207 名前: 貸金業経営(東京都)[]
投稿日:2007/03/18(日) 23:04:53.17 ID:snAephUL0
- お待たせですできました。投下します
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(´・ω・`)「うふふふふ…
僕が今まで君達に必要以上に親切にしていたのには、ある目論見があったのさ」
(; ^ω^)「な、なんですお!?」
(´・ω・`)「それはもちろん、君達の信頼を勝ち取り、
隙を見せたところで、君達の若くて締まりのいいケツに…」
(*´・ω・`)「ぶちこんでやることさ!!」
( ゜ω゜)「アッー!!」
(*´・ω・`)「や、や、や、や ら な い か あそーれ」
( ^ω^)「という夢を見たお」
(=;゚ω゚)ノ「んな事いちいち報告してくんなヨゥ…」
十時限目:「雨とアルコール」
208 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:05:46.93
ID:snAephUL0
- ツンの遭難から一夜明けた朝。生憎と外は雨降りで、ラジオ体操は中止だった。
ジョルジュが非常に残念そうな表情をしていたのだけれども、
旅館の人にけん玉を貸してもらって喜んで振り回して遊んでいる。
それ言っとくけど武器と違うからな。あー…やっぱり玉が当たったドクオが倒れた…
209 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:06:37.43
ID:snAephUL0
- ξ゚听)ξ
昨夜あの後目を覚ましたツンだが、
まるで僕への告白(未遂)はなかったかのように振る舞うので、
こちらとしてもどう対応していいかわからない。
イヨウは告白だけ済ませて後は結果待ちという気持ちなのか、僕への態度は戻っていた。
ツンが逃げたのはお化けを見たような気がしたから、と本人から聞かされたらしい。
( ^ω^)「結局ウヤムヤのまま全て元通りかお…」
イヨウにあの山道での会話を話したらどう反応するのだろう。言わないけど。
210 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:07:45.01
ID:snAephUL0
- 何にせよ、今日が合宿最終日、張り切っていこうと思う。
(=゚ω゚)ノ「まぁ確かにショボンさんは、俺達に異様に親身になってくれるヨゥ
。去年もそうだったヨゥ」
( ^ω^)「それに何であんなに頭いいのにまだ浪人なんだおね?」
夜の帰宅の時間にドタバタしないよう、
今のうちに使わない荷物を鞄に無理矢理詰め込みながら僕の夢をネタに雑談を。
昨日一日イヨウと殆ど話していないし、自然と会話が弾む。
外見はDQNだけど、やっぱり根はいい奴だ。
211 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:08:40.73
ID:snAephUL0
- (=;゚ω゚)ノ「あ、これ、閉まんないヨゥ…」
限界まで膨らんだ旅行鞄を強引に閉じようとして、
抵抗され諦めたイヨウが口をとがらした。
(=゚ω゚)ノ「なんで旅行鞄って、行きはすっきりなのに帰りはパンパンなんだヨゥ?」
(; ^ω^)「それはイヨウが部屋に備え付けのお菓子を全部持って帰ろうとしてるからだお…」
…やっぱり内面もDQNかも知れない。
213 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:09:57.30
ID:snAephUL0
- 〜大部屋にて〜
(´・ω・`)「今日で合宿は最後だね。
期間は短かったけど、内容は密度の濃いものがやれたと思う。
この合宿から戻ればすぐに第一回のVIP大実践模試がある。
今合格点を出せとは言わないが、なるべくいい判定を取れるように頑張っていこう。
それじゃあ、勉強を始めようか」
('A`)「そういえば…もうすぐVIP大模試なんだね…」
合宿最後の訓辞を受けた後、各自席についたところでドクオが呟く。
214 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:10:59.11
ID:snAephUL0
- ( ^ω^)「大きな関門…ってやつかお」
ξ゚听)ξ「まぁ、今のあんたならD判定取れればいい方でしょ」
(; ^ω^)「お…ツンさん…オハヨウゴザイマス…」
ξ゚听)ξ「?何の真似よそれ。
まぁいいわ、この前の全国判定みたいにマーク式じゃないんだから、せいぜい頑張んなさいね」
(; ^ω^)「ハイ…」
いきなり横から会話に入ってくるもんだから、正直マジでビビった。
あんな事があったのに彼女は何ともないのだろうか。
それとも昨夜はからかわれただけなのだろうか。
215 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:11:56.08
ID:snAephUL0
- ('A`)「なんか…あったの…?」
(; ^ω^)「いやいやナンデモナイお!
