613 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:04:42.75 ID:TrvH//pM0

第7章「道具屋ブーンの独占契約だお」

ラスター伯爵の屋敷は燃えていた。幼少時のトラウマから屈折した心の持ち主になってしまった猟奇殺人犯、ラスター伯爵。
彼を捕まえるためにやってきた王国騎士団から逃げられないと思った彼は、自暴自棄になり自分の屋敷に火を放ったのだ。
焼け落ちていく屋敷の中からほとんどの者が避難していたが、まだ4人だけ屋敷に残っていた。
その4人の名は、ラスター伯爵、王国騎士ドクオ、王国騎士フサギコ、そしてドクオの婚約者である花屋の娘のエレクトラ。


620 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:06:52.49 ID:TrvH//pM0

そこは、2階のラスター伯爵の部屋だった。壁に飾られている絵や装飾品も今は燃えてしまいただの炎の塊になっていた。
部屋の奥にいるラスター伯爵は、両腕を後ろで縛られたエレクトラの首に剣を突きつけていた。
部屋の入り口にいるドクオは身動きできない。やがて、ドクオはラスター伯爵の要求どおりに剣と盾と床に放り投げた。
ラスター伯爵は、エレクトラを引っ張りながらゆっくりとドクオに近づいた。
ドクオは死を覚悟した。自分が死んでエレクトラが助かるのならそれでいい。ドクオはゆっくりと目を閉じた。


621 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:08:55.94 ID:TrvH//pM0

ドクオの顔に血が飛び散った。しかし、痛みはない。不思議に思ったドクオが目を開けると、
そこには自分をかばって剣に貫かれたエレクトラが血まみれになって床に倒れていた。
間違って人質を刺し殺してしまったラスター伯爵は気が動転してどこかへ逃げ出してしまった。
倒れてるエレクトラを起こし、ドクオはエレクトラの顔を見つめた。
エレクトラは何か言っているがもはや声が出ないため、何も聞こえない。
ドクオはエレクトラの口の動きを見ようとしたが涙で何も見えなくなっていた。
最後の言葉を放ったエレクトラは力尽き、そのままドクオの腕の中で冷たくなっていった。
焼け落ちていく屋敷。ドクオとエレクトラが屋敷と共に崩れ落ちようとしていたとき、フサギコがドクオを見つけた。
フサギコはエレクトラの死体を抱え、呆然としているドクオを強引に屋敷の外へ連れ出した。


623 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:09:59.79 ID:TrvH//pM0

その後のことはよく覚えていない。多分、愛する者1人すら守れない者が騎士にはなれない。
そんなことを言って王国騎士団を辞めたんだろう。そして、気がついたら冒険者になっていたのだ。
何もわからない。何もわからないが生きている。俺はいったい何なんだ。
・・・エレクトラ、おまえはあの時、俺に何を言おうとしたんだ。


624 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:10:44.31 ID:TrvH//pM0

ドクオは、眠りから目を覚ました。

('A`)「・・・夢か。」

ドクオは、しばらくベッドから窓の外を見ていた。窓から見える空は青く澄んでいた。

('A`)「・・・行くか。」

ベッドから降りると準備を整え、ドクオは宿屋を後にした。


626 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:12:40.28 ID:TrvH//pM0

ブーンとツンがニューソクから帰ってきて数日後。
ニューソクとの貿易も開始され、道具屋ブーンの売り上げは再び上がりだしていた。

( ^ω^)「えーと、薬草のみ。裏ドラはのらなかったお。80Gだお。」
(お 客K)「はい。」

お客Kは、ブーンに80G払った。

( ^ω^)「ありがとうございますだお。また、来てくださいだお。」
ξ゚听)ξ「ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
( ^ω^)「何かお。」
ξ゚听)ξ「ニューソクから輸入した商品って今、全部2号店で売ってるわよね。」
( ^ω^)「今のところあっちで売ってもらうことにしているお。あっちの方が広いしね。」


