1 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:01:51.58 ID:jM1l2e+j0

HR:「僕が浪人になったワケ」

―37564―
たった五つのただの数字、その何の変哲もない数の羅列が、僕の未来を引き裂いた。
( ω )「ない…ない…ないお…」
右手にマウス、左手に受験票、眼前にはモニター。まだこの現実を信じられない僕は、再度ページを上までスクロールして目を通してみる。でも結果は同じ、規則正しく順番に並んだ数字達は、僕の望んだ並びにはなっていなかった。
ゲレンデのように真っ白になった頭の中に、今まで意識の外に閉め出していた言葉が浮上してくる。

浪 人

いつの間にか止めていた息をはき出すと共に、僕は机に突っ伏した。

―――( ^ω^)が落ちたようです―――

4 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:03:51.28 ID:jM1l2e+j0

勉強は嫌いではなかった、大して苦手だとも思わなかった、高校に入るまでは。
中学までは一般家庭の例に洩れず公立の学校に通っていた僕は、何処かしら勉強というものを甘く見ていた節があったかも知れない。
上は秀才、下はDQNまで多種多様な子供が集められる公立中学、当然授業もその平均をいくように進められる。テスト前に少しやれば高得点を維持するのは難しくなかった。数学?国語?授業さえ聴いてれば楽勝にも程がある。
( ^ω^)「あの頃は楽だったお」

5 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:04:48.17 ID:jM1l2e+j0

気づけば僕の内申書にはずらりと並んだ5。周りは皆僕を頼り尊敬の眼差しで見つめ、教師達は一様に僕を可愛がる、そんな状況で厨二病の僕が天狗になってなかったと言ったら嘘になる。その場所が居心地が良くて、そこに居座る為に試験の前だけは常に努力した。
(*^ω^)「一夜漬けでも100点とかウマーwww」
その結果、僕は推薦で一駅離れた有名私立進学校に入学する事が出来た。
これから始まる華の高校生活、可愛い彼女に厳しい部活、そしてリーダーシップを発揮するにはぴったりの季節ごとの行事。そして、
( ^ω^)「最重要課題はチェリー脱出wwwまぁ余裕っしょwww」
そんな僕の浅はかな夢は見事に打ち砕かれる事になる。それはもう粉々に。強いて言うならば、ポケットに入れたまま座ってしまった時の鳩サブレーばりに粉々に。


6 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:05:47.68 ID:jM1l2e+j0

(;^ω^)「まさか皆あんなに出来ただなんて…」
新しい級友達と受ける初めての授業は、正直に言うと簡単だった。進学校と言えども所詮こんなものか、内心そう思っていたのも事実だ。次第に教師の言葉に熱心に耳を傾ける事もなくなっていく。その慢心がいずれ悲劇を産む事も、僕はまだ知らずにいた。
一学期、中間テスト。今まで通り前日に教科書を頭に叩きこみ、余裕の表情で試験に望む。しかしそこで僕は、驚愕の点数を取る事になる。
(;;^ω^)「な、な、なんじゃこりゃぁぁぁ」
試験中は多少難しいと感じたものの、そこまで手応えがなかった訳ではない。むしろこのくらい取れていれば学年で10位くらいには入れるだろうと思っていた。甘かった、不二家のLOOKチョコのバナナばりに甘かった。
 

9 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:08:05.31 ID:jM1l2e+j0

返却された答案に赤いインクで書かれていた点数は、それが50点満点ならどれだけ良かっただろうと思わせるものばかり。保健体育だけは100点だったが。
慌てて周りの答案を見せてもらえば、ずらりと並んだ高得点の数々。

(-_-)「へぇ〜…内藤って案外馬鹿なんだな、頭良さそうにしてたのに」

僕のちっぽけなハリボテの衿持は、級友の放った何気ない言葉と共に音を立てて崩れた。

なんて事はない、それはただ単に要領の問題。僕のやり方はもはや通用しない、高校では地道な予習復習と計画的な学習がものを言う、それだけだ。その時ならまだ軌道修正は可能だった、十分間に合うはずだった。しかしあろうことか僕は、その日から堕ちていった。


10 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:09:21.35 ID:jM1l2e+j0

( ^ω^)「こんなクソつまんねー授業やってられっかおwww」

( ^ω^)「マルボロうめぇwww」

( ^ω^)「連コイン?デフォですが何か?www」

授業は以前からの態度に輪をかけてやる気を見せない所か、ちょっと悪い奴らと一緒に抜け出して校舎裏で煙草を吸ったり、街に繰り出しカラオケやゲーセンに入り浸ったりの生活を送り続けた。

(*^ω^)「ヘイヘイカワイコちゃんお茶でも飲むおwww君のラブジュースでもおkだおwwうはwww」

もちろんナンパもした。
何故か全滅だったが、多分僕のツレが不細工だったからだと思う。

進学校にそんな底辺の奴らがいるものかと思うかも知れないが、どの世界にも一握りの堕落した者は必ずいる。何時しか僕はその中の一人になっていた。

昔は馬鹿にしていたDQNになった事も、それに気付いていない事も皮肉だった。

( ^ω^)「悪そうなヤツは大体友達♪www」

 

12 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:10:44.43 ID:jM1l2e+j0

それでも僅かに残った衿持の欠片、その欠片をこれ以上小さくしない為にも試験前だけは必死に詰め込み、留年だけは何とか免れる綱渡りの日々。

気付けば良くつるむ相手が後輩になっていた事もある。

そんな自堕落な生活を送り続け、気が付けば受験シーズン。

大学に行かないとろくな未来に出会えない、その程度の見識なら持ち合わせていたから、さすがの僕も危機感を感じていた。

(;^ω^)「これはヤバス…」

何せ教科書・参考書に書いてある事が殆ど理解出来ないのだ。

例えば英語一つとって見ても、中学の時はトムと久美が、

Tom「Let's fuck♪」

Kumi「Yes、let's♪」

なんて言ってるだけだったのに、

(;^ω^)カテイホウカコカンリョウ?げんざいかんりょう?なんで現在なのに完了してるんだお?新手のスタンドかお?」

( ^ω^)「まぁ多分誤植だおwwwこんな矛盾に満ちた日本語があるかってのwwwうはww俺天才www」

 

