42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:14:50.08 ID:Qv3uENVy0

第2章「道具屋ブーンのお得意様だお」

アニマルゾンビに襲われた日から数週間経ったある日のこと。

( ^ω^)「えーと、たいまつと薬草とキマイラの翼1個ずつで410Gだお。」
(お 客C)「はい。」

お客Cは、ブーンに410G払った。

( ^ω^)「ありがとうございますだお。また、来てくださいだお。」

客がいなくなったのでブーンは、店内に置いてある道具の拭き掃除をはじめた。

( ^ω^)「ツンがアルバイトしてくれるおかげで助かったけど、
確実に客足が減っているお・・・。このままじゃあ、お店潰れるかもしれないお。
どうしたらいいんだお・・・。」

そこへ、ツンがやってきた。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:19:29.22 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「あれ?今日はツンのアルバイトの日じゃないお。どうしたの?」
ξ゚听)ξ「ちょっと従兄弟の叔父さんに道具の鑑定を頼まれたの。」

ツンは、服のポケットから小さな箱を取り出すと、ブーンに渡した。

ξ゚听)ξ「中身は指輪なんだけど鑑定お願いできるかしら。」
( ^ω^)「まかせろだお。」

ブーンは、胸を張っていった。そして、片眼鏡を装着し、箱から取り出した
指輪をじっくりと眺めた。

( ^ω^)「ふむふむ。この指輪には魔力が込められているお。
宝石自体に魔力があるお。で、指輪のリング部分に彫られている文字が
古代魔法語だお。」
ξ゚听)ξ「どんな魔力が込められているのかしら。」
( ^ω^)「ちょっと待ってだお。」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:24:53.28 ID:Qv3uENVy0

ブーンは、店の奥から分厚い本を持ってくるとパラパラとめくり出した。

( ^ω^)「ふむふむ。わかったお。これは、守護の指輪だお。」
ξ゚听)ξ「守護の指輪?」
( ^ω^)「古代魔法時代に旅人が身を守るために作られた指輪だお。
この指輪を指にはめてキーワードを言うと守護の魔法がかかるんだお。」
ξ゚听)ξ「キーワードは何なのかしら。」
(;^ω^)「・・・[守護の指輪だけど何か質問ある?]だお。」
ξ゚听)ξ「・・・ほんと?」
(;^ω^)「ほんとうです。ありがとうございました。」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:33:47.57 ID:Qv3uENVy0

ツンは、指輪を小箱に戻しポケットに入れた。

ξ゚听)ξ「ありがとう。鑑定料は、いくらかしら。」
( ^ω^)「いつもツンにはお世話になってるからお金はいらないお。」
ξ゚听)ξ「駄目よ、ブーン。お店の経営が苦しいのはわかってるのよ。
叔父さんに頼まれたんだし、気にしないでいいわよ。」
( ^ω^)「・・・ありがとう、ツン。」
ξ゚听)ξ「あ、あと。もうすぐお昼でしょ。お弁当持ってきたん
だけど食べる。」
( ^ω^)「え!ぼ、僕のために作ってきてくれたのかお?!」
ξ////)ξ「ち、違うわよ!私のお弁当作ってたら材料があまったから
作っただけなんだからね!」
(;^ω^)「そ、そうだよね。でも、うれしいお。ありがとう。」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:38:11.97 ID:Qv3uENVy0

ツンが帰った後、ブーンはツンの作ってくれたお弁当を食べていた。
そこに1人の客がやってきた。

ミ,,゚Д゚彡「道具屋ブーンはここでいいかい。」

ブーンは、食べているお弁当を噴き出した。

(;^ω^)「お、王国騎士団長フサギコ様!!どうしてこんなところに!」
ミ,,゚Д゚彡「こんにちは、ブーン。君の父上の葬儀以来かな。」
(;^ω^)「(この人、トーチャンの葬儀に来てたんだだお。トーチャンが昔、
フサギコ様と交流があったらしいんだけど今だに信じられないお。)」
ミ,,゚Д゚彡「どうかしたかい。」
(;^ω^)「あうあう、何でもないですお。ご用件はなんですかお。」