629 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:14:12.46 ID:TrvH//pM0

ξ゚听)ξ「ふーん。」
( ^ω^)「どうかしたかお?」
ξ゚听)ξ「ミル流しの反物はこっちで売りたいなーって思ってるのよね。」
( ^ω^)「え?どうしてかお?」
ξ゚听)ξ「やっぱり女の子だしね。ああいう商品は直接取り扱いたいかなって。」
( ^ω^)「なるほど。女の子の方が反物の取り扱いが上手だろうし売り上げが上がるかもしれないおね。
じゃあ、ちょっと考えておくお。」

そこへ、モナーが駆け込んできた。

( ´∀`)「た、大変っスー!」


630 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:15:46.87 ID:TrvH//pM0

( ^ω^)「どうかしたのかお?」
( ´∀`)「ミル流しの反物がめちゃくちゃ売れてるんですよ!!もう在庫ないのにお客がいっぱい来てるッス!」
ξ゚听)ξ「え?そうなの?」
( ^ω^)「なんで売れてるのかお?」
( ´∀`)「なんか、女の子の間で流行ってるみたいなんスよ。あの反物。」
( ^ω^)「へーそうなのかお。」
( ´∀`)「なんでも、あの反物を使って自分で作った服とかが可愛くてお洒落らしいッス!
でも、もう在庫ないんスけど。どうしましょう?」
( ^ω^)「・・・とりあえず、予約制にしてお客さんは確保しておいたほうがいいおね。」
( ´∀`)「わかったッス。じゃあ、予約取っておきます。細かい話は今晩また来ますんでお願いするッス。」

モナーは店を飛び出した。


633 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:17:22.19 ID:TrvH//pM0

その日の夜。道具屋ブーン1号店で緊急会議が行われた。
モナーが持ってきたミル流しの反物の予約台帳を見てブーンは驚いた。

( ^ω^)「これは、すごい人気だお。」
( ´∀`)「いやー、ちょっと俺もびっくりしたッスよ。この反物を見つけてきたツン姐さんは、すごいッスね。」
ξ゚听)ξ「まあ、やるときゃやるわよ。私だって。」

ツンは、とても嬉しそうな顔をした。

( ^ω^)「とりあえず、コッチミルナさんに生産のペース上げれないか聞いてみるしかないおね。」
ξ゚听)ξ「・・・あと、独占契約しておいた方がいいわね。」


634 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:18:17.91 ID:TrvH//pM0

( ^ω^)「独占契約?」
ξ゚听)ξ「ええ。ミル流しの反物が売れるとわかったら他の商人も買いに来ると思うのよ。
だから、道具屋ブーンにだけ売ってもらうように独占契約にしてもらうのよ。」
( ^ω^)「なるほどだお。[ミル流しの反物が買えるのは道具屋ブーンだけ!]ってやつだおね。」
ξ゚听)ξ「そうよ。」
( ^ω^)「じゃあ、さっそく明日にニューソクに行ってみるお。ツンも一緒にお願いだお。」
ξ゚听)ξ「わかったわ。」
( ´∀`)「じゃあ、1号店の方は俺が見ておくッスね。」

会議は無事に終わり、3人は道具屋ブーン1号店を後にした。


637 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:20:05.34 ID:TrvH//pM0

海の見える崖の上にエレクトラの墓はあった。そこに、花束を手にしたドクオがやってきた。
ドクオはエレクトラの墓に花を供えた。そして、黙祷をはじめた。
ドクオは、黙祷を終えるとしばらく海を眺めていた。そこへ、花束を手にしたフサギコがやってきた。

