705 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:00:53.39 ID:jxAQEt550
ジョルジュたちが駆けつけていたのだ

ξ゚听)ξ「・・・・・・」
川゚−゚)レ「・・・・・・」
クーもツンも、言葉が出ない 出せない
何故なら
そこに立っているのはブーンではなく
鬼だから

ゆらり、と立ち尽くすブーン
そして、狂い笑う

( ゚∀゚)「・・・・・・あぁ」
ジョルジュが声にならない声をだす

( ゜ω゜)「やった・・・やった・・・!」
ブーンが急いでしゃがみ、彼女の身体をまさぐろうとする
・・・目的は、モララーの言っていた、装置
しかしその瞬間、銃声

その彼の近くの地面に
弾丸が直撃した

( ゜ω゜)「!」
驚いたブーンが周囲を見回す
( ゚∀゚)「ちょっと待てよ・・・ブーン」

ジョルジュが発砲したのだった

( ゚∀゚)「・・・お前は、俺が殺す」

 
709 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:04:13.11 ID:jxAQEt550
ξ゚听)ξ「え・・・・・・」
川゚−゚)レ「ジョルジュ・・・お前・・・」
( ゚∀゚)「ん?ダチの仇をとっちゃいけないのか?」
ξ゚听)ξ「何言ってるのよ・・・もう全部終わったのよ!?しぃ死んだし・・・もうあとは・・・あの装置を使って・・・みんなで死んじゃえば・・・それで」

( ゚∀゚)「納得できねえなあ」
ξ゚听)ξ「!?」
( ゚∀゚)「個人的に」
ξ゚听)ξ「そんな」
( ゚∀゚)「俺は・・・あいつだけは・・・まともなやろうだから、生かしたかった」

( ゚∀゚)「だがどうだ?」

( ゚∀゚)「今のあいつは・・・」

( ゚∀゚)「俺ら以上に狂ってるぜ?」
川゚−゚)レ「・・・・・・」

 
713 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:13:28.97 ID:jxAQEt550
( ゜ω゜)「ゥゥゥゥぉぉぉおおおおおお!」
ブーンが咆哮しつつ立ち上がる
そして、そのままジョルジュに銃を突きつける

( ゚∀゚)「待て!」
ジョルジュも叫ぶ
( ゚∀゚)「・・・場所、変えようぜ・・・」
( ゜ω゜)「!」
( ゚∀゚)「じゃねえと・・・そこのしぃが持ってる装置・・・この銃で破壊してやるよ」
そういって、すでに亡骸と化したしぃ顎で示す

もはやブーンが言葉を理解しているのかすらわからない しかし
ジョルジュのその言葉を聞いた瞬間、ブーンは若干の反応を見せた
( ゚∀゚)「困るだろ?」
( ゜ω゜)「・・・ゥゥゥ・・・」
呻くブーン

( ゚∀゚)「・・・クー」
油断はせず
ジョルジュはクーに話しかける
川゚−゚)レ「・・・なんだ」
( ゚∀゚)「少し、頼みたいことがある・・・」
・・・
・・


 
714 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:18:53.92 ID:jxAQEt550
川゚−゚)レ「・・・わかった」
そういって、クーはその場を離れ、走り出した
( ゚∀゚)「よし・・・・・・おい!ブーン!」
( ゜ω゜)「・・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・いくぞ、ついてこい」
彼に銃を向けたまま、ジョルジュはゆっくりと歩き出す
ξ゚听)ξ「・・・何を、するの?」
( ゚∀゚)「・・・・・この世界での日常、だ」

( ゚∀゚)「殺し合い」
ξ゚听)ξ「・・・・・・・」

 
716 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:26:11.02 ID:jxAQEt550
昼間の大通りを
異様な姿をした3人が歩く

ブーンとジョルジュはすでに銃をおろし、歩いている 彼らの後ろに、ツンが続く
ブーンがジョルジュを撃つ気配は・・・ない
何か、呆けたような表情で黙ってジョルジュについていく

( ゚∀゚)「・・・なぁ、ブーン」
先を歩くジョルジュがブーンに話しかける
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「4日・・・ぐらい前か、お前がここに来たのは」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「あん時はドクオを助けてみたり、殺したくないって叫んでみたり・・・まだまだ新参だったよな」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「だが今となってはお前・・・」

( ゚∀゚)「立派に成長したもんだ・・・な」

 
717 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:31:23.86 ID:jxAQEt550
その時 後ろからクーが追いかけてきた
彼女は横目でチラリとブーンを見、それからジョルジュに並ぶ

川゚−゚)レ「・・・これでいいんだな?」
そういって、クーはジョルジュに小さな何かを渡す
( ゚∀゚)「・・・あぁ、多分、これだろ」

それは、しぃが持っていた装置だった
クーが後から、ブーンに気付かれないように、持ってきたのだ

( ゚∀゚)「・・・にしても、狂いすぎだろ、ブーン 突然叫んだと思ったら、このスイッチの存在忘れてついてくる・・・しかも、俺を殺そうともしねえ」
川゚−゚)レ「・・・・・・」

