661 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:46:24.42 ID:KTkoPUgQ0

ξ゚听)ξ「うん。私はお姉ちゃんが大好き。
最初は本当に大変だったけど、お姉ちゃんがいたから何とか頑張ってこれたの。
だけど・・・」

( ^ω^)「?」

ξ゚听)ξ「!」

だけど、何?

自分はその言葉の後に何を続けようとしてる?

だけど・・・本当は・・・何?

ξ゚听)ξ「・・・・・・」

( ^ω^)「ツン?」

ξ゚听)ξ「・・・ごめん、何でもないわ。それよりもう0時過ぎてるわよ。
そろそろ戻らないとご両親が心配するわよ。」

そう言ってツンは店の時計を指さした。


662 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:48:03.92 ID:KTkoPUgQ0

( ^ω^)「あっ、本当だお!じゃ僕はそろそろ帰るお。
気をつけるんだお、ツン。」

ξ゚听)ξ「あんたに言われなくたって分かってるわよ。ほら、早く帰りなさい。」

( ^ω^)ノシ「あいよ。ばいばいおー。」

ξ゚听)ξノシ「はいはい、またね。」


ブーンは店からでて家に帰る道を歩いている間、ずっとツンの事を考えていた。
昔の話をしてくれたのは、とても嬉しかった。しかし気になる事もあった。

彼女は、「だけど・・・」そう言った後、本当は何と言いたかったのだろう?
あの時、言葉に詰まった彼女を、ブーンは抱きしめたいと思った。
触れたいと思った。あの頬に、あの髪に触れたいと思った。
でも出来なかった。そんな事をしたらツンはそのまま壊れてしまいそうだった。

たった今別れたばかりなのに、もうツンに会いたくなった。
触れたくなった。もう頭がおかしくなりそうだった。

( ^ω^)「(僕は・・・僕は本当にどうしてしまったんだお?)」


663 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:49:09.50 ID:KTkoPUgQ0

J(‘ー`)し「ブーン。お帰りなさい。」

( ^ω^)「母ちゃん・・・ただいまだお。」

J(‘ー`)し「今日も友達のバイト先にいってたの?」

( ^ω^)「そうだお。」

J(‘ー`)し「そう・・・いくら夜中ですいてると言っても
友達バイト中なんだからあんまり迷惑かけちゃダメよ。
それと、今は物騒だから知らない人に声かけられてもついて行っちゃダメよ。」

( ^ω^)「ちょww母ちゃんwww僕もう21だお?それぐらい分かってるおwww」

J(‘ー`)し「21でも31でも、親はいつだって子供の事が心配なのよ。」

母の目は真剣だった。本気で帰りの遅いブーンを心配しているようだった。

( ^ω^)「・・・どうもありがとうだお、母ちゃん。じゃ、部屋に戻るお。」

J(‘ー`)し「ええ。あ、お風呂沸いてるからね。」


665 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:50:20.21 ID:KTkoPUgQ0

( ^ω^)「・・・・・・はあ。」

バタンとドアを閉め、ブーンは大きなため息をつく。

( ^ω^)「(なんだか元気がでないお。こういう時はCDでも聴くお。)」

ブーンは元気が出ないときは大抵明るいロック調の曲を聴くのだが、
今日はどういう訳か明るい音楽を聴く気になれなかった。

( ^ω^)「(・・・なんだか無性にるるりを聴きたいお・・・)」

そう思いブーンはドクオから借りてきたCDを入れた。
ほんのちょっと前までこの曲はブーンにとってただの耳障りの良い曲でしかなかったのに、
今はメロディの一音一音が、歌詞の一つ一つがブーンの胸に深く沁みこんでいく。


667 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:51:17.76 ID:KTkoPUgQ0

「僕らお互い弱虫過ぎて 踏み込めないまま朝を迎える」

この歌詞はまるで自分とツンの事のようだと思って、ブーンは笑った。

( ^ω^)「(今まではどうしても理解できなかったけど、
今は何となくこの歌が何を言いたいのかわかるお・・・)」

それは、どうして?
どうして分かるようになった?
この感情の、名前はなに?
この気持ちを支配している人は、だあれ?