ミ,,゚Д゚彡「・・・。」
('A`)「・・・。」

フサギコは、エレクトラの墓に花を供えると黙祷をはじめた。
黙祷を終えたフサギコは口を開いた。

ミ,,゚Д゚彡「・・・ゾンビを操っている黒幕のことを調べているみたいだな。」
('A`)「その件は俺が解決する。余計なことはするな。」
ミ,,゚Д゚彡「王国騎士団としてもほうっておくわけにはいかない。」
('A`)「まあ、早いもの勝ちだな。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・ジョルジュが黒幕の1人と思われる者と接触したらしい。逃げられてしまったがな。
名前は、ビコーズ。首なし騎士のデュラハンだったらしい。」
('A`)「・・・いいのか。俺に情報を漏らして。」
ミ,,゚Д゚彡「構わないさ。それで事件が早く解決するならね。」
('A`)「・・・。」


638 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:22:29.60 ID:TrvH//pM0

しばらく黙り込んでいたドクオが口を開いた。

('A`)「黒幕の仲間と思われる奴がツンをさらった。そいつは俺がもう倒した。
ツンに捕らわれていた場所を聞いてみたが、ニューソクにある窓の無い屋敷らしい。
だが、ニューソクには窓の無い屋敷はなかった。まあ、屋敷の外にはダミーの窓を付けているんだろうな。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・ありがとう。協力を感謝する。」
('A`)「別に協力したつもりはない。単なる情報交換だ。おまえに借りはつくりたくないからな。」

風が吹き、エレクトラの墓に供えられている花束が嬉しそうに揺らいでいた。


639 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:24:06.59 ID:TrvH//pM0

次の日の朝。道具屋1号店の前に馬車が止まっていた。
ブーンとツンが馬車の側で立っていた。

( ^ω^)「護衛の人まだ来ないお。」
ξ゚听)ξ「今回も王国騎士団の人らしいけど、ジョルジュは今ニューソクにいるから違う人よね。」

そこへフサギコがやってきた。

ミ,,゚Д゚彡「やあ、ブーン。今回の君達の旅の護衛は私だ。」
( ^ω^)「え!フサギコ様ですかお?騎士団長様が僕達の護衛なんて何か申し訳ない気分ですお。」
ミ,,゚Д゚彡「気にしないでくれ。これも仕事だ。」
ξ゚听)ξ「あら?フサギコ様はニューソクにいらっしゃったのではなかったのですか?」
ミ,,゚Д゚彡「ちょっと大事な用事があってね。こっちに戻ってきてたんだ。では、そろそろ出発しようか。」
( ^ω^)「はい、よろしくお願いしますだお。」

ブーン達はニューソクへ向けて馬車を走らせた。


641 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:25:25.52 ID:TrvH//pM0

ニューソクへ向けて旅立った1日目の夜。ブーン達は馬車を止め、野営をしていた。
焚き火の炎で作られた食事を3人は食べていた。

( ^ω^)「いやー、騎士団長様に護衛してもらうとは思ってもいなかったですお。」
ミ,,゚Д゚彡「今回はニューソクに向かうブーンとたまたま日程が重なったからね。」
ξ゚听)ξ「でも、騎士団長様にもなると護衛の任務はあまりないんじゃないでしょうか?」
ミ,,゚Д゚彡「そうだね。旅の護衛はもうやらなくなったな。あっても要人護衛くらいかな。
まあ、ブーンの父上にはお世話になったのでこれくらいはしておきたかったっというのはあるかな。」

ブーンは、食事の手をとめてしばらく考え込んでいたが思い切って口を開いた。

( ^ω^)「あ、あのフサギコ様はトーチャンとどういう関係だったんですかお?」
ミ,,゚Д゚彡「あれ?母上から聞いてなかったのかい?」
( ^ω^)「は、はい。トーチャンの葬儀のときは忙しくてそれどころじゃなかったし、
タイミングを逃すと今度は聞きにくくなっちゃいましたお。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・そうか。」


