36 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:57:16.83 ID:DOr29HKu0

午前八時半。
ニューソク小学校は閑散としていた。
昨日児童が変死したため、今日は休校のうえ、父兄説明会を開くのだそうだ。

ブーンとクーが学校に到着した時、校庭や体育館周辺には誰もいなかった。
説明会にはまだ時間があるのだろう。
クーの話によると教員は全員出勤しているそうだ
二人は通用門に常駐している用務員に用件を伝えると、職員室へ連絡をまわしてくれた。
用務員の案内により、二人は応接室へとやってきた。

37 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:57:56.22 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「聴取は私がやるからブーンは何も喋るんじゃないぞ。先刻みたいな事になる」

( ^ω^)「ちょ、それは酷い。僕にも発言権くらいあるお」

川 ゚ -゚)「しょうがないな。あまり私の邪魔をするんじゃないぞ」

( ^ω^)「ぬぅ、このビッチめ・・・」

川 ゚ -゚)「何か言ったか?」

( ^ω^)「な、なんでもないですお」

川 ゚ -゚)「そうか、だが次に私のことをビッチ呼ばわりしたら尻の穴が二つになるぞ」

( ^ω^)「は、把握した(洒落も糞もあったもんじゃないお)」

38 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:58:26.83 ID:DOr29HKu0

しばらくすると、校長と高岡の担任教師が現れた。
校長はずいぶんと枯れた男であった。

ミ,,゚Д゚彡「ニューソク小学校校長のフサギコです。このたびはお世話をおかけします」

川 ゚ -゚)「こちらこそ協力いただいて感謝しています。少年課のクーと申します」

( ^ω^)「僕はブーンですお」

(*'ω' *)「高岡さんの担任のちんぽっぽですっぽ」

担任教師は少し風変わりというか、特殊な人物のようだ。
そんな印象を受けつつ、クーは質問を始めた。

川 ゚ -゚)「まずは高岡さんの学校での生活態度についてお伺いしたいのですが」

クーの聴取が始まった。
相変わらず必要な事のみ端的に話し、不要な感情などは捨て去る問答である。

42 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:59:00.85 ID:DOr29HKu0

しかし、その結果は芳しくなかった。
高岡の学校での評価は所謂「優等生」であった。
成績は上位に入り、生活態度も良好。友達付き合いも多く、学級委員長を任されていた。

教師陣とも折り合いがついていたらしく、悪い評判は皆無だった。
無論、キャンディとの関わりなど一切見えてこない。
何故キャンディを服用したのか。それを何処で手に入れたのか。
全て闇の中である。

44 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 15:59:32.12 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「ふむ、今までの話しの内容では、高岡さんとキャンディとのの関連性はきわめて
低いですね」

( ^ω^)「全く無いって言っていいと思うお」

(*'ω' *)「そうっぽ。高岡さんに限ってそんな薬物とは縁が無いっぽ」

ミ,,゚Д゚彡「我々学校側としましても、今回の件には当惑しています。
     刑事さん。一刻も早い真相究明をお願いします」

川 ゚ -゚)「承知しています。なんとか早期解決を・・・」

携帯「そーらーに青い流星・・・」

( ^ω^)「あ、ちょっと失礼だお」

川 ゚ -゚)「携帯は切っておけよ・・・」

45 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:00:02.44 ID:DOr29HKu0

いそいそと応接室から退出したブーンは、ドクオからの電話に出た。

( ^ω^)「もしもし、こちら色男のブーンですお」

('A`) 『モテモテのドクオ様だ。ブローカーが吐いた。が、真偽を問われる証言だ』

( ^ω^)「一体何を吐いたんだお?」

('A`) 『ブローカーは「キャンディは高岡という小学生の少女から受け取った」
と供述している』

( ^ω^)「・・・・・・・ハァ?」

('A`) 『俺だってハァ?っと思ったさ。だから真偽を問うと言っただろう。
     だが、高岡という個人名がはっきり出たんだ。
     何も関連が無いと考える方が不自然だろう?』

47 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:00:35.75 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「確かにドクオの言う通りだお。でまかせじゃない事は確かだお。
      今丁度ニューソク小学校にいるから、もう少し聴取してみるお」

