140 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:26:29.16 ID:sHzD4bnL0

('A`) 「何だブーンのやつ。ショボン家来いって。」

(´・ω・`)「さあでも、今まで携帯にも出なかったし何か考えがあるんじゃないの。」

('A`) 「サプライズパーティーか?そいつは楽しみだな」

ショボン家で待つ二人。
この家は大きなガレージがある。
ブーンが呼び出したのはそのため。
少し時間が立ち暇をもてあますドクオの携帯が震えた。

( ^ω^)}「おいすー。今着いたお。
      ガレージのほうに来てくれお。」

用件だけ伝えるとすぐに電話をきる。
これからすることに緊張していた。
今日伝えるのだ。自分の夢を、そして半年病を。
もしかしたら残念な結果に終わるかもしれない。
でも、行動しなければ結果は出ない。
どうせ死ぬんだ、やらなければ。


141 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:31:32.80 ID:sHzD4bnL0


('A`) 「よお、久しぶりだな。」

(´・ω・`)「やあ、久しぶり。
     ちょっとやつれた?」

( ^ω^)「おいすー、久しぶりだお。」

簡単な挨拶をしてガレージ内に入る三人。
ショボンがスイッチを押し照明をつける。

('A`) 「まったく何の用なんだよ。この前俺をシカトしたくせに。
    そういう悪い子は地獄へいっちゃうぞ。」

軽口を叩くドクオ。しかし15分後には彼はそのことを後悔する。

( ^ω^)「今日は重要な話があるお。
       まずこれを見てほしいお。」

そういって持参のノートパソコンの電源を入れある動画を見せる。

 


142 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:34:06.40 ID:sHzD4bnL0


(´・ω・`)「なんだ、鳥人間コンテストじゃないか。
     それがどうかしたの。」

('A`)  「それか、そういやここ数年見てねぇな。
     なんか詰まんなくなっちまったんだよな
     同じようなものばっかり出てさ。」

思い思いのことを口にする二人。
この動画を見せ終わった後ブーンが演説調で喋りだす。

( ^ω^)「ドクオの言った通り最近の鳥人間コンテストは面白くないお。
      僕は空を飛ぶのが小さい頃の夢だったけど
      最近は鳥コンを見てもぜんぜん心が動かないお。」

ブーンがくるくると歩き回り数秒の沈黙の後また喋りだす。
 


143 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:37:15.21 ID:sHzD4bnL0


( ^ω^)「なぜ心が動かないか?
      はいショボン君、答えて。」

(´・ω・`)「やっぱりドックンの言う通りじゃないの。
     同じような機体ばっかだし
     常連チームが出てるだけだもん。」

ここまで言ってドクオとショボンは気づき始め
ブーンがこれから言うことの予想が大方ついた。

( ^ω^)「その通り。
      初期のころは空を飛びたいものが集まるお祭りだったお。
      それが今では常連による記録を伸ばすだけの大会になってしまったお。
      それが悪いとは言わない。限界に挑戦することは決して悪くない。
      でも、面白くないんだお。ドキドキ感がなくなったんだお。
      飛びそうにない機体が飛んだり、飛びたいと思ってる人が飛べなかったりと
      そんな人を応援したりすることがないんだお。
      そんな感動がなくなってしまったんだお。」


146 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:43:01.95 ID:sHzD4bnL0


また黙り持ってきた鞄から大き目の紙を取り出し
そして、その紙を広げ宣言する

( ^ω^)「しかーし、その感動を取り戻すため」


少し間をおき、息を吸い込む


( ^ω^)「僕たちでチーム組んで出場するお。」


取り出した紙は、空と飛行機の絵。大会出場用紙だ。
絵本に書いてあるような郷愁を誘う絵だった。
ブーンはさらにもう一枚紙を取り出す。
自分で書いた飛行機のデザインだ。
これもまたレトロチックで郷愁を誘うデザインだった。
飛行機の絵に文字が小さく書いてある。
ホライゾン号と。

149 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:49:32.47 ID:sHzD4bnL0


ひとしきり笑った後、少し申し訳なさそうな顔をするショボン。
ドクオから反省のそぶりはまったく見られない。
二人を説得するため、また鞄から封筒を取りだす。
半年病の診断書だ。

( ^ω^)「これ見てくれお。」

診断書をみてドクオが口を開く。

(;'A`)   「これは笑えんぞブーン。」

さっきまで大笑いしていたのが嘘のようだ。
ドクオはこの診断書が本物かどうか判断がつかない。
しかし、ブーンが語っていたのはこれが原因だとしたらありえる話だ。
だが、急に見せられても信じるのは難しい。
むしろ信じたくない、さっきまで大笑いしていたから。
だから、ドクオは半年病自体を冗談にしようとする。

(;・ω・`)「そうだよブーン。これはやりすぎだよ。」

ショボンも同じだ。日常を守るため、冗談にしようとする。
二人はブーンの真意をはかろうと顔を見つめた。
 

150 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:52:35.32 ID:sHzD4bnL0


( ^ω^)「本当なんだお……」

一言だけ告げるブーン。
二人は診断書を見ても本物としか思えない。
またブーンの顔を見ても本当のようにしか見えない。

沈黙が支配する中ブーンが話し始める。

( ^ω^)「僕は半年病にかかったお。
      発覚したのはドクオを無視した日だお。
      いままで、連絡しなかったのは申し訳ない。
      でも、自分が死ぬなんてなかなか受け入れられなかったんだお。」
 