643 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:29:19.11 ID:TrvH//pM0

フサギコは、食器を傍らに置くと話し始めた。

ミ,,゚Д゚彡「私が最年少で騎士団試験に合格したのは知っているよね。」
( ^ω^)「はいですお。すごいですおね。」
ミ,,゚Д゚彡「合格できたのは、私が小さい頃、ブーンの父上に鍛えてもらったおかげだと思っている。」
( ^ω^)「え!そうなんですかお?」
ξ゚听)ξ「あれ?でも、ブーンのトーチャンは元冒険者ですよね?いつ鍛えてもらったんですか?」
ミ,,゚Д゚彡「騎士団試験を受ける前に私は最年少冒険者として活動していたんだ。
そこでブーンの父上のパーティーに入れてもらっていたんだよ。
最年少冒険者というだけで他のパーティーからは見下されていたけれど、ブーンの父上は俺を仲間として認めてくれた。
そして、厳しく鍛えもしてくれた。」
( ^ω^)「え!フサギコ様も元冒険者だったんですかお。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ、そうだ。ブーンの父上はとても素晴らしい冒険者だったよ。
だけどある日、いきなり冒険者を辞めて道具屋を始めたんだ。
理由を聞いたら[俺には冒険者は向いてないみたいだ。]って言っていたよ。」
( ^ω^)「トーチャンらしいお・・・。」


644 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:30:27.48 ID:TrvH//pM0

ミ,,゚Д゚彡「だから、今の私がいるのはブーンの父上のおかげなんだ。とても感謝している。」
( ^ω^)「い、いえいえ!こちらこそトーチャンがお世話になりましたですお。」
ミ,,゚Д゚彡「ブーン、君は父上に似て、とてもいい目をしている。きっといい道具屋になるだろう。期待しているよ。」
( ^ω^)「は、はい!がんばりますお!」
ξ゚听)ξ「よかったわね、ブーン。」

3人は焚き火の炎が消えるまで会話を続けた。


646 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:32:38.00 ID:TrvH//pM0

それから、数日後。ブーン達はニューソクの町に着いた。
フサギコと別れたブーンとツンは、コッチミルナの反物屋へ向かった。

( ^ω^)「こんにちはだお。」
( ゚д゚ )「ブーンさん、いらっしゃいませ。何か御用でしょうか?」
( ^ω^)「実は、ミル流しの反物がものすごく売れているんだお。だから生産のペースを上げれないか相談に来たんだお。」
ξ゚听)ξ「あとは、独占契約の話ね。」

ブーンとツンから話を聞いたコッチミルナの表情が険しくなった。

( ゚д゚ )「・・・実は今日町を出てそちらの方へ行くつもりだったんですよ。」
( ^ω^)「あ、そうだったのですかお。コッチミルナさんもお話があるかお?」
( ゚д゚ )「はい。・・・実は川の水の質が最近急に変わりましてミル流しができないんですよ。」
( ^ω^)「え?そうなのかお?なんでですかお?」
( ゚д゚ )「原因は今のところわからないです。ですから生産ペースを上げるというのは今のところできないです。
独占契約の方はぜひともお願いしたいのですが・・・。」
ξ゚听)ξ「これは困ったわね。」


650 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:34:48.52 ID:TrvH//pM0

ブーンは、腕を組んでしばらく考え込んでいた。

( ^ω^)「その水の質が変わったのって今までにありましたかお?」
( ゚д゚ )「いえ、初めてのことです。ですからどうしてよいものかわからなくて、私も困り果てております・・・。」
( ^ω^)「・・・(なんかひっかかるお。)。」

ブーンは、さらに難しい顔をして考え込んだ。

ξ゚听)ξ「ブーン、どうかしたの?」
( ^ω^)「えーと、コッチミルナさんはいつも通りミル流しをやってもらえますかお。」
( ゚д゚ )「はぁ、それは構いませんが水がおかしければミル流しはやりませんよ。」
( ^ω^)「うん、それでいいお。とりあえずミル流しはやりに行ってくださいだお。
それで、ツンは独占契約の話を進めておいてくれるかお。」
ξ゚听)ξ「え?でも川の水の話聞いてたでしょ?当分、ミル流しはできないだろうから独占契約しても・・・。」
( ^ω^)「・・・川の水の問題は僕がなんとかしてみるお。」
ξ゚听)ξ「なら進めておくけど・・・。」
( ^ω^)「ちょっと町をぶらついてくるお。」