('A`) 『それは無理だな。もう対策本部本隊の連中がそっちに向かってる。
   奴らが来たらお前はお払い箱だぜ?』

( ^ω^)「仰る通りだお・・・。納得いかないけどここは撤退だお」

('A`) 『あぁ、それがいいさ。俺も今から捜査に加わる。
何か当たりがあればお互い連絡し合おう』

( ^ω^)「把握した。健闘を祈るお」

('A`) 『そりゃこっちの台詞だバーロー』

('A`) 『それとな、これは俺の私見なんだが、分室が認められるためには実績が必要だ。
   今回の件はお前達にとっちゃ正規軍を見返すチャンスだ。
   なるべく俺達の裏をかくような捜査をするんだ。いいな。』

( ^ω^)「ドクオ・・・わかったお。僕らは僕らのやり方ですすめるお」

48 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:01:08.02 ID:DOr29HKu0

携帯電話を切った後、ブーンは少し考えをめぐらした。

( ^ω^)(やっぱり高岡がキャンディを入手した経緯を知るべきだお
      ブローカーに流したのが高岡なら・・・一体どういうことだお?)

思い悩んでいると目の前の扉が開かれ、中にいた三人がぞろぞろと退室してきた。
校長と担任はやや緊張が残る面持ちでだったが、クーの表情は相変わらず読めない。

( ^ω^)「何食ったらそんなに不景気な顔になるんですかお」

川 ゚ -゚)「何か言ったか?」

( ^ω^)「いえなにも」

ミ,,゚Д゚彡「それでは刑事さん。捜査の方はよろしくお頼みしましたよ」

川 ゚ -゚)「心得ました。必ず真相を究明します」

49 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:01:37.30 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「ひょっとして聴取は終ったっぽいですかお?」

川 ゚ -゚)「長電話しすぎだ」

( ^ω^)(アンタが簡潔すぎるんだお)

川 ゚ -゚)「それではフサギコ校長、ちんぽっぽ先生、
我々は他の先生方ともお話しがしたいのですが・・・

( ^ω^)「もしもしクーさんや、ちょっと話しがありますお」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

ブーンはクーを廊下の端に引っ張っていき、ドクオとの電話内容を話した。

川 ゚ -゚)「どういうことだそれは。その話しは信じてもいいのか?」

( ^ω^)「ドクオが言うのだから、十中八苦間違いないですお」

50 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:02:03.13 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「・・・・よし、これからは本隊の連中が来る前に動こう」

( ^ω^)「具体的にどうすれば良いんですお?」

川 ゚ -゚)「今の事情聴取で、高岡と親しい友人三人をリストアップしたんだ。
     今からすぐに当たっていこう。本隊が行動する前に」

( ^ω^)「把握した。まずは何処へ向かうんですかお?」

川 ゚ -゚)「高岡の一番の親友に、しぃという子がいる。その子に直接会ってみよう。
     家の場所は私がナビするから、ブーンは運転に専念してくれ」

( ^ω^)「了解ですお。じゃぁ急いで出発だお」

51 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:02:29.45 ID:DOr29HKu0

二人は急いで校舎を後にし、車に乗り込んだ。
高岡がキャンディを所持していた事には間違いはないようだが、
その入手経路、更にその流出経路がまるで見えない。

ブーンは言い知れぬ不安感に苛まれている気がした。
何かどこかがおかしい。
何がおかしいのかは、いくら考えてもわからなかった。

52 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:02:59.61 ID:DOr29HKu0

午前九時半。

クーのナビで軽快に車を走らせたブーンは、しぃの家の前に車を止めた。
何かを忘れている気がするが、なんだったのかは思い出せない。
先ほどからの不安感とないまぜになって、少し落ち込み気味だった。

川 ゚ -゚)ここか。ん?どうしたブーン。腹でも痛いのか?」

( ^ω^)「な、何でもありませんお。少し考え事をしてたんですお」

川 ゚ -゚)「ふむ、そうか。なら問題ないな。早速お友達の話しを聞いてみようじゃないか」

インターホンを押すクー。
少し間を置いて、インターホンから少女の声が流れ出てきた。

53 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:03:29.94 ID:DOr29HKu0

(*゚ー゚)『はい、どちらさまですか?』

川 ゚ -゚)「私は刑事局少年課のクーと申します。こちらにしぃさんはいらっしゃいますか?」

身分証をインターホンのカメラにかざす。

(*゚ー゚)『しぃは私ですが・・・。刑事局の方が一体何の御用ですか?』

川 ゚ -゚)「あなたのお友達で亡くなられた高岡さんについて少し覗いたいのですが」

(*゚ー゚)『・・・わかりました、ロックを解除しますので、お上がりください。』

ガチャンと音を立てて門のロックが外れる音がし、
続いて玄関から少女が姿を現した。
どこか疲れたような印象を受けるその少女は、あまり表情が無かった。
まるで仮面をかぶり、何かから自分を隠している様な印象を受ける。