そ、それよりドクオ、ドクオはなんでVIP大に行きたいんだお?」
('A`)「僕が…VIP大に行きたい理由…か…」
誤魔化す為に慌てて口走った質問だが、ドクオは結構真剣に考えてくれている。
('A`)「尊敬する教授が…あそこにいるんだ…去年も頑張ったんだけど…
僕本番に弱くて…何かプレッシャーがかかると…駄目なんだ…」
そういえば、ドクオは模試では結構いい点数をとっていたような気がする。
その時は不思議に思ったのに忘れていた。
216 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:12:50.54
ID:snAephUL0
- ( ^ω^)「じゃあ、ヒュン台の入学試験も?」
彼は小さく頷いて、だから、今年こそは…とギリギリ聞こえる程度の声量で、しかし力強く喋った。
( ^ω^)「(成程だお…)」
〜あなたがVIP大を目指す理由はなんですか?〜
(=゚ω゚)ノ「荒巻からは解放されたし、次は超一流企業に入って、会社立ち上げて、いずれはあいつの会社を潰す為の第一歩だヨゥ!」
川 ゚ -゚)「医者になりたい。それよりこの時間を惜しんで勉強しろ」
ξ゚听)ξ「動物の行動を学びたいの。あそこは国内で一番施設が充実しているから」
217 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:13:39.39
ID:snAephUL0
- 特別質問
〜あなたは何故予備校に就職を?〜
(* ∀ )「金、
若くて超イケメンの生徒とラブラブ、
玉の輿の超イケメンの若い結婚相手。
どれも実現できてねーよチクショウ…大体なんであたしがこんなショボいクラスに…
これじゃ玉の輿なんて望めやしないよ全く…
あんのクソ校長め…いつか殺すぞ…いや、もう殺るか…?」
二つ目と三つ目の違いを聞きたかったが、
今だとおそらく命と引き替えになるので止めておこう。
218 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:14:44.19
ID:snAephUL0
- ( ^ω^)「さて、残りはジョルジュとショボンさんかお」
ジョルジュはけん玉振り回しを武術の域までに進化させていて、危なくて近寄れない。
オーバーゼニスがどうたらこうたら叫んでて怖いったらありゃしない。
一番気になる相手だったのだが…、仕方ないか。
僕は、休憩時間だと言うのに、
隅っこでカリカリと鉛筆を動かしているショボンさんの元へ向かった。
(´・ω・`)「僕がVIP大を目指すワケ?」
( ^ω^)「そうですお、今皆に聞いて回ってるんですお」
(´・ω・`)「僕の、目指すワケか…」
220 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:15:47.06
ID:snAephUL0
- 窓の外、屋根から滴り落ちる雨粒を目で追いながらショボンさんは何かを考えている。
その時僕の視線は、彼の左手にはめられたある物に向けられていた。
( ^ω^)「(…指輪…?…薬指って事は…)」
(´・ω・`)「罪滅ぼし…」
( ^ω^)「お?」
(;´・ω・`)「あ、いや、なんでもない。
そうだね、星が好きだから、天文学を国内最高の大学で学びたいなと思ったのさ」
( ^ω^)「なるほろ…」
大変ショボンさんらしい理由だ。
221 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:16:46.04
ID:snAephUL0
- (´・ω・`)「じゃあブーン、逆に聞くけど、君のVIP大を目指す理由はなんだい?」
( ^ω^)「僕の…理由…?」
それを聞かれた途端、僕の中にあった小さなしこりが、確かに大きくなったのを感じた。
思えば全国判定模試の時イヨウと話した瞬間から、このしこりは存在していたのだ。
高校の時は、何も考えていなかった。
受験に失敗して、そうするのが当たり前だから予備校に入った。
VIP大コースに入ったから、VIP大を目指す事にした。
結局僕は、何一つ自分の意思で決めた事がない。
大学を目指すのに目標がいるのか?
ないといけないのか?
そもそも僕は、
本 当 に V I P 大 に 行 き た い の か ?
222 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:17:40.45
ID:snAephUL0
- 様々な想いが脳裏に浮かび、沈んではまた浮上して新たな模様を描く。
ショボンさんの質問に、何も答えられない。
(;´・ω・`)「ま、まぁまだ見つからないならそれでもいいんだよ?
