576 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 20:33:09.43 ID:+pZyMkPn0
帰り道。なんだかブーンはむしゃくしゃしていた。このイライラを何にぶつければいいのだろう?
人気の少ない街中を歩いていると、また品の悪そうな少年達がブーンの元へ歩み寄ってきた。
全部で5人・・・そのうちのリーダー格らしき人間がブーンに言った。

「金ちょだい。」

(  ^ω^)「あげねぇお。おまえら、ちゃんと働いて金を手にしろお。」
「だってめんどくさいじゃん?女だったら簡単に手に入るのになー男って辛いんだよね。」
(  ^ω^)「おまえら見たいなのがいるのをいい事に犯罪に手を染めてるヤツがたくさんいるんだお。」

子供は弱い。

どんなに強い子供も。

大人の前じゃ無力。

(  ^ω^)「変な大人に釣られる前にさっさと人から金を巻き上げるのはやめるお。」
「何言ってるの?うざいんだけど。お前は俺に金をくれればいいの。わかる?」
(  ^ω^)「そのうち、お前らに金をたくさんくれる大人が出てくるお。そしてお前らは地獄に落ちるお。」
「意味わかんね。くれないならいいよ。」

少年の大きく振り上げられた拳がブーンに向けられる。

―バシっ!



 

578 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 20:38:50.86 ID:+pZyMkPn0
(  ^ω^)「素人の癖に喧嘩売るなお。僕は強くなる為に努力したんだお。」
「うけとめるなんて・・・いい度胸してるじゃん。」
(  ^ω^)「痛い目にあわないとわからないみたいだお。」

痛い目にあわないとわからないみたいだ。

数十分後。その場所には5人の少年達が倒れていた。が、傷は少ない。そこにブーンの些細な優しさがあった。
(  ^ω^)「無駄に抵抗するから、傷が増えたお。ちゃんともとの世界へ戻れお。」
そんな言葉を残し、ブーンはその場を去っていった。

その間にも世界は廻ってる。

ぐるぐるぐるぐる。

命を乗せて。


 

599 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 21:43:41.46 ID:Ob7qzAmm0
―とあるドクオ行き付けの喫茶店
('A`)「ったくよー。マジでショボンとかブーンとか何?俺だけおいてけぼり?」
頭の中に、ブーン×ツン、ショボン×しぃの構図を浮かべながらとある行き付けの喫茶店でぼやく。
('A`)「俺にもないかなー運命の出会い的なもの。」
コーヒーをすする。
('A`)「くー。毒男には縁が無いってか?ちっきしょー。」
おやじくさい言葉を吐きながらもう一度コーヒーをすする。

そんな時、1人の女性がドクオに尋ねてきた。
「ここ・・・いいですか?」
ドクオの向かい側の椅子を指差しながらその女性は言った。
('A`)「え?」
「あの・・・いや・・・なんとなくこの席に座りたいなとおもって・・・見晴らしがいいし・・・。」

見晴らしがいいといってもここは街中にある喫茶店。
見えるのは人混みといくつかの店だけだ。

('A`)「あ・・・いいですけど、俺はなれましょうか?」
「い・・・いえ大丈夫です。お構いなく。」
ドクオは心の中でこの女性は一体なんだ?見晴らしがいいはずないだろ。馬鹿なのか?とけなしていた。

コイツ・・・鈍い。


 

607 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 21:55:01.18 ID:Ob7qzAmm0
女性はドクオに尋ねる。
「いつもここにこられるんですか?あたしがくると、時々あなたを見かけます。」
('A`)「ん?ああ、俺ここの喫茶店結構好きだからね。見晴らしはよくないけど。」

