535 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:24:31.41 ID:gV+dFtHK0
ーーー天国 大通りーーー
天国の夜空に星は瞬かない・・・

( ´_ゝ`)「・・・・・・」
兄者は相変わらずとぼとぼと歩いていた
彼が背中を丸めて一人、らしくもない行動をしている理由
それは他でもなく、弟者たちの住処・・・あの雑居ビルに居辛くなってしまったからだ。
所謂、年甲斐のない家出である

 
537 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:26:27.42 ID:gV+dFtHK0
非は兄者にある
しかし実力者故のプライドが、彼を外へと追い出してしまったのだ
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
歩くにつれ、後悔の念が高まる
しかし、家に帰る・・・そのタイミングを未だに掴めずにいた
彼自身も気付いている・・・自分には、家族というような馴れ合いが似合わないということに。
そこで仕方なく・・・彼は果ての見えない大通りを歩き続けていた

 
540 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:31:13.25 ID:gV+dFtHK0
・・・時折響く銃声、悲鳴、怒号・・・
それは、日常茶飯事
( ´_ゝ`)「・・・・・・・」

( ´_ゝ`)「・・・・・・・」
また、銃声、悲鳴・・・
( ´_ゝ`)「・・・・・・」
( ´_ゝ`)(少し、今日は多すぎないか?銃声・・・)
そんなことを呟きながらも、特に気にはしなかった
また、ニダー達が暴れているのだろう・・・それぐらいの認識しかなかった。

 
541 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:34:15.06 ID:gV+dFtHK0
ぱたり、と
音が止んだ
奇妙なほどに、静かになった
( ´_ゝ`)「・・・・・・?」
さすがに兄者は足を止めた
驚くほどに静かな宵闇が広がる
いつも話し声は大して聞こえない
しかし今日は・・・
この街特有の生活の音すら聞こえない
生気が・・・無くなっていた

 
543 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:37:43.53 ID:gV+dFtHK0
ーーー天国 路地裏ーーー
そこに立つのはニダーと数人の男・・・そして、しぃ
男A「このあたりの人間は・・・ほぼ全て排除しました」
<ヽ`∀´> 「・・・ご苦労ニダ」
苦しげなやり取りをする男とニダー
隣で一人、しぃがせせら笑う
(*゚ー゚)「静かな街・・・夜にふさわしいわ・・・」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
先ほどから
彼女が口を開くたびにニダーは震えた
<ヽ`∀´> 「し、しぃさんは・・・」
(*゚ー゚)「?」
その口調もおぼつかない

 
545 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 17:59:53.57 ID:gV+dFtHK0
<ヽ`∀´> 「い・・・行かなくて、いいニダ?」
(*゚ー゚)「・・・どこに?」
<ヽ`∀´> 「・・・殺しに」
(*゚ー゚)「・・・・・・」

(*゚ー゚)「ふふ・・・少し、休憩」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「焦る必要もないわ・・・それに、ニダー達がよく働いてくれる・・・・・・」
<ヽ`∀´> 「そ、そうニダか・・・」
そこで少し、沈黙が流れた

(*゚ー゚)「・・・ねぇ」
<ヽ`∀´> 「・・・?」
(*゚ー゚)「あんまり人に知られてないこと、教えてあげよっか?」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」

 
548 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:12:51.49 ID:gV+dFtHK0
(*゚ー゚)「私ね・・・このフィールドの住人だったの」
<ヽ`∀´> 「!!」
(*゚ー゚)「以前はフィールドの数が少なくてね・・・管理局の人間も少なかった」

(*゚ー゚)「でも、どんどんフィールドの数が増えてね・・・管理局の人間が不足した」
(*゚ー゚)「その時、管理局は各フィールドの中に住む人間の中から、新しく管理員を選出したの・・・その時に選ばれたのが、私」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」