ブーンは、ツンにそう言うと反物屋を出て町に消えていった。


654 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:36:22.73 ID:TrvH//pM0

ブーンは、町中を歩いていた。

( ^ω^)「うん、いつも通りの町の雰囲気だお。活気があっていい感じだお。」

ブーンは、いくつかの店の店員に話しかけた。

( ^ω^)「・・・(だいたい予想どおりだお)。」

ブーンは、しばらく考え込んだ。

( ^ω^)「あとは、あれを調べるだけだお。その件は、ジョルジュにお願いしようだお。」

ブーンは、ジョルジュの元へと向かった。


659 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:37:50.05 ID:TrvH//pM0

その頃。ニューソクの町の鍛錬場では、ジョルジュとフサギコが闘っていた。
木でできた模造の剣での闘いだが、当たり所が悪いと致命傷になる可能性もある。2人の表情は真剣だった。

( ゚∀゚)「セイ!セイ!セイ!」

矢のような突きを連続で繰り出すジョルジュ。しかし、フサギコはすべてそれをかわした。
ジョルジュが最後の突きを引き戻さずに横薙ぎに切り替えた。しかし、その攻撃もフサギコはかわした。

( ゚∀゚)「くっ!当たらないぜ!」

最後のジョルジュの攻撃をかわしたフサギコは今度は逆に突きをジョルジュに繰り出してきた。
ジョルジュは、その攻撃を最初はかわしていたが徐々にかわせなくなり、やがて盾で受けるようになった。
突きの攻撃を盾で受けていたジョルジュは、徐々に体勢が崩れてきた。
そこへ追い討ちをかけるようにフサギコの横薙ぎの攻撃が加わった。
体勢を崩していたジョルジュはその攻撃を剣で受けようとしたがうまく力が入らず、ジョルジュの剣は弾き飛ばされた。

ミ,,゚Д゚彡「今日はここまでにしよう。」
( ゚∀゚)「・・・ご指導ありがとうございました。」

ジョルジュは、フサギコに頭を下げた。


663 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:39:56.77 ID:TrvH//pM0

ミ,,゚Д゚彡「かなり腕を上げたな、ジョルジュ。」
( ゚∀゚)「・・・いや、まだまだです。」
ミ,,゚Д゚彡「そんなことはない。総合的な能力は騎士団の中でも上位に入るとは思う。」
( ゚∀゚)「・・・はぁ。」

ジョルジュは、力の無い返事をした。

ミ,,゚Д゚彡「どうした?嬉しくないのか。褒めてはいるんだがね。」
( ゚∀゚)「・・・このままではあいつには勝てないような気がするんです。」
ミ,,゚Д゚彡「あいつ?」
( ゚∀゚)「この前の鉄球野郎です。」


665 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:41:39.39 ID:TrvH//pM0

ミ,,゚Д゚彡「・・・(そういうことか。)。」

フサギコは少し考え込んでから言った。

ミ,,゚Д゚彡「確かに今の君ならあのビコーズには勝てないだろうな。」
( ゚∀゚)「え?!」
ミ,,゚Д゚彡「強者は必ず何らかの武器を持っていると言われる。ジョルジュ、それが君にはない。」
( ゚∀゚)「俺の武器?」
ミ,,゚Д゚彡「ジョルジュ、君は基本的な戦闘能力は高いが、私は何回闘っても君には負ける気はしない。
なぜなら、私の鉄壁の防御は君では崩せないと確信しているからだ。これが私の武器だ。
ドクオにはパワーがある。すべてを破壊する圧倒的なパワー。
しかし、ジョルジュ、君には何も無い。本当に強くなりたいのなら自分だけの武器を手に入れろ。」
( ゚∀゚)「俺だけの武器・・・。」

