99 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:12:50.50 ID:gMLBDrAM0

その知らせは突然だった。

携帯「疾風の様に〜ザブングル!ザブングル!」

( ^ω^)「アッー、ツンだお・・・完全に忘れてたお・・・」

携帯の時刻表示は午前十時半。
本来なら今日のブーンは非番であるが、もはやそれはどうでも良くなっていた。
非番である事を忘れて捜査をしていたのだが、もっと重要な事を忘れていたのだ。

携帯「今日もさすらい涙も枯れる!」

「十時にニューソク美術館前集合」
この言葉がブーンの脳内を駆け巡る。
それは一週間前のツンの言葉であった。

川 ゚ -゚)「どうした、出ないのか」

( ^ω^)「で、出ますお・・・」

ブーンは車を路肩に止め、携帯を手にとった。

100 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:13:11.73 ID:gMLBDrAM0

( ^ω^)「もしもし、ブーンd・・・」

ξ゚听)ξ『今何時だと思っているの馬鹿ブーン!?もう一時間も待ってるんだからね!』

( ^ω^)「え、まだ十時半だお」

ξ゚听)ξ『う、うるさいわね。ちょっと早めに着いちゃっただけなんだからね。
     待たせたくなかったなんて事は無いんだからね!』

( ^ω^)(これなんてツンデレ・・・・・)

ξ゚听)ξ『今何してるのよ!?今すぐ来ないとアナルにフリスク一箱入れるわよ』

( ^ω^)「ちょ、それは勘弁だお。
     実は昨日の夜中に大事件が起こったんだお。その事件の捜査中なんだお」

ξ゚听)ξ『へー、碌な仕事も無い窓際分室のブーンさんは、私より仕事が大切なのね。』

( ^ω^)「決してそういう訳ではないお。突然事件が発生して忘れてたなんて・・・」

ξ゚听)ξ『やっぱり忘れてたのね・・・もういいわ・・・さよならバカブーン!』

( ^ω^)「あ、ちょ、待つお。ツンー!」

ブツッ、ツーツーツー

101 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:13:45.40 ID:gMLBDrAM0

( ´ω`)(完全に嫌われた上に怒られたお・・・どうすれバインダー・・・)

落ち込むブーンにクーが容赦なく言葉を浴びせる。

川 ゚ -゚)「くだらない痴話喧嘩は終ったか?落ち込んでいる暇など無いぞ。
さっさとヒートの家に行こう。本隊の連中が来る前に調べてしまうぞ」

「くだらない」――その一言はブーンの心の箍を少しゆるめた。

( ^ω^)「くだらない痴話喧嘩なんかじゃないですお!
僕にとって今の電話は大切な事ですお!」

川 ゚ -゚)「だが、今はそんなくだらない感情に振り回されている場合じゃないだろう」

( ^ω^)「僕の想いはくだらないと言いたいんですかお」

川 ゚ -゚)「私にはブーンの考えなど及びもつかないが、
今、無駄な事に時間を費やしている暇は無いだろうと言いたいんだ」

102 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:14:06.80 ID:gMLBDrAM0

クーの硬質な言葉にブーンは過剰に反応した。
今日これまでの軋轢の積み重なりが、音を立てて崩れ始めた。

( ^ω^)「無駄な事・・・無駄な事ってなんですお!」

川 ゚ -゚)「捜査に支障をきたす感情のことだ」

( ^ω^)「クーさん・・・あんた誰かを好きになった事無いんですかお。
      誰だって好きな人と一緒にいたいし、嫌われたくないですお」

川 ゚ -゚)「そうか、だったら今から行ってやればいいじゃないか」

( ^ω^)「そんなわけにはいかないですお。今やるべき事ぐらいわかってますお」

川 ゚ -゚)「それなら話が早いな。さぁ、ヒートの家に向けて出発だ。」

クーの機械的とも言える事務的反応にブーンの箍はさらにゆるむ。

( ^ω^)「アンタは人の痛みがわからないんですお。
いつもクールに振舞って、無意識に人を傷付けてるんですお!」

川 ゚ -゚)「・・・何を突然怒るんだ?私は今やるべき事を言っただけだぞ」

どこかでブーンの心の箍が外れる音がした

103 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:14:31.81 ID:gMLBDrAM0

( ^ω^)「その態度が腹立つんだお!僕らはロボットじゃないお!
      正解の選択肢をとることだけが正しい事じゃないんだお!
      アンタはいつでも冷静で正しいお!でも、でも、
アンタは気が付かないだけで、アンタはいろんな人を傷付けているはずだお。
何気ない一言が人の心をえぐる事もあるんだお!」

