141 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:04:08.53 ID:ABoX/fXG0

第3章「道具屋ブーンの命がけの鑑定だお」

ブーンがフサギコにまんげつ草と毒消し草を届けた次の日。
ドクオが道具屋ブーンにやってきた。

( ^ω^)「あ、ドクオさん。いらっしゃいだお。」
('A`)「さっそくだが、鑑定の方を頼む。」
( ^ω^)「はいだお。」

ドクオは、背負い袋から人の頭程の箱を取り出した。

('A`)「この箱の中に入っている。」

ドクオが箱を開いて中身を取り出した。
それは手のひら程の大きさの透明な立方体の箱だった。


143 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:07:15.07 ID:ABoX/fXG0

( ^ω^)「箱の中からまた箱が出てきたお。」
('A`)「この透明の箱を鑑定して欲しい。」
( ^ω^)「わかったお。」

ブーンは片眼鏡を装着すると箱をじっくりと眺めはじめた。

( ^ω^)「・・・ものすごい魔力が込められているお。
箱からあふれている魔力のオーラが見えてるお。
こんなものどこから見つけてきたんだお。」
('A`)「・・・レリックス。」
( ^ω^)「え?!レリックスって古代魔法時代の首都だお。」
('A`)「今はもうただの遺跡だけどな。遺跡荒らしが多いからもうほとんど金目のものはないと思ってたんだが、
奥の方まで行ってみたらそれがあった。」


146 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:11:39.71 ID:ABoX/fXG0


( ^ω^)「・・・レリックスにあったマジックアイテムかお。」

ブーンは、店の奥から分厚い本を数冊持ってくるとパラパラとめくりだした。
うんうん唸りながら本のあちこちを読みはじめた。そして、本を閉じ言った。

( ^ω^)「・・・これは、[死せる刻の箱]ですお。」
('A`)「[死せる刻の箱]?」
( ^ω^)「この中に入っているものは時の流れが止まるんだお。
つまり、リンゴとか入れておいたら一生腐らないお。」
('A`)「ふむ。なるほど。だが、この程度の大きさだと使い道がなさそうだな。」
( ^ω^)「もしこれが人が入るくらいの大きさの箱だったらその人は一生死なないお。
いや、もっと大きくて町を囲うことができたならその町の人は永遠の命を手に入れることができるお。」
('A`)「・・・そのあたりの慢心が古代魔法王国が滅びた原因だがな。」

そう言いながらドクオは、透明の箱を背負い袋に片付けた。


148 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:16:12.06 ID:ABoX/fXG0

('A`)「お前の鑑定眼は親父以上かもしれないな。」
( ^ω^)「褒めても何もでませんお。でも、ありがとうですお。」

鑑定料をブーンに払ったドクオが店を出て行こうとすると、

( ^ω^)「あ、ドクオさん。もうこの町から出て行くのかお。」
('A`)「いや、まだしばらくは滞在するつもりだ。魔術師ギルドからの仕事の依頼があってな。」
( ^ω^)「そうですかお。じゃあ、また飲みにいきましょうだお。」
('A`)「ああ、今度は俺がおごってやる。」

