2 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:39:47.99 ID:X80afG+W0

(* ^ω^)「トーチャン」

(  )「とうちゃん!がんばれ!」

―――ドクン―――

(;*゚∀゚)「お、おいあんた!どうしたんだよ!!」

(  )「あなた大丈夫?あんまり根つめちゃ駄目よ?w」

―――ドクン―――

(  )「残念ながら、奥さんと息子さんは発見された時には既に…」

―――ドクン―――

(´  ω `)「うわぁぁぁぁぁ!!」

(;´・ω・`)「はぁ…はぁ…はぁ…夢か…」

(;´・ω・`)「…くそっ…今年こそは…」

11時限目:「hot,hot,hot」
 


4 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:40:49.54 ID:X80afG+W0

(; ^ω^)「(アチィお…)」

外は灼熱の炎天下、とろけそうな36度の熱地獄。こんな歌が昔あったような気がする。

冗談じゃなく本気でアスファルトで目玉焼きが焼けそうなこの異常気象の七月の昼下がりに、
僕はニュー速校舎で夏期講習を受けていた。
室内なら冷房が効いているはずだと思ったそこの君、
甘い、原液のカルピスくらいに甘ったるい。
 


6 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:41:48.81 ID:X80afG+W0

人の体温は平均して36度プラスマイナス、常にその皮膚上から熱を発散している。
ではもしも他人のその熱源が、常に己の肌に接しているとしたら?

(; ^ω^)「(なるべく多くの受講生から金踏んだくりたいからって、
4人がけの机に6人も座らせんなお…)」

更に悪い事に、僕の両隣はピザ二人だ。

(; ^ω^)「(ちゃんこ食ってメタボリックシンドロームになってろピザめ…)」

外に出れば感じられる地球温暖化より、もっと身近な温暖化がここにはある。

(; ^ω^)「(それでもアメリカは早く京都議定書に批准しろお…)」

合宿から帰ってきてはや四日。少し賢くなった、もうじき19の夏だった。
 


7 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:42:40.56 ID:X80afG+W0

3時間にも及ぶ講習を終える頃には時刻は4時を指しており、自習室は既に満杯になっている。
この自習室というものにやけにこだわる人もいて、
中には開放される1時間前から並ぶ者もいるというから驚きだ。

( ^ω^)「賢くてもバカな人はいるもんだお…」

僕は教室から一斉に出ようとする人の波をかきわけ、
開放教室なのに誰も使わない地下教室(Dクラスの教室)へと向かったのだった。
 


8 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:44:20.85 ID:X80afG+W0

( ^ω^)ノ「おいすー」

川 ゚ -゚)「お邪魔している」

(‘A`)「やぁ…」

( ゚∀゚)「オッパイヨー!」

冷房いらずしかしカビ臭いこの部屋には、既にいつものメンツが何人か集まっていた。
一人学級王が混ざっているみたいだが。

( ^ω^)「他の人は講習かお?」

(‘A`)「そう…だね…」

川 ゚ -゚)「講習のとりすぎは己の為にならないのだがな…」
 


9 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:45:06.07 ID:X80afG+W0

確かにそうだ。
講習期間だからと言ってあまりに沢山選びすぎると、その予習復習だけで一日が終わってしまう。
なんせ3時間1パック×4日間=12時間、これは前期の一つの授業の合計時間とほぼ同じ。
つまり4日で3ヶ月分の勉強をする事になる、まぁこれはおおげさな表現だが。

( ^ω^)「だから僕はあんまり取ってないお!全部で4つだけだおw」

(;‘A`)「…少なっ…!」

川 ゚ -゚)「まぁ君はそのくらいにして、みっちり基礎をやった方がいいのかもな」

( ^ω^)「そうなんだお、ショボンさんもそう言ってたんだおw」
 


10 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:46:45.61 ID:X80afG+W0

( ^ω^)「(そういえば…)」

合宿から帰ってきてから、ショボンさんを見ていない。
ドクオ達にも聞いてみたが、同じく見ていないようだ。
まぁ、あの人はやらずとも受かるだけの実力があるし、涼しい家でマターリやっているのだろう。
そしてあれから四日も経ったのに、僕の大学を目指す理由もまた行方不明なままだった。
 