ブーンはそれだけを一気に捲くし立てると、ハンドルに両手をつき突っ伏した。
そんなブーンを見てクーは混乱していた。

眼前のこの男は何を怒っているのだろう。
私はそんなに悪い事を言ったのだろうか。
クーにはブーンを傷付ける事など言った覚えは無い。

川 ゚ -゚)「すまないが本当に何が言いたいのかわからない・・・。
そんなに・・・私が悪いのか?」

ブーンが深いため息をつく。
そのままの姿勢でぼそぼそとつぶやいた

104 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:14:57.33 ID:gMLBDrAM0

( ´ω`)「もういいですお・・・。今のは無かった事にして欲しいですお。
僕の問題に僕が一人で怒っていただけですお。
クーさんには関係が無いのに八つ当たりしてしまったお・・・。
申し訳なかったですお」

川 ゚ -゚)「あ、あぁ、それならいいんだ。さぁ、出発しよう」

心なしか湿度の増した車内の空気に気圧されながらも、クーは職務を果たそうとする。
ブーンはゆっくりと頭を上げ、車を発進させた。
それからはお互いの口から音が発せられる事はなくなった。

105 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:15:28.88 ID:gMLBDrAM0

午前十一時。
ブーンの運転する車はヒートの家の前までやってきた。
道中二人は終始無言であった。

川 ゚ -゚)「ここがヒートの家だ・・・が・・・。あの車はひょっとして本隊の車か?」

クーの目線の先には一台の車があった。
ブーンは見覚えのある車を見て舌打ちをした。

( ^ω^)「アレは麻薬班のジョルジュさんの車ですお。強引な捜査で有名ですお。
      でも、実績があるから皆に認められてますお」

川 ゚ -゚)「一足遅かったか・・・」

( ^ω^)「一応、捜査できるかどうか乗り込んでみますお」

106 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:16:13.32 ID:gMLBDrAM0

ブーンとクーは車を降り、ヒートの家に近づいたがその時、
ヒートの家の玄関から人が現れた。
精悍な男が二人と少女が一人。そして、少女の母らしき人物が一人。
男のうち一人がブーンに気づき、近寄ってきた。

( ゚∀゚)「なんだ、分室の坊やじゃねぇか。遅かったな。
    悪いがヒートちゃんの身柄は確保させてもらうぜ。母親共々任意で御同行だ」

見るからにガラの悪い風体で、ガラの悪い喋り方をするこの男が、麻薬班の実力者ジョルジュである。
一見粗野粗暴に感じられるが、実は細かいところに気配りの効く人物らしい。ブーンには信じられないが。

( ^ω^)「ちょ、ジョルジュさん。僕たちにも少し話をさせてもらいたいですお」

( ゚∀゚)「アーアー、聞こえなーい。そういうことだから、ま、せいぜい頑張れや」

そう言い捨てると、ジョルジュ一行は車に乗り込み去っていった。
残された二人はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、クーが沈黙を破った。

川 ゚ -゚)「ふむ、これでもう先回りの捜査は出来なくなったと考えていいな。
     これからの捜査方針を考え直さないといけないな」

107 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:16:40.79 ID:gMLBDrAM0

クーがそう言った時、ブーンの携帯が鳴り出した。

携帯「何処から見てもスーパマンじゃないスペースオペラの主役になれない」

( ^ω^)「もしもしブーンですお。室長、何の御用ですかお」

从'ー'从『ブーン君、連絡ですよー。
どうやら関係者の家にはもう本隊が入っているみたいです。
私達が割り込むには少し無理がありますよ。
一旦捜査を打ち切って部屋に戻ってきませんか?』

( ^ω^)「こちらでも確認しましたお・・・
残念ですけどこれ以上関係者に当たるのは無理っぽいのが事実ですお」

从'ー'从『作戦を練り直しましょう。クーさんを連れて戻ってらっしゃい』

( ^ω^)「了解しましたお。それでは今から戻りますお」

ブーンは携帯を懐に戻すと、クーに渡辺からの連絡を伝えた。
その目を見ることは無かったが。

108 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:17:07.45 ID:gMLBDrAM0

川 ゚ -゚)「よし、作戦会議に分室へ戻るか」

溝を残したまま、二人は分室への帰路へ着いた。
再びの車内は重い空気のままだったが、二人とも何も喋らなかった。
クーは元々必要な事以外喋らない性質だが、
おしゃべりなブーンが黙って運転している様は少々異常とも言える事態である。