ドクオは店を出て行った。


150 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:21:59.98 ID:ABoX/fXG0


( ^ω^)「えーと、薬草とレンネットのこなが1個ずつで180Gだお。」
(お 客D)「はい。」

お客Dは、ブーンに180G払った。

( ^ω^)「ありがとうございますだお。また、来てくださいだお。」

そろそろ閉店の時間が近づいてきた。

( ^ω^)「そろそろお店を閉めようかお。」

ブーンが閉店の看板を表に出そうとしたときに、ジュルジュがやってきた


152 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:25:04.67 ID:ABoX/fXG0

( ^ω^)「ジョルジュ!ゾンビ討伐終わったのかお。大丈夫だった?」
( ゚∀゚)「ああ、たった今終わった。」
( ^ω^)「それでどうだったかお。ゾンビを成敗できたかお。」
( ゚∀゚)「・・・それが、黒幕と思われるネクロマンサーには逃げられたんだよ。」
( ^ω^)「・・・そうかお。」
( ゚∀゚)「だが、他のゾンビは全部倒した。やつらのアジトらしき場所も制圧した。
森の方のゾンビはもう出ないと思う」
( ^ω^)「それはよかったお。あとのことはフサギコ様に任せておけば大丈夫だお。」
( ゚∀゚)「そうだな。あ、フサギコ様がおまえによろしく言っておいてくれってさ。」
( ^ω^)「いえいえ、こちらこそと言っておいてお。」
( ゚∀゚)「いやー、実際、おまえのまんげつ草と毒消し草はかなり役立ったぜ。」
( ^ω^)「ブーン印の薬用植物は効き目抜群だお。あ、そうだ。騎士団試験はどうなった?」


154 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:30:48.80 ID:ABoX/fXG0

( ゚∀゚)「今日のゾンビ討伐ですべての試験は終わりだったんだ。あとは、合格発表を待つだけだ。」
( ^ω^)「ジョルジュならきっと合格してると思うお。」
( ゚∀゚)「ありがとう。すべての力は出し切ったつもりだ。落ちていても悔いはないさ。」
( ^ω^)「ジョルジュも疲れてると思うからそろそろ帰ろうお。」
( ゚∀゚)「おう。そろそろ帰るか。」

ブーンは、店を閉めるとジョルジュと一緒に家に帰った。


156 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:35:02.63 ID:ABoX/fXG0

それから数日後。

( ^ω^)「えーと、ロープと薬草1個ずつで120Gだお。」
(お 客E)「はい。」

お客Eは、ブーンに120G払った。

( ^ω^)「ありがとうございますだお。また、来てくださいだお。」

今日は、客が多い週末なのでブーンは、ツンと一緒に仕事をしていた。
ツンは、お客にマジックアイテムの説明をしたり、アイテムを掃除したりしていた。
客がいなくなってからツンが言った。

ξ゚听)ξ「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
( ^ω^)「何かお。」
ξ゚听)ξ「最近は、フサギコ様も利用しているってことでお客増えてきたわよね。」
( ^ω^)「そうだお。お店の売り上げがどんどん伸びているお。」


164 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:42:10.11 ID:ABoX/fXG0

ξ゚听)ξ「今は何とか2人でやりくりできてるけれどこれ以上繁盛したら厳しいわ。
そろそろ新しいアルバイト雇わないの?」
(;^ω^)「・・・(ツンと2人ッきりでいたいからアルバイト雇わないんだお)。」
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
(;^ω^)「あうあう、えーと。それはいろいろ考えてるんだお。
店長として来るべきときが来たらちゃんと雇うんだお。それまではよろしくだお。」
ξ゚听)ξ「ちゃんと考えてるんならいいんだけどね。」

お客が来たのでツンが接客をはじめた。

( ^ω^)「ツンにお世話になりっぱなしも悪いし、
やっぱり新しいアルバイトのことも考えておかないと駄目だおね。」

ブーンは、ちょっとさびしそうに呟いた。


167 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:47:24.75 ID:ABoX/fXG0

昼がちょっと過ぎた頃にドクオが店にやってきた。

( ^ω^)「あ、ドクオさん。」
('A`)「ちょっと頼みがあるんだが・・・。」
( ^ω^)「ドクオさんの頼みなら何でもききますお。なんたって命の恩人ですお。」
('A`)「・・・そう言ってもらえると助かる。」
( ^ω^)「で、何ですかお?」
('A`)「先日言っていた魔術師ギルドの仕事の依頼が正式に決まった。」
( ^ω^)「それは、おめでとうですお。」


