- それは、ほんの些細な出来事から始まった。
ξ゚听)ξ「えっと、あの本どこだっけな……」
物静かな図書館。
( ^ω^)「確かこの辺だお……」
同じ本を目指し、伸びた二人の手が、触れ合う。
ξ゚听)ξ( ^ω^)「あっ……」
ξ///)ξ「ご、ごめんなさい」
(*^ω^)「こ、こっちこそすまんお」
それが、ツンとブーンの初対面だった。
- ★
数日後…
ξ゚听)ξ「えっと、次の講義はっと……」
ツンは一人、廊下を歩いていた。
('A`)「でさ、山荘の無料宿泊券4名様分が当たったんだ」
(´・ω・`)「しかも食事つきなんだろう?」
( ^ω^)「フヒヒ、凄いお。ドクオは本当にラッキーな男だお」
(*'A`)「うへへ、よせやい」
(´・ω・`)「でも4名様なんだろ?あと一人どうするんだい?」
- ブーン達が廊下の角を曲がる。
その時…
ξ><)ξ「キャッ!」
( ゚ω゚)「アッー!」
ξ#゚听)ξ「ちょっと!どこ見て歩いてんのよ!!」
(#^ω^)「それはこっちのセリフだお!」
ξ゚听)ξ「ってアレ?あんたこの前図書館で……」
( ^ω^)「そういう君は……」
★
バスに揺られながら四人は山荘を目指していた。
ξ゚听)ξ「すみません、なんか私まで…」
( ^ω^)「気にすることないお。この前ぶつかっちゃったお詫びだお」
- (´・ω・`)「まぁ券が一枚余っただけなんだけど」
(;'A`)「言うなよ…」
バスは快適に走っていた。
バスにはツン達と、学生などが数人乗っていた。
「携帯でテレビ見るか?」
「見る見る!」
(#^ω^)「ウルサイDQNだお」ビキビキ
('A`)「無視しとこーぜ」
『次は、最近話題の連続猟奇殺人事件の続報です』
「つまんねーよ、変えろ変えろ!」
「わかってるよ!」
(´・ω・`)「静かにしないと、ぶち殺すぞ」
「ヒィィーッ」
「ズ、ズビバゼン…」
- (´・ω・`)「注意してきたよ」
(;^ω^)「す、凄いお…」
★
山に近付くにつれて、乗客は減っていった。
学生達もだいぶ前に降りてしまっていた。
バスには、もうツン達しか乗っていなかった。
「間もなくー、終点、終点です」
('A`)「さ、降りるとするか」
( ^ω^)「お疲れ様だおー」
バスが停車すると、ぞろぞろと出入口に向けて歩きだした。
ドクオ、ブーン、ショボンが乗車賃を払い、最後にツンが払う。
「この天気だと、今夜は大雪ですよー。お気をつけて」
- バスのドアが閉まる。
ツンが空を見ると、確かにどんよりとした雲が漂っていた。
ξ゚听)ξ「大雪か…」
( ^ω^)「どうかしたかお?」
ξ゚听)ξ「なんでもないです。さ、行きましょ!」
四人は砂利だらけの山道を歩いて目的地である山荘を目指した。
途中、『流石山荘まであと1km』という看板を見付け、四人の顔は疲れてドクオのようになる。
( 'A`)「まだかお…もう疲れたお……」
('A`)「しっかりしろよ、ブーン」
ξ'A`)ξ「1kmってどれくらいなのかしら…」
(´'A``)「あ、橋が見えてきたよ」
- ショボンの言う通り、目の前には橋が見えた。
木製の古びた吊り橋である。
ξ゚听)ξ「怖いわね。足場が抜けたりしないかしら」
(;^ω^)「だだだだだ大丈夫だお。ぼぼぼーぼ・ぼーぼ僕がついてるお」
('A`)「おめぇが一番怖がってんぞ」
ぐらぐらと揺れる吊り橋をなんとか渡り終え、皆は胸を撫で下ろす。
そんな時だった。
連続猟奇殺人事件
今夜は大雪
どんよりとした雲
木製の古びた吊り橋
ξ;゚听)ξ「な、なに…?」
- ツンの思考の中に、先程の出来事が文字になって現れた。
( ^ω^)「どうかしたかお?」
ξ゚听)ξ「な、なんでもないです…」
ツン本人にも何が起きたのか理解できなかった。
★
流石山荘。
フロントで少しばかりいざこざか起きる。