11 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:47:24.55 ID:X80afG+W0

しばらく静かに自習し、キリのいいところで一段落。

川 ゚ -゚)「ジョルジュ君、君の講習予定表に興味あるのだが」

さすがクー、ナイスな質問だ。彼が何を取ったのか、僕としても非常に気になる。

( ゚∀゚)「見セルクライナラno problem,コレデスネー」

そう言って彼が差し出してきた紙に書いてあったものは、


 A期間 やさしい日本語〜ひらがなを覚えよう〜
 B期間 やさしい日本語〜任侠言葉編〜 
 C期間 super difficult English(how to get a horny pussy)
 D期間 スワヒリ語講座〜日常会話から便器に歯ブラシが詰まった時の会話まで〜
      ・
      ・
・ 』

(; ^ω^)「こんな講座…あったかお?」

(;‘A`)「さぁ…」

川 ゚ -゚)「(スワヒリ語講座…私も取りたい…)」

予備校も、これで中々奥が深いということで。
 


12 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:48:15.58 ID:X80afG+W0

それからカリカリシコシコ勉強を続けて、気づけばもう夜の七時。外はやっと暗くなってきた。

(‘A`)「じゃ…僕達…先に帰るねー…」

川 ゚ -゚)「ラブホに行ってくる」

(;‘A`)「ちょwwwクーさんwwwそれは言っちゃ駄目www」

(; ^ω^)「いってら…」

前にも言った台詞のような気がするが、あの二人はいつの間にあんな関係になったのだろうか。
後ドクオがハキハキ喋っているのも初めて見た。
二人ともバナナに滑ってマンホールに落ちてそこで一生暮らせばいいのに。
 


13 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:48:55.01 ID:X80afG+W0

( ^ω^)「さて、これで残ったのは僕と…」

( ゚∀゚)「…」

(; ^ω^)「ジョルジュ…の二人だけかお…」

( ゚∀゚)「…」

(; ^ω^)「…なんか喋れお…」

( ゚∀゚)「…与謝野晶子」

(; ^ω^)「いや、人名じゃなくて…」

この空気をどうしろと。
 


14 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:49:42.80 ID:X80afG+W0

結局、この後はジョルジュと二人っきりという不思議空間を意識しないように自習し、
ヒュン台が閉まる9時に僕らは校舎を出た。
帰りもこいつと二人きりなのかと思ったら、今度もあのアイドルがジョルジュを迎えにきて、
二人は夜の街へと消え僕は一人で残された、と。

( ^ω^)「帰りますかおね…」

街の灯りが灯り始め、僕の歩く先を街頭がぼんやりと照らす。
先程のドクオとクーの事を思い出し、自然と思考はツンの事へと移っていった。

( ^ω^)「(あの告白は、一体なんだったんだろうかおね…)」
 


15 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:50:30.93 ID:X80afG+W0

そういえばツンにも合宿が終わってから会っていない
。彼女は結構な量の講習を取っていたようだし、
そもそもこの期間は知人と会う方が珍しいくらいなので仕方ないのだが。

( ^ω^)「(ツン…軽かったお)」

未だ背中に残る彼女の柔らかみと僅かな胸の感触、
今日も僕はそれをオカズにしようと決心したのだった。

だが。

ξ゚听)ξ「何ニヤニヤしてんのよ」

( ^ω^)「いやいや、別にニヤニヤなんかして…」

(; ^ω^)「って本人かお!!」

突如背後から現れた僕の関心事の張本人は、怪訝そうな顔をして僕の隣に並んできた。
 


16 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:51:16.43 ID:X80afG+W0

ξ゚听)ξ「本人?どうせまた変な事考えてたんでしょ」

(; ^ω^)「んなことないお(図星です)」

デニムのミニスカからすらりと伸びた脚は陶器のように白く、
ピンクのキャミソールから出ている腕は細く、とても優雅で。
美しくカールした金髪は月明かりと受けてキラキラとまるで万華鏡のように輝き、
相変わらずその澄んだ瞳は見るものを魅了する何かがあった。

( ^ω^)「(こんな子が…僕に告白してくるはずないお…w)」
 


17 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:51:51.17 ID:X80afG+W0

やはりあれは何かの間違いだったのだろう、今度こそわかった。
受験生に恋にかまけている暇などない、本分の勉強をしっかりとや…

ξ゚听)ξ「待ってたんだから、遅いわよ待ったく」

…は?