170 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:53:52.12 ID:ABoX/fXG0

('A`)「依頼内容は、レインボウドラゴンの涙を採ってくることだ。」
( ^ω^)「レ、レインボウドラゴンの涙!?レインボウドラゴンってあのレインボウドラゴンですかお?」
('A`)「そうだ。この町の北にある山に住んでいるレインボウドラゴンだ。」
( ^ω^)「さすがドクオさんだお。ドラゴン相手に戦いを挑むなんてすごいですお。」
('A`)「まあ、あのドラゴンはまだ子供だからな。なんとかなる。問題はそこではない。」
( ^ω^)「ではどこが問題ですかお?」
('A`)「レインボウドラゴンの涙の特性を知っているか?」
( ^ω^)「えーと。気分によって涙の成分が違うんだおね。」
('A`)「そうだ。レインボウドラゴンから流れ落ちる涙の成分はそのときの機嫌によって変わる。
その成分は全部で7種類。落ちるときは鉱石として落ちる。
そして、その鉱石は地上の空気に触れると1分で蒸発する。」


172 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:56:14.70 ID:ABoX/fXG0

( ^ω^)「ふむふむ。なるほどですお。勉強になりますお。」
('A`)「で、今回の依頼内容は、7種類の成分の1つである[ガンダリウム]を鉱石の状態で採取する事だ。」
( ^ω^)「え?鉱石って1分で蒸発するんだお。すぐになくっちゃうから運べないお。それが問題なんですかお?」
('A`)「いや、違う。そこでこれだ。」

ドクオは、[死せる刻の箱]を取り出した。

( ^ω^)「なるほど!これなら鉱石の状態で運ぶことが出来るお!」
('A`)「この箱はもう売ろうと思っていた矢先だったんだがな。」
( ^ω^)「あれ?じゃあ、何も問題がないですお。」


176 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 00:59:36.03 ID:ABoX/fXG0

('A`)「問題は、その鉱石が[ガンダリム]であるかどうか識別できるものがその場にいなければならないことだ。
しかも1分以内に識別できないと駄目だ。」
( ^ω^)「あーなるほど。それは難しいですお。問題ですお。」
('A`)「そこで、識別役にブーンに同行して欲しい。」
(;^ω^)「ちょwwwwおまwwwww。ドラゴン戦に一般人吊れて行くのかおwwwww。死ぬってwwww。」

さすがにブーンは取り乱した。ドラゴンはその咆哮だけでも人間を死に至らせることができると言われている。
冒険者ならまだしもただの道具屋の店長ごときでは死にに行くようなものだ。

('A`)「当然、おまえはドラゴンからできるだけ離れた場所で待機していてもらうし、護衛もつける。
こちらが戦ってドラゴンから奪った涙をすかさずブーンに渡す。
そして、1分以内に鑑定し[ガンダリウム]だったら[死せる刻の箱]に入れれば依頼終了だ。」
(;^ω^)「・・・。」


179 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 01:08:00.28 ID:ABoX/fXG0

('A`)「俺もかなり無茶なことを頼んでいるのはわかる。だから無理なら断ってくれてもいい。」
( ^ω^)「・・・(ここで断るのは簡単だお。でも、こういう仕事もできるようになれば道具屋の新しい道が開けるお。
そうすればもっとこのお店が大きくなるお。カーチャンも楽にさせてあげられるし、ツンにだって無理をしてもらわなくてすむお)。」

長い間、考え込んでいたブーンが重い口を開いた。

( ^ω^)「命の恩人に頼まれたんだお。おいらも命をかけてそれにこたえますお。」
ξ゚听)ξ「ブーン!」

それまで黙って2人のやりとり聞いていたツンがはじめて声を出した。

ξ゚听)ξ「あんたわかってんの!!ドラゴンよ!!冒険者でも普通は行くところじゃないわよ!」

ツンは悲鳴に近い声を出していた。目には涙がたまっていた。

( ^ω^)「もう決めたんだお。僕は行くお。」

ブーンは力強く言った。


181 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 01:11:07.75 ID:ABoX/fXG0

