3 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:28:08.18 ID:DOr29HKu0

从 ゚∀从「アハハハハハハハハハハハッ!!」

少女が突然叫びだしたのは、午後一番の授業中だった。
狂ったように叫ぶ少女の目は、明らかに常軌を逸したそれだった。
何も見てはいない、何も映してはいない瞳。

从 ゚∀从「アハハハハハハ!ガハッ・・・ガッ・・・グホ・・・・」

少女は咳き込み、苦悶の表情を浮かべながら倒れた。
そして少女は事切れた。

4 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:29:02.77 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「あーも−、寒いお。九時に空調切れるのだけは何とかして欲しいお」

N国首都ニューソク。
国家刑事局組織犯罪対応課特別分室。
通称「分室」の午後九時半。
毛布に包まりながらパソコンに向かい、入力作業を続ける一つの影。

( ´ω`)「手の感覚がなくなってきたお・・・僕はこのまま凍死するのかお・・・」

( ´ω`)「室長はズルイお。僕にばっかり雑用を押し付けて」

ぶつぶつと呪いの言葉を吐きつつ、地味な作業を続ける小太りの青年。
空調の切れた室内には、パソコンに向かう青年以外誰もいない。

明かりも青年のいる一角しか灯していない。
暗く冷たい室内に、カタカタとキーボードを打つ音が空しく響く。

5 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:29:35.01 ID:DOr29HKu0

永遠とも思える時間が過ぎた時、キーボードの音が止んだ。

( ^ω^)「やっと、やっと終ったお・・・。さっさと帰ってオナヌーでもするお」

携帯「疾風の様に〜ザブングル!ザブングル!」

( ^ω^)「お、ツンからだお。最近頻繁にかかって来るけど、僕に気があるのかお?」

青年がツンと呼ぶ人物は、刑事局前にあるカフェのウェイトレスである。
カフェは大規模な店で、刑事局の人間の癒し場になっている。
その従業員であるツンは、青年の意中の人物であった。

6 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:30:48.48 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「おっおっ、もしもしブーンですお」

ξ゚听)ξ『もしもしブーン?まだ仕事終らないの?』

( ^ω^)「今終ったとこだお。(そうだ、今夜のおかずはツンにするお)」

ξ゚听)ξ『相変わらずノロマな仕事してるわね。そんなんじゃいつまで経っても分室よ』

( ^ω^)「それは勘弁して欲しいお。(フヒヒ、ツンのアレな姿を想像してると・・・)」

ξ゚听)ξ『まぁいいわ。明日の約束忘れてないでしょうね?ちょっと、聞いてる?』

(;^ω^)「あ、は、はい、聞いてますお」

7 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:32:38.60 ID:DOr29HKu0

ξ゚听)ξ『何故敬語?・・・まぁいいわ、明日に備えて今日は早く寝るように!』

( ^ω^)「把握した。今日はもうツンをおかずにオナヌーするだけだから・・・ハッ!?」

ξ#゚听)ξ『最ッ低!!』

ブツッ、ツーツーツー・・・・

( ´ω`)「またやったお・・・。」

ブーン二十三歳の冬の夜であった。

8 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:34:52.85 ID:DOr29HKu0

―――小麦粉か何かニダ。
―――馬鹿もーんなんです!!そいつがニダーなんです!!
―――ようこそ分室へいらっしゃい〜。
――


携帯「そーらーに青い流星・・・」

携帯の着信音がブーンを眠りの世界から強制的に覚醒させた。

( ´ω`)「んんんー?・・・この着歌はドクオだお・・・。眠いお・・・今何時だお?」

携帯「ふーたーりービルの窓ーかーらー」

9 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:36:00.55 ID:DOr29HKu0

携帯の時刻表示は午前ニ時を指していた。
このまま携帯の電源を落として、再び睡魔に身を任せていたかったのだが、
組織犯罪対応課麻薬班のドクオが、昨日麻薬の取引現場を張り込むと言っていた事を思い出した。
何らかの成果があったのかもしれないと思い、ブーンは携帯を手にとる。

( ^ω^)「もしもし、こちらブーンですお。エリートのドクオさんが何の用だお?」

('A`) 『馬鹿な話をしてる場合じゃないぞブーン。エライ物が出てきたぜ』

( ^ω^)「アナルから糸蒟蒻でも出てきたのかお?」

('A`) 『<キャンディ>だ。ブローカーが一粒持ってやがった。』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・」