川゚−゚)レ「・・・君も、今から狂うのだろう?」
( ゚∀゚)「・・・・・まぁな」

 
718 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:35:25.93 ID:jxAQEt550
長い長い道のりを歩く
いつの間にか日が傾く

ξ゚听)ξ「・・・ブーン?」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「ごめん・・・ごめんね・・・私の・・・せいでこんな・・・」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・・」

ξ゚听)ξ(しょぼんは生きてくださいって・・・言ってくれた・・・でも)

ξ゚听)ξ(私に・・・生きる価値・・・ないよね、もう・・・)

 
719 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:37:59.86 ID:jxAQEt550
川゚−゚)レ「・・・それで」
( ゚∀゚)「あぁ?」
川゚−゚)レ「真意はなんだ?」
( ゚∀゚)「・・・・・」

( ゚∀゚)「・・・ねーよ、そんなもん」
川゚−゚)レ「そうかな・・・」
( ゚∀゚)「・・・・・・・」
川゚−゚)レ「・・・まぁ、いいんだ」

川゚−゚)レ「私は・・・君が私を殺してくれれば、それ以上何も言わない・・・いや、言えない、か」
( ゚∀゚)「・・・・・」

( ゚∀゚)「その点は、安心しろ」

 
723 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:43:07.90 ID:jxAQEt550
ーーー路地裏ーーー
歩き始めて、すでに二時間以上・・・

( ゚∀゚)「・・・このあたりか?」
川゚−゚)レ「いや・・・もう少し先だ」
( ゜ω゜)「・・・ぅ・・・」
( ゚∀゚)「もう少しだ・・・」

ξ゚听)ξ「・・・・・・・」
・・・
・・


 
725 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 15:49:55.49 ID:jxAQEt550
ーーー路上ーーー
( ゚∀゚)「・・・・・・」
川゚−゚)レ「ここ・・・だ」
( ゚∀゚)「あぁ・・・わかってる」

そこには
ギコの亡骸が、寝ていた

ジョルジュがゆっくりと彼に近づく
( ゚∀゚)「・・・ギコ」
当然のように、返事はない
( ゚∀゚)「・・・・・・あー・・・」

( ゚∀゚)「・・・こう、いざお前を目にすると何も言葉でなくなるな」

( ゚∀゚)「少なくとももう少し、お前と喋れると思ってたからよ」

( ゚∀゚)「・・・・・・・」

( ゚∀゚)「一方的に喋ってもつまんねーなおい・・・」

( ゚∀゚)「・・・・・・あーあ・・・」

ジョルジュは空欠伸をする
涙を偽るために

( ゚∀゚)「なんでだろうな」

( ゚∀゚)「初めてだ、人が死んで泣きそうになったのはよ」

 
735 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:11:49.77 ID:jxAQEt550
( ゚∀゚)「・・・ブーン」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・やるか」

銃を抜くジョルジュ
それに合わせてブーンも・・・銃を抜いた

ξ゚听)ξ「だめ!」
二人の間に割って入ろうとしたツンをクーが静止する
川゚−゚)レ「ツンさん」
ξ゚听)ξ「クー・・・どうしてとめるの・・・?」

 
736 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:19:34.45 ID:jxAQEt550
川゚−゚)レ「・・・後戻りはもうできないよ」
ξ゚听)ξ「そんな・・・」
川゚−゚)レ「・・・・・・」

川゚−゚)レ「それに・・・私も逝く」
ξ゚听)ξ「・・・え・・・?」
川゚−゚)レ「すまなかった・・・せっかく友達になろうと・・・言ったのに・・・結局何もできなかった・・・な」
ξ゚听)ξ「そんな・・・嫌よ・・・なんで・・・なんでクーまで・・・いっちゃうの・・・?」
川゚−゚)レ「・・・・・・」

川゚−゚)レ「ツンさん・・・あなたは・・・生きて・・・くれ」

川゚−゚)レ「ジョルジュさん」
( ゚∀゚)「・・・あぁ、そうだった・・・ちょっと待て、ブーン」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
ジョルジュが、クーに銃口を向ける

川゚−゚)レ「・・・ようやく、逝けるのだな」
( ゚∀゚)「・・・・・・」
川゚−゚)レ「・・・どうした?早く・・・撃ってくれ」
( ゚∀゚)「あぁ・・・約束は・・・」

( ゚∀゚)「守る・・・ぜ」
ξ゚听)ξ「だめええぇ!・・・」

一つ、銃声が響いた

 
739 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:25:26.57 ID:jxAQEt550
約束は果たされた