見晴らしはよくないけどの一言に女性の顔が真っ赤に染まった。とっさに顔を下に向けるがたじろいでいるのがわかる。

それを見たドクオは思った。なんと失礼なんだ!と。俺の顔がいくらおかしいからって、笑う事はないだろう!と。自分から座ってきた癖に失敬なやつと思った。

('A`)「で?あんたはよく来るの?」
「はい・・・ここで本を読むと落ち着くので・・・。」
女性はバッグの中から一冊の本を取り出す。ドクオはその表紙に見覚えがあった。
('A`)「あ、それもしかして・・・それって・・・HOOT?」
「はい・・・知ってるんですか?」
('A`)「俺それ昨日読み終わったんだよ!カール ハイアセン好きなの?」
「私は・・・その表紙に惹かれちゃって・・・。」
('A`)「そうそう、表紙がいいよね!」
「はい・・・。」
本の話題になった途端2人は話が合いはじめた。

話は弾む。


 

611 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:02:01.56 ID:Ob7qzAmm0
('A`)「やっぱさ、この世の中は冒険が必要なんだよ!!廃れた世の中であきらめずに挑戦し続けることが!」
ドクオはかなり熱くなっている。女性の持っている本に。そして女性は熱く語っているドクオに困惑する。
「そ、そうですね・・・。でも、平凡な毎日もいいような・・・。」
('A`)「まぁ、そりゃそうだけどさ。今の世の中の子供は間違った経験ばかりしているような。この本の子達みたいに勇敢であってほしい!」
くすっ。と女性は笑った。
「そうですね。なんだか、ドクオさんって素敵な方です。じゃあ、そろそろ失礼させてもらいます。」
('A`)「あ、おお。もう行くのか?あれ、俺語りすぎたみたいだなww」
時計を見ると女性が来てから1時間ぐらい過ぎていた。
「お名前だけ聞いていいですか?」
('A`)「ああ。」
ドクオは自分の名前を女性に告げる。そして女性は最後にドクオに微笑んで、喫茶店を去っていった。

('A`)「以外にかわいいかもしれんな・・・あ、名前。」

ドクオは女性の名前を聞くのを忘れていた。

この男・・・鈍すぎる。

 

613 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/04/23(日) 22:04:52.74 ID:qPEIGM9T0
×以外に
○意外に
>>1がんばれ!

614 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:07:06.78 ID:Ob7qzAmm0
>>613 うはwwTHX。これからは3回見直すようにする。

615 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:10:21.43 ID:Ob7qzAmm0
そして女性が去って数分後、ドクオも喫茶店を出た。
('A`)「はぁ・・・今日も1人か。俺に運命の出会いってのは無いのかね。」
きっとこの男は運命の出会いがあっても気付かずに通り過ぎてしまうのだろう。だから現在状況がこんななのだ。
('A`)「俺には赤い糸があるのかね?」
そう言って自分の小指を見つめる。
('A`)「見えねぇええええええええええええ!!見えねぇよ!!赤い糸おおおおお!」
周りの人たちが1人叫ぶドクオを見て笑っている。1匹狼のドクオは周りなどおかまいなしだ。
そこがいいところでもあり、面白いところでもある。
('A`)「しかし、さっきの子可愛かったな。」
ドクオの頭の中にはさっきの子がはっきりと頭に残っている。

眼鏡をかけてて・・・ショートヘアーで・・・それで・・・

('A`)「ま、ちょっと変だったけどな。だって見晴らしよくねぇだろ。あそこの喫茶店。あ、目が悪いからか。」
いろんな空想を頭の中で繰り広げながらドクオはCDショップへと立ち寄る。
('A`)「最近はアイドルもCDをたくさんだしてるんだな。お、ベストとかもいろいろ出てるんじゃん。」
店にはベスト特集と書かれた紙の下にたくさんのベスト盤が並べられている。
('A`)「でも金ないから我慢しとくか。」

金がないことを理由に何も買うことなく、ドクオをCDショップをあとにした。

そういえば、そろそろ昼飯の時間。
 

619 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:21:32.19 ID:Ob7qzAmm0
場面変わってブーン。