10 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:37:13.71 ID:DOr29HKu0

<キャンディ>
文字通り飴玉型の麻薬で、荒巻スカルチノフ博士が精製したと言われている。
経口投与により摂取することで効果を発揮する。
覚醒作用が強く、使用者は覚醒状態に陥る事が知られており、副作用による死亡率は高い。
だが、二年前にこの街でキャンディが大流行したのだ。

キャンディがその死亡率の高さにも関らず広まったのには二つの理由がある。
第一にデタラメな安価で取引されていた為である。
それ故、ティーンエイジャーの間で爆発的に広まった。

もう一つの理由――これが真の流行の原因――が、身体強化作用。
骨格や筋肉はもとより、脳の神経伝達速度まで強化される。
つまり、「体力も知能も一時的にスーパーマンになれる薬」がキャンディの正体。

素手の人間が車を持ち上げ、弾丸をかわし、拳一つで鉄筋コンクリートを破壊する。
そんなモンスターが生成される悪魔の薬。

11 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:39:05.21 ID:DOr29HKu0

ただし、誰もがその恩恵を受けるとは限らない。
身体強化の効果が発現するのは、服用者の一〜ニ%のみである。

しかし、そんな効果を暴力組織は見過ごさなかった。
身体強化の発現者を集め、組織し、犯罪利用に走ったのだ。
凄惨且つ手の込んだ犯罪が多発し、その結果刑事局は一時事実上麻痺し、街は数週間無法地帯と化した。

最終的には軍が導入され、刑事局と公安局と共に連動し、キャンディの一斉摘発および、
超人化した人間の処理と保護を強行した。
そうしてキャンディの脅威は去ったのである。

もし現在キャンディが闇組織で流通しているのなら、一秒でも早くそれを絶つべきである。
何時身体強化者が発現するかも知れない。手遅れになると街は再び無法地帯になるだろう。

12 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:39:59.01 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「あれは・・・あれは去年の一斉摘発で流通ルートを絶ったはずだお」

('A`) 『あぁ。俺もそう思ってたんだが、どうやら生き延びた連中がいるようだ』

( ^ω^)(あれが・・・あれが・・・また・・・そんなのはもう御免だお)

('A`) 『とにかく、今からキャンディを追わないと駄目だ。体裁は繕っていられない。
    分室にも出張ってもらうぞ。渡辺さんにはもう連絡がいっている筈だ。
    準備が出来次第、署に急行してくれよ』

( ^ω^)「把握した。あれはおもちゃにしては性質が悪すぎるお」

13 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:41:03.68 ID:DOr29HKu0

ブーンは携帯を切り、モソモソと着替えを始め、無意識にテレビの電源をつけた。
――キャンディが再び蔓延する――
そんなことを考えると、眠気も一気に醒めてしまった。
あの事件は忘れようとしても忘れられない。
ブーンが国家刑事局に入局する理由になった事件。
もうあんな悲しい思いは誰にもさせたくない。

テレビは深夜のオカルト番組を放送している。
ソウルメイトが云々、精神的に特別な繋がりを持つ人間同士らしい。
物思いに耽りながらブーンが着替え終わり、テレビの電源を切ったその時。

14 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:41:27.15 ID:DOr29HKu0

携帯「何処から見てもスーパマンじゃないスペースオペラの主役になれない」

( ^ω^)「もしもし、ブーンですお。渡辺室長、今から署に向かうところですお」

从'ー'从『あらあら、もう連絡が行っていましたか。それなら話が早いですね。
    分室にもやっと仕事がまわって来ましたよ』

渡辺はブーンが所属する組織犯罪対応課特別分室の室長である。
温厚な性格はブーンと馬が合うようで、良き上司と部下の関係にあるようだ。
常にマイペースなので、多少ブーンのやる気を削ぐ場合もあるが。

( ^ω^)「窓際にもほとほと飽きてきたところですお。良い運動になりそうですお」

从'ー'从『よーし、それじゃ早速急いできてくださいね』

( ^ω^)「了解してラジャー!」

携帯を上着のポケットに入れ、コートを羽織る。
外へ出ると、しんしんとした冷え込みに身が縮こまるようだ。
冬の透き通った星空の下、ブーンは車に乗り込んだ。

( ^ω^)(長い一日になりそうだお)

