【第4話】
僕は今、悪の秘密組織【ブラックシャドー】の作戦会議室にいる。
先ほど【人類飢餓大作戦】が例によってドクオファイアーに阻止されたので、
それの反省会をしているのだ。
<ヽ`∀´>「あともう少しで【人類飢餓大作戦】が成功だったニダー!
どこが悪かったか各自言ってみろニダ!」
ニダーは【人類飢餓大作戦】と大層なことを言っているが何のことはない、
単に畑泥棒をしていただけだ。
ニダー曰く、畑の作物を手に入れれば【ブラックシャドー】の食料になり、
かつ畑の作物を失った人類を飢餓させることができる一石二鳥の大変素晴らしい作戦らしい。
一体、何万回畑泥棒をすればいいんだ。
<ヽ`∀´>「おい、ジョルジュ、言ってみろニダ。」
ニダーに名指しされたジョルジュは座っていたパイプ椅子から立ち上がる。
( ゚∀゚)「やはり、迅速な行動が1番大事かと思います。」
<ヽ`∀´>「そんなことはわかってるニダ。
迅速な行動をするためにはどうすればいいか言ってみろニダ。」
( ゚∀゚)「土に埋まっている野菜をすばやく抜くための腕力の強化が必要だと思います。」
<ヽ`∀´>「・・・ほう、それは一理あるニダ。」
ニダーが感心した顔をした。
( ^ω^)(むむ、ジョルジュも真面目にいろいろと考えてるのかお。すごいお。)
僕もジョルジュの意見に感心していた。
( ゚∀゚)「それでですね。腕力強化をするためにみんなでおっぱいパブに行く、
というのはどうでしょうか?もちろん、ブラックシャドーの経費で。」
<ヽ`∀´>「なんでおっぱいパブが出てくるニダ?」
( ゚∀゚)「おっぱいパブは普段は普通の飲み屋っぽい感じなんですけど、
おっぱいタイムになったらおっぱいポロリをしてもらうために、
みんなで手を振って盛り上げるんですよ。」
そう言いながらジョルジュは左手を上下に振った。
( ゚∀゚)「おっぱい!おっぱい!おっぱい!って結構、腕鍛えられますよ。」
<ヽ`∀´>「・・・却下ニダ。」
さすがのニダーも相手にするのがアホらしいと悟り、ジョルジュの話を流した。
(;^ω^)(ジョルジュは果汁100%ならぬ、おっぱい100%だお。)
その後はいつものパターンでグダグダした話し合いになり時間切れだ。
反省会と言ってもニダーの愚痴を聞かされているようなものだ。
まあ、これでニダーの気分が収まるわけだし、僕達もバイト代もらえるわけだし問題はないだろう。
<ヽ`∀´>「よし、じゃあ、今日はここまでニダ。解散ニダ。」
( ゚∀゚)「お、やっと終わったぜ。」
アルバイト達がみんなパイプ椅子から立ち上がる。
その時、作戦会議室の入り口のドアが開いた。みんな何事だと入り口を見る。
そこには美しい女性が1人立っていた。
<ヽ`∀´>「ふ、副首領のツン様!!」
ニダーはかなり驚いているようだった。
( ^ω^)(副首領?)
ブラックシャドーには首領の【キングシャドー】という人がいる。
まあ、会社で言うところの社長みたいなもんだと思っている。まだ、会ったことはないけど。
でも、副首領がいるとは知らなかった。副社長みたいなものなのかな。
ξ゚听)ξ「全員、着席。反省会は続行します。」
ニダーにツンと呼ばれた女性は僕達アルバイトに毅然と言った。
しかし、誰かよくわからない人にいきなり着席しろと言われてアルバイトのみんなは戸惑っていた。
だがすぐにニダーがフォローする。
<ヽ`∀´>「おまえ達、さっさと座るニダ!