(  ^ω^)「そろそろ、腹が減ったお。そういえば、最近はおじいちゃんに会ってないお。」
考えてみれば、そうだ。おじいちゃんの事を頭ごなしに否定したが、今は少し認めている。
山田オルタ教はなんだか気味が悪いように思えてきたから。
(  ^ω^)「まぁ、まだ一度も関わったことがないからなんともいえないお。」
勘でしかない。
(  ^ω^)「とりあえず、おじいちゃんに会ってみるお。御礼もしなきゃいけないお。」
御礼という言葉が浮かぶと同時にツンからもらったケーキを思い出した。そして携帯を取り出しツンに電話する。

ξ゚听)ξ「はい。何ブーン?」
(  ^ω^)「いや、この間のケーキどこで買ったのか教えて欲しいお。」
ξ゚听)ξ「そんな事か。えっとね―――」
ツンから聞いた場所でケーキを3つ買った後、ブーンは自転車をおじいちゃんの屋敷へと漕いでいた。

―カシュ、カシュ

急な坂道で自分の体力の衰えに気付く。あの厳しい修行から数日しか経っていないというのに・・・。
(  ^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・でもここを越えたらおじいちゃんの家だお。」
自転車のかごに乗せたケーキが揺れる。坂道を乗り越えたとき、風が吹いた。
(  ^ω^)「いやあ、運動した後の風はやっぱ気持ちいいお!!」

おじいちゃんの屋敷が見えた。
 

624 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:32:49.82 ID:Ob7qzAmm0
―ピーンポーン
あの時と同じようにインターホンを押す。
「どなたですか?」
(  ^ω^)「僕ですお。ブーンですお。」
「ああ、あのときの。ちょっと待っててくださいね。」
1、2分ほど待たされると門が開いた。
(・´ω`・)「久しぶり・・・だな。」
おじいちゃんはずいぶん年老いた様子だった。そしてオーラも少なくなっていた。
(  ^ω^)「おじいちゃん・・・。」
ただどことなく漂う優しさは健全なままだった。
(・´ω`・)「とりあえず・・・中に・・・入れ。」
そう言うとおじいちゃんはブーンに背中を見せ中に入っていった。

そういえば・・・おじいちゃんがブーンに背中を見せることは滅多になかったような・・・。

(・´ω`・)「昼飯は食べたか?」
(  ^ω^)「まだだお。」
(・´ω`・)「それじゃあ食っていけ。」

ブーンの目の前には見覚えのある綺麗に彩られた料理が運ばれてきた。

630 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:43:27.83 ID:Ob7qzAmm0
(・´ω`・)「何日ぶりだろうな・・・最近はどうだ?」
(  ^ω^)「すこぶる順調ですお。けど、どうしたことかいろんな事がめまぐるしく起こりますお。平凡な毎日がいいですお。」
(・´ω`・)「それはお前が強くなったからだろう。」
(  ^ω^)「おっと、その前にこのケィクの差し入れですお。いろいろお世話になったので御礼ということでお願いしますお。」
ブーンはツンに教えてもらった店で買ったケーキをおじいちゃんに差し出す。
(・´ω`・)「おお、ありがとう。」
(  ^ω^)「3つ入ってるからわけてくださいだお。僕はいらないですお。」
(・´ω`・)「まぁここには入れ替わりで雇ってる人がたくさんいるから、はっきり言ってしまうとたりないがなw」
(  ^ω^)「金がなかったんですおww」
ここになってやっと2人の間に笑いが起こる。

―シャムシャムシャム
(・´ω`・)「で、話を戻すとだなぁ。おまが強くなったからなんだよ。」
チーズケーキを食べながら少し元気を取り戻した口調でおじいちゃんは言う。
(  ^ω^)「なにがですかお?」
(・´ω`・)「・・・さっき自分で言っていたのにもう忘れたのか。ならいい。ただ1つ言っておく。」