16 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:45:29.19 ID:DOr29HKu0

その扉には「国家刑事局組織犯罪対応課特別分室」と、
ホワイトボードにサインペンで書かれている表札が貼り付けてあった。

国家刑事局とは所謂警察機構であり、犯罪の摘発や防止、抑止を行う機関である。
組織犯罪対応課は、主に暴力組織を専門に取り締まるスペシャリストであり、
暴力組織によって市井に流された麻薬を摘発するのが麻薬班の仕事だ。

ブーンと同期のドクオはここに所属し、日々暴力組織との暗闘を繰り広げている。
ドクオは素質があったのか、めきめきと頭角を現した。
今では組織犯罪対応課麻薬班の若き孤高のエースである。

17 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:46:07.38 ID:DOr29HKu0

何故孤高なのかと言うと、ドクオは他人に対して心を開く事が無いからである。
ブーンに対してのみ何故か心を許しているのだが、他人には一切自分を見せない。
それが何に起因するのかも、本人は語りたがらない。

一方のブーンは、課は同じでも「特別分室」という訳のわからない部署に所属している。
ルームプレートがホワイトボードにサインペンという仕打ちから大方想像はつくが。
分室にはもう一つの名称、否、蔑称がある。

18 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:46:31.91 ID:DOr29HKu0

「島」

島流しの「島」である。
ブーンは入局一年目にしてこの島に流された。
現在、島の住人は室長の渡辺とブーンの二人のみ。

業務内容は犯罪資料整理という名の雑用雑務。
当然、事件を調査したり現場をまわったりする事は許されていない。
要するに窓際族である。

20 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:47:21.45 ID:DOr29HKu0

午前三時

( ^ω^)「ブーンただいま到着しましたお」

勢いよく特別分室の扉を開けてブーンは飛び込んできた。

从'ー'从「おはようございますブーン君。コーヒーが入っていますよ」

真夜中だというのにキッチリとスーツに身を包み、
豊かな黒髪を無造作に流しているこの女性が、室長の渡辺である。

( ^ω^)「おっおっありがとうございますだお」

ブーンはそう言うと、自分のマグカップにコーヒーメーカーからコーヒーを注いだ。

( ^ω^)「それにしても室長。分室に来て約一年。やっと犯罪捜査が出来ますお」

从'ー'从「そう言えばそうですね。キャンディの出現はそれだけ火急を要す物なのです」

22 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:47:54.77 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「あれはもう二度と、絶対に流行させちゃいけないんですお」

从'ー'从「ブーン君・・・。」

渡辺はため息を一つと深呼吸を一つして言った

从'ー'从「そろそろ対策本部に行きましょう。私達の仕事をしなくっちゃいけませんよ。」

( ^ω^)「了解しましたお」

从'ー'从「さて、我等が分室には一体どんなお仕事をくれるんでしょうねぇ」

23 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:48:30.84 ID:DOr29HKu0

その部屋の入り口には「キャンディ対策捜査本部」と書かれた立て看板が掛けてあった。
対策本部に入ったブーンは、まずドクオの姿を探したが何処にも見当たらなかった。

対策本部での捜査会議は比較的短時間で終った。一刻の猶予も争うという理由からだ。
しかし、会議では驚くべき真実が語られた。

まず、今回キャンディを所持していたのは、暴力組織「ラウンジ」の末端構成員だった。
取調べを継続しているが、黙秘を続けているらしい。担当官はドクオだそうだ。
だから対策本部に姿を見せなかったのだと、ブーンは理解した。

24 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:48:54.84 ID:DOr29HKu0

そして、驚くべき事実というものはここからだった。
会議も終わろうかという頃、突然会議室に一人の女性がとびこんできた。

川 ゚ -゚)「失礼します。少年課のクーであります。
急を要する情報が入りました。今ここで発表させてください」

すらりとした出で立ちに長い黒髪。
美しく整ったおもて。
しかし、そこから読み取れる表情は無に等しい。
ブーンより二年先輩に当たるこの刑事は、凛とした意志のある目を輝かせて発言した。

( ^ω^)(綺麗だけどなんだかおっかない人っぽいんだお)

(`・ω・´)「なんだね、急に飛び込んできてやぶから棒に」

刑事局長のシャキンが問う。
シャキンは制服を完璧に着こなし、貫禄も十分備え持つ恰幅のよさがある。
階級を超えて人望も厚く、皆に頼られる存在と言っても過言ではない。