( ^ω^)「・・・・・・ドクオ、いるかお・・・?」

ブーンは思いついたように携帯電話を手に取る。

トルルルルル トルルルルル・・・・・・

ガチャ

669 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:52:56.94 ID:KTkoPUgQ0

'A`)「ハーイもしも新橋?」

何回目かのコールでドクオが出る。

( ^ω^)「ドクオ・・・ちょっと聞いてくれお・・・」

('A`)「あ、なんだ?」

ブーンは今までの経緯をドクオに話した。

('A`)「ほう・・・」

( ^ω^)「一体僕はどうしてしまったのかお?」

ブーンのその言葉に、ドクオは笑った。

('A`)「どうしたも何も・・・お前その子の事が好きなんじゃん」

( ^ω^)「え!!!?」

('A`)「初恋おめでとう。アレだな、お前にもようやく歌詞に君は特別な人とかなんとか
歯の浮くような台詞をかけるような時代が来たんだな。」

ドクオは冗談ぽくブーンに言う。

671 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:54:00.61 ID:KTkoPUgQ0

( ^ω^)「ち、違うお!!僕は別に好きじゃないお!!!
いや、好きだけどそういう好きじゃなくて・・・」

('A`)「照れるなよ。安心しろ。俺友達いねえから言いふらす人なんていないし。」

( ^ω^)「ほ、本当だお!!一番好きなのはツンだけじゃなくて、
僕はみんなが一番好きなんだお!!だからツンが特別とかそんなんじゃ・・・」

慌てふためくブーンにドクオは面倒くさそうな声をだす。

('A`)ノシ「あー、うん、分かった。そうだな、うん。じゃ俺もう寝るから。
お休ミミガー」

( ^ω^)「ちょ、ドクオ本当に分かってるのかお!?僕は・・・」

ブーンが言い終わらない内に、ドクオは電話を切ってしまった。

( ^ω^)「違うんだお・・・」


675 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/04(火) 13:55:30.51 ID:KTkoPUgQ0

ブーンは別に照れている訳でも何でもなかった。
単純に思っていることを言っただけだった。
確かにツンが一番好きだった。でも家族や友達や、他のみんなも一番好きだった。
ツン一人を特別だとは思いたくなかった。
そう思うことが怖かった。

( ^ω^)「(もし僕がツンだけを大好きになってしまったら、そうなったら僕は今まで
みんなを大切に思っていた気持ちを失くしてしまうかもしれないお・・・それは嫌だお・・・)」

ブーンは昔から誰か一人だけ「特別」な人を作ったりなどしなかった。
そんな人ができたら今まで自分を好きでいてくれた人達を
裏切る事になってしまうと本気で思った。
自分を愛してくれた両親を、自分を大切に思ってくれている友達を置いて、
他の誰かを一番にするなんてしたくなかった。
人に順位をつけたくなどなかった。

( ^ω^)「(僕は・・・僕は・・・)」

胸が苦しくなった。
そう思いながらもただツンの顔が頭に浮かんできてどうしようもなくなってしまった。


807 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:40:51.50 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「そうだ。あんた金曜私の家来る?」

( ^ω^)「は!!!!!!?」

水曜日いつものようにブーンはツンの喫茶店に遊びに行き、
ちょうど他にお客もいないという事でまた二人で話をしていた時だった。

( ^ω^)「えええ!しょしょ、しょれはもすかすてあのそのえええええ」

ツンの突然の誘いにブーンはあたふたする。

ξ゚听)ξ「ちょっと何勘違いしてんのよ。あんた前私の絵がみたいって言ってたでしょ?
それで金曜バイト休みになったから見にきたらどうかって言ってんのよ。」

( //ω//)「ああああのでもでもでもそのその・・・・」

ブーンは赤面する。

ξ゚听)ξ「別に嫌だったら無理しなくていいわよ。
私だって暇じゃないんだし。」

( ^ω^)「いえ!行かせてもらいますお!」


810 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:42:52.68 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「そ?じゃあ金曜の17時、ドギマギ駅で待ってるから。」

( ^ω^)「わわ分かったお!!」

ξ゚听)ξ「あ、常識として手土産くらい持ってきなさいよ。
手ぶらで来たら帰ってもらうからね。」

( ^ω^)「うはwwwww」

その日ブーンは金曜日が待ち遠しくてたまらなかった。
そしてあっという間に金曜がやってきた。


( ^ω^)「着いたお。」

金曜日、ブーンがドギマギ駅に着いたのは16:30。待ち合わせ時間より30分も早く着いてしまった。

( ^ω^)「(ツンはまだ・・・来る訳がないおww仕方ない、待つお。)」

そう思いながらブーンは土産に持ってきたケーキを見る。
確かツンはショートケーキが好きだと言っていたので、
ショートケーキと、それからお姉さんの分のケーキを買った。
彼女は喜んでくれるだろうか・・・
そんな事を思っていた時だった。