クーの胸に、穴があく
川゚−゚)レ「・・・ふ・・・」
満足げに、クーは笑った

そしてそのまま、仰向けに、倒れた

ξ゚听)ξ「クー!!」
ツンの叫び声

川゚−゚)レ「・・・・・・・ありが・・・とう」
( ゚∀゚)「・・・いや・・・」
川゚−゚)レ「・・・やっと・・・逝ける・・・」

川゚−゚)レ「勿論・・・待っていてくれてるよな・・・弟者・・・」

眠るように、クーは目を閉じた

ξ゚听)ξ「・・・・・・・」

ξ゚听)ξ「何が・・・生きろ・・・よ・・・」

ξ゚听)ξ「みんなみんな・・・生きろって勝手に言って・・・勝手に死んじゃう・・・どうして・・・?」

ξ゚听)ξ「・・・なんで私・・・みんな・・・失っちゃうの・・・?・・・罰・・・?」
( ゚∀゚)「・・・・・・・・」

耐えられなくなったのだろう
次の瞬間、ツンの絶叫が路地裏に響いた

 
740 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:34:47.36 ID:jxAQEt550
( ゜ω゜)「・・・・・・」
ブーンは呆けたまま、逝ったクーを、泣きじゃくるツンを、見つめていた

( ゚∀゚)「・・・ブーン」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「これが、普通の光景だ・・・死人が出たら、誰かが悲しむ」
( ゜ω゜)「・・・・・・・」
( ゚∀゚)「お前があっちで死んだときも多分そうだったんだろうぜ・・・お前のトーチャンとか、カーチャンが悲しんだだろうさ・・・親不孝者・・・ってな」

 
741 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:39:46.62 ID:jxAQEt550
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「俺にお前のことをとやかく言う資格はねえ・・・けどな」

( ゚∀゚)「俺は今の・・・狂ったお前が・・・この世界から救出されることにはどうも納得がいかねえんだ・・・クーさんとか・・・弟者とか、もっと、救うべき奴はいた」

( ゚∀゚)「なぁ、目を覚ませ・・・ブーン・・・そうでないと・・・誰も報われねえよ・・・」

ジョルジュはクーに頼んでいた
ブーンの前で、死んでくれと
酷い頼みだった・・・冷たい頼みでもあった
しかし、クーは承諾した
そこに何か、彼の意図を感じながら・・・

ジョルジュの真意
それは、ブーンを殺すことではない・・・

本来、この世界ならば
ジョルジュはブーンを殺すべきなのだろう

しかし、ジョルジュは・・・この世界の住人として、狂った
狂って・・・ブーンを助けようとしたのだ。

 
742 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:47:55.16 ID:jxAQEt550
ブーンは押し黙っていた
何かを考えているのか、ただ呆けているのか・・・ジョルジュにも、ツンにもわからない
ただ、事実が一つ
ブーンは銃をおろしていた

( ゚∀゚)「・・・ブーン」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「どうしても・・・どうしてもお前が目を覚まさないなら、俺はお前を殺さなきゃならねえ・・・兄者や、ギコや・・・他の奴皆のためにな」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「だが・・・俺はそうしたくねえ・・・できれば、お前には目を覚まして欲しい・・・で、またあっちの世界で生き返って欲しいんだよ」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・・・・」

数秒の沈黙

涙をおさめたツンが二人を見つめる

( ゜ω゜)「・・・・・・」
視線を宙に彷徨わせるブーン
その目から
一滴、涙が落ちた
ξ゚听)ξ「!・・・ブーン・・・」
( ;ω;)「・・・僕・・・は・・・」
( ゚∀゚)「ブーン・・・」
( ;ω;)「・・・僕はもう戻れないお・・・ドクオも・・・ギコも・・・殺したのは・・・僕なんだお・・・」

( ;ω;)「ドクオは生きたがっていたお・・・でも僕は殺しちゃったんだお・・・」

( ;ω;)「僕は皆の・・・敵なんだお・・・」
ブーンは皆の敵 裏を返せば、皆、ブーンの敵・・・

 
743 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/13(土) 16:53:50.26 ID:jxAQEt550
( ゚∀゚)「・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・でも・・・ブーンは・・・」
( ;ω;)「・・・僕なんか・・・」
( ゚∀゚)「ちょっとは正気に戻ったか?ブーン」
( ;ω;)「・・・・・・・」

( ゚∀゚)「じゃぁ、正気に戻ったお前に、言いたいことがある」
( ;ω;)「・・・・・・」

( ゚∀゚)「死ぬなんてほざいたら、俺はお前を殴る」
( ;ω;)「!」

( ゚∀゚)「お前は確かに人を殺した・・・ドクオも、ギコも、しぃも」

( ゚∀゚)「だから死ぬってか?ふざけんじゃねえ」

( ゚∀゚)「んなもんで死ぬなんてほざくな。お前を待ってる奴なんて・・・闇の中には誰もいねえよ」

( ゚∀゚)「俺は・・・多分ギコも・・・いや、みんな・・・だ。願ってるんだぜ?お前が、あっちの世界に帰ることを、な」

( ;ω;)「・・・・・・」

( ゚∀゚)「贖罪してえなら・・・皆の期待に応じろ」

陽が、西へと傾き、赤色に染まっている
ブーン達の影が、長く伸びていた

 
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