<ヽ`∀´> 「で、でも・・・なんでこの・・・隔離フィールドから選ばれたニダ?」

 
551 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:17:42.87 ID:gV+dFtHK0
(*゚ー゚)「・・・私、その時、このフィールドの実力者・・・ううん、殺人鬼だったの」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・・・」
目の前の若い女性が、狂い事を淡々と話している・・・
さすがのニダーも、恐怖を覚えていた
(*゚ー゚)「毎日毎日・・・沢山の人がこのフィールドから消えていった・・・ただでさえ人員不足だった管理局にとって・・・私の存在は障害だったの・・・隔離フィールドの中でも、特にね」

(*゚ー゚)「ふふ・・・いいでしょう?私、天国の管理員を困らせるほどの大きな存在になっていたの・・・あなたとは、大違い」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」

冷や汗が吹き出る・・・

 
552 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:24:02.79 ID:gV+dFtHK0
(*゚ー゚)「困り果てた管理局が私に交渉を持ちかけた・・・管理員になれってね」
<ヽ`∀´> 「・・・そ、それを受け入れたニダ?」
(*゚ー゚)「・・・殺人もね・・・飽きるのよ・・・私の場合、飽きるのが遅すぎたけどね・・・というか私は、このフィールド自体に飽きてたの」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「だから私は受け入れた・・・そして私は、天国の管理員となったのよ」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「管理局にとっても大きな博打だったはずよ・・・私が、ちゃんと言う事を聞くのか・・・って」

(*゚ー゚)「でも私、管理局ではおとなしく過ごしてたわ・・・あんなところで暴れたら殺されるに決まってる・・・私、まだこの身体を手放したくなかったから」

 
553 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:28:45.71 ID:gV+dFtHK0
(*゚ー゚)「でも今回・・・この隔離フィールドにくることになった・・・私自身のミスによって」

(*゚ー゚)「正直、あまり来たくなかったわ・・・でも」

(*゚ー゚)「このフィールドの匂いが・・・私を呼び起こしたの」

(*゚ー゚)「加えて私は人を一人殺した・・・それでもう、自分を止められなくなったの・・・」

(*゚ー゚)「ふふ・・・今も、自分自身を止められないわ・・・久しぶりに・・・人を殺したくなってしまった・・・」

<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・気持ち、悪くなった?」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・あなたは、私の足元にも及んでない・・・実力者とはいえ、あなたも所詮その程度・・・なのね」

男B「ニダーさん!」
<ヽ`∀´> 「!!!」

 
554 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:35:16.68 ID:gV+dFtHK0
<ヽ`∀´> 「な、なんだニダ!いきなり大声を出すなニダ!」
(*゚ー゚)「落ち着いて・・・・・・あなたも、一応リーダーなんだから」
<ヽ`∀´> 「ぐ・・・・・・で、で、何の用にだ?」
男B「は、それが・・・」
・・・
・・
男は、ニダーに小声で、何かを伝えた
・・
・・・
<ヽ`∀´> 「何!」
(*゚ー゚)「・・・・・・」
男B「はい・・・どうやら、間違いないかと」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」

 
555 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:39:55.09 ID:gV+dFtHK0
<ヽ`∀´> 「・・・くくく・・・で、奴は?」
男B「今は・・・いないようです」
<ヽ`∀´> 「・・・はぁっはっはっはっはっは!・・・・・・好都合ニダ・・・」
(*゚ー゚)「・・・行くの?」
<ヽ`∀´> 「当然ニダ・・・皆殺しに・・・してやるニダ・・・!」
(*゚ー゚)「・・・ふふ、ふふふふふ・・・・」

(*゚ー゚)(いきなり狂った眼になった・・・)
(*゚ー゚)(・・・素敵)

 
557 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:48:53.76 ID:gV+dFtHK0
ーーー天国 某所ーーー
そこは少し明るい部屋・・・
男達が、二十人ほど、集まっていた