この方は副首領のツン様ニダ!ブラックシャドーの首領キングシャドー様の孫娘でもあるニダ!」
( ゚∀゚)「げっ、そんなすごい人なのか。」
ジョルジュはすぐにパイプ椅子に座った。他のアルバイトもすぐにパイプ椅子に座り始める。
全員が着席したのを確認してからツンが話をはじめた。
ξ゚听)ξ「いつもニダーの作戦報告書を読ませてもらっていますが非常に問題点が多いです。
しかも、その問題点を改善する様子が全くみられません。
キングシャドー様はこの事態を重く考えておられます。そして、私がここに遣わされました。」
ジョルジュはとてもめんどくさそうな顔をしていた。
いや、アルバイトのほかの人達もウンザリした顔をしていた。
そりゃそうだ。今までノホホンとアルバイトしていたのに急に厳しくなるような気配を感じたからだ。
ξ゚听)ξ「これからは私が作戦の発案およびドクオファイアーとの戦闘プログラムを考えます。
作戦を成功させるためのおしまない努力を期待します。」
<ヽ`∀´>「あの〜、私は何をすればいいニダ?」
ニダーは恐る恐るツンに話しかけた。
ξ゚听)ξ「実際の現場での隊長はニダーのままで。作戦の発案は私がしますが。」
<ヽ`∀´>「じゃあ、作戦の発案だけはお任せということですニダ。わかりましたニダ。」
ニダーは自分の立場があまり変わっていないようなのでホッとしているようだった。
ξ゚听)ξ「次の作戦は今のところ予定はありません。
しかし、その間に戦力の強化プログラムを考えてきました。」
( ^ω^)(戦力の強化プログラム?)
ξ゚听)ξ「戦力の強化の第一段階として戦闘員のレベルアップを考えています。」
( ^ω^)(戦闘員のレベルアップかお。腕立て伏せとかやるのかお?)
ξ゚听)ξ「その前にまず戦闘員のリーダーを決めたいと思います。
戦闘員の統率をとるためには重要な役割と考えています。」
( ゚∀゚)「戦闘員のリーダーなんて決めるのかよ・・・。なったら大変だな。」
ジョルジュが僕に小声で話しかける。
( ^ω^)「まあ、僕達はあんまりリーダーってガラじゃないお。」
( ゚∀゚)「それは言えてるな。」
まあ、僕達には関係ないだろう。何を基準にリーダーを決めるのかはわからないけど、
いつも真っ先に突っ込んでやられている僕が選ばれることはないだろう。
ξ゚听)ξ「それではリーダーを発表します。」
作戦会議室が静寂に包まれる。誰もリーダーなんてなりたくないと思っているだろう。
ある意味死の宣告みたいなものだ。
ξ゚听)ξ「リーダーはブーンにお願いします。」
ツンはキッパリと言った。
(;^ω^)「えっ!?」
何で僕がリーダーなんだ。
(;^ω^)「何で僕がリーダー何ですかお?他にも適任者がいるような気もしますお。」
ξ゚听)ξ「過去の戦闘記録を見せてもらったんだけど、
あなたいつもドクオファイアーと1番に闘っているわよね。」
(;^ω^)「は、はいですお。」
ξ゚听)ξ「まあ、その後すぐにやられているけど、
毎回懲りずに真っ先にドクオファイアーに戦いを挑む勇気を評価しました。
今、ブラックシャドーの戦闘員に必要なのはヒーローの強さに屈しない鋼の心なのです。」
(;^ω^)「は、はぁ。」
僕は力なく返事をした。ここでも戦闘1番について評価された。
僕自身は楽するためのことだったんだけど。
ξ゚听)ξ「では、リーダーと私はこれからここに残って戦闘プログラムについて会議をします。
会議の結果は後日報告します。他の人達は解散してよろしい。」
(;^ω^)「ええっ!!」
( ゚∀゚)「おっ!終わりか。ブーン、がんばれよ。」
会議が延長してさっさと帰りたがっていたアルバイト達はあっという間にいなくなった。
ニダーもいつの間にかいなくなっていた。
作戦会議室には僕とツンだけが残った。
(;^ω^)「・・・。」
ξ゚听)ξ「では、はじめます。」
(;^ω^)「は、はいですお。」
ξ゚听)ξ「言い忘れましたが、リーダーにはリーダー手当てが出ます。がんばってください。」
( ^ω^)「おっおっおっ。」