二人を乗せた車は、刑事局の駐車場に向けて疾走した。

109 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 15:17:28.53 ID:gMLBDrAM0

午前十一時四十五分。

( ^ω^)「ブーン、ただいま戻りましたお」

川 ゚ -゚)「戻りました」

从'ー'从「お帰りなさい。
昼食はお弁当でいいですね。準備が出来ているから食べながら話しましょう」

渡辺がそう言ってテーブルを指す。その上には昼食の準備が整っていた。

( ^ω^)「助かりますお、室長」

从'ー'从「?どうしたのブーン君。何かありましたか?」

( ^ω^)「え・・・な・・何も無いですお。いきなりどうしたんですかお」

从'ー'从「食べ物に過剰反応しないブーン君は珍しいですからね。
    なにかトラブルでもあったんでしょう?」

( ^ω^)「な、そんな事は無いですお。さぁ、お昼ご飯を食べましょうお」

从'ー'从「それなら良いのですけどね・・・」

115 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:24:37.22 ID:gMLBDrAM0

支援ありがとうございます


三人は昼食を食べながら捜査状況をまとめた。
まず、高岡がキャンディを所持している痕跡が無かった。
しかし、ブローカーの話によると高岡はキャンディを持っていた。

ブローカーの話を信じると高岡は黒であるが、
キャンディの入手先は相変わらずわからない。

高岡の親友しぃは、ブーンが聴取した限りでは潔白の様に思える。
もう少し調べる必要がありそうだが、現時点ではそれまでだった。

渡辺によると、麻薬班本隊は高岡の親友三人の身柄を確保したらしい。
しぃ、ヒート、そして最後の一人である伊藤にはもう当たれない。
こうなってしまっては少年課の手伝いである分室は、手も足も出ない状況である。
つまり、捜査開始直後から手詰まりの状態だった。

116 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:25:36.61 ID:gMLBDrAM0

从'ー'从「うーん、手詰まり・・・ですねぇ」

川 ゚ -゚)「申し訳ありません室長。我々がもう少し迅速な捜査を行っていれば、
     ヒートと伊藤からも情報を得られたかもしれなかったのですが」

その言葉にブーンは敏感に反応し、なげやりに言った。

( ^ω^)「僕がグズった所為でご迷惑おかけしましたお」

川 ゚ -゚)「別にブーンの所為ではないぞ」

从'ー'从「やっぱり少しおかしいわねぇブーン君は。
    何かあったんじゃないの?クーさんどう?」

川 ゚ -゚)「ブーンは捜査中にフラれてしまって機嫌が悪いのだと思います」

从'ー'从「あらあら、そうだったのですか。傷心なら今日はもう戻ってもいいですよ。
    どうせ捜査は出来ないのですから」

( ^ω^)「ちょ、クーさん?僕はそんなことでは落ち込みませんお。
      僕の事なんかどうでもいいから、なんとか手懸りをさがしましょうお」

从'ー'从「まぁ、それならそれでいいのですけれど。
    それでね、手懸りは無い事は無いのですよ」

117 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:26:55.28 ID:gMLBDrAM0

ブーンとクーは渡辺の言葉に反応する。
手懸りを失った今、藁にもすがる思いであった。

从'ー'从「さっき、鑑識のヒッキー主任に掛け合ってきたのだけど、
    分室の独断でしぃさんヒートさんと伊藤さんの血液検査も行っているの。
    万が一ということもありますからね」

川 ゚ -゚)「キャンディ服用の可能性・・・ですか」

( ^ω^)「考えたくないですお・・・」

从'ー'从「気持ちはわかりますけどねぇ。私たちは疑うのがお仕事ですよ」

( ^ω^)「わかってますお・・・」

从'ー'从「それじゃ、ご飯が終ったら鑑識に行って、血液検査の結果を聞いてくださいね」

川 ゚ -゚)「把握した」(^ω^ )

120 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:27:51.71 ID:gMLBDrAM0

昼食をとり終ったブーンとクーは、鑑識課へと足を伸ばした。
鑑識課は刑事局の地下にあり、鑑識官達はモグラと呼ばれている。

( ^ω^)「分室のブーンですお。ヒッキー主任はいらっしゃいますかお?」

昼食を食べた所為かブーンの口調は軽くなっていた。
食べ物で解決できるのなら安いものである。
実際、ブーンは食べて寝るだけで、ほとんどのストレスを解消できるのだが。

(-_-)「やぁブーン君。相変わらずだね・・・」

鑑識課の奥から猫背で顔色の悪い男が現れた。
ボソボソとした口調でブーンに話かけた男こそ、件の鑑識課主任ヒッキーであった。
地底人を思わせるその顔色の悪さは、モグラという鑑識官の渾名にピッタリである。