/ ,' 3 「・・・兄者さんはまだ・・・か」
(・∀ ・)「いいんじゃないの?あの人には、弟さんがいるんだし」
/ ,' 3 「まあそうなのだが・・・」
(・∀ ・)「・・・もしかして、心配してたり?」
/ ,' 3 「いや・・・あの人を心配するほど愚かなことはない・・・我々も、あの人のおかげでこうしていられるのだからな」
(・∀ ・)「あの人の強さは桁違いだからね・・・今日だって、一人でニダー達とやり合ってたし」

 
558 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 18:53:39.20 ID:gV+dFtHK0
/ ,' 3 「私たちの助けなど必要なかっただろうな」
(・∀ ・)「うん・・・・・・・」

/ ,' 3 「しかし・・・いつまでもこのままでよいのだろうか?」
(・∀ ・)「えー?」
/ ,' 3 「・・・私達が弱いから・・・あの人はこれ以上、高みに行けない・・・そんな気が、する」
(・∀ ・)「・・・・・否定できないねー」

その時だった、地を震わすほどの車の騒音が聞こえたのは

 
562 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:04:35.00 ID:gV+dFtHK0
/ ,' 3 「・・・!・・・この音は・・・」
(・∀ ・)「・・・・・・これだけの騒音・・・かなりの車数だね・・・!・・・まさか、ニダーが・・・?」
そのまたんきの一言で、室内はにわかに騒がしくなった・・・
/ ,' 3 「油断していた・・・まだ、この場所は見つかっていないと思っていたが・・・」
(・∀ ・)「兄者さんはまだ・・・?」
/ ,' 3 「・・・連絡してみる・・・しかし、あの人が戻ってくるまでは・・・」
(・∀ ・)「僕達で何とかしないといけないわけだね・・・」

 
564 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:10:18.53 ID:gV+dFtHK0
それは当然のこと・・・しかし、その瞬間・・・室内が重い静寂に包まれた
今まで兄者に頼ってきた連中ばかりなのである
/ ,' 3 「・・・兄者さんの優しさが裏目に出ているな・・・」
(・∀ ・)「とにかく、僕達は外に行ってみる・・・荒巻さんは、連絡、お願い」
/ ,' 3 「あぁ、わかった」

またんきを先頭として、男達は扉の向こうへと消えていった・・・
それを確認し、荒巻は携帯電話を取り出した

/ ,' 3 「・・・・・・」

/ ,' 3 「もしもし、兄者さんですか?」

 
565 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:15:02.95 ID:gV+dFtHK0
ーーー大通りーーー
( ´_ゝ`)「・・・何、ニダーが?」
/ ,' 3 「は、はい!」
受話器の向こうから、何発もの銃声が聞こえる・・・
( ´_ゝ`)(・・・チッ・・・ついにバレたのか・・・!)
( ´_ゝ`)「あぁ、わかった・・・すぐ戻る」
荒巻からの連絡を受け、兄者は彼らの元へと走り出した
( ´_ゝ`)(やはりニダーが暴れていたのか・・・)
( ´_ゝ`)(しかし・・・)
( ´_ゝ`)(この静寂は・・・異常すぎる)
( ´_ゝ`)(何があった・・・?)

 
566 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:20:19.50 ID:gV+dFtHK0
ーーー某所ーーー
<ヽ`∀´> 「・・・口ほどにもない・・・ニダ」
(*゚ー゚)「・・・兄者って人、強いのね」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「そうでもないと、部下がこんなに弱いのに実力者になれるはずないわ・・・あなた達とは全く逆」
彼らの前に転がるいくつかの亡骸・・・
亡骸を残しているということは、しぃではなくニダー達にやられたということだ。
(*゚ー゚)(・・・今の状態だと、ニダー達が殺してもループされない・・・ふふ・・・いいわ・・・)

(・∀ ・)「ぐ・・・!」

 
567 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:24:47.11 ID:gV+dFtHK0
一人・・・生きていた
またんきが
<ヽ`∀´> 「まだ生きてたニダか・・・!」
(*゚ー゚)「待って・・・もがく姿見物するのも楽しいじゃない・・・」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
彼は足を撃たれていた・・・歩けない・・・それ以前に、立ち上がれない・・・
彼はニダー達の目の前で無様に這った
(・∀ ・)「・・・!」
そして、取り落とした銃を必死で拾おうとする・・・
(*゚ー゚)「・・・ふふ・・・」
しぃがつつ、とまたんきに近寄った