大切なのは諦めないこと。

乗り越えた先にはきっとお前にしか味わえない最高の景色が待っているよ。

おじいちゃんは優しく彼に語りかけた。
 

650 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 22:57:20.15 ID:Ob7qzAmm0
(  ^ω^)「うん。はっきり言って僕には難しい事はよくわからないお。今は、山田オルタ教のことで頭がいっぱいだお。」
(・´ω`・)「山田オルタ教?おまえ、あれほど嫌がっていたのにどうした?」
(  ^ω^)「どーもこーも最近気になるんだお。」
(・´ω`・)「まぁ、ワシから話すより自分の目で確かめたほうがいいだろう。ちょっと待っとれ。」
そういうとおじいちゃんはどこかへ消えていった。

しばらくすると1枚の紙を持って戻って来た。
(  ^ω^)「なんだお?」
(・´ω`・)「山田オルタ教の本部の地図みたいなものだ。とりあえず、ここに言ってみるんだな。まぁ無理にとは言わない。それに信者しか多分入れないかもしれないから。見つからないように入らないとな。」
(  ^ω^)「ちょww不法侵入ww」
(・´ω`・)「ワシはずっと山田オルタ教を追ってきた。そして数少ない弟子達も追ってくれている。そのときはお前にもワシの弟子を紹介してやるお。」
(  ^ω^)「わかったお。気持ちは嬉しいけど今は難しい事考えたくないんだお。」

今はもう辛い事とか、難しい事は考えたくなかった。

息抜きしよう。

ちょっと深呼吸して。

未来へ備えよう。

だから今は、ちょっとばかり休憩したいんだ。

いいよね?


 

658 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 23:09:56.98 ID:Ob7qzAmm0

('A`)「ちぇー1人でマクドナルドかよ。」
「いらっしゃいませー。ご注文は?」
('A`)「ダブルチーズバーガーセットでポテトとコーラ。あと、フィレオフィッシュ。」
注文を終え数分もたたないうちに目の前に注文の品が並べられる。なんと便利なことだろう。
トレイに乗せられたハンバーガーを持って空いている席を探して座った。

―シャムシャム
('A`)「いつか2人で食える日くるのかなー。ぜってブーンはツンと、ショボンはしぃと食ってるよな!!」

やけくそだぁ!

思い切りハンバーガーに噛み付いた。
('A`)「ハンバーガーに思いをぶつける俺・・・惨め・・・。」
―ジュルルルルルルル
コーラを飲みながら、考えてた。今頃、ブーン達は何をしているのだろう?と。
毎日デートか?いや、でもツンは確か仕事をしていたし・・・。
わかっているのは、今日1日中、ドクオは女について考え続けていること。
彼の頭は女で回っていたりするかもしれない。

けれどいつかそんな季節も過ぎる日が来て。

大空へと飛ばなければならない。

歩く。

向かい風受けながら。
 

662 名前:1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY [] 投稿日:2006/04/23(日) 23:20:05.70 ID:Ob7qzAmm0
場面変わってしぃ。

(*゚ー゚)「うふふ。ナイフ買っちゃった。しかも限定品の東京で7つしかないうちの1つだったわ。」
しぃが嬉しそうに鏡を見ながら言う。
ナイフがキラリとひかり、そこには赤く何かが刻まれていた。限定品の印なのかもしれない。
(*゚ー゚)「今度、ショボン君に見せよっと。もう、君づけじゃなくてもいいかな?」

―チロリロロンっ
携帯メールの着信音が鳴る。
(*゚ー゚)「あら、ショボン君・・・ショボンからかしら?」

『ショボン君』-15:43
件名;いえい
本文;今何してるお?

(*゚ー゚)「・・・なにしてる”お”って・・・ブーンじゃないんだから・・・。」

ブーン・・・彼の言葉の語尾につく”お”は何かと影響力があったりするのだ。

それだけ魅力的であるということ。

自分も知らないうちに語尾に”お”をつけてしまっているのかも。

(*゚ー゚)「くすっ。ショボンったらかわいい。」

ショボンとしぃの仲はかなり急接近していた。

あなたが生きているから私は生きていられる。
 

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