ξ゚听)ξ「あれ!?ブーン!?」


812 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:43:59.87 ID:j0H7/fQ80

思いのほか早くツンがやってきた。

( ^ω^)「えっ!?ツンどうしたんだお!?まだ全然時間より早いお!?」

ξ゚听)ξ「あ、あら、そうだったかしら!?」

( //ω//)「ツン、まさか早く僕に会いたくて・・・」

ブーンの言葉にツンは顔を真っ赤にして怒る。

ξ////)ξ「そそそそそそんな訳ないでしょ!バッカじゃない!?
た、たまたま用事があったから早く来ただけよ!!」

( ^ω^)「用事ってなんだお?」

ξ゚听)ξ「あ、あんたが変な事言うから忘れたわよっ!どうしてくれんのよ!!」

そう言ってツンはブーンを殴る。

( ;ω;)「痛いお・・・」

ξ゚听)ξ「ふっ、ふんっ!!あんたが悪いんだからね!!
ほらっ、とっとと行くわよ!!」

ツンはブーンの腕を引っ張ってずんずんと歩いて行った。

( ^ω^)「(うはwwwwどさくさで手つないじゃったおwwww)」


813 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:45:35.18 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「ほら、ここが私のアパート。」

ツンがそう言って指をさした場所は清潔感の漂う綺麗な建物だった。

( ^ω^)「ちょwwwこれアパートじゃないおwwwこういうのはマンションて言うんだおwww」

ξ゚听)ξ「そうなの?ずっとアパートだと思ってたわ。あ、私の部屋ここの8階ね。」

二人はエレベーターを上り、8階に着いた。

ξ゚听)ξ「はい、ここが私の家。」

( ^ω^)「(緊張するお・・・)」

ξ゚听)ξ「最初に言っておくけど、変な事したらすぐ警察に突き出すからね。」

( ^ω^)「うはww把握したwwww」

ツンはブーンを軽く小突いた後インターフォンを鳴らした。


814 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:47:48.13 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「お姉ちゃん?私。友達連れてきた。」

「あー、ツンちゃん!ちょっと待っててね!」

そしてガチャリと鍵を開ける音がしてドアが開く。

J゚-゚)「ツンちゃん!おかえりなさい!」

中からはツンによく似た綺麗な女の人が出てきた。

ξ゚听)ξ「ただいま。」

( ^ω^)「初めまして。ツンさんの友人の内藤というものですお。」

J゚-゚)「初めまして!ユリです!ツンちゃんのお姉ちゃんです!ないとうさんと言うんですか?」

ξ゚听)ξ「ブーンで良いわよ。」

J゚-゚)「え、でも・・・良いんですか?」


815 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:48:47.67 ID:j0H7/fQ80

( ^ω^)「なんと呼んでもらっても構わないですお。
あとお姉さんの方が年上ですんで敬語も別に良いですお。」

J゚-゚)「本当?じゃあブーン君、よろしくね!」

( ^ω^)「よろしくですお。あ、これお土産のケーキですお。二人で食べて下さいお。」

ブーンがユリにケーキを渡すとユリは手を叩いて喜んだ。
その姿は本当に7歳の少女のようであった。

ξ゚听)ξ「適当に座って。今お茶出すから。」

( ^ω^)「別に大丈夫だお。気にしないお。」

ξ゚听)ξ「私が気になるのよ。」

そう言ってツンは台所にむかった。
ブーンは座って部屋を見渡す。掃除が隅々まで行き届いてとても綺麗な部屋だ。
ただ、壁やソファー等の所々に小さな引っ掻き傷のようなものがあった。

( ^ω^)「(外観は新しかったけど、中は結構古いのかお?)