 
568 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:29:32.07 ID:gV+dFtHK0
そして・・・
もう少しでまたんきが届きそうな拳銃を・・・蹴り飛ばした
(・∀ ・)「!」
(*゚ー゚)「ざーんねん・・・もうちょっともがいて、ね」
しかしまたんきは、身体の力を抜いてしまい、地にへばり付いた
(*゚ー゚)「・・・根性のない子・・・」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・・・・・」
(*゚ー゚)「ニダー」
<ヽ`∀´> 「!は、はい!?」
(*゚ー゚)「この子、殺してあげて」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・・」

<ヽ`∀´> 「わかったニダ・・・」

また一つ、銃声が響いた。

 
569 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:32:37.75 ID:gV+dFtHK0
(*゚ー゚)「・・・・・・」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
今度こそ静かになった・・・しかし
/ ,' 3 「!!!」
最後の一人・・・荒巻が部屋から出てきた
<ヽ`∀´> 「・・・ん?」
(*゚ー゚)「まだ・・・いたの」
/ ,' 3 「こ、ま、まさか・・・こんな短時間で・・・」
(*゚ー゚)「・・・ふふ、ふふふふふふふふ・・・」

(*゚ー゚)「ニダー」
<ヽ`∀´> 「に、ニダ!?」
(*゚ー゚)「あの人、捕まえて・・・少し、面白いこと考えたから」
<ヽ`∀´> 「・・・・・いけ」
その声を合図に、一斉に男達が飛び掛る
抵抗する間もなく荒巻は捕らえられてしまった

 
571 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:35:11.77 ID:gV+dFtHK0
/ ,' 3 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「・・・渋い人ね・・・」
/ ,' 3 「お前は・・・ニダーの新しい仲間・・・か?」
(*゚ー゚)「違うわ・・・私は、ニダーのご主人様」
<ヽ`∀´> 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「ねぇ、あなた」
/ ,' 3 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「死にたい?」
/ ,' 3 「!」

 
572 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:38:12.00 ID:gV+dFtHK0
/ ,' 3 「・・・・・・何故それを聞く?」
(*゚ー゚)「場合によっては、あなたは死なないからよ」
<ヽ`∀´> 「!」
/ ,' 3 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「見た感じ・・・あなた、強い者についていくタイプみたいね・・・そうでしょ?」

(*゚ー゚)「私についてきなさい・・・一つだけ、条件があるけど、ね」
/ ,' 3 「・・・・・・なんだ、その条件は」
(*゚ー゚)「ふふ・・・」
彼女は荒巻に耳打ちする・・・
・・・
・・


 
573 ◆xh7i0CWaMo :2006/05/08(月) 19:42:11.52 ID:gV+dFtHK0
/ ,' 3 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「あなたにとっては、難しいことじゃないはず・・・よ」
/ ,' 3 「・・・・・・」
(*゚ー゚)「どうする?」

/ ,' 3 「・・・あぁ」
両腕をつかまれている荒巻は、軽く項垂れた 条件を飲む・・・その意思を表したのだ。
(*゚ー゚)「・・・ふふふふふふふふ・・・」

(*゚ー゚)「・・・さ、ニダー、帰るわよ」
<ヽ`∀´> 「え・・・ちょ、ちょっと待つニダ!」
(*゚ー゚)「何?」
<ヽ`∀´> 「・・・え、えっと、まだ兄者が・・・」
(*゚ー゚)「・・・兄者・・・彼はまだ生かしておかないと・・・ねぇ?荒巻・・・」
/ ,' 3 「・・・・・・・」
<ヽ`∀´> 「?」
(*゚ー゚)「とにかく帰るわよ・・・いいわね?」
<ヽ`∀´> 「・・・わかったニダ・・・」

 
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