ツンが、僕を、待っていた?
この僕を?
一度確立した自信が土台を失ってグラグラと揺れる。

ξ゚听)ξ「話があるの、そこの公園にいきましょ」

(; ^ω^)「お…」

彼女の誘いにまんまとのり、僕は夜の公園に足を踏み入れたのだった。
 


18 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:52:52.86 ID:X80afG+W0

(; ^ω^)「あの…ツンさん…場所変えませんかお?」

ξ゚听)ξ「なんでよ」

(; ^ω^)「なんでって、周りが…」

見下ろせば日本海、じゃなくて、見渡せばカップルカップルカップルカップ(ry
夜の公園は、昼とは全く違った顔を見せていた。

(; ^ω^)「(あ〜あそこキスしてる…あそこなんか服に手まで入れて..
あぁあぁ…あ、ヤバいお、マイDr.グリップが反応を…)」

ξ゚听)ξ「?とりあえず座りなさい」

前屈みになっている僕に背後のベンチを指差す彼女、
僕は膨らみに気づかれないように気をつけて座り、バッグをズボンの上に置いた。

ξ゚听)ξ「さて…」
 


19 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:53:40.28 ID:X80afG+W0

これからどんな言葉が飛び出すのだろうか、正直まだ心の準備も整理も出来ていないのに。
モテる男はつらいよ。
ただ、二回目だから事前にわかっているせいか、自然と僕は落ち着いていた。

ξ゚听)ξ「あのね…」

はいはい、なんでしょうか。

ξ゚听)ξ「合宿の山で遭難したときに話した事なんだけど…」

わかってますよ、続きが言いたいんですよね。

ξ゚听)ξ「あれね…」

うんうん、もったいぶらずにどうぞ。
 


20 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:54:03.82 ID:X80afG+W0


ξ゚听)ξ「やっぱ忘れて」


21 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:55:14.50 ID:X80afG+W0

そうかそうか、そういうことか…って、

(;;^ω^)「お〜!!??」

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!『告白されると思ったらキャンセルされた』
な…何を言ってるかわからねーと思うが僕も(ry

(;;^ω^)「ど、ど、ど、どういうことだお?」

ξ゚听)ξ「慌てないの、人の話はちゃんと聞きなさい」

(; ^ω^)「お…」

これで慌てるなと言われても。
 


22 名前: あらし(東京都)[age] 投稿日:2007/03/19(月) 23:56:11.70 ID:X80afG+W0

(あまりに過疎で自分でage...)



ξ゚听)ξ「合宿であの後続きを言わなかったのは、イヨウがいたから。
今日きちんと断ってきたけど」

イヨウ…御愁傷様だ…。

ξ゚听)ξ「それでね、驚かせちゃったみたいだけど、忘れてってのはね…」

ξ゚听)ξ「受験が終わるまでって事なの」

( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「今、あの続きを言ったら、多分あたしは勉強どころじゃなくなっちゃうと思う。
それにブーンの気持ちもわからないし、
もしフラれたりしたらショックであたしまた落ちちゃうでしょ?w」

(; ^ω^)「あ、いや、僕は…」
 


23 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:56:56.79 ID:X80afG+W0

ξ゚听)ξ「合宿の時は雰囲気に流されすぎたわ。もっと冷静になるべきだった。
それで決めたの、全て終わったら、もう一度あの続きを言おうって」

ξ )ξ「だから」

彼女が僕との間を一気に詰める。
思わず後ろにのけぞったが、素早く手を頭の後ろに回されて無理矢理接近させられてしまった。
顔が近い。彼女の息づかいが感じられる程の距離で、髪から仄かに香る香りが思考を鈍らせて…

ξ )ξ「今は、これだけ…」

ツンの顔が更に近づいてくる。反射的に、目を瞑った。



 


24 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:58:02.05 ID:X80afG+W0

(* ^ω^)「…」

場面は移ってニュー速駅。

一緒の大学に行こうね、そう言い残し、ツンは反対方向の電車に乗って去っていった。

(* ^ω^)「(告白しないと言っときながら…あれは反則だお…)」

満員の電車内で人に押しつぶされながらも、僕の顔はにやけっぱなしで。
気づけば周りの人が僕からなるべく遠ざかろうとしている。
慌てて真顔になろうとしたが、もう既に修復不可能なようだ。
隣のOLさんが本当に嫌そうな表情をしている。

まぁ、止めようと思っても止まらないのだが。
 


25 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:58:23.70 ID:X80afG+W0

(* ^ω^)「(…トーチャン、僕は恋に落ちましたお…
そして…VIP大学を目指す理由が一つできましたお…)」

窓から覗く月は、青白く光って漆黒の夜空にほんのりと色合いをつけていた。
 


26 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:58:58.80 ID:X80afG+W0

〜その頃のイヨウ・一人でカラオケボックスにて〜

(= ω )ノ「もう恋なんてしないなんて…」

(=;ω;)ノ「言わないよ絶対