流石兄弟…この山荘の経営者だ。
そして、その流石兄弟に突っかかっているのは宿泊客のニダーである。
<#ヽ`∀´>「なんで起こさなかったニダ!!」
(;´_ゝ`)「いや、何も言われなかったですし…」
- <#ヽ`∀´>「最終のバスが行くとわかってれば昼寝なんかしなかったニダ!謝罪と賠償を…」
(´<_` )「代金は無料にします」
<ヽ`∀´>「そ、そうニダか?じゃあ許すニダ」
弟者の言葉に、上機嫌になったニダーはさっさと自分の泊まっている部屋に戻っていく。
(#´_ゝ`)「いきがんなよ、チョンが」
ニダーの後ろ姿を見ながら、兄者が軽く舌打ちした。
( ´_ゝ`)「だが弟者、無料にしてどうする?」
(´<_` )「昨日の宿泊代は前払いだ。返す気はない」
- ( ´_ゝ`)「では今日の分と?」
(´<_` )「飯は無料宿泊券の当たった客共のために安上がりにしてある」
( ´_ゝ`)「…あのチョンの部屋は、一日分ベッドメーキングも何もしなくていいと?」
(´<_` )「わかってるじゃないか、兄者」
( ´_ゝ`)「GJだ、弟者」
( ´_ゝ`)「流石だよな俺達」(´<_` )
そんなやりとりが終わると同時、山荘にツン達が到着した。
('A`)「こんちは、無料宿泊券が当たった者ですが」
- ( ´_ゝ`)「ようこそ流石山荘へ。何もサービスはないが落ち着いてほしい」
(#´・ω・`)「なんか僕のセリフ取られた気がするよ」
(´<_` )「冗談はさておき、お部屋にご案内します」
ツン達は弟者に案内され、部屋に向かう。
(*゚ー゚)「ねぇねぇギコ君、私達トイレも一緒だよね」
( ,,゚Д゚)「当たり前だぜ、しぃ」
ツン達と擦れ違うように、カップル客が通り過ぎた。
('A`)「羨ましい…」
( ^ω^)「ドクオにもいつか彼女できるお!安心するお!大丈夫だお!」
- ('A`)「心が篭ってない慰めありがとよ」
(´<_` )「お待たせしました。みなさんはこの四部屋をお使いください」
★
ツン達が部屋に通されたその頃…
( <●><●>)「ただいま戻りました」
( ><)「野鳥観察楽しかったんです」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」ぼいんっ
フロントに別の泊まり客の一行がやってくる。
( ´_ゝ`)「お帰りなさいませ、ごしゅ…ちんぽっぽ様、わからないんです様、わかってます様」
( <●><●>)「何を言おうとしたかわかってます」
- ( ><)「気にしない方がいいんです」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」ぼいんっ
( ><)「疲れたので部屋に戻ります、キーをください」
( ´_ゝ`)「はい、こちらです」
( ><)「大降りになる前に帰ってこれて良かったですね」
( <●><●>)「雪が降るのはわかってました」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」ぼいんっ
(//<●><●>)「そんなこと言われると照れるのもわかってました」
キーを受け取ると、ちんぽっぽ達は仲良く会話しながら部屋に戻っていった。
- <ヽ`∀´>「良いこと聞いたニダ。ウリも野鳥観察してくるニダ」
( ´_ゝ`)「はぁ、行ってらっしゃいませ」
話を聞いていたニダーは、兄者にキーを渡すと山荘を出ていった。
( ´_ゝ`)「……一生帰ってこなきゃいいのになぁ」
★
ξ゚听)ξ( ^ω^)「カンパーイ!!」('A`)(´・ω・`)
ドクオの部屋に集まったツン達。
ξ゚听)ξ「本当、ありがとうございました」
( ^ω^)「気にしなくていいんだお。どうせドクオのおかげだお」
('A`)「どうせって……」
- (´・ω・`)「でもツンさんとブーンて偶然がよく重なるよね」
