2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:01:11.53 ID:leANquUU0
天国が、綺麗で美しいというのは、ただの幻想
天国の存在は、事実
ーーー某所 コンビニーーー
ξ゚听)ξ「金だしなぁ!」
(;^ω^)「ひ、ひぃ!」
深夜の人気のないコンビニ
そこに現れた若い女が、突然店員にナイフを突きつけた
ξ゚听)ξ「金だせって言ってるのよ・・・はやく!」
(;^ω^)「わ、わかったお・・・」
店員・・・ブーンは従うフリをしてレジの引き出しを開けた。
( ^ω^)(相手は女だお・・・ここでおめおめとお金を渡してたら男としての面子が丸潰れだお・・・)
ξ゚听)ξ「・・・早くしてよ!」
(;^ω^)「は、はい。ただいま・・・・」
・・・
その一瞬、ブーンは隙をついた・・・つもりだった
( ゜ω゜)「フウウウウオオオオオ!」
ξ゚听)ξ「!!」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:02:53.10 ID:leANquUU0
雄叫びと共にブーンはその女に猛然と飛びかかった。
( ゜ω゜)「お!」
ξ゚听)ξ「きゃ!・・・・この・・・ッ!」
だがしかし、
元々それほど運動神経も力もないブーンが飛び掛ったところで、その女をおさえつけることができるはずもなく。
ξ゚听)ξ「くっ!」
女がナイフを振るう。
それは見事に、ブーンの胸に・・・深々と突き刺さった。
( ゜ω゜)「お・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・あ・・・」
ブーンはその場にうつ伏せに倒れた。
( ゜ω゜)(・・・痛い・・・お・・・)
彼が最期に聞いたのは、遠ざかるせわしない足音だった。
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:04:09.56 ID:leANquUU0
ーーー某所ーーー
そこは、白い壁に囲まれた大きな部屋だ。
中にはいくつもの電子機器のようなものが設置されている。
多くの人々が画面を見、熱心にキーボードらしきものを叩いていた。
(*゚ー゚)「・・・・・・・」
???「・・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・・・あ。」
座って作業をしている一人の女が小さな声を上げた
???「・・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・・・・・」
???「・・・どうした」
隣に座って同じように作業している男が尋ねる。
(*゚ー゚)「・・・間違えた」
???「・・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・・・・・」
???「・・・ま、一人ぐらい、いいだろ」
(*゚ー゚)「・・・そうよね・・・いいわよね」
???「・・・いや、やっぱダメだ」
(*゚ー゚)「・・・・・・そうよね、やっぱりダメよね」
(*゚ー゚)「逝ってくる 仕事、頼んだわよ」
???「あぁ、気をつけて逝ってこい」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:05:01.66 ID:leANquUU0
ーーー某所ーーー
( −ω−)(・・・・・・)
???「おい、そこの」
( −ω−)(・・・・・・Zzz)
???「・・・はぁ、まだ気絶してんのか」
( ^ω−)「・・・お?」
???「お、起きたか」
( ^ω^)「ん・・・ここはどこだお?」
( ^ω^)(僕は・・・死んだんじゃないのかお?)
彼は路上に仰向けに寝転んでいた。
見たことも無い場所・・・全体的に黒の風景。
黒色の町並み。星の無い夜空・・・
???「おはよう、新参」
( ^ω^)「・・・おぉ?」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:07:42.02 ID:leANquUU0
( ゚∀゚)「・・・ここに現れるとはな・・・」
彼のそばに、人らしきものが立っていた。
( ^ω^)「君は・・・誰なんだお?」
ブーンは上体を起こしつつ、尋ねた
( ^ω^)(どこかで見たような気がするお・・・)
( ゚∀゚)「俺はジョルジュ。よろしくな」
( ^ω^)(・・・・・・)
( ^ω^)(・・・あれ?僕は・・・)
(;^ω^)(死んだんじゃなかったのかお・・・?)
彼の記憶では間違いなく。
彼は女にナイフで刺されて死んだはず。
(;^ω^)(それなのに何故・・・何故、自分は生きているのだろお・・・?)