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:43:18.44 ID:Qv3uENVy0

ミ,,゚Д゚彡「森のゾンビの話は知ってるかい。」
( ^ω^)「知ってますお。僕も襲われて怖かったですお。」
ミ,,゚Д゚彡「町長が森を調べた結果、何者かがゾンビを操っていることが
わかったんだ。おそらく死体を操るネクロマンサーあたりが黒幕
だろう。そこで、王国騎士団がゾンビ討伐することになったんだ。」
( ^ω^)「それは助かりますお。よろしくお願いしますだお。」
ミ,,゚Д゚彡「当然、我々はゾンビと戦うことになるわけだが、彼らは
猛毒や麻痺毒を使った攻撃が多い。そこで毒消し草やまんげつ草を
購入したいわけだ。」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:49:17.45 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「なるほどですお。でも、騎士団の人は神聖魔法を
使えるから毒消し草とかはいらないんじゃないのかお。」
ミ,,゚Д゚彡「たしかに我々王国騎士団は神聖魔法を使うことができる。
だが、魔力を消費する。長期戦になる可能性もあるため、魔力の消費は
できるだけおさえてその分を道具で補いたいんだ。」
( ^ω^)「なるほど、わかりましたお。で、どのくらいいりますかだお。」
ミ,,゚Д゚彡「毒消し草とまんげつ草を100個ずつ欲しい。」
( ^ω^)「え!!100個ずつですかお!!えーといつまでですかだお。」
ミ,,゚Д゚彡「実は、今朝の会議でゾンビ討伐が急遽決まったんだ。
明日の朝までは揃えて欲しい。できるかい?」


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 18:55:16.35 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「(毒消し草はまだ在庫があったからいけそうだけど、
まんげつ草はもうあんまりなかったお・・・。森に取りにいかないと
駄目だお・・・。でも、森は危険だし。それに、徹夜しないと多分間に
合わないお。どうしよう・・・。)」

ブーンが悩んでいるとフサギコが思い出したように話した。

ミ,,゚Д゚彡「ああ、そういえば君の知り合いのジョルジュもゾンビ討伐に
参加することになった。」
( ^ω^)「ジョルジュもですか?どうしてですかお。」
ミ,,゚Д゚彡「今、騎士団試験の最中でな。試験の一環としてゾンビ討伐
に参加してもらうことになった。やはり実戦でどれだけ戦えるかは
見ておきたいからな。」


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:01:43.20 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「(明日ゾンビ討伐にジョルジュがいくなら護衛は
お願いできないお・・・。でも、今ここでフサギコ様の信頼を得ることが
できたらきっと道具屋ブーンのお得意様になってもらえるお。
そしたらお店も潰れなくてすむお。やっぱり無理してでもやるしか
ないお。)」
ミ,,゚Д゚彡「無理なら断ってくれても構わない。急な話だから無理を
承知でお願いしているのはこちらもわかっている。」
( ^ω^)「や、やりますお!あ、明日の朝までに毒消し草と
まんげつ草を100個ずつお届けしますお!」
ミ,,゚Д゚彡「そうか!それは非常に助かる。さすがあの父上のご子息だ。
ありがとう。では、よろしく頼む。」

フサギコは、満足そうな顔で店を出て行った。


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:06:24.55 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「今日はもうお店を閉めるしかないお。ジョルジュに
護衛をお願いできないのは怖いけど・・・。」

ブーンは、全身に気合を入れた。

( ^ω^)「弱気になったら駄目だお!とりあえず、戦えそうな
マジックアイテムを持っていけばなんとかなるお。モンスターが
出てきたらやっつけてやるんだお!」

ブーンは、準備をすませると店を閉め、森へと向かっていった。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:16:23.50 ID:Qv3uENVy0

ブーンは、森に入ってすぐのところでまんげつ草を探していた。
幸い、モンスターは現れずに作業は順調に進んでいた。
時間はもう真夜中になろうとしていた。

( ^ω^)「だいたい、このあたりのまんげつ草は取りつくしたお。
これ以上は奥に行かないと無理そうだお・・・。でも、行くしかないお。」

ブーンは、意を決して森の奥へと足を踏み入れていった。
モンスターにビクビクしながら黙々とまんげつ草を探し続けるブーン。
夜は、さらにふけっていった。

( ^ω^)「やったー!まんげつ草100個取れたお!
これでフサギコ様との約束守れるお!もうこんなところに長居は無用だお!」

ブーンは、喜び勇んで駆け出した。だが、森から出ようとしたところで
木の陰から何かが現れた。


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:23:41.03 ID:Qv3uENVy0

木の陰から現れたのものは人の形をしていたのでブーンはほっとした。
あたりがくらいため容姿はよくわからない。

( ^ω^)「あ、なんだ人だお。びっくりさせないでお。
こんな夜中に森にいたら危ないですお。人のこと言えないけど。」

ブーンが安心していると。人の形をした影がゆっくりとブーンへと
向かってきた。影が一歩歩くたびにカチャリ、カチャリと鎧の音がする。

( ^ω^)「・・・(鎧の音がするお。騎士団の人かお。)。」

そのとき、月あかりが影を照らした。それは死霊の騎士だった。


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:29:36.18 ID:Qv3uENVy0

(;^ω^)「ゾ、ゾンビだお!!ま、まずいお!」

ブーンは、反対側に逃げようとしたがそこにも死霊の騎士が立っていた。

(;^ω^)「は、挟まれたお!!!た、助けてぇぇぇだお!!」

ゆっくりと鎧の音を立てて歩きながらブーンに近寄る2体の死霊の騎士。
ブーンは、気が動転してマジックアイテムを使うことも逃げることも忘れ、
ただ、その場にしゃがみこんだ。

