35 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:39:18.08 ID:xjANTQAb0
【第9話】
VIP市の施設であるVIP体育館に集まった戦闘員のアルバイトの面々。
僕は戦闘員のリーダーとしてみんなの前に立ち、言った。
( ^ω^)「この前のドクオファイアーとの戦いに負けて色々と対策を考えてたお。それで出た結論を言うお。」
体育館が静寂に包まれる。
( ^ω^)「今までの僕達は確かに一生懸命練習をしていたお。でも、それはあくまでも素人的なものだなって思ったんだお。
スリーマンセルのフォーメーションの動きばかりを練習していて、基礎トレーニングとか個人任せであんまりやってなかったお。
だからもっと本格的に練習すべきだと思ったんだお。」
( ゚∀゚)「本格的な練習?」
( ^ω^)「そう。今までみたいにジョルジュやショボンみたいに格闘技経験者が先生になるとかだと限界があるお。
格闘技の師範を読んで本格的に勉強するのがベストだと思ったお。そのための師範も呼んでるお。」
( ゚∀゚)「師範って誰だ?」
体育館内がざわつき始めた。誰が来るのか気になっているのだろう。
(´・ω・`)「そろそろ来ると思うよ。」
僕とショボンが入り口を見ていると1人の男が現れた。
36 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:40:24.51 ID:xjANTQAb0
(`・ω・´) 「やあ、みんなよろしく。弟がお世話になってるみたいで。」
( ゚∀゚)「えっ!?この人はシャキンさんじゃないか!?」
ジョルジュは両目を開いて驚いていた。
( ^ω^)「そう、全国空手トーナメント大会の優勝者のシャキンさんだお。
そして、今は格闘技組織でもあるKEI−1の方でも活躍していて、TVとかでもよく見る人だお。」
(´・ω・`)「僕の兄なんだよね。で、師範として僕達の面倒をみてくれるように頼んだんだよ。」
(`・ω・´) 「ヒーローと戦うなんて面白そうじゃないか。俺に是非とも協力させてくれ。」
体育館がシーンと静まり返った。まさかアルバイトのみんなも国内で最強と言われている空手家が、
僕達の師範になってくれるとは思ってもいなかったんだろう。
(`・ω・´) 「じゃあ、さっそくはじめようか。」
シャキンは着替えもせずに構えた。
(`・ω・´) 「まずは1人ずつかかってこい。俺が力量をみてやる。」
37 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:41:27.83 ID:xjANTQAb0
( ^ω^)「じゃあ、みんな順番に闘うお。」
戦闘員が1人ずつシャキンに戦いを挑む。そして、簡単にやられていく。
そりゃそうだ相手は国内最強なのだから。全員と闘ったシャキンがみんなに言った。
(`・ω・´) 「おいおいみんなちょっと弱すぎだぞ。これじゃあ、ヒーローと闘う以前だな。
まずは基礎トレーニングからやり直した方がいい。」
そう言うとポケットの中からメモを取り出した。
そこには『ランニング10km、腕立て300回・・・』など厳しいトレーニング内容がビッシリと書いてあった。
(`・ω・´) 「俺が直接教えてもいいが、まずはこの基礎トレーニングが普通にできるようになってからだな。」
そう言うとシャキンは体育館を去って行った。再び静まり返る体育館。
( ^ω^)「じゃあ、まずはこの基礎トレーニングができるようにするお。まずは10kmランニングするお。」
僕はアルバイトみんなにそう言うと体育館を出た。
しかし、ジョルジュとショボンしかついて来なかった。他のアルバイトのみんなは体育館から出てこない。
だが、この反応は僕の想定の範囲内ではあった。僕は体育館に再び戻る。
38 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:42:07.60 ID:xjANTQAb0
( ^ω^)「みんな、ランニング10kmだお。」
しかし、アルバイトの誰もが返事をしない。僕が辛抱強く待っているとアルバイトの1人が声を出した。
アルバイトA「ちょっともうついていけないッスよ。」