そこへ、ブーンがやってきた。


667 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:43:18.55 ID:TrvH//pM0

( ^ω^)「ジョルジュ、探したお。番兵さんに聞いたらここだって教えてもらったお。」
( ゚∀゚)「ああ、ブーンか。こっちに来てたんだったな。ちょっと待ってくれ。着替えてくる。」

ジョルジュは鍛錬所を出て行った。

( ^ω^)「あ、フサギコ様、こんにちはですお。」
ミ,,゚Д゚彡「やあ、こんにちは。」
( ^ω^)「いやー、ちょっと稽古が終わるまでコッソリ見てたんですけどすごくかっこよったですお。
ミ,,゚Д゚彡「そうかい。じゃあ、ブーンもちょっとやってみるかい。」
( ^ω^)「え?いやいや、僕はただの道具屋ですお。」
ミ,,゚Д゚彡「まあ、そう言わずにやってみてくれ。」

フサギコはブーンに自分の模造の剣を渡した。


672 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:44:08.18 ID:TrvH//pM0

ミ,,゚Д゚彡「そうだ。上段に構えて・・・振り下ろす。」
( ^ω^)「こ、こうですかお?」

ブーンは、剣を振り下ろした。

ミ,,゚Д゚彡「・・・。」
( ^ω^)「あ、やっぱり駄目ですかお?」
ミ,,゚Д゚彡「・・・スジがいいな。やはり父上の血を受け継いでるようだな。」
( ^ω^)「そうですかお。でも、やっぱり僕は道具屋の方がむいていますお。」

そこへ、着替えを終えたジョルジュがやってきた。


677 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:45:36.71 ID:TrvH//pM0

( ゚∀゚)「待たせたな、ブーン。で、何の用だ。」
( ^ω^)「えーと、ちょっと頼みたいことがあるんだお。」
( ゚∀゚)「何だ。俺にできることなら何でもやってやるぜ。」
( ^ω^)「ありがとうだお。お願いしたいのは・・・。」

ブーンは、ジョルジュに話をはじめた。

( ゚∀゚)「なんだそんなことか。わかったぜ。じゃあ、明後日くらいには持っていくぜ。」
( ^ω^)「よろしくだお。」


678 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:47:18.45 ID:TrvH//pM0

それから数日後。コッチミルナの反物屋。
ブーンとツンとコッチミルナが会議をしていた。

( ^ω^)「じゃあ、独占契約の方はお願いしますお。」
( ゚д゚ )「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
ξ゚听)ξ「で、川の水の方はどうなってるの?」
( ^ω^)「それなら、もうすぐ結論が出ると思うお。」
ξ゚听)ξ「え?どういうこと?」

そこへ、ジョルジュがやってきた。

( ゚∀゚)「ブーン、約束のものをもってきたぜ。」


679 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:48:54.78 ID:TrvH//pM0

ジョルジュは、背負い袋から水の入ったビンをいくつか取り出し、テーブルの上に並べた。
ビンにはそれぞれ時間の書いた紙が貼ってあった。

ξ゚听)ξ「何?このビン?」
( ^ω^)「この町の北の森の川の水だお。ジョルジュにお願いして、
昨日の朝、昼、夜と時間をわけていくつか汲んできてもらったんだお。」
ξ゚听)ξ「ふーん。で、このビンをどうするの?」
( ^ω^)「ちょっと待っておね。」

ブーンは、自分の背負い袋から鑑定用の道具を出すとビンに入っている水を調べ始めた。

( ^ω^)「・・・やっぱりそうだったかお。」


684 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:50:17.25 ID:TrvH//pM0

ξ゚听)ξ「どうかしたの?」
( ^ω^)「このビンだけ水の質が違うんだお。他のはみんな同じなんだお。」

そう言ってブーンは、1つのビンを手に取った。そのビンに貼ってある時間の紙を見てコッチミルナは驚いた。

( ゚д゚ )「そ、その時間は私がミル流しをしていた時間です!」
( ^ω^)「そうだおね。」
ξ゚听)ξ「え!それってつまり・・・。」
( ^ω^)「そう。多分、誰かが川の上流から川の質を落とす液体を流して、
コッチミルナさんのミル流しを邪魔しているんだお。」
ξ゚听)ξ「誰がなんのためにそんなことをしてるの?」
( ^ω^)「多分、ミル流しの反物が売れるのが困る人達じゃないかお?」
ξ゚听)ξ「・・・もうそこまでしてくる人がいるなんて驚いたわ。」
( ^ω^)「誰かはわからないけど多分、同業者だと思うお。そして、才能もある人だと思うお・・・。」