(*゚ー゚)「私がしぃです。どうぞ、お上がりください」

54 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:04:00.77 ID:DOr29HKu0

しぃはそう言うとクーとブーンを家に案内した。
ごく普通の一軒屋で、いかにも中層家庭というおもむきの家である。

しぃは二人を応接間へいざなう。
二人は勧められるままに応接間のソファーに身を降ろした。

(*゚ー゚)「で、聞きたい事というのはなんでしょうか」

( ^ω^)「ちょっと待つお。自己紹介がまだだお。僕は組織犯罪対策課特別分室の
ブーンですお。そして、聴取の前に親御さんに話しを通したいお」

川 ゚ -゚)「そうだな。未成年相手だしな。ブーンにしては気が効くじゃないか」

( ^ω^)(この女・・・)

(*゚ー゚)「あの、私の両親は共働きで、今家には居ませんが」

川 ゚ -゚)「ふむ、ではご両親とは連絡が取れないのかな?」

(*゚ー゚)「携帯がありますけど、連絡しましょうか?」

( ^ω^)「そうしてもらえるとありがたいお」

(*゚ー゚)「わかりました。それでは父に連絡しますね」

55 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:04:49.23 ID:DOr29HKu0

そう言うとしぃはポケットから携帯を取り出し、父親の携帯に電話をかけた。
それと同時にブーンがクーに耳打ちする。

( ^ω^)「小学生にしてはえらくしっかりした子ですお」

川 ゚ -゚)「そうだな。日中両親が居ないから、自然とそうなったのかもしれない」

そこまで話した時、しぃは携帯をこちらに差し出してきた。

(*゚ー゚)「父です。どうぞお話しください」

クーが電話を受け取り、しぃの父親に事情を説明した。
しぃの父親は最初疑念を持っていたが、クーの的確な説明により
親不在での娘の事情聴取を受け入れた。

56 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:05:25.72 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「では聴取を始めさしてもらおう。
     まず君は高岡さんとはどういうお付き合いをしていたのかな?」