それにつられて他のアルバイトも口々に不平を言い出した。
アルバイトB「そうだよな。なんで俺達バイトがそこまで必死にやらなきゃいけないわけ?」
アルバイトC「スリーマンセルのフォーメーションはダンスっぽい感じもあったから面白かったけどさ。
何で10kmも走ったり腕立て300回とかしなきゃならないんだよ。俺、基礎練習とかやりたくないぜ。」
アルバイトD「いつもみたいにドクオファイアーにやられた振りしてりゃいいじゃん。俺達は格闘家じゃないんだぜ?」
アルバイトC「もうバイト辞めようぜ。やってらんねーぜ。」
アルバイトB「そうだな、俺辞めるわ。時給はいいけどこれ以上やるのアホらしいわ。」
アルバイトC「じゃ、ブーン、後は頼んだわ。」
アルバイト達はぶちぶちと文句を言いながら体育館を去って言った。
( ^ω^)(・・・やっぱり駄目だったかお。)
39 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:42:44.02 ID:xjANTQAb0
多分、基礎トレーニングの厳しさで何人かは辞めるだろうなとは薄々思っていた。
しかし、ほとんど全員やめるのは予想外だった。誰もいなくなった体育館で立ち尽くす僕。
( ^ω^)(でも、ここまでやらないとドクオファイアーには勝てないお。)
その時、外で待っていたジョルジュとショボンが帰ってきた。
( ゚∀゚)「おい、ランニング行かないのか?」
(´・ω・`)「はやく行こうよ。」
( ^ω^)「あ、いや、見てたと思うけどアルバイトみんな辞めちゃったお・・・。
ジョルジュとショボンはどうするかお?」
僕はドキドキしながら質問をした。この2人もいなくなったらもう終わりだろう。
( ゚∀゚)「辞めたい奴はほっとけばいいさ。俺はやるぜ。やられっぱなしってのは性にあわねえからな。」
(´・ω・`)「僕もやるよ。空手マスターとして強さを極めたいからね。」
( ^ω^)「あ、ありがとう。」
40 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:44:14.60 ID:xjANTQAb0
( ゚∀゚)「礼なんていらねーぜ。ワカパイちゃんは強い男が好きだからな。
ドクオファイアーに勝ってみろ、ワカパイちゃんと天国行き決定だぜ!!」
(´・ω・`)「僕も自分の力を試したいんだ。まだ僕の力はこんなものではないはずだ。」
( ^ω^)「よし、じゃあランニング行こうだお。」
僕達3人は体育館を出るとランニングをはじめた。
そして、10km走ってクタクタになった後に腕立て伏せ300回を開始する。
その他にも腹筋や背筋などのトレーニングを行っていく。
(;^ω^)(ウプッ!!!!)
僕は急に吐き気を模様してトイレに駆け込んだ。そして、朝に食べたものを全部吐いた。
トイレから戻ってきた僕たちをジョルジュ達が見ていた。
( ゚∀゚)「大丈夫か。まあ、いきなり激しい運動したから吐くこともあるさ。休んでもいいぜ。」
(´・ω・`)「でも、その分強くなれるよ。」
(;^ω^)「い、いや休まないお。トレーニングは全部ちゃんとやるお。」
こんなところで立ち止まっている暇はない。
どんなに苦しくても泥水を飲んででも前に進む。そう誓ったのだ。
41 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:45:03.18 ID:xjANTQAb0
それからの毎日はまさに地獄のようだった。体が慣れるまでは毎日吐き続けた。
そして、食欲は全く無かったが食べないとトレーニングに体がもたないという悪循環にはまってしまった。
それでも僕は気力だけでトレーニングを続けた。
そして、トレーニングにもやっと体が慣れてきたある日、シャキンがやってきた。
(`・ω・´) 「結局残ったのは3人だけか。まあ、そんなもんだろうとは思ってたけどな。」
シャキンはそう言うと僕達に空手の稽古をつけてくれた。
シャキンの稽古はかなり激しいものだった。手加減無用で思い切り攻撃してくる。
はっきり言って殺されるかと思った。稽古が終わると僕達は力尽きていた。
そんな僕達を見ながらシャキンは言った。
(`・ω・´) 「じゃあ、今日の稽古はここまでだ。