25 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:49:52.95 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「申し訳ありません。しかし、必ず本件に関連があるはずです。
結論から言いますと、昨日午後十三時四十分、
キャンディの副作用により死亡した高岡という十二歳の少女がいます」

(`・ω・´)「なんだと!?」

川 ゚ -゚)「場所はニューソク小学校六年三組の教室で、授業中のことであります。
当該者は突然奇声を発し、その後昏倒。速やかに救急にまわされましたが、
既に死亡しておりました」

ニューソク小学校は有名私立小で、大学までの一貫教育がウリであるエリート校である。

川 ゚ -゚)「死亡した少女の血液からキャンディの成分が検出され、
――つい先刻判明したのですが――死因が確定しました。
鑑識としては成分が希少なものの為、解析に時間がかかったとのことです」

川 ゚ -゚)「ここまでが取り急ぎ連絡しておきたかった事象であります」

27 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:50:39.95 ID:DOr29HKu0

クーの突然の発言に刑事たちは色めきだった。
既にキャンディで犠牲者が、しかも小学生が死亡したとは。

( ^ω^)(小学生がキャンディを・・・酷い世の中になったもんだお・・・悲しいお)

確かに前回の流行ではティーンエイジャーの服用者が大量に発生した。
しかし、小学生までもが服用するような事は無かった。
僅か一年で街の空気が変わったのだろうか

(`・ω・´)「なんと・・・現時点で流通している可能性がかなり高いということか」

シャキンが呟いた。
それを受けてクーがうなずく。

(`・ω・´)「よろしい、それでは至急各班はこれより指定する対象に当たってくれ」

28 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:51:22.46 ID:DOr29HKu0

シャキンの言葉の後を追い、ヒステリックな叫び声をあげ、
課長のワカンナイデスが各班に捜査対象を振り分けていく。
そして最後に残ったのが分室の二人とクーだった。

从'ー'从「私たちまた余ったみたいねぇ」

( ^ω^)「流石に洒落になりませんお・・・」


川 ゚ -゚)「局長、私を捜査陣に加えていただけないでしょうか。無関係ではありませんし」

(`・ω・´)「うーむ、しかし君は少年課だろう。畑違い過ぎやしないかね?」

川 ゚ -゚)「十二歳の子供が死んでるんです。私はこの真相を突き止めたいのです」

(`・ω・´)「うーむ・・・確かに子供に対しては少年課の方が一日の長があるなぁ。
     よろしい。今回は特別にキャンディ対策本部に加わってもらおう」

川 ゚ -゚)「ありがとうございます。早速遺族と学校に当たってみます」

29 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:52:09.10 ID:DOr29HKu0

( ><)「残ったのはお前達二人だけなんです!
二人にはクー刑事のバックアップを命ずるのです!」

ワカンナイデスは夜中だというのにテンションがかなり高い。

( ^ω^)「ちょ、少年課のお守りのために僕らは叩き起こされたのかお?」

川 ゚ -゚)「少年課のお守りでは不服かい?」

珍しく怒りという感情を含んだ冷たいナイフの様なクーの声に、ブーンは言葉を失った。

从'ー'从「まぁまぁ、怒らないでやってください。空回りはブーン君の専売特許なんです」

川 ゚ -゚)「い、いや、別に怒ってなどいないのですが」

从'ー'从「だったら握手で仲直りですよ。これから三人はチームですからね」

川 ゚ -゚)「了解しました。ブーン、握手だ」

( ^ω^)「わかりましたお・・・(この人いくらなんでも怖過ぎるお)」

30 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:52:34.46 ID:DOr29HKu0

まだ納得のいかなさそうなブーンだったが、渋々クーの手を握り替えした。

( ^ω^)「手はクールじゃないんですおね」

川 ゚ -゚)「どういう意味かな?」

組まれた手にすかさず渡辺が手をあてがう。

从'ー'从「はい、これで私たちはチームですよ。クーさん、よろしくお願いしますね」

川 ゚ -゚)「よ、よろしくお願いします(何故この人は階級が上なのに敬語なんだろう)」

( ^ω^)(流石室長、こういう事には機微が働くお。)