そんな事を考えていると今まで興味深そうにブーンを見ていたユリが話しかけてきた。

J゚-゚)「あのう・・・」


816 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:49:47.21 ID:j0H7/fQ80

( ^ω^)「なんですかお?」

J゚-゚)「今日はツンちゃんの絵を見にきたんだよね?」

( ^ω^)「そうですお。」

J゚-゚)「あっ、あのね、ツンちゃんとっても絵が上手なんだよ!
ユリ、ツンちゃんの絵大好きなんだ!」

嬉しそうにユリは話す。

( ^ω^)「そうですかお。楽しみですお。」

J゚-゚)「今描いてるのはコンクールに応募するのなんだって!とっても可愛い絵なんだよ!」

( ^ω^)「おお、それはすごいですお。」

こうやって話していると、言葉使いこそ幼いものの本当に普通の人だとブーンは思った。
しばらくしてツンがお茶を持ってやってくる。

ξ゚听)ξ「はい。お待たせ。紅茶でいいでしょ?」

J゚-゚)「やったー!紅茶大好き!」

そしてお茶を飲みながらしばし3人で談笑をする。


817 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:51:01.16 ID:j0H7/fQ80

( ^ω^)「そろそろツンの絵がみたいお。」

ξ゚听)ξ「ああ、そうだったわね。ちょっと待って。」

ツンは奥の部屋からカバーのかかったキャンバスを持ってきた。

ξ゚听)ξ「今はこれを描いてるの。」

そう言ってツンは持ってきたキャンバスのカバーを外す。

( ^ω^)「おおお!すごい可愛い絵だお!」

キャンバスには異国風のお城や街並みが油絵で描かれていた。

J゚-゚)「これがさっき言ってたコンテスト用の絵だよ!ねっ、ツンちゃん。」

ユリがまるで自分の事のように得意気に言う。

( ^ω^)「これはどこかの風景画かお?」

ξ゚听)ξ「ううん。私の想像の世界。こういう所にすめたら良いなって思って。」

( ^ω^)「えっ、想像でここまで描けるなんてすごいお!
これはもしかしなくともイイ線行くんじゃないかお?」


818 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:52:43.53 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「それは無理よ。というか私は賞なんて狙ってないわ。
この絵は単に私が今まで描いてきた絵の中で一番気に入ってるから
思い出作りに出品してみようと思ってるだけ。」

( ^ω^)「でも、僕は絵の事なんて全く分からないけど、
ツンの絵はとっても上手だと思うお。もっと自信もって良いんじゃないかお?」

J゚-゚)「うん!ツンちゃん上手だもん!絶対優勝しちゃうよ!」

二人の言葉にツンは苦笑する。

ξ゚听)ξ「上手な人なんて美大にはいっぱいいるわ。賞が取れない事くらい分かってるのよ。
ありきたりな構図にありきたりな発想にありきたりな色使い・・・。
コンクールに出品するような人たちはもっと斬新な発想や色使いをしてくるわ。
私なんかが敵うわけない。」

( ^ω^)「じゃあもうちょっと絵に時間を裂けば良い考えが浮かぶんじゃないかお?」

ξ゚听)ξ「そうしたいけどバイトがあるしね。学校行って帰ってきて課題やったりしてたら
もうあっという間に一日が終わっちゃうの。全然絵に時間をかけられないのよね。」

J゚-゚)「じゃあ、バイトなんて辞めちゃえばいいのに!」

ユリの発した無邪気な言葉に、ツンの顔が一瞬凍りつく。
しかしすぐ笑顔に戻り、ユリに言う。

 
820 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:53:47.29 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「・・・お姉ちゃん?あんまり無責任な事いうと、夕飯作らないわよ?」

J゚-゚)「ええ!やだよ〜!」

ξ゚听)ξ「もう怒った。決めた。今日はカップラーメンでも食べて下さい。」

J゚-゚)「やだ〜!ツンちゃんのご飯がいい〜!」

笑顔でじゃれあう二人を見て、本当に仲がいいなとブーンは思った。
まるでそこに悲しみや苦しみなどないようであった。

( ^ω^)「あ、じゃあもうこんな時間だし僕はそろそろ帰るお。」

ブーンがそう言った時、時刻はもう19時を回っていた。

ξ゚听)ξ「あら、そう?じゃあ送っていくわ。」

J゚-゚)「もう帰っちゃうの?ブーン君もうちでご飯食べて行けばいいのに。」

( ^ω^)「いえいえそういう訳にもいきませんお。」

J゚-゚)「そっかあ・・・ざんねん。」

ユリは本当にがっかりした様子だった。


821 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:54:46.86 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「ほら、行くわよ。じゃお姉ちゃん、私駅まで送っていくから
お留守番お願いね。」

J゚-゚)ノシ「うん・・・。ブーン君バイバイ!また来てね!」

( ^ω^)ノシ「何度だって来ますお。じゃあさよならですお。」

そう言ってツンとブーンはユリを残し部屋から出た。

ξ゚听)ξ「そんなに何度も来なくていいわよ。」

( ^ω^)「うは・・・・・・ツン冷たいお・・・・・・」

二人は駅に着くまでの間ほとんど無言であった。
ブーンは途中何度も何か話そうと思ったが気持ちばかりが空回って話す事などできなかった。
やがて駅に着き、ツンが口を開いた。