ヒーローと闘うんだから俺の攻撃くらいでヘバってんじゃないぞ!!」
( ^ω^)( ゚∀゚)(´・ω・`)「オス!!お疲れッした!!!」
着替え終えた僕達は体育館を出る。
(´・ω・`)「・・・疲れたね。」
( ^ω^)「確かに・・・帰ってすぐ寝たいお。」
( ゚∀゚)「俺はこれからワカパイちゃんところに行くんだよなぁ。」
ジョルジュは嬉しそうな顔をしながら去って行った。
(;^ω^)(ジョルジュはちょっと元気ありすぎだお。)
42 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:45:57.86 ID:xjANTQAb0
それから僕達はひたすらシャキンさんの猛稽古を受け続けた。
シャキンさんは全く手を抜いていないので攻撃を防御するだけでもかなり痛い。
くらおうものなら死ぬほど痛い。当たり所が悪ければ大怪我をして即リタイアになりそうだった。
毎日の稽古がまさに死に物狂いだった。それでも、僕達は逃げ出さずに稽古を受け続けた。
それぞれの想いを胸に秘めて。そんなある日。僕はドクオと高架線下のおでん屋台にいた。
('A`)「いきなり呼び出してどうしたんだ?」
( ^ω^)「ヒーロースカウトの件ですお。」
('A`)「返事が決まったようだな。」
ドクオは真剣な表情で僕の目を見た。僕もドクオの目を見返した。
( ^ω^)「ヒーロースカウトの件はありがたいお話ですけど、お断りしますお。」
('A`)「・・・そうか。」
( ^ω^)「せっかく誘っていただいたんですけど、すみませんですお。」
僕はドクオに頭を下げた。
('A`)「まあ、そんな予感はしていたけどな。」
43 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:47:29.95 ID:xjANTQAb0
( ^ω^)「・・・。」
僕は黙ってドクオを見る。
('A`)「・・・まだ俺に言うことがあるんじゃないか?」
ドクオは僕の目を鋭く睨む。ドクオにはもう全てがわかっていたようだった。
( ^ω^)「僕は戦闘員としてドクオファイアーと闘うことにしたんですお。
だから、もう一緒に飲むのはこれで最後にして欲しいですお。」
('A`)「・・・わかった。」
ドクオはそう言うとカウンターにお金を置いて椅子を立ち上がる。
('A`)「次に会うときは敵同士だ。容赦はしない。」
ドクオはそう言うと背中を向けて去っていった。
('A`)(しばらく見ないうちに戦士の目になっていやがった・・・。)
だが、僕はドクオの背中を見なかった。
( ^ω^)(僕は戦闘員として戦う道を選んだんだお。僕は僕の道をいくお。)
僕はジョッキに残ったビールを飲み干すとカウンターにお金を置いておでん屋台を出た。
44 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:48:43.94 ID:xjANTQAb0
VIP市の施設であるVIP体育館のある日。
シャキンの猛稽古にもなんとか体が慣れてきた。
稽古を終えた僕達にシャキンが言った。
(`・ω・´) 「かなりいい感じになってきたな。
あとは実戦経験を積んでいけばかなり面白くなりそうだ。
おまえ達をKEI−1の新人にスカウトしたくなってきた。」
( ^ω^)「ありがとうございますですお。」
( ゚∀゚)「おお、すごい褒め言葉が出ましたね。」
(´・ω・`)「兄が褒めるなんて珍しいね。」
(`・ω・´) 「まあ、俺の猛稽古にここまでついてきた奴なんてほとんどいないからな。」
その時、ツンが体育館にやってきた。僕達のそばにやってきて話をはじめる。
ξ゚听)ξ「新しい作戦が決まりました。来週に行われる予定です。」
いよいよ来た。最後の戦い。これで全てが終わる。僕達が勝つかドクオファイアーが勝つか。
最後に立っているのは誰なのか?僕の鼓動は速くなり、手のひらには汗をかいていた。
(`・ω・´) 「いよいよか。最後におまえ達に言っておく。
『自分が負けたと思わない限り敗北は無い。』
おまえ達の心が折れたらその時点で終わりだ。がんばれよ。」
( ^ω^)( ゚∀゚)(´・ω・`)「オス!!お疲れッした!!!」
46 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:49:37.74 ID:xjANTQAb0