ξ゚听)ξ「なによ!!こんなに心配しているのに!!もう、あんたなんかどうなってもいいわよ!」

ツンは、泣きながら店を出て行った。

('A`)「追わなくていいのか。」
( ^ω^)「・・・僕はドクオさんを信じていますお。だからきっとまたこのお店へ帰って来るんだお。
だから追いませんだお。」
('A`)「・・・そうか。ならいい。出発は明日の朝だ。お前の家に迎えに行く。」

ドクオは、店を去った。ブーンは閉店まで作業を行うと店を閉めて家に帰った。


183 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 01:16:58.35 ID:ABoX/fXG0

帰宅したブーンはカーチャンと晩御飯を食べていた。

J( 'ー`)し「ブーンは、ここ最近でほんとにたくましくなったわね。」
( ^ω^)「え?そうかお?。」
J( 'ー`)し「ええ。そうよ。まるでトーチャンの若い頃を思い出すわ。」
( ^ω^)「まだまだ、トーチャンには及ばないお。もっともっとがんばってカーチャンを楽にさせてあげるお。」
J( 'ー`)し「ありがとうブーン。こんなやさしい息子を持ってあたしは幸せよ。
でも、何か困ったことがあったらカーチャンに何でもいいなさい。カーチャンはいつだってブーンの味方ですよ。」
( ^ω^)「・・・(明日ドラゴンと戦いに行くなんてとてもじゃないけど言えないお。)。」

食事が終わってからブーンは自分の部屋に戻り、ベッドの上に寝転がった。
ボーっと床に置いてある背負い袋を眺めていた。


185 : ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 01:24:08.02 ID:ABoX/fXG0

( ^ω^)「明日の準備は済んでいるからあとは寝るだけだ。」

そのとき、窓を叩く音がした。

( ^ω^)「あれ、こんな時間に誰かお。」

ブーンは窓を開けた。そこには目を真っ赤にはらしたツンがいた。

( ^ω^)「ツ、ツン!どうしたんだお。こんな時間に。」
ξ゚听)ξ「別にちょっと散歩してただけよ。はい、これ。」

ツンは、ブーンに小箱を渡した。中身を見ると[守護の指輪]だった。

( ^ω^)「あれ?これはこのまえ僕が鑑定した指輪だお。」
ξ゚听)ξ「叔父さんは守護の指輪たくさんもっているから私にくれたの。でも使わないからあなたにあげる。」
( ^ω^)「あ、ありがとうだお。明日持っていくお。」
ξ゚听)ξ「店長がいなくなったらアルバイト代もらえないしね。無事に帰ってきてよね。」

ツンはそう言うと去っていった。ツンの肩が微妙に震えているのがブーンにはわかった。

( ^ω^)「ツン、僕はきっと帰ってくるお!」


303 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:02:12.87 ID:TkWY28w60

次の日の朝が来た。

いつもより早く目覚めたブーンは荷物の確認を行う。

( ^ω^)「よし、準備OKだお。あとは、これだお。」

ブーンは、ツンからもらった[守護の指輪]を指にはめた。
やがて、ドクオが数人の冒険者を連れてブーンの家にやってきた。
その中には知った顔があった。

( ^ω^)「ジョルジュ!どうしてここにいるんだお。」
( ゚∀゚)「ドクオさんに頼まれたんだ。俺がお前の護衛役だ。」
( ^ω^)「ジョルジュが護衛してくれるなら安心だお。」

2人は熱い握手をかわした。


304 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:03:03.46 ID:TkWY28w60

ドクオが連れてきた冒険者はジョルジュ以外に4人いた。
東洋の鎧で身を包み、腰に日本刀と呼ばれる剣をぶら下げている男。
黒装束に身を包んだ非常に印象の薄い男。
白いローブを身にまとった男。黒いローブを身にまとった男。