ブーンは悲しそうな顔をした。


688 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:51:38.81 ID:TrvH//pM0

次の日。ニューソクの北の森の川へブーン、ツン、コッチミルナ、ジョルジュの4人は向かった。

( ^ω^)「じゃあ、コッチミルナさんはミル流しをお願いしますお。」
( ゚д゚ )「はい、わかりました。」
( ^ω^)「水の質が変わると思うから適当なところで切り上げてくださいお。」
( ゚д゚ )「はい。」
( ゚∀゚)「じゃあ、犯人を捕まえに行くか!」

ジョルジュ達は川の上流に上がっていった。


690 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:52:46.43 ID:TrvH//pM0

  • 川の上流では、ニダーが怪しげな液体を川に流していた。

    <ヽ`∀´>「これでミル流しが出来ないから道具屋モナーも売り上げが落ちるニダー!
    あいつら最近ちょっと調子にのっているからここいらで潰しておくニダー!いい気味ニダー!」

    そこへ、上流に上がってきたジョルジュ達がやってきた。

    ( ゚∀゚)「あ、誰かいるぜ!」
    ( ^ω^)「ニダー商店のニダーさんじゃないかお!」
    ξ゚听)ξ「あ!ほんとだわ!」
    <ヽ`∀´>「や、やばいニダー。この場は逃げるニダー。」
    ( ゚∀゚)「逃がすかよ!」

    逃げようとするニダーをジョルジュはすかさず捕まえた。

  • 692 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:54:19.31 ID:TrvH//pM0

    ( ゚∀゚)「おとなしくしてろ。」
    <ヽ`∀´>「こっそりやってたのに何でわかったのニダー?」
    ( ^ω^)「ポイントは3つだお。1つ目は、今まで1度も水質が落ちていないのにいきなり落ちたことだお。
    2つ目は、ニューソクの町は北の森を利用して生活している人が多いのにもかかわらず、
    水の質が落ちたことが町全体で問題になっていなかったことだお。これは、町で聞き込みをしたらわかったお。
    そして、3つ目は商売人の勘だお。」
    <ヽ`∀´>「か、勘だとニダー!納得いかないニダー!おまえ調子に乗り過ぎてるニダー!」
    ( ゚∀゚)「調子に乗っているのはお前だろうが!このまま詰め所に連れて行くからな!」
    <ヽ`∀´>「そ、それは勘弁してニダー!」


    707 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/07(火) 23:57:55.98 ID:TrvH//pM0

    ( ^ω^)「・・・ジョルジュ、ニダーさんを放してあげてお。」
    ( ゚∀゚)「え?」
    ( ^ω^)「ニダー商店は僕が小さい頃お世話になっていたお。
    あの頃は小さいお店だったけれどニダーさんががんばって大きなお店になったのも知っているお。」
    <ヽ`∀´>「・・・。」
    ( ^ω^)「・・・最近の道具屋ブーンの成長は自分でもちょっと驚いていたんだおね。
    昔からずっとやっていたお店が急に後からやってきたお店に肩を並べられたら誰だって怖いおね。
    もし、僕が逆の立場だったらニダーさんに嫉妬していたかもしれないお。
    川の水を汚すまではしないと思うけど、ニダーさんの気持ちはわかるんだお。」
    ( ゚∀゚)「・・・ブーン。」
    ( ^ω^)「だから、ここでもうこんな悪いことは2度としないって約束してくれたら許してあげたいんだお。」
    ξ゚听)ξ「・・・ブーン。」
    <ヽ`∀´>「・・・。」