午前五時、捜査は開始された。

31 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:53:04.23 ID:DOr29HKu0

そして午前七時。
ブーンとクーは死亡した少女、高岡の家に車で乗りつけた。
渡辺室長は分室に留まり、事実上独立部隊である分室の指揮を振るう事になった。

高岡の家は母子家庭で、母親は悲嘆にくれていた。
どうやら昨晩は一睡もせずに、遺体を見守っていたらしい。
顔色は異常に悪い。何か病気でも患っているようだ。
しかし、それでいて不思議な色気を醸し出しているのは気のせいだろうかとブーンは思った。

( ^ω^)(こんな人から事情聴取するなんて、僕らは因果な商売だお。できれば避けたいお)

ブーンにはその考えが甘えである事に気付いていない。
否、気付いていないからこそ、ブーンがブーンであり続けるのかもしれない。
刑事をやるには純粋すぎた。

32 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:53:48.30 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「――――――以上が娘さんの死因です」

川 ゚ -゚)「お母さん、この度は誠にご愁傷様です。娘さんのご無念は、
薬を娘さんに与えた者は我々が必ず確保します。その為にご協力ください。

J( '-`)し「・・・・・・はい」

( ^ω^)「ちょ、クーさん?いきなり過ぎますお。もうちょっと・・・」

J( '-`)し「いいんですよ刑事さん。あの子の事、お尋ねになりたいんでしょう?
    私にできる事があったら・・・・お手伝いしますわ」

川 ゚ -゚)「ありがとうございます。では早速ですが、娘さんがドラッグを常習的に使用していたという事など、
何か目立った行動は無かったでしょうか?」

( ^ω^)(直球過ぎるお・・・ありえないお)

J( '-`)し「・・・あの子が・・・ドラッグまで?」

33 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:54:38.84 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)(まで・・・?)

高岡の母親は混乱しているように見受けられる。
我が子が薬物中毒で死に、さらに薬の常習犯として調べられているとは夢にも思わなかっただろうとブーンは考えた。
しかし、高岡の母の表情にはどこか諦観があった。
クーは駄目を押すように続ける。

川 ゚ -゚)「娘さんが何処から今回のドラッグ<キャンディ>を入手したのか――これは大きな問題です――
心当たりは無いでしょうか?」

( ^ω^)「ちょっとクーさん?それはあまりにも無いですお。
もう少し親御さんの気持ちを考えて発言した方がいいですお」

川 ゚ -゚)「私は刑事として聞きたい事を聞いているだけだぞ?何か問題でもあるのか?」

( ^ω^)「それにしたって、もうちょっと聞き方って物があるんじゃ無いですかお」

二人が口論に入る寸前、この場で一番苦しい立場にある高岡の母が割って入った。

J( '-`)し「娘の霊前です。もう少し弁えていただけないものでしょうか・・・」

川 ゚ -゚)「も、申し訳ありません、配慮に欠けました。謝罪します。」

( ^ω^)「すみませんでしたお・・・」

34 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:55:19.28 ID:DOr29HKu0

毅然とした母の態度の前には、二人の確執など取るに足らないものでしかない。
そして、高岡の母はポツリポツリと話し始めた。

家庭での生活態度、学校での評判、塾での成績、その他運動会や参観日の思い出などを、
自分に言い聞かせるように、一言一言思いを込めて語った。
その話を聞く限り、高岡という少女はおおよそドラッグなどとは無縁だと思うブーン。
文武両道というに相応しい少女のようだ。
一通りの事情聴取が済むと、高岡の部屋を捜索した。
高岡の部屋は少女らしいレースなどの装飾が目立ち、藍色系で統一されていた。
ベッドには少女漫画雑誌とファッション誌にオカルト雑誌などが無造作に置かれている。
しかし、手がかりになるようなものは何も出なかった。
ブーンとクーはもう一度不敬を謝罪し、高岡宅を後にした。

35 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:56:52.72 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「母親の証言を全面的に受け入れると、高岡少女はシロか・・・
しかし、一体何処でキャンディを手に入れた・・・」

クーがポツリと独り言をもらした。

( ^ω^)「やはりここは小学校でも関係者や友達に当たるほか無いお」

川 ゚ -゚)「・・・そうだな。しかしブーンにしてはまともな結論だな」

( ^ω^)「あんま馬鹿にしないでほしいお」

川 ゚ -゚)「馬鹿になどしていない。正論を述べたまでだよ」

( ^ω^)(この女とは完全に合わないお・・・)

確執を残しつつ、ブーンとクーはニューソク小学校に向かった。

 

 

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