ちょっと僕はやる気が出た。リーダー手当てが出るなら最初から言ってくれ。
ξ゚听)ξ「それではまず過去の戦闘記録から私が思ったことを言います。」
( ^ω^)(戦闘員の戦闘記録なんて見ても意味なんかあるのかお。)
戦闘員なんかヒーローのスタミナを削るだけの要員じゃないか。
いくら必死になってもヒーローに勝てるわけじゃないし。
ξ゚听)ξ「戦闘員はすべてドクオファイアーと1対1で闘っています。
これではこちらが複数いるというメリットを全く生かせていません。」
( ^ω^)「じゃあ、どうすればいいですかお。」
ξ゚听)ξ「戦闘員を3人1組のスリーマンセルで構成します。」
( ^ω^)(むむっ。)
ξ゚听)ξ「そして、3対1でドクオファイアーに戦いを挑むようにします。
スリーマンセル単位で闘えばドクオファイアーも簡単には戦闘員を倒せないでしょう。」
( ^ω^)(・・・なるほどだお。)
ξ゚听)ξ「戦闘員も貴重な戦力です。今までみたいにドクオファイアーのスタミナを削るだけの存在ではなく、
戦闘員の戦力を上げることによって怪人なしでもドクオファイアーに勝てるようにしていきたいと思っています。」
僕はちょっと感心してしまった。
戦闘員なんてただの使い捨て要員だと思っていたのだが、
この人は戦闘員をいかにうまく使うかを真剣に考えているということがわかったからだ。
戦闘員がドクオファイアーに勝てることなんてないと思う。
だが、それでも何とかしたいというこの人の熱意は僕には伝わった。
ξ゚听)ξ「リーダーのあなたにはスリーマンセルのフォーメーション等を考えて欲しいと思っています。」
( ^ω^)「は、はいですお。」
ツンの熱意におされてなのだろうか、僕もちょっと真面目に頭を動かしてみた。
頭の中でドクオファイアーと3対1で闘うイメージを妄想する。
が、普通に3人がボコボコにされて終わってしまった。
(;^ω^)(脳内妄想でも完敗かお・・・。)
いくら3人いてもガムシャラに突っ込んだら勝てるわけがない。
他に方法はないか。更なる妄想を続けていく。しかし、何も浮かばない。
そもそもドクオファイアーには隙というのもがほとんど存在しない。
隙がないから困るのだ・・・隙さえあれば・・・待てよ?
僕の頭の中である閃きが生まれた。
( ^ω^)「あっ!」
ξ゚听)ξ「どうかしましたか?」
( ^ω^)「閃きましたお。スリーマンセルの2人がドクオファイアーを挟むように攻撃するんですお。
そして、残りの1人が2人と戦っているドクオファイアーの隙を攻撃するんですお。」
ξ゚听)ξ「なるほど。それはいいフォーメーションですね。
ドクオファイアーも苦戦すると思います。さっそく採用してみましょう。」
その後、僕とツンはアルバイトリストを見ながら戦闘員をスリーマンセルに分ける作業をした。
ひさしぶりに真面目に働いたような気がする。
ξ゚听)ξ「作戦のない時は引越し作業などをしているようですが、
それだけではなく、スリーマンセルのフォーメーションの練習などにも時間を使ってください。」
( ^ω^)「わかりましたお。」
ξ゚听)ξ「では、会議はこれで終わりにしましょう。遅くまでありがとうございました。」
( ^ω^)「あ、もうこんな時間かお。」
ξ゚听)ξ「それでは、失礼します。」
ツンはそう言うと作戦会議室を出て行った。
いつもは体を使った作業が多いのだが今日はやけに頭を使った。
しかし、今までにはない充実感が僕を包んでいた。
僕が忘れていたものをツンは思い出させてくれたのかもしれない。
僕は街灯に照らされた夜道を歩きながら、
スリーマンセルのフォーメーションについていろいろと考え込んでいた。
【第4話おわり】
【次回予告】
ブーンとジョルジュのスリーマンセル3人目のメンバーは空手の達人ショボンだった。
ブーン達はスリーマンセルの猛特訓を始める。
スリーマンセルのフォーメーション攻撃を体得した戦闘員ブーンの運命やいかに?
※都合により次回予告の内容が本編と異なる場合があります。ご了承ください。