121 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:28:37.51 ID:gMLBDrAM0

( ^ω^)「主任、キャンディ事件の血液検査の結果を教えて欲しいですお」

(-_-)「うん、まだ簡易判定なんだけど、それでもいいかい・・・」

川 ゚ -゚)「麻薬班本隊より先に情報が欲しいのでお願いします」

(-_-)「君は少年課の・・・?ふーん、これはまた変則的なタッグだね・・・」

( ^ω^)「行きがかり上仕方なくですお」

川 ゚ -゚)「仕方なく?そうか。まぁ、そうだろうな」

(-_-)「これは今からすぐに対策本部に挙げないといけないのだけども・・・
   陽性が出たよ・・・」

( ^ω^)「マジですかお!?」

(-_-)「嘘を言ってもしょうがないよ・・・
   当たりはしぃって子だな・・・
   他の二人は陰性だったよ・・・」

122 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:29:15.16 ID:gMLBDrAM0

ヒッキーの報告に愕然とするブーン。
一度話した限りでは、薬物を服用している気配すら見当たらなかった。
自分の目は節穴なのだろうか。

( ^ω^)「あの子が・・・まさか・・・そんなことする子じゃないと思ってたお・・・」

川 ゚ -゚)「決め付けはいけないな。
我々がしぃを取り調べられるように、渡辺室長に手を尽くしてもらおう。
     ヒッキーさん、その報告を上にあげるのは一時間ほど待ってくれないでしょうか」

ブーンが放心している間にクーが切り込む。

(-_-)「待てないことは無いけど・・・」

川 ゚ -゚)「ご迷惑はおかけしませんから。お願いします」

クーはそう言って二つ折りにならんかという勢いで頭を下げた。

(-_-)「君・・・そんなにしなくったって・・・
   ハァ・・・実は検査結果の照合に一時間ほどかかるんだな・・・」

川 ゚ -゚)「ありがとうございます。
     ブーン、急ごう。この時間を有効に生かすんだ」

124 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:29:50.37 ID:gMLBDrAM0

クーは放心しているブーンを引きずるようにして廊下を走った。
なんとかしぃの言質を取れれば――事態は展開するかもしれない。そう考えていた。

しかし、その考えはいとも簡単に覆されてしまう。
二人が組織犯罪対策課に戻ってきた時、更なる事件がおきていた。
会議室に人だかりが出来ている。
何事かと思い人垣をかき分けて会議室に辿り着いたクーが見た物は一面の血の海だった。

血の海の中央には、しぃが虚ろな眼差しで仰向けに倒れていた。
右手にはカッターナイフ。
周囲には麻薬班のメンバーが慌しく右往左往している。

川 ゚ -゚)「・・・何があった・・・」

126 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:30:39.02 ID:gMLBDrAM0

午後一時半。
キャンディ対策本部は喧騒に包まれていた。
二人の死者。二人とも小学生であり、同級生である。
しぃの死因は、頚動脈を切断されたための失血性ショック死だった。
会議室で待機させていた時、監視の刑事の目を盗んで、
隠し持っていたカッターナイフで自らの首を掻き切ったのだ。

ブーンは消耗していた。
結局何も出来なかった自分を責めた。
自らが取調べをしてシロだと思い込んだ挙句、被疑者に自殺されるとは。
しぃの自殺はブーンの所為ではないのだが、
今のブーンは全て自分の責任であると誤認してしまうほど動転していた。

128 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:31:23.53 ID:gMLBDrAM0

クーは事実関係を頭の中で反復し、どこかに事件解決の糸口がないか模索していた。
しかし、その思考は半ば停滞していた。どこを切り取っても不可解な事しか残らない。
それでいて、全体の事件はキャンディで結び付けられている気がする。

捜査本部も混乱していた。
局内での被疑者自殺。しかも未成年。
マスコミには緘口令を敷いているが、情報が漏れるのは時間の問題かもしれない。
しぃの保護者には呼び出しをかけた。間もなくこちらに到着するだろう。
現在は当面の捜査方針について審議している。
そんな中、鑑識よりしいがキャンディを服用していたという情報がもたらされた。
会議は益々紛糾した。

130 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:32:11.51 ID:gMLBDrAM0

( ゚∀゚)「今回の件はやはりキャンディの流れをつかまないと話になりませんなぁ。
    そしてしぃが自殺したのは薬物所持および使用の自白に等しい。
    もう一度高岡としぃの身の回りを徹底的に洗いましょうや」