15 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:13:40.15 ID:jM1l2e+j0

それでも優等生だった頃の記憶が片隅にあったせいか、
なんとかなると考えていた僕は相当馬鹿だったと言える。

数学・理科も同じように勝手な解釈で自分で進めた(僕は理系だ)。
塾にも行かず、ひたすら自分で問題を解き続けた。

思えばあの頃が一番勉学に励んでいた頃だろう。
例えそのやり方に問題があったとしても。
そしてついに、試験シーズンがやってきた。

 

16 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:14:56.13 ID:jM1l2e+j0

―――⊂( ^ω^)⊃ここからはダイジェストでお送りします⊂( ^ω^)⊃―――

〜センター試験〜

☆いちにちめ☆

・国語・
( ^ω^)「国語は得意科目だおwwwどんとすぃんく、ふぃーるだおwww
時間余ったから横読みでも探すおwww」

・英語・
( ^ω^)「じす…いず…ざ…あなりしぃす…ぷりーず…ぎぶ…いと…つぅ…あっしゅ……。
『これはアナルビーズです、私のケツに突っ込んで下さい』?そんな選択肢ないお」

・リスニング・
( ^ω^)「鼻息うるせぇwww
あ、間違えてICカード抜いちゃったお、試験管に言うお。すいませ〜(ry」

・政経・
(#^ω^)「さっきは試験官呼んだだけなのに怒られたお。面白くないから寝るお」


17 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:17:23.10 ID:jM1l2e+j0

☆ふつかめ☆

・数学1A・
( ^ω^)「この角度は…見た目60度っぽいお!これは…30度と見せかけて45度だお!
次は確率かお、これは数えればいいだけだから簡単だおw
………あ、まだ2053番目なのに試験オワタ」

・数学2B・
( ^ω^)「公式は確か…こすってこすってさすってさすって。
うはwwwエロスwwwオナヌーしたくなってきたおwww」

・生物・
( ^ω^)「精子www卵子www受精www排卵wwww」

・地学・
( ^ω^)「宇宙空間には何が多く含まれるか?宇宙には何もないんだおwwwバーカバーカwww
出題ミスだお、4択だから五番にマークしとくおw」

〜私立受験〜
( ^ω^)「記述式…鉛筆サイコロが通じないとかどんだけハイレベルだお…」

〜国立受験〜
( ^ω^)「日本語でおk」

―――⊂( ^ω^)⊃ダイジェスト終わり⊂( ^ω^)⊃―――

18 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:18:34.11 ID:jM1l2e+j0

こうして一ヶ月半に及ぶ試験ラッシュを終えて真っ白になった僕は、
結果を見て更に真っ白になった。

( ^ω^)「浪人?負け犬の悪あがきだろwww無駄な努力乙www」

常日頃からそんな風に馬鹿にしていた存在、その浪人になる事が決定したのだから。

( ´ω`)「全滅かお……」

受けた大学という大学から総スカンを喰らい、
選択肢が一つしかなくなった僕にとって、卒業式で嬉しそうに合格を報告しあう級友達は眩しすぎた。ハレの日に一人だけどん底にいた僕はさぞかし滑稽だっただろう。ムカついたからそいつら全員の卒業証書にこっそりうんこの絵を描いてやった。


19 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:20:23.70 ID:jM1l2e+j0

( ´ω`)「皆楽しそうだお…」

普段良くつるんでいたDQN達でさえ低ランク大とは言え進学したり、
家業を継いだものなど様々だったが、その中に浪人する者などいなかった。
つまり彼等には自分の力量を把握するだけの判断力があったと言う事だ。
結局のところ、現実を見ずに無計画に突っ走っていたのは僕だけと言う事になる。
言わば地図も持たずにパリダカに出場したのと同じ、
目的地にたどり着けるはずがなかったのだ。

( ´ω`)「予備校でも探すお……」

そうしてパソコンに向かいこれから自分が通うべき場所を検索している内に、
ある広告が僕の目をひいた。

『予備校界屈指の合格率!!絶対あなたを志望大学へ通わせます!!〜ヒュン台予備校〜』

21 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 13:22:26.53 ID:jM1l2e+j0

( ^ω^)「…これは…」


( ^ω^)「カーチャン!俺、ヒュン台予備校始めたいんだ!」

J('ー`)し「やめときなさい、あんたどうせ長続きしないでしょ」

( ^ω^)「今度は本気なんだ!先輩だってヒュン台に通ったら大学に行けたんだ!」

( ^ω^)「テキストだってほら!こんなに見やすくてわかりやすいんだ!」

J('ー`)し「今回ばかりは本気みたいね…いいわ、頑張りなさい」

( ^ω^)「ありがとうカーチャン!俺、頑張るよ!」

こうしてカーチャンを説得した僕は今、そのヒュン台予備校ニュー速校舎の前に立っている。

( ^ω^)「ヒュン台予備校…予備校界屈指の合格率…かお」

両親に頼みこんでまで行かせてもらえるようになった予備校だ、
僕はここで生まれ変わってみせる。

( ^ω^)「目指せ国立VIP大学」

長くて短い一年が、始まりを告げようとしていた。


で、ひとまずここでプロローグは終わりなんだが...過疎ってますね、一話も投下する?( ´・ω・`)

 

 

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