ξ゚听)ξ「・・・今日はありがとう。」

( ^ω^)「へ?何がだお?」


822 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:56:17.13 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「お姉ちゃんと普通に喋ってくれたの、あんたが初めてなのよ。
今までうちに友達連れてきても、みんなお姉ちゃんには素っ気無かったり
ぎこちなかったりして、ちゃんと話してくれる人いなかったの。」

( ^ω^)「そうなのかお?不思議だお。僕はお姉さんは普通の人だと思うお。」

ξ゚听)ξ「うん・・・そう。お姉ちゃんは普通なのよ。私ともブーンともどこも違いなんてないのよ・・・」

( ^ω^)「ツン?」

ξ゚听)ξ「・・・そろそろ電車が来るわ。じゃあね。気をつけて帰ってね。」

( ^ω^)ノシ「うん!今日は楽しかったお。じゃバイバイだお!!」

電車に乗り、つり革に掴まりながらブーンは今日の事を思い返していた。

( ^ω^)「(今日は楽しかったお。ツンのお姉さんにも会えたし・・・
できればあのままずっといたかったお。)」

あのまま、ずっといたかった。

( ^ω^)「(え・・・?)」


823 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:57:42.43 ID:j0H7/fQ80

何でそう思うんだろう?
何でそんな事考えるんだろう?

( ^ω^)「(それは、僕が・・・)」

そこから先は深く考えないようにしながらブーンは家に向かった。


それから2週間後・・・

ツンは相変わらずバイトに追われていた。
ブーンは風邪をひいたらしく最近ツンのバイト先に来れなくなっていた。
ツンは寂しかったがまさかそんな事も言えるはずもなくただ淡々と日々を過ごしていた。

ξ゚听)ξ「はあ・・・疲れた。」

学校帰り、一人ツンはそう呟く。
ここの所大学の課題提出が重なり、ツンは心身共に疲れていた。

ξ゚听)ξ「(今日はバイト休んじゃおうかな・・・でも、そんな訳にはいかないわね。
それに今日はブーンが来るかもしれないし・・・全くあのバカいつまで風邪ひいてるのよ。)」

何度もツンはブーンのお見舞いに行こうと思ったが、
いつも照れが先行してしまい行くことが出来なかった。


824 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 21:59:00.45 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「(ブーンが元気になったら、お祝いに羊羹でも買ってあげようかしら。
たしか和菓子好きだったわよね・・・)」

そんな事を考えながら家に向かう。
ブーンの事を考えているときは、嫌な事があっても忘れられた。

ξ゚听)ξ「ただいまー。お姉ちゃん、鍵あけて?」

部屋のインターフォンを押しそう言うとすぐに鍵があいてユリが出てくる。

J゚-゚)「ツンちゃんお帰り!」

ξ゚听)ξ「ただいま。」

J゚-゚)「ツンちゃん見て!今日はこんなに出来たのよ!」

そう言ってユリは部屋に置かれた資料のようなものを見せる。

ξ゚听)ξ「わあ、すごいじゃないお姉ちゃん。」

ユリは最近内職を始めていた。
会社の資料の袋詰めをする仕事で、一袋2円というものであったが
それでもユリは自分でも働けるという事に喜びを感じていた。

J゚-゚)「ねっ?すごいでしょ?あ、ねえツンちゃん、今日はずっとお家にいる?」


825 : ◆8esz8O/.sM :2006/04/05(水) 22:00:07.29 ID:j0H7/fQ80

ξ゚听)ξ「今日は喫茶店のバイトよ。月曜から水曜はいつもそうじゃない。」

J゚-゚)「ええ〜。ツンちゃん最近忙しすぎるよー!
いつもバイト行ったり学校に行ったりしてて全然ユリと遊んでくれないんだもん!」

ξ゚听)ξ「ごめんね?今度遊びましょう。」

J゚-゚)「あ、でも明日は木曜だからバイトお休みだよね?明日遊ぼう!」

ξ゚听)ξ「・・・ごめんね・・・明日は、絵の続き描かなきゃ・・・」

ツンが申し訳なさそうに言うと、ユリは首を振って怒る。

J゚-゚)「やだやだ!!明日遊びたいの!!遊ぼうよ!!」

ξ゚听)ξ「お姉ちゃん、お願い、我が儘言わないで。今度遊びましょう?」

J゚-゚)「やだー!!やだー!!」

ユリは叫ぶように言い、ソファーや壁をバリバリと引っ掻き始める。
前にブーンの見た無数の傷は全てユリがつけたものだった。
あの事故以来、ユリは思い通りに行かない事があると壁や床を血がでるまで引っ掻くようになったのだ。

 

 

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