大学に行ってからやりたい事を見つける人も沢山いるワケだし」
黙ったままの僕を見かねたショボンさんが言葉をかけてくれる。
でもその言葉ではこの心に出来たよどみを取り払う事は出来なかった。
僕は、多分駄目なんだと思う、何か道標がないと。なんとなくだが、そんな感じがする。
おろおろしているショボンさんに礼を言って、僕は静かに席に戻っていった。
223 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:18:57.96
ID:snAephUL0
- 夕食時になっても気分は晴れない。
どろどろと渦巻く悩みの元を洗い流すかのように、
僕はコップになみなみとつがれた水を一気に飲み干した。
( ^ω^)「…」
(* ^ω^)「お?」
なんだか知らないが体が熱い、急に熱ってきた。
(* ^ω^)「おっおっおっ、お〜?」
頭がグラグラするが、非常にいい気分だ。
先程までの悩みなんて過ぎ去ったかのよう。
辺りを見回してみると、皆顔が上気していてフラついている。
そこで、僕の意識はまたまたまた途切れた。
正確に言うと、ここからは覚えていない。
224 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:20:07.00
ID:snAephUL0
- (;´・ω・`)「ちょ、ちょっと!皆どうしたのさ!?」
あはは、焦ってる焦ってるw可哀想だからネタばらししてやるか。
「多分、これかな?エヘッ☆」
あたしが取り出した大きな瓶。そこに貼られたラベルには、
「下町のナポレオン いいちこ」
と確かに印刷してある。やっぱ旅のお共はこいつだね☆
(;´・ω・`)「アッー!!つー!君何飲ましてるんだよ!
彼等の中には未成年もいるんだよ?しかもそれをストレートで…」
「うっさいな、イマドキの子達は酒なんか中学から飲んでるよ」
(;´・ω・`)「だからってあんなに沢山を一気に…」
ったく、こいつは頭が固い。まぁもう30過ぎてるから仕方ないか。
顔はそこそこいいんだけどね。
225 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:20:59.73
ID:snAephUL0
- ξ*゚听)ξ「あ〜ショボンさんが三人いる〜」
(* ^ω^)「僕には五人くらいに見えるお〜」
酔っ払ったガキ共が獲物を見つけたようだ、段々面白くなってきたよこれは。
(;´・ω・`)「ちょっ、皆、落ち着いて!動くとお酒がまわ…」
(*'A`)「ショボンさんって…お父さんみたいだよね…」
(´ ω `)「!!」
(=*゚ω゚)ノ「面倒見のいいところとか、歳はちょっと若いけど確かにそんな感じだヨゥ」
あ、こいつはそんなに酔ってない。さては慣れてるな?
227 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:22:00.21
ID:snAephUL0
- ( ゚∀゚)「故郷ノDADDYヲオモイダシマスネー」
川*゚ -゚)「じゃあ皆、これからはショボンさんをお父さんと呼ぼうではないか」
(* ^ω^)「賛成だお!」
ξ*゚听)ξ「賛成!」
(*'A`)「お父さん」
川*゚ -゚)「お父さん」
(=*゚ω゚)ノ「とうちゃんwww」
(* ^ω^)「トーチャン」
ξ*゚听)ξ「パパ♪」
( ゚∀゚)「DADDY!」
食堂に響き渡るお父さんコールの大合唱。
ああ、こりゃ駄目だね、全員いくとこまでいっちゃってるよ。
228 名前: 貸金業経営(東京都)[]
投稿日:2007/03/18(日) 23:23:05.58 ID:snAephUL0
- このまま寝てくれれば楽なんだけどな…と思いながらも"お父さん"の方を向くと、
そこには意外な光景があった。
(´ ω `)「や、やめてくれ…頼む…やめてくれ…」
「お、おいあんた!どうしたんだよ!!」
慌てて駆けよってみれば、こいつ、耳を押さえて震えてるじゃないか。
なんだなんだ?
(´ ω `)「しか…な…」
ん、何か言ってる…?
(´ ω `)「仕方なかったんだ…知らなかったんだ…僕は悪くない…違う…」
(´;ω;`)「違うんだよ!!!」
229 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:23:52.95
ID:snAephUL0
- あたしの手を振りほどき、バッと立ち上がったかと思えばスゴい勢いでこの豪雨の中へ飛び出して行く。
残されたあたしと酔っ払いのガキ共は、ぽかんとした顔でそれを見つめていた。
230 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:24:30.53
ID:snAephUL0
- 結局、二十分くらい経ってから戻ってきたショボンは、
もうすっかり寝ちまってるガキ共が起きた時記憶がなかったら、
さっきの事は内緒にして欲しいとあたしに頼んだ。
それから二人して眠ってるガキを車に詰め込み、今は夜のハイウェイを運転中ってワケさ。
「それにしても、あれはなんだったんだろうね…」
そう一人ごちて、あたしは雨で滑りやすい道を華麗なハンドル捌きで進んでいくのだった。
231 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/03/18(日) 23:25:06.75
ID:snAephUL0
- (´・ω・`)「…くそっ…まだ...僕は…」
合宿、終了。
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