('A`)「フラグ立ちすぎじゃね?」
ξ゚听)ξ「フラグ?」
( ^ω^)「口で説明するのは難しいお…いわゆるお決まりのパターンのことだお」
(´・ω・`)「それが起きると恋に落ちたり死んだりしちゃうんだよね」
('A`)「恋愛フラグと死亡フラグってヤツだな」
ξ゚听)ξ「へえ」
( ^ω^)「同じ本を同時に手に触れたり、角を曲がるとぶつかったり」
ξ゚听)ξ「あぁ、それで…」
- ( ^ω^)「ちなみに趣味は?」
ξ゚听)ξ「ネットです。ヤフオクで欲しい物落札してるだけなんですけど」
( ^ω^)「僕もネットが趣味だお!またフラグが立ったおwwwww」
('A`)「ネットっつってもお前はVIPばっかだろ」
(´・ω・`)「それなら僕達だって趣味が同じだよね」
ドクオとショボンにツッコミを入れられるブーンを見ながら、ツンは何かを思い出した。
ξ゚听)ξ「…そういえば私、そういうこと結構起こりますよ」
( ^ω^)('A`)(´・ω・`)「え?」
- ξ゚听)ξ「上京するとき新幹線で名前が同じ子と出会って」
('A`)「ルームシェアしたとか?」
ξ゚听)ξ「はい。他には前の彼氏なんかは合コンで知り合ったんですけど、同じアパートのお隣さんだったんです」
( ^ω^)「そ れ は な い…と言いたいけど、これは凄いお」
(´・ω・`)「運命的だね、そういう人生って羨ましいよ」
ξ///)ξ「そ、そんなことないですよ!なんか私酔っちゃったみたい、部屋に戻りますね」
- 顔を真っ赤にしたツンは、部屋を飛び出していった。
ブーン達のお目当てともいえるツンがいなくなり、静まり返る部屋。
('A`)「…お開きにするか」
( ^ω^)「…そうするお」
(´・ω・`)「…じゃあ、また夕食で」
★
雪は時間が経つにつれ、その激しさを増す。
<ヽ`∀´>「うぅ〜…冷える冷えるニダ…」
野鳥観察に出たニダーは、結局野鳥一羽も見付けられなかった。
<ヽ`∀´>「こんなことなら部屋に入れば良かったニダ…」
- がっくりと肩を落としながら、とぼとぼと歩く。
雪は止む気配がなく、ニダーの体を冷やした。
<ヽ`∀´>「ションベンしたくなったニダ…」
寒さで体が震え、尿意が襲う。
ニダーは立ち止まると、その場で小便をし始めた。
<ヽ`∀´>「ふ〜…ジョロジョロ出るニダ」
湯気を出す小便を見つめるニダー。
何も考えていないで、ただ終わるのを待っている。
そんなニダーに、黒い影がゆっくりと近付いていた…。
★
時刻は夕食時になり、食堂に宿泊客が集まりだす。
- (´<_` )「今日はバイキング形式になってまーす。お好きにお取りくださーい」
弟者が客達に声をかけていく。
( ^ω^)「バイキング大好きだおwww」
ξ゚听)ξ「よく行くんですか?」
('A`)「まぁこいつの場合は食べ放題だからだがな」
ツン、ブーン、ドクオは揃って料理を取りに行く。
(*゚ー゚)「ギコ君、私がこれがいいなぁ」
( ,,゚Д゚)「俺もこれにしようと思ってたぜ」
(*゚ー゚)「嬉しい。じゃあ席に戻ったらあ〜んしてあげるね」
- 先に料理を選んでいたしぃとギコは、料理を取り終えると仲良く寄り添って席に戻っていく。
( ><)「なんか味が薄い気がします」
( <●><●>)「手を抜いたのはわかってます」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」ぼいんっ
別のテーブルでは、ちんぽっぽ達が食事をしていた。
(´・ω・`)「ごめん、お待たせ」
('A`)「遅いじゃねーか」
(´・ω・`)「すまない、ちょっと散歩してきたんだ」
ξ゚听)ξ「雪大丈夫でした?」
(´・ω・`)「たいぶ降ってきたよ、ほら」
- ショボンが窓を指差す。
窓の外縁にはだいぶ雪が付いており、大雪になりつつあった。