そして、作戦当日がやってきた。
ブラックシャドーの作戦会議室に僕、ジョルジュ、ショボン、ツンが集まった。
ξ゚听)ξ「戦闘員は3人になりましたが、今までの戦闘員の戦力以上の力があると私は思っています。
思う存分闘ってください。」
( ^ω^)( ゚∀゚)(´・ω・`)「はい!」
その時、僕はある疑問が浮かんだ。
( ^ω^)「あれ?今日の怪人はいないのですかお?」
ξ゚听)ξ「もうすぐ来ます。」
僕達はしばらく待っていると作戦会議室のドアを開けて1人の人物が入ってきた。
<ヽ`∀´>「元気にやってるかニダ。」
(;^ω^)「ニ、ニダーさん。退院したんですかお!」
<ヽ`∀´>「ああ、さっき退院したニダ。」
47 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:50:15.14 ID:xjANTQAb0
ξ゚听)ξ「・・・ニダーが今日の怪人です。」
(;^ω^)「えっ!?ニダーさんって怪人だったんですかお!!」
<ヽ`∀´>「私はカニビームっていう怪人ニダ。変身しないとただの人間だけどニダ。」
( ゚∀゚)「でも、病み上がりで大丈夫なんですか?」
<ヽ`∀´>「フン、私よりもおまえらの方が心配ニダ。せいぜい足を引っ張らないようにしろニダ。」
( ゚∀゚)「ムッ。」
そう言うとニダーは作戦会議室を出て行った。
( ゚∀゚)「なんだよ。あいかわらずだな。」
ξ゚听)ξ「・・・。」
(;^ω^)「ツンさん、ニダーさんってどーなんですかお?」
ニダーが怪人というのは非常に頼りないので思わずツンに聞いてみた。
50 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:51:07.53 ID:xjANTQAb0
ツンは悲しそうな顔をして言った。
ξ゚听)ξ「・・・カニビームは昔最強の怪人の1人として君臨していました。」
(;^ω^)「えっ!?mjdk!!」
ξ゚听)ξ「ビッグバンガイとも互角に戦ったことがあるんです。」
( ゚∀゚)「おいおい、ほんとかよ!」
(´・ω・`)「それはすごいね。」
ξ゚听)ξ「しかし、ビッグバンガイとの戦いに敗れたときに大怪我をして、
変身するとかなり体、特に心臓に負担がかかるようになったんですよ。」
(;^ω^)(ビッグバンガイと互角に闘ったってこと自体すごいお。)
ξ゚听)ξ「・・・ですから、今ニダーが変身するとヘタをすれば死ぬかもしれません。」
(;^ω^)「じゃあ、何で怪人として闘うんですかお??」
51 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:51:56.72 ID:xjANTQAb0
しばらく黙り込んでいたツンだったが意を決して口を開いた。
ξ゚听)ξ「・・・あなた達のことが心配だったからですよ。
今回の戦いはドクオファイアーも本気で戦闘員を攻撃してくると思います。
だから、ニダーはあなた達のかわりに闘うつもりのようです。」
( ^ω^)( ゚∀゚)(´・ω・`)「えっ!?」
ξ゚听)ξ「・・・ニダーには言わないでくれって口止めされていたんですけど・・・。」
ツンは下を向いて黙り込んだ。
僕は驚いた。ニダーがそんなことを考えていたなんて。
( ゚∀゚)「ったく、しょーがねーおっさんだなー。」
(´・ω・`)「ドクオファイアーは僕達が倒すんだからカニビームとやらに出番は無いね。」
( ^ω^)「そうだお。僕達がドクオファイアーを倒すんだお。」
ξ゚听)ξ「・・・みなさん、ありがとうございます。」
僕達は作戦会議室を出てワゴン車に乗った。最終決戦の場はもちろん採石場だ。
僕達のすべてをかけた戦いが今まさにはじまろうとしていた。
【第9話おわり】
68 :
◆0UBHj9d5Uc :2006/06/15(木) 22:58:28.95 ID:xjANTQAb0
【次回予告】
ついに最終決戦の日を迎えたブーン達。
ブーン達とドクオファイアーとの戦いの結末とは?
ブーンの運命やいかに?!
次回、最終回『戦闘員よ!永遠に!』
※都合により次回予告の内容が本編と異なる場合があります。ご了承ください。