    720 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/08(水) 00:02:19.14 ID:pTaZY/oY0

    ニダーは、がっくりとうなだれた。

    <ヽ`∀´>「・・・負けたニダー。完敗ニダー。商売人の器の大きさが違いすぎニダー。」

    そして、地面に頭をこすり付け土下座をした。

    <ヽ`∀´>「大変申し訳ないことをしたニダー。すまなかったニダー。もう2度とこんなことはしないニダー。
    詰め所に連れて行くならいきますニダー。」
    ( ^ω^)「・・・ニダーさん。」
    ( ゚∀゚)「・・・じゃあ、行くか。俺達は何も見なかった。それでいいんだよな、ブーン。」
    ( ^ω^)「ジョルジュ、ありがとう。」
    ( ゚∀゚)「いや、礼を言うのはこっちだぜ、ブーン。」
    ( ^ω^)「え、何かお?」
    ( ゚∀゚)「いや、こっちの話だけどな(これがブーンの武器なのかもしれないな。)。」

    ニダーを残してブーン達は下流にいるコッチミルナの元へ戻った。


    725 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/08(水) 00:04:49.74 ID:pTaZY/oY0

    次の日。

    北の森の川の問題は解決された。生産ペースのアップは従業員を増やすということでクリアし、
    ミル流しの反物の独占契約も完了したブーンは、自分の町へ戻ることにした。

    ( ^ω^)「じゃ、そろそろ行こうかお。」

    ブーンは、馬車に乗り込んだ。

    ( ゚∀゚)「俺は、まだこの町に残るけどがんばれよ。」
    ( ^ω^)「ジョルジュもがんばってね。」
    ( ゚∀゚)「ああ、やってやるぜ。」

    ブーンを乗せた馬車は出発した。ゆっくりと進む馬車はニューソクの町を去っていった。





    その頃、宿屋で1人の女が叫んでいた。

    ξ゚听)ξ「ちょwwww!!ブーンもう帰ったの?またまた置いてけぼりヒデェェェエェ!!!!!マジデェェ!!!」


    第7章「道具屋ブーンの独占契約だお」おわり

     


     

    733 :のびた ◆0UBHj9d5Uc :2006/03/08(水) 00:06:30.04 ID:pTaZY/oY0

    【のびたのあとがき】

    今回は、ちょっとはじまり方をかえてみました。すぐにいつもの雰囲気に戻りましたが、いかがでしたでしょうか?
    さて、物語もとうとうクライマックスへ突入です。
    今のところ構想的にはラストエピソードしか書くことはありません。つまり次が最終章の予定です。
    ただ、例によって書き始めると異常に長くなりそうな気がするので、章を分けるか分けないか考えています。
    ですが、多分分けません。前編、中編、後編になるかもしれませんが、1つの章でいきたいと思います。

    キャラクターもいろいろと出てきたのですがみなさんはどのキャラが好きでしょうか?ちょっと気になります。
    やっぱりドクオが1番人気あるのかなぁとか思ったりしています。
    ちなみに私が好きなキャラクターは流石兄弟とビコーズです。流石兄弟はもう出ていませんが・・・。orz
    実は、流石兄弟の父がジパングの大商人でブーンが貿易の話を持っていくという章を考えていたのですが諸事情で没になりました。
    あと、フサギコは設定では30歳前後です。予想以上に老騎士イメージがついていたのは驚きました。^^;

    読者のみなさまのwktkやktkrやオモシロス!という言葉1つでも増えればパワーアップしています。
    漫画の作者がお便りで力が出るというのはうそ臭いなぁ。と思っていたのですが、
    実際にその立場になると本当に力が出ることを実感しました。
    みなさまの励ましは本当に力になります。いつもありがとうございます。

    それでは、本日も読んでくださったみなさまありがとうございました。m(_ _)m

     

     

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