がするんだけど・・・違う?
2通目『ショボン』-11:54
件名;Re:
本文;昨日はいろいろありがとうな。ツンはどうなった?もしかしてどうにかなっちゃった?ちなみに、こっちはなにもなかったからな。ぐふっ(笑)
3通目『ツン』-12:01
件目;none
本文;ちょっと寝てるの?返事してよ。
4通目『ツン』-13:21
件名;返事無いから
本文;今からあんたの家行くね。場所はショボンに聞いた。よくわかならいけど。別に心配なわけじゃないからね!
352 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:39:49.91 ID:vlTq0Y7E0
( ^ω^)「ちょwww今からってwww」
時計を見ると午後2時過ぎ。メールが来たのが1時21分。そろそろ来る頃かも・・・
( ^ω^)「か、かたづけないとやばいお!!」
ブーンは急いで手当たりしだいに散らかっているものを押入れやゴミ箱に押し込んだ。
しかし、片付けている途中で彼女はやってきた。
( ^ω^)「な、なかなかいいタイミングじゃないかお。」
ゲームソフトを片手にブーンは玄関に向かって言う。
「寝てるの?さすがに起きてるでしょ?」
( ^ω^)「そうかお。まだ、ツンは僕が起きていること知らないんだお。じゃあ、寝てる振りするお。」
―ガチャガチャ
鍵の開ける音がする。
( ^ω^)「ちょwwwなんで玄関の鍵持ってるんだお!!」
―キィィ
外の日差しが玄関に差し込む。
そして、綺麗な女性がブーンの目の前に現れた。
ξ゚听)ξ「ショボンがあんたの家の鍵持ってるっていうから借りてきた。」
356 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:48:15.33 ID:vlTq0Y7E0
(
^ω^)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ξ゚听)ξ「!!」
( ^ω^)「・・・いや、なんでもないお・・・ただ、部屋を片付けてないからお・・・。」
そして、最後に「かなり汚くて臭いお。」と付け足した。
ξ゚听)ξ「別にいいわ。」
ツンがブーンの家に上がる。
ξ゚听)ξ「う・・・。」
そして鼻をつまむ。
( ^ω^)「いわんこっちゃない。」
ξ゚听)ξ「ま、窓開ければ大丈夫よ!」
―ガリガリガリガリ
ずっと開けていなかった窓が何ヶ月かぶりに開かれる。
―ひゅうぅぅぅ
外の優しい風が部屋に入り込む。
ξ゚听)ξ「ほら、これで大丈夫でしょ?」
笑顔でツンがいう。
髪が風にたなびいて・・・。
綺麗だ。
362 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 21:59:41.61 ID:vlTq0Y7E0
なにかのおとぎ話から飛び出してきたかのようなその女性にブーンは見とれてしまっていた。
ξ゚听)ξ「なに、窓ばっか見てるのよ。ほら、さっさと部屋を片付ける。あたしも手伝うから。」
( ^ω^)「それより、何しに来たんだお?」
ξ゚听)ξ「・・・え?いや、だから・・・その・・・あれよ!!昨日あたしが酔ってたみたいだから御礼にと思って・・・。」
ブーンは手に持っている袋をブーンに差し出す。
( ^ω^)「これは?」
ξ゚听)ξ「ケーキ。」
( ^ω^)「・・・手作り?」
ξ゚听)ξ「違うけど・・・お、おいしいのよ!!」
ツンツンしてないツンも・・・そんな事を考えていると笑みがこぼれた。
ξ゚听)ξ「ちょっと!何笑ってるのよ!」
( ^ω^)「笑ってないおww嬉しいおwwwありがとうだおwww」
ξ゚听)ξ「べ、べつにそんな事言われても嬉しくないんだからねっ!」
―ひゅうううう
風が歌う。
―ザザザザザ
木々たちとも共に優しく奏でながら。
369 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 22:09:38.41 ID:vlTq0Y7E0
( ^ω^)「ふぅ・・・中々、片付いてきたお。」
ξ゚听)ξ「そうね・・・しっかし・・・汚いわね・・・どうやったらここまで汚くなるのか・・・。」
―ボフっ
ツンがブーンのベッドの上に座る。
( ^ω^)「まぁもちつけお。チキンラーメンでも食うかお?」
ξ゚听)ξ「・・・べ、べつにあんたの為にケーキ買ってきたんじゃないから、食べなくてもいいんだからねっ!」
( ^ω^)「ごめんだお。ケーキ食うお。」
幼稚園児並みのやりとりのよう。けれど、どこか微笑ましい。
今になってやっと・・・2人の間に何か・・・生まれた気がした。
離れてしまった距離が少し縮んだ気がした。
そして、ブーンはケーキの入った箱を開ける。中には2つケーキが入っていた。
( ^ω^)「2つ・・・よかったらツン一個食うかお?」
ξ゚听)ξ「え・・・べ、べつに・・・。」
( ^ω^)「じゃあ食べろお。」
ブーンは台所から皿とフォークを2つ持ってきた。
中にはチョコレートケーキとショートケーキが入っていた。
黒と白。
374 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 22:17:44.21 ID:vlTq0Y7E0
ブーンの心の中に募った紫色の塊・・・気味の悪い感情は目の前にいるツンの言葉が発せられる度、どこか消えていった。
ξ゚听)ξ「でさーこの間さーしぃったらねー。」
( ^ω^)「ワロスwww」
恋愛なんてこんなもんなのかな。
ひょんな事からきっかけが生まれる。
なにが原因かなんてわからない。
ξ゚听)ξ「昨日もねー。」
( ^ω^)「ほおー。」
そして、なんだかんだ話しているうちにケーキは綺麗になくなっていた。
ξ゚听)ξ「なにか飲むものないの?喉渇いちゃった。」
( ^ω^)「そういえば、紅茶が・・・ティーバックだけどお・・・。」
ξ゚听)ξ「別にいいわ。ちょうだい。」
そして、ブーンは台所へ向かう。
こんな日の為に用意しておいてよかった。
男の妄想ってたまには役に立つもんだ。
一度も使わなかった・・・紅茶のティーバック。
378 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/22(土) 22:32:29.48 ID:vlTq0Y7E0
( ^ω^)「お客様・・・ご注文のお紅茶でございます・・・・・・・・お。」
ブーンがテーブルの上に紅茶を2つそっと置く。
不慣れな手付きで。
ξ゚听)ξ「いい加減、その語尾に”お”をつけるのやめたら?」
紅茶を飲みながらツンが言う。
( ^ω^)「もうなおらない癖なんだお。つか、完全なる病気だお。」
ブーンが紅茶を啜る。
ξ゚听)ξ「はぁ・・・病院に行きなさいよ。」
( ^ω^)「治療して治るものじゃないお。ツンこそ、そのツンツンしたのなおしたらどうだお?」
ξ゚听)ξ「もうならおらない癖なのよ。病気見たいなもの。」
( ^ω^)「・・・。」
ξ゚听)ξ「べ、別に真似したわけじゃないんだからね!」
個性があっていいジャマイカ。
語りかけるようにブーンは言った。
目の前にいるツンデレの女性に。