('A`)「待たせたな、ブーン。これが今日の俺達のパーティーだ。それぞれ自己紹介してくれ。」

東洋の鎧で身を包んだ男が言った。

( ´_ゝ`)「拙者、侍の兄者と申す。よろしくでゴザル。こちらが忍者の弟者でゴザル。
こいつは口下手なんで拙者が代わりに紹介しておくでゴザルよ。」
(´<_` )「・・・。」

弟者は、会釈した。

( ^ω^)「侍と忍者ですかお。かっこいいですお。」


306 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:04:46.97 ID:TkWY28w60

白いローブを身にまとった男が言った。

(’e’)「僧侶のセントジョーンズです。よろしく。」

黒いローブを身にまとった男が言った。

( ´ー`)「魔術師のシラネーヨです。よろしく。」
( ゚∀゚)「俺は、戦士のジョルジュだ。よろしくな。」
( ^ω^)「僕は道具屋の店長のブーンだお。みんなよろしくだお。」
('A`)「最後に、俺はこのパーティーのリーダーをさせてもらう戦士ドクオだ。
危険な旅になるとは思うが皆で力をあわせていこう。」

全員が強くうなづいた。ドクオ達は町を出て北の山に向かった。


308 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:08:53.60 ID:TkWY28w60

北の山までは特に何も問題なく辿り着けた。
山を登りはじめるとサーベルタイガーなどが現れたがドラゴンと戦おうとしているメンバーだけあって、
特に問題なく倒していった。山の中腹に近づくと洞窟が見えてきた。

('A`)「あの洞窟だな。」

ドクオが立ち止まり、全員に休憩するように合図した。

('A`)「あそこにある洞窟がレインボウドラゴンが住んでいる洞窟だ。
ここで、最終的な作戦の確認をする。」
( ^ω^)「はいですお。」


310 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:10:49.91 ID:TkWY28w60

('A`)「まず、ブーンとジョルジュは洞窟の入り口で待機していてくれ。
ジョルジュは、ブーンの護衛を頼む。」

( ^ω^)「はいですお。」
( ゚∀゚)「わかったぜ。」

('A`)「残りのメンバーはドラゴンと戦う。ただし、今回はあくまでもドラゴンの涙を手に入れることが優先だ。
間違ってもドラゴンを殺してはいけない。まあ、間違って殺せるほど甘い相手ではないがな。
戦い方は、俺と兄者と弟者がドラゴンと直接戦う。
3人で3方向から同時に攻撃を行い、できるだけドラゴンと1対1でいる時間を減らす。」

( ´_ゝ`)「承知したでゴザル。」
(´<_` )「・・・。」

弟者はうなづいた。


313 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:15:34.53 ID:TkWY28w60

('A`)「セントジョーンズとシラネーヨは十分にドラゴンとの距離をとって、魔法での援護を頼む。
さっきも言ったがドラゴンを倒すことが目的ではないので攻撃魔法ではなく補助魔法をメインで使ってくれ。」
(’e’)「わかりました。」
( ´ー`)「わかりました。」
('A`)「ドラゴンが涙を落としたら、弟者がそれを拾ってブーンに渡しに行ってくれ。
ただし、おまえがいなくなるとドラゴンと戦う者が2人になってしまうので分身をドラゴンの前に置いておくこと。」

(´<_` )「・・・。」

弟者はうなづいた。


316 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:19:50.84 ID:TkWY28w60

('A`)「そして、ブーンは渡されたドラゴンの涙の識別をして[ガンダリウム]だった場合、
[死せる刻の箱]に入れてくれ。その後、ジョルジュが俺達に任務完了を伝えに来る。
まあ、だいたいこんなところだ。何か気になるところがあれば言ってくれ。」