( ゚∀゚)「あぁ、混乱してんのか?」
錯乱するブーンを見通したようにジョルジュが言った
( ゚∀゚)「まぁ混乱するよな・・・俺も、最初はそうだった」
(;^ω^)「こ、ここは・・・ここは、どこなんだお?」
( ゚∀゚)「あー、そうだな・・・」
( ゚∀゚)「多分、天国だ」
(;^ω^)「・・・・・・は?」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:09:20.25 ID:leANquUU0
( ゚∀゚)「・・・・・・ん?」
(;^ω^)「ん?じゃないお。何言ってんだお?中二病かお?」
( ゚∀゚)「・・・あー・・・」
(;^ω^)「冗談じゃないお。僕は帰るお」
( ゚∀゚)「どこに?」
(;^ω^)「まだバイトの時間なんだお・・・ほら、まだ11時20分だお」
( ゚∀゚)「どうやって?」
(;^ω^)「・・・・・・・・・・・」
( ^ω^)「ここは、どこなんだお?」
( ゚∀゚)「だから天国だって」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・はぁ、しかたねぇな。ま、最初は誰だってそうだよな」
( ゚∀゚)「新参のお前に俺が簡単に説明してやるよ、いいか?ここはな・・・」
ジョルジュが話し始めたその時
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:10:39.18 ID:leANquUU0
それまで静寂を保っていた街に、突然野太い叫び声が聞こえました
そしてそれに続く、何度かの銃声
( ゚∀゚)「・・・チッ・・・始めやがったのか・・・!」
( ^ω^)「ちょ、ジョルジュ!」
( ゚∀゚)「なんだよ!つかいきなり呼び捨てか」
( ^ω^)「なんで天国に銃声が響くんだお!?」
( ゚∀゚)「そういう天国なんだよ!・・・チッ、ほら、逃げるぞ」
( ^ω^)「お、おーぉぉぉ・・・」
ジョルジュはブーンの襟首を掴み、銃声が響く方向とは逆方向へと走り出した・・・
( ^ω^)(わけわかんないお)
・・・
・・
・
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:11:42.06 ID:leANquUU0
ーーー天国? 廃墟ーーー
ジョルジュがブーンつれていった先は、ボロボロの小屋・・・廃墟のような場所だった
( ゚∀゚)「・・・ま、適当に座れや」
(;^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・」
ブーンは肩で息をしながら座れそうな場所を探し、やがて木材の上に座った
( ゚∀゚)「にしても・・・あいつらも飽きないよな・・・」
( ^ω^)「・・・色々説明して欲しいお」
( ゚∀゚)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「お前、死んだことは覚えてるよな?」
( ^ω^)「・・・覚えてるお」
( ゚∀゚)「どんな死に方したんだ?」
( ^ω^)「・・・コンビニでバイトしてたら、強盗に脅されて・・・抵抗したら・・・ナイフで」
( ゚∀゚)「そりゃぁ、運の悪い死に方したもんだ・・・っと、悪い。お前の死に方なんざどうでもいいんだ」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:13:54.68 ID:leANquUU0
( ゚∀゚)「ここは多分死後の世界だ」
( ^ω^)「死後の世界・・・」
( ゚∀゚)「だから天国。その証拠に、ここではいくら動いても腹は減らねえし喉も乾かねえ・・・ま、食いもん自体無いんだけどな」
( ゚∀゚)「それに、眠くもならねえよ」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)(そういえば・・・眠気が無くなったお・・・)
( ゚∀゚)「まだ信じられないか・・・ま、仕方ねえよな」
( ^ω^)「さっきの銃声はなんなんだお?」
( ゚∀゚)「あぁ、あれは・・・」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:15:20.42 ID:leANquUU0
( ゚∀゚)「ここに来る奴は・・・なんでか知らんが、どいつもこいつも気の狂った連中ばっかりなんだよ」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「殺人犯、死刑囚、自殺者・・・ロクな奴がいねえ・・・まぁ、そういう奴らの集まりだから、ああやっていざこざも起こるってわけよ」
( ^ω^)「・・・お前も、狂った奴・・・なのかお?」
( ゚∀゚)「・・・そうか、お前ぐらい若いと、俺のこと、しらねえのか」
( ^ω^)「え・・・・・・」
少しだけ、ジョルジュの顔つきが変わった気がした
( ゚∀゚)「ま、今は気にするな・・・そのうち、わかるだろうさ」
( ゚∀゚)「あぁ、ちなみに、ここでは歳もとらねえぞ」
理解できないことが多すぎる・・・そう思いながらも
ブーンは目の前の現実を受け入れるしかなかった。受け入れる以外の選択肢が無かった
だから、ブーンは無理矢理に納得することにした
ここが、生きている人たちが憧れる天国なのだ、と
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:17:13.14 ID:leANquUU0
ーーー天国 路地ーーー
???「はぁ・・・どこ行ったニダ!あいつだけは許さんニダァ!」
???「落ち着いてくださいニダーさん」
<ヽ`∀´> 「落ち着いてられないニダ!アイゴーーーーーーー!」
(´・ω・`)「・・・はぁ、疲れる人だ」
路地に立つ二人の男