152 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:56:55.65 ID:sHzD4bnL0


ドクオとショボンは黙って話を聞き続ける。

( ^ω^)「僕は死ぬんだお。間違いないお。
      でも時間はまだあるお。その時間を使って夢を叶えたいんだお。
      けど僕は叶えられないお。だって今度の鳥コンは半年以上先だお。
      僕はその時もう、ここにはいないお。
      だからといって諦めるたくないんだお。やってみたいんだお。
      二人にお願いするお。一緒に僕の夢をかなえてくれお。」

淡々と話すブーン。
人はこういった話に弱い。条件反射的に涙を流す。
ショボンはもう泣いていた。

(´;ω;`)「わかったよ、手伝うよ。
     ブーンの夢をかなえるよ。」

 

153 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 13:59:18.93 ID:sHzD4bnL0


簡単に同意するショボン。
泣いているショボンに対し冷静なドクオが話す。

('A`)  「あー、ブーン。
     お前それが脅迫に近い行為ってわかってる?」

いつも冷めているドクオが、この日はより冷たい口調で言った。

(´;ω;`)「ドクオ、そんな言い方はないよ。」

('A`)  「いや、お前はちょっと黙ってろ。
     普通そんなもん見せられちゃ断れねぇだろ
     今のショボンみたいによ。
     そのへんがわかってんのか、って聞きたいんだよ。」
 

154 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 14:02:02.97 ID:sHzD4bnL0


その通りだった。
半年病の診断書を見せるのは、黄門様の印籠を見せるのと同じ効果だ。
ドクオの言葉にブーンは自分の言葉をぶつける。

( ^ω^)「わかってるお。
      これさえ見せれば大概の人は僕のわがままを聞いてくれるお。
      だって死にいく人の頼みなんて断れないお。
      でも、僕は別にドクオが断ってもかまわないお。
      半年病じゃなかったら多分ドクオは断ってるお。
      だから僕に遠慮する必要はないお。」

半年病と発覚したときとは較べものにならないくらいの意見を言うブーン。
 

156 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 14:04:12.58 ID:sHzD4bnL0

ドクオはそれを聞いてから話し出した。

('A`)  「いや、それがわかってりゃいいんだよ。
     チーム組んでからことあるごとに
     半年病を理由にわがまま言われちゃなにもできなくなるからな。」

(´;ω;`)「ドックンそれじゃ…」

('∀`)  「ああ、面白そうじゃねぇか。
     実は俺こういうのに憧れてたんだ。
     でも、いつも斜に構えてっとなんだか自分からやろうって
     言い出せなかったんだ。」

二人の了解が取れる。
ブーンはまず第一段階を登ったと感じた。

158 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 14:07:54.51 ID:sHzD4bnL0


('A`)  「あと、もう少し言うとあれだかんな、今、俺笑ったけどな
     ブーンが半年病に罹ってくれて嬉しいってワケじゃないんだ。
     半年病はきっかけに過ぎない。
     自分じゃ言い出せなかった、こんなチャンスくれたことが嬉しいんだ。
     ありがとなブーン。」

照れくさそうに言うドクオ。
チームがここに結成され、喜ぶブーンとショボン。
ただドクオがある部分に突っ込む。

('A`)  「ところで金はどうするんだ。とりあえず金がなくちゃ話にならんだろ。」

 

159 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 14:11:30.34 ID:sHzD4bnL0


当然の話、お金がなければ何も買えない。
お金がなくて買えるのは同情ぐらい。
しかし、お金に関して心配はなかった。
トーチャンがブーンに二百万円を渡していた。

( ^ω^)「それは心配ないお。トーチャンが好きに使えって、くれたお金があるお。
       二百万円あるから多分大丈夫だお。」

('A`)  「そうか、ま、十分だろうなそれだけありゃ。
     それともう一つ。機体の名前それで行くのか。」

ブーンが描いた絵についてドクオが聞く。

( ^ω^)「そうだお。ホライゾン、希望って意味だお。」

(;'A`)  「直球過ぎてなんか微妙だろそれ。」

ドクオが個人的な感想をつげる。

(;^ω^)「だめかお?」

 

160 名前: 鉱夫(愛知県)[] 投稿日:2007/03/14(水) 14:12:54.17 ID:sHzD4bnL0


死にゆくブーンにとってこの名前はあまり変えたくなかった。
なぜなら、死が確定しているブーンの、心の支えであり希望だから。
そこへ、会話に入ってこなかったショボンがペンを持ってきて
ホライゾンと書いてある左に、文字を付け足す。




内藤ホライゾン



そのシュールさにブーンとドクオが爆笑する。

('∀`)  「なんだよこれ
     意味わかんねぇよ。」

( ^ω^)「おっおっおっ
      でもなんか語呂がいいお、気に入ったお。」

(´・ω・`)「何で笑うの?
     かっこいいのに。」

こうしてブーン達がはその日、夜遅くまで今後どうするかを語りあった。

 

 

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