ドクオはパーティーメンバーの顔を見回したが誰も何も言わなかった。

( ^ω^)「完璧な作戦ですお。さすがドクオさんですお。」
('A`)「最後の問題は・・・ドラゴンの機嫌だな。[ガンダリウム]の涙を流すのはどの感情なのかはわからない。
まあ、痛みの涙だったらすぐに終わるんだろうが。悲しみの涙とかだったらお手上げかもしれんな。
こればかりはやってみないとわからない。」
( ^ω^)「面白いネタとかで爆笑した笑いの涙とかだったら大変だおね。」
( ´_ゝ`)「・・・。」
(´<_` )「・・・。」
(’e’)「・・・。」
( ´ー`)「・・・。」
( ゚∀゚)「・・・。」
('A`)「では、作戦に入る。」

ドクオ達は洞窟に向かった。


322 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:23:48.81 ID:TkWY28w60

洞窟の入り口あたりで全員が立ち止まった。

('A`)「セントジョーンズ、シラネーヨ、魔法を頼む。」

セントジョーンズとシラネーヨが魔法を唱え始めた。
パーティーメンバー全員に補助魔法がかかる。

('A`)「これで、ブーンでもドラゴンの咆哮くらいには耐えられる。」
( ^ω^)「ありがとうですお。」
('A`)「では、ブーン達はこのあたりで待っていてくれ。」
( ^ω^)「はいですお。」
( ゚∀゚)「わかったぜ。」

ドクオは、兄者達に言った。

('A`)「子供と言えどもドラゴンであることにはかわりない。決して油断はするな。」

兄者達はうなずいた。ブーンとジョルジュを入り口に残して、ドクオ達は洞窟に入っていった。


324 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:26:26.20 ID:TkWY28w60

ドクオ達が洞窟に入ってから数分後、ドラゴンの咆哮があがった。

( ^ω^)「お!はじまったみたいだお。」
( ゚∀゚)「みたいだな。」

それからしばらくの時間が過ぎた。

( ^ω^)「・・・。」
( ゚∀゚)「・・・。」
( ^ω^)「・・・弟者さんなかなかこないお。」
( ゚∀゚)「・・・そうだな。」
( ^ω^)「・・・(ツンにものすごく心配かけたけど今のところ暇なだけだお。)」