(;^ω^)「も、もう駄目だお。カーチャン。先立つ不幸をお許し
くださいだお。」


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:36:19.07 ID:Qv3uENVy0

先にブーンに近づいた死霊の騎士が剣を高々と振り上げた。
しゃがみこんでいるブーンはその剣先をただ眺めているだけだった。

(;^ω^)「・・・。」

そのとき、ゴシャァ!という激しい音がしたと同時に死霊の騎士の
胴体が上と下に真っ二つに割れて吹っ飛んだ。

(;^ω^)「?」

ブーンがあっけにとられている間に真っ二つに割れた死霊の騎士の後ろ
から現れた影はすかずもう一体の死霊の騎士に向かっていった。
その影は大剣を上段から振り下ろすともう1体の死霊の騎士を
左右に真っ二つに切り裂いた。


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:43:05.02 ID:Qv3uENVy0

月明かりが影を照らす。それは、ブーンには懐かしい顔だった。

( ^ω^)「ド、ドクオさん!」
('A`)「久しぶりだな、ブーン。」
( ^ω^)「ど、どうしてここにいるんですかお!?
ひょっとして、冒険者やめて町に戻ってきたのかお?」
('A`)「いや、冒険者は続けている。珍しいアイテムを見つけたんでな。
鑑定してもらおうと思ってここにきた。」
( ^ω^)「あ・・・トーチャンはもう・・・。」
('A`)「ああ、話は聞いている。葬儀に出れなくてすまなかった。」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 19:50:25.15 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「でも、アイテム鑑定できる人はトーチャンだけじゃないし、
なんでわざわざここまで来たのかお?」
('A`)「見てもらえばわかると思うがこのアイテムはかなり貴重なもの
みたいでな。信用のあるものに鑑定して欲しかったんだ。
で、道具屋ブーンへ行ったら森へまんげつ草を取りに行ってますって張り紙が
してあった。急ぎなんでこっちへ来たわけだ。」
( ^ω^)「そうですかお。助かりましたお。ありがとうでしたお。」
('A`)「しかし、こんな夜中に何してたんだ。危ないぞ。」
( ^ω^)「あ!そうだった。まんげつ草と毒消し草をお届けしないと
いけないんだお!」

ブーンは、ドクオに事情を説明すると急いで道具屋へ戻った。


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 20:00:18.96 ID:Qv3uENVy0

ドクオに手伝ってもらい、まんげつ草と毒消し草を100個を
無事にフサギコの元に届けた。

ミ,,゚Д゚彡「ブーン、ありがとう。かなり無理をしたんじゃないかい。」
( ^ω^)「いえいえ、おやすいごようですお。あんなゾンビ達は一匹残らず
成敗してくださいだお。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ、まかせてくれ。ゾンビ討伐はきっと成功させてみせる。」
( ^ω^)「今後とも道具屋ブーンをご贔屓にしてくださいだお。」
ミ,,゚Д゚彡「今後もお世話になると思うが、こちらこそよろしく頼むよ。」
( ^ω^)「はいですお!」

フサギコは、ブーンと別れるとまんげつ草と毒消し草を載せてきた台車
の側にいるドクオに話しかけた。


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 20:05:12.13 ID:Qv3uENVy0

ミ,,゚Д゚彡「ドクオ、戻ってきてたのか。」
('A`)「ああ、ちょいとヤボ用でな。」
ミ,,゚Д゚彡「これからゾンビ討伐に行くんだがお前もこないか。
無駄な犠牲をださないためにもできるだけ戦力が欲しい。」
('A`)「遠慮しておく。理由は言うまでもないだろう。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・そうか。」

フサギコは寂しそうな顔をするとその場を立ち去った。


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/01(水) 20:16:25.30 ID:Qv3uENVy0

( ^ω^)「やっと仕事終わったお!ドクオさん飲みに行こうだお。」
('A`)「朝から飲むのか。」
( ^ω^)「おっきな仕事が終わったんだからお祝いだお!
いろいろお世話になったからおごりますお。」
('A`)「俺は、はやくアイテム鑑定して欲しいんだが。」
( ^ω^)「飲まないと鑑定しないですお。なんちゃってだお。
いろいろとドクオさんの冒険の話聞きたいお。」
('A`)「しょうがないな。行くか。ちゃんと鑑定してくれよ。
あと、おまえの鑑定眼は大丈夫か。親父以上なんだろうな。」
( ^ω^)「トーチャンに叩き込まれたからね。アイテム鑑定にはかなり
自信あるお。」
('A`)「だといいんだがな。」

2人は酒場に向かって歩いていった。





その頃、道具屋で1人の女が叫んでいた。

ξ゚听)ξ「ブーン、道具屋のドア閉まってる!!!
今日私バイト!!!鍵ネエエエェェェェェェェ!!!!」


第2章「道具屋ブーンのお得意様だお」おわり

 

 

back < >

inserted by FC2 system