93 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:05:54.25 ID:4V7XNvxn0

立派な手帳開けるとそこには文字の羅列があった。

               ( ^ω^)

おいすー。余命○○のブーンだお。
まじでやっかいだお、後○○で死んでしまうなんて。
こんな軽い口調だけど内心びくびくだお。でもこの書き方だととても書きやすいんだお。
実際は怖くてしょうがないお。
でもこう書くと他人事のように思えてペンが進むんだお。
現実逃避キタコレ。
ところで今日は、何で音楽を聴くか考えてみたお。
唐突なのはごめんちゃい。
ブーンは音楽聴くのは好きだお。
大声で歌ってカーチャンに聞かれたこともあったお。
ものすごい恥ずかしかったお。
歌ってる途中で何か言ってくれればよかったのに。
まじファックだお。ファックファックマザーファック。
 

94 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:08:39.06 ID:4V7XNvxn0

話が脱線したお。
音楽を聴いた後なんとなく気持ちいいんだお。
自分がドラマの主人公になったかの様な気分になるお。
でもそこで考えたお。音楽を聴いてる途中と終わった後の違いはなんだろうって。
ところでブーンは富士山に登ったことがないお。
多分これから登ることはないんだお。
だってブーンは死ぬからだお。
怖いお、怖いお、死にたくない、死にたくないお
誰か助けてお、怖いお、怖いお、助けてくれお
 

95 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:10:38.29 ID:4V7XNvxn0

また脱線したお。
富士山なんだけど登る人は何で登るのかな?
登ること自体が楽しい?見える景色が美しいから?
なんとなく音楽聴くことに似てるお。
このことが気になってしょうがないお。
だからブーンは登ってみることにしたお。
頂上はいけないけど、やってみることにしたお。
 

96 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:15:52.52 ID:4V7XNvxn0

トーチャンの話を聞いて1週間がたった。
今ではもう普通の日常に戻ったようだ。
ただ変わったことは夕方にクーが訪ねてくることと、大学を休んでること。


川 ゚ -゚)「おじゃまします。ブーン君のカウンセリングに来ました。」

毎日同じ時間に聞こえる声。
今日こそ、ある話をクーに認めてもらおうとする。

( ^ω^)「きたお、早速部屋へいくお。」

 

97 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:20:13.09 ID:4V7XNvxn0

自分の部屋へと急かすブーン。
そこにカーチャンの声が聞こえてきた。

J( 'ー`)し  「ブーン、クーさんに変なことしちゃだめよ。」

( ^ω^)「ちょwwしねーお。」

まだちょっと、会話にぎこちなさが残っているが1週間前と比べて
だいぶ意思の疎通ができている。
軽口を叩いた後ブーンとクーが部屋に入る。

川 ゚ -゚)「さて、今日もあの話かな?」

( ^ω^)「そうだお、早く認めてほしいお。」

 

99 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:25:08.04 ID:4V7XNvxn0


あの話とは数日前のカウンセリングで話したこと。

川 ゚ -゚)「ブーン君、君は小さいころ何か夢はなかったか?」

それはこの一言から始まった。
半年病の人間にできることは限られる。
しかし、半年という期間はある程度のわがままが許される期間でもある。
家族を含め自分以外の皆が自分のやることに反対をしない。
無論、他人に迷惑をかけないという前提条件で。
だから、半年病患者は小さいころ夢だったことを叶えようとする人が多い
残された時間を有意義に使うため。
残る悔いを少しでも減らすため。

小さいころの夢を覚えていたブーンは率直に話す。

( ^ω^)「小さいころ僕は空を飛びたかったお。
       パイロットになりたかったお。」
 

100 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:28:11.20 ID:4V7XNvxn0

そうは言ったものの、子供みたいな夢だなと思い顔を赤くした。
普通なら笑うだろう。その子供臭い夢を。しかしクーはまじめに言った。

川 ゚ -゚)「そうか、パイロットか。
     何でパイロットになりたいと思った。」

笑う素振りをまったく見せず、追求してきた。
そのときブーンは思った。
この人は自分のやること、考えていることを笑ったり嘲笑したりしないと。
だからこそ自分はこの人に何でも喋るのだと。
それがわかってブーンは嬉しかった。
本物の理解者が現れた。正確には理解しようとするもの。
それ以来クーにはなんでも喋るようになった。


101 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:31:23.17 ID:4V7XNvxn0

川 ゚ -゚)「さて、また空を飛びたいという話しか?」

( ^ω^)「そうだお。諦め切れないお。」

ブーンは空を飛ぶのが夢だった。
小さい頃、空を飛ぶ機械を見ていつか絶対に乗るんだと誓ったりもした。

川 ゚ -゚)「前も話したがそれは不可能に近い。
     ブーン君も知っているだろう。
     ジャンボジェットをハイジャックして数百人道ずれにした話を。」

そう、半年病患者が事件を起こしてから世間は事故に過敏になった。
特に飛行機。いつあの惨劇が繰り返されるかもしれない。
人は少数では弱者に優しいが、多数になると途端に冷たくなる。
もっとも、これは仕方のないことだ。秤にかけたら誰しも多数の人間を守ろうとする。
 

102 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:33:56.31 ID:4V7XNvxn0


ブーンはネットで飛行機免許取得について調べていたが
どこも半年病患者はお断りだった。
ウルトラライトプレーンというスポーツ要素的な航空機もあったが
これもまた半年病患者はお断り。
クーに諦めろと言われているがどうしても諦められない。
しかし、腹は立たない。
クーの言うことはいつも現実的ですべてブーンのためだから。


 

103 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:38:11.03 ID:4V7XNvxn0


( ^ω^)「大丈夫だお。考えが変わったお。
     なんで、空を飛びたいかをこの2、3日考えてたお
     たしかに僕は空を飛ぶことに憧れてたお。
     でもそれはスタート地点だったんだお。
     僕は空を飛ぶ飛行機を見て素直にすごいと思ったお。
     こんな感動を与えてくれる人はすごいと思ったお。
     僕は飛行機に乗って他の人に自分のような感動を与えたかったんだお。」

ブーンは自分でも恥ずかしいことを言ってるなと感じている。
けど相手がクーなら何でも話せた。
どんな馬鹿げたことでも話の筋さえ通っていれば
子供っぽいだの、考えが浅いだの言わず一緒に考えてくれた。
 

105 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:41:22.63 ID:4V7XNvxn0


クーは話を聞き頷く

川 ゚ -゚)「成る程。それなら問題はないな。
    でもどうやって実現させる?」

あくまでも現実的な話をするクー。
むしろ現実的に話してくれないとブーンの夢は前に進まない。
そのことをよく知っているのでブーンは
どうやって実現するかの青写真を日記に書いていた。

( ^ω^)「これを見てくれお。」

 

106 名前: 映画館経営(愛知県)[] 投稿日:2007/03/13(火) 20:43:37.83 ID:4V7XNvxn0

そう言って日記のあるページを見せる。
クーはそれを熟読する。そして口元を緩ませこう言った。

川 ゚ ー゚)「いいじゃないか。
      これなら、君の夢は叶うんじゃないか。」

日記を見てクーのOKがでる。
ブーンはより現実的なものとするためクーと計画を練りこむ。

 

 

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