326 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:29:11.46 ID:TkWY28w60

ブーンがボーっと空を眺めているといきなり目の前に弟者が現れた。

( ^ω^)「わっ!びっくりしたお。」
(´<_` )「・・・。」

弟者は、鉱石をブーンに手渡した。

( ^ω^)「よし、識別しますお。」

識別準備ができていたブーンは速攻で鉱石を調べる。

( ゚∀゚)「ブーン、当たりか!」
( ^ω^)「これは、[ルナチタニウム]だお。違うお。」
( ゚∀゚)「・・・そうか。」
(´<_` )「・・・。」

弟者は、その場から消えた。ドラゴンの所へ戻ったようだ。


328 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:32:38.24 ID:TkWY28w60

それから、何度か弟者がやってきたがどれも[ルナチタニウム]だった。

( ゚∀゚)「痛みの涙は[ルナチタニム]であることはわかったが。このままじゃまずいな。」
( ^ω^)「[ガンダリウム]の涙は他の感情みたいだお。まずいお。」

2人が心配していると洞窟の中からドクオの声がした。

('A`)「ブーン、ジョルジュ!ドラゴンが洞窟から出るぞ!気をつけろ!」
( ^ω^)「あわわわだお。」
( ゚∀゚)「俺の出番がきたわけだな。」

ジョルジュが鞘から剣を抜き、構えた。


332 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:34:40.12 ID:TkWY28w60

洞窟から出てきたドラゴンは2階建ての家くらい大きさだった。

( ゚∀゚)「・・・これで子供かよ。」
(;^ω^)「で、でかいお。」

ドラゴンがブーン達に気がつき、顔を向けた。そして、口を大きく開いた。

(;^ω^)「?」
( ゚∀゚)「まずい!ドラゴンブレスだ!」

ジョルジュがブーンを掴んで思い切り横に飛んだ。
さっきまで彼らがいたところにドラゴンブレスが吐かれた。
それはまるで炎でできた道のようだった。


333 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:40:12.59 ID:2dfDMHIB0


( ゚∀゚)「・・・これは、うかつに近寄れないぜ。」
(;^ω^)「熱!!あちゃちゃちゃだお!!」

ブーンの背負い袋がドラゴンブレスの炎で燃えていた。
ブーンは、背中から地面に倒れてゴロゴロと転がり、炎を消そうとした。
ドラゴンがそんなブーンを睨みつけ、一歩距離を詰めると口を大きく開けた。

( ゚∀゚)「ま、まずい!ブーン!逃げろ。」
(;^ω^)「あちゃちゃちゃだお!!!」

地面を転がっているブーンは、ドラゴンの接近に気づかなかった。
ドラゴンは、さっきよりもさらに大きな口を開けた。

( ゚∀゚)「駄目だ!間に合わない!」


337 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:45:43.98 ID:2dfDMHIB0

大きな口を開けたドラゴンはそのまま大きく体を仰け反らせると、そのまま倒れた。
背負い袋の炎が消えたブーンは、倒れているドラゴンを見つけた。
よく見ると微妙に痙攣している。

( ^ω^)「あれ?なんだお。」

そこへ、洞窟からドクオ達が出てきた。

('A`)「弟者、今だ!兄者、フォーメーションはさっきと一緒だ!」
( ´_ゝ`)「承知したでゴザル。」
(´<_` )「・・・。」

ドクオと兄者が倒れているドラゴンを警戒するように挟んで構えた。
弟者は、痙攣しているドラゴンの目から落ちた涙を拾うとブーンに手渡した。


340 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:48:04.29 ID:2dfDMHIB0

( ^ω^)「え?あ、はいはい。識別しますお。」

ブーンは、あたふたしながら鉱石を識別した。

( ^ω^)「こ、これは![ガンダリウム]ですお!!」
( ゚∀゚)「やったぜ!」

ブーンは[死せる刻の箱]に[ガンダリウム]を入れた。

('A`)「よし!全員戦線離脱だ!急げ!」

ドクオ達は倒れているドラゴンを放置し、そのまま走り去った。


343 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:49:58.17 ID:2dfDMHIB0

山の麓でドクオ達は休憩していた。

( ゚∀゚)「いやー、一時はどうなるかと思ったぜ。」
( ^ω^)「さすがドクオさん達ですお。助かりましたお。」
( ゚∀゚)「ドラゴンが洞窟から出る前に瀕死のダメージを与えていたとはさすがドクオさん達だよな。」

ドクオ達ドラゴンと戦っていた者たちが顔を見合わせた。

('A`)「いや、俺達は何もしてない。軽いダメージで涙を落させていただけだが・・・。」
( ´_ゝ`)「ジョルジュ殿が倒したとばかり思っていたでゴザルが・・・。」

全員が顔を見合わせた。


346 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/02(木) 20:52:16.68 ID:2dfDMHIB0

( ^ω^)「あ!わかったお!あの涙の理由!」

みんながブーンの顔を見つめた。

( ^ω^)「僕が倒れて転がっているのが面白くて爆笑の涙だったんだお。」

その場が凍りついたが、誰もその可能性を否定できるものはいなかった。
その沈黙を破るかのようにドクオが立ち上がった。

('A`)「さて、町に戻るか。何があったにせよ俺達は無事に任務を終えた。それでいいだろう。」
( ^ω^)「はいですお。」

ブーン達は町に戻った。





その頃、道具屋で1人の女が叫んでいた。

ξ゚听)ξ「ブーン、道具屋のドア閉まってる!!!いいかげん鍵クレヨォォォォォ!!!!!」


第3章「道具屋ブーンの命がけの鑑定だお」おわり

 

 

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