(;´_ゝ`)「弟者…」
(´<_` )「どうした?兄者」
(;´_ゝ`)「あのチョンが帰ってこない」
(´<_`;)「迷ったか?外はもう大雪だぞ…」
(;´_ゝ`)「仕方ない。一応は客だ、探してくる」
(´<_`;)「任せた」
ヒソヒソと会話する流石兄弟の顔は、焦りに滲んでいた。
兄者はそんな表情のまま、食堂を出ていく。
そのやりとりをツン達は遠くで見ていた。
( ^ω^)「何かあったのかお?」
- ('A`)「さぁな。どうせ俺達には関係ねーよ」
(´・ω・`)「さっさと食べて部屋に戻ろうか」
ξ゚听)ξ「そうですね」
★
ますます激しさを強めていく雪。
ニダーを探しに出た兄者も、その雪の激しさに見回れていた。
(;´_ゝ`)「あのチョン、迷惑ばかりかけやがる…」
雪が積もりつつある地面を踏みしめ、兄者は先を進んだ。
夜ということと、この天気ということが合わさって、視界はかなり悪い。
懐中電灯をつけていても、足元を照らすのが精一杯だった。
(;´_ゝ`)「…行き違いになったかもな」
- 兄者の中に、半ば諦めのような感情が芽生える。
山荘に帰ろうと、立ち止まった。
( ´_ゝ`)「ん?」
照らされた足元に、何かを発見する。
それは、紛れもない人の手だった。
恐る恐る、照らす場所を移動させていく。
そして…
<ヽ`∀´>「……」
(;´_ゝ`)「!! し、死んでる……」
★
しぃとギコの部屋。
夕食を食べ終わった二人は、部屋に戻っていた。
( ,,゚Д゚)「は、早くしようぜ」
(*゚ー゚)「駄目、シャワー浴びてくるからちょっと待ってて」
- ギコはすでに臨戦体勢。
しぃもまんざらでもない様子だ。
浴室に向かうしぃを名残惜しそうに見送り、ギコは早くしぃが戻ってこないかと待つ。
シャワーの音が聞こえてきた。
(*,,゚Д゚)「しぃの裸ハァハァ」
なんてことを思わず想像してしまう。
そんなギコがいるベッドに、足音が近付いてくる。
( ,,゚Д゚)「待ってたぜ!し…ぃ……」
まだ、シャワーの音は浴室から響いていた…。
★
(*゚ー゚)「るんるんるるーん♪」
鼻唄混じりに、全身を洗うしぃ。
- (*゚ー゚)「ギコ君と初めてのセックスだぁ…緊張するなぁ」
口ではそう言っているが、心はもうそのことでいっぱいである。
「……」
(*゚ー゚)「ギコ君?まだ駄目だよ、ちょっと待ってて」
カーテン越しに人影が映った。
(*゚ー゚)「もう、ギコ君はエッチなんだからぁ」
恥ずかしいが、嬉しかった。
(*゚ー゚)「ギコ君?」
しかし、そんな気持ちも、段々と薄れた。
カーテン越しの人影は、一言も喋らない。
(*゚ー゚)「ねえ…どうかしたの?」
- 返事はない。
その直後、カーテンが勢いよく開かれた。
(;゚ー゚)「キャアアアアア!!」
叫び声は、シャワーの音に掻き消される…。
★
兄者がニダーを探しに出てから数時間。
(´<_`;)「兄者…」
ニダーはおろか兄者すら戻ってこない状況に、弟者は不安を募らせた。
(;´_ゝ`)「い、今戻った…」
ドアを激しく開き、顔面蒼白の兄者が戻ってくる。
その顔が、寒さで血の気が退いたわけでないのだと、弟者はすぐに気付いた。
(´<_`;)「ど、どうかしたのか?」
- (;´_ゝ`)「あ、あの客…死んでた」
がちゃがちゃと玄関の鍵を閉めながら、兄者が言う。
(´<_`;)「そんな…」
(;´_ゝ`)「しかも殺されてたんだ…と、とにかく警察に電話しろ」
(´<_`;)「わ、わかった…」
弟者は受話器を持ち、ボタンを押す。
だが…
(´<_`;)「繋がらない……」
(;´_ゝ`)「なんだと……」
(´<_`;)「この雪で電話線が切れた…?」
(;´_ゝ`)「わからん…そうだ、お前は客を呼んできてくれ。俺は戸締まりを確認してくる」
(´<_`;)「は、把握」