ジョルジュの意見は首脳部にも取り入れられた。
結局、高岡としぃの身辺調査という、捜査の初期段階に戻ってしまう結果となった。

対策会議の後、ブーンと渡辺そしてクーの三人は分室へと引き上げた。
特にこれといった指令は受けていない。遊軍として動けという示唆でもあった。

137 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:49:22.22 ID:gMLBDrAM0

またさるさんでした。折角支援してもらってるのに申し訳ありませんorz...
>>133
把握しました。投下ペースをおとしますです。




从'ー'从「ふー、まいりましたねぇ・・・って、ブーン君。しっかりしてください」

( ´ω`)「しっかりできたらうっかりしませんお・・・」

从'ー'从「ボケも切れ味がありませんよ。しぃさんが死んで落ち込むのもいいですけど
    どこかで折り合いをつけないとこの商売は成立しませんよ」

( ´ω`)「折り合いですかお・・・。僕が初動段階で疑いを持っていれば、
こんな事態は避けられたのかもしれませんお」

川 ゚ -゚)「ブーンだけの所為ではないさ。私も事情聴取の場にいた。
     むしろ、先輩の私が気付かなかったのだから、私の落ち度だ」

( ´ω`)「どっちにしろ、助けられなかったのは事実ですお。僕には何も出来ないんですお」

川 ゚ -゚)「今回の件はもうだめかもしれな・・・」

从'ー'从「お二人ともいい加減にしなさい!」

140 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:51:08.30 ID:gMLBDrAM0

クーの発言に割って入った渡辺が、突然聞いた事も無い鋭い声で二人を叱責した。
あまりの事にブーンはビクリと身体を震わし、クーは無表情な顔をひきつらせた。

从'ー'从「貴方達はなんなのですか?刑事なのでしょう?
過去にどれだけ失敗しようとも、大切なのは今なのですよ。
今やるべき事を今全力でやる。それが我々に与えられた使命ですよ。
    それが出来ないと言うのなら・・・刑事など辞めておしまいなさい!」

渡辺の一喝に、ブーンとクーは顔を見合わせた。

从'ー'从「今のあなた達に出来る事はなんですか?落ち込む事じゃぁないでしょう?」

少しの逡巡の後、うなずき合う二人。

川 ゚ -゚)「把握した!」(^ω^ )

切り替えが早いと言うより単純と言った方が的確で、ブーンに笑顔が戻っていた。
さらに珍しい事にクーまで笑顔の様な表情を見せた。ごく微妙な表情の変化だったが。

141 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:52:39.84 ID:gMLBDrAM0

川 ゚ -゚)「室長の仰る通りです。我々にできることを、我々にしかできない事を、
     今全力でやりましょう。後ろを振り返っていても仕方ありません。
渡辺室長、ヒートと伊藤に事情を聞けるよう計らっていただけませんか?」

从'ー'从「やるべき事を探すのですね。では、私の方も何とかしてみましょう」

渡辺はそう言って分室から出て行った。局長にでも直訴するのだろう。
課長のワカンナイデスは頭が固い典型的な公務員タイプなので、期待できない。
局長は妙に庶民的でありながら威厳をたたえた人物なので、
ひょっとしたら話が通じるかもしれない。
ブーンはそんな事を考えながらポツリと言った。

( ^ω^)「僕は自分が刑事失格だと思っていましたお。
      子供だと油断して、無思慮な事に疑いもせずシロだと判断したり、
      自分の適当な願望が崩れたら落ち込んでみたり。
      全部一人相撲でしたお」

川 ゚ -゚)「それなら私も同じだ。私は少年課失格の刑事だと思ったよ。
     子供の心が全く理解できていないからな。
エゴ丸出しの独善的な人間だと、自分の事を評価していた」

142 : ◆K/ms5.N0fc :2007/03/05(月) 16:55:21.72 ID:gMLBDrAM0

二人とも憑き物が落ちたような気分だった。
一体何に捕らわれていたのだろうか。
少女達の死というショッキングな出来事が連続したが、それは二人の直接な過失ではない。
少女達の死を背負う事はあろうが、その死に捕らわれるような謂れは無い。
クーが言う。

川 ゚ -゚)「ひょっとしたら私たちは似た者同士かもしれないな」

( ^ω^)「似た者同士?・・・それはないですお」

川 ゚ -゚)「いや、考え方の問題だよ」

( ^ω^)「考え方・・・」

ブーンが答えを模索していたその時、ノックの音が響いた。

 

 

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