エラの張った目の細い若者と、小柄な青年
どうやらエラ男・・・ニダーが、小柄な男・・・しょぼんの兄貴分らしい
(´・ω・`)「にしても・・・」
(´・ω・`)(死刑になって・・・もう人生辞められると思ったのに、何で俺、またこんなとこで生きてるのかな・・・)
<ヽ`∀´> 「あー、ムシャクシャするニダ・・・しょぼん!博打やりにいくニダ!」
(´・ω・`)「あ、はい」
<ヽ`∀´> 「・・・あの女、次出会った時は必ず殺してやるニダ・・・」
(´・ω・`)(・・・この人みたいに何も考えなかったらいいんだろうか・・・)
(´・ω・`)(はあ・・・)
(´・ω・`)(こんなところなら、地獄の方がましだっての・・・)
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:18:15.79 ID:leANquUU0
ーーー天国 雑居ビルーーー
古びた雑居ビル
そこに駆け込んだ女が一人
せわしなく階段を上って、二階の扉を開く。
川゚−゚)レ「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
そこでやっと、扉を背にしてへたりこんでしまう
???「お帰り・・・クー」
部屋の中は荒れ放題だった
その中の小さな寝台。
そこに、一人の若者が横になっていた
川゚−゚)レ「・・・弟者」
(´<_` )「どこに・・・いってたんだ・・・?」
やつれた姿をした男・・・か弱く微笑み、クーを見つめた
川゚−゚)レ「薬をな・・・もらってきた」
(´<_` )「あぁ・・・」
男はまた・・・か弱く微笑んで、小さく咳をした
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:26:18.50 ID:leANquUU0
川゚−゚)レ「・・・どうなんだ?調子は」
クーがカプセルを手渡す
弟者は水も使わず・・・そもそも、水が無い・・・それを飲み込んだ
(´<_` )「あぁ、元気だよ・・・元気、だ」
川゚−゚)レ「・・・嘘が下手すぎるぞ」
(´<_` )「・・・うるさいな」
川゚−゚)レ「にしても・・・何故こんな場所で病気になるのだろうな」
(´<_` )「さぁ・・・神様に見放されたんじゃないかな」
川゚−゚)レ「・・・・・・」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:29:27.68 ID:leANquUU0
川゚−゚)レ「確か君は・・・自殺・・・」
(´<_` )「そうだよ・・・俺と兄者は自殺した」
川゚−゚)レ「・・・そう、か」
川゚−゚)レ「ところで・・・兄者さんは?」
(´<_` )「・・・まだ帰ってこない・・・ね」
川゚−゚)レ「・・・・・・」
川゚−゚)レ(神様なんて・・・いないんだな)
川゚−゚)レ(死んだ後・・・まさかこんな場所に放り込まれるとは思わなかった)
川゚−゚)レ「・・・だけど」
(´<_` )「ん?」
川゚−゚)レ「君に出会えたことだけは・・・神様からの恩恵だと信じている」
(´<_` )「・・・はは、ありがとう」
(´<_` )「俺も・・・クーと出会えてよかったよ」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:34:45.65 ID:leANquUU0
川゚−゚)レ「・・・・・・」
(´<_` )「・・ ・・・・・・」
川゚−゚)レ「・・・ふふ・・・顔が赤いぞ・・・」
(´<_` )「!・・・す、少し横になる」
川゚−゚)レ「ああ、そうしてくれ・・・・私はここにいるよ」
(´<_` )「・・・ありがとう」
川゚−゚)レ「どういたしまして」
少し甘美な空間が、荒廃した部屋に展開していた
扉の向こう側
一人の男が、立っていた
( ´_ゝ`)「・・・フン」
その男・・・兄者は小さく鼻で笑い、トントンと階段を下りた
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:40:41.77 ID:leANquUU0
ーーー雑居ビル前 路上ーーー
雑居ビルの前には二人の男が立っていた
どこかひょうきんそうな男と、少し年をとった、落ち着いた表情の男
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
/ ,' 3 「・・・もう、よろしいのですか?」
( ´_ゝ`)「あぁ」
(・∀ ・)「ニダーは現れなかったよー。最初から、追っかけるつもりは無かったみたい」
( ´_ゝ`)「そうか・・・ご苦労」
/ ,' 3 「・・・しかし、兄者さん」
その男・・・荒巻は外見だけから判断するとどう見ても兄者より年上なのだが、兄者には敬語を使っていた
( ´_ゝ`)「なんだ?荒巻」
/ ,' 3 「いつもいつも私とまたんきだけで良いのですか?護衛は・・・」
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/05/07(日) 01:48:17.95 ID:leANquUU0
( ´_ゝ`)「この街の住人は皆、狂気を持っている」
( ´_ゝ`)「いつ俺に刃向かうかわからない・・・そんな爆弾を沢山持ち歩くなど、自殺行為もいいところだ」
(・∀ ・)「つまり、僕と荒巻さんは信用されてるってことですねー?」
( ´_ゝ`)「あぁ・・・そういうことだ」
/ ,' 3 「それともう一つ・・・」
/ ,' 3 「言わなくて良いのですか・・・?その・・・」
/ ,' 3 「弟さんや・・・クーさんに・・・」
/ ,' 3 「あなたが・・・殺し屋であることを」
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
( ´_ゝ`)「言う必要は無いだろう」