(*゚ー゚)「お付き合いって、極普通の親友でした。それがあんな事になって、
私には今でも高岡さんが家に遊びに繰るんじゃないかと思えて・・・」

川 ゚ -゚)「お互いの家を行き来していたんだね」

(*゚ー゚)「はい、親友でしたから。」

川 ゚ -゚)「では、高岡さんの家で何か見かけなかっただろうか・・・例えばドラッグなどを」

(*゚ー゚)「え?そんな・・・そんなもの高岡さんが持ってる訳ないじゃないですか。
    それに高岡さんが死んだ事と薬物に何の関係があるのですか!?」

しいは親友を侮辱されたと思ったのか、初めて感情的な側面を覗かした。

( ^ω^)「クーさん、また直球過ぎですお。もう少し順を追って聞いた方が良いですお」

川 ゚ -゚)「無駄な時間を使いたくないだけだ。それとも何かいい聞き出し方があるのか」

57 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:06:01.64 ID:DOr29HKu0

( ^ω^)「この聴取を僕にまかせてはくれませんかお?」

少しの間を置いて、クーはゆっくりと、しかし重い口調で言った。

川 ゚ -゚)「・・・わかった。ここは任せよう。本隊が来る前におわらせるんだぞ」

( ^ω^)「把握した。(絶対スルーされるとおもったお・・・意外だお)」

そんな二人のやり取りを見て、しぃは少し冷静さを取り戻したようだ。

(*゚ー゚)「あの、高岡さんの死と薬物には何か関係があるのですね。
    教えていただけませんか?高岡さんに何があったのですか」

( ^ω^)「少し辛いお話になると思うお。それでもいいですかお?」

(*゚ー゚)「はい。高岡さんに何があったのか教えてください」

58 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:06:30.76 ID:DOr29HKu0

ブーンはこの際捜査上の機密には目をつぶる事にした。
こちらが真実を話せば、しぃも事情聴取に協力してくれるだろう。

それに、高岡に薬物反応が出た事など、すぐにマスコミに流れるはずだ。
そうやって真実を知らされるよりは、今真実を話した方が傷は浅く済むかもしれない。

ブーンは拙い会話術で高岡の死因を説明した。
その薬物がキャンディである事も教え、その所持疑惑まで持たれている事を話した。

ブーンがキャンディの名前を出した時、クーは少し眉をひそめたが、
本当にこの場をブーンに任せているようで、特に口を挟む事は無かった。
この間、しぃはほとんど表情を変えずにブーンの話に聞き入っていた。
そして、ブーンの話しが終った時、おもむろに口を開いた。

59 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:07:37.91 ID:DOr29HKu0

(*゚ー゚)「それでは、高岡さんの死因はキャンディの副作用で、
     高岡さんはキャンディを複数個所持していた疑いがあると。 
そう言うことですね」

( ^ω^)「そう言うことだお。だから高岡さんのことで思い当たる事が在ったら、
何でも言って欲しいんだお」

(*゚ー゚)「わかりました。高岡さんのことですし、薬物まで絡んでいるなら
私の出来る範囲で協力させていただきます。お役に立てるかわかりませんが」

( ^ω^)「気楽にお話ししてくれればいいんだお」

61 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:08:47.48 ID:DOr29HKu0

そう言ってブーンは聴取を取り始めた。
ブーンはしぃに話し掛けるとき、常に優しく我慢強くあることに勤めた。
実際、ブーンの子供好きも事も幸いして、しぃの聴取は順調に進捗し、
大丈夫だと判断したクーは、しぃの部屋の捜索を願い出た。

一寸ためらったしぃだったが、ブーンに協力を要請され、捜索を受け入れた。
クーの姿が応接室から消えると、ブーンはしぃに無声音で語りかけた。

( ^ω^)「あの人はクールすぎて怖いですお。さっきは正直スマンかったお」

(*゚ー゚)「いえ、あの人はとても優しい人なんじゃないでしょうか。私にはそう思えます」

( ^ω^)(優しい一面なんてみたことないお・・・)

それからブーンは事情聴取を再開し、あらかた質問を終えた時、期クーが戻ってきた。
ブーンは事情聴取が終った事をクーに告げた。

62 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:09:32.51 ID:DOr29HKu0

川 ゚ -゚)「では、もう用は済んだと言う事だ。しぃさん、ご協力感謝する」

(*゚ー゚)「いえ、あまりお役にたてずに申し訳ありません」

( ^ω^)「そんな事無いお。興味深い話がいくつかあったお」

(*゚ー゚)「そうですか。何かのお役に立てれば幸いです」

そうしてブーンとクーはしぃの家を辞した。

川 ゚ -゚)「次の目的地は、高岡と頻繁に接していたヒートという少女の家だ。私がナビする」

( ^ω^)「把握した」

車に乗り込みエンジンをかけたブーンは、クーに尋ねた。

( ^ω^)「しぃの部屋はどうでしたお?」

川 ゚ -゚)「あぁ、やはり特に手懸りは無かったな。普通の女の子の部屋だ。
     そちらの聴取はどうだった?」

63 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/04(日) 16:10:11.17 ID:DOr29HKu0

クーに問われるままに、ブーンは事情聴取のあらましを話した。
しぃは高岡とは自他共に認める親友で、高岡との親交は厚かったようだ。
表情には表さないが、高岡の死にはかなり衝撃を受けていたらしい。

学校での生活態度は高岡同様いたって真面目で、薬物を所持するような節は見当たらなかった。
成績は中の上くらいで、問題などおこさない児童である。

キャンディの話しに移ると流石にその表情は歪んだものの、冷静さを失う事は無かった。
高岡が薬物中毒死したことも受け入れ、現実逃避をする事など無い。
高岡のキャンディ所持については、全く思い当たる節が無いと言うことである。

しぃの家でもキャンディと高岡の関連性は見つからなかった。
重苦しい空気が車内を満たした時、突然緊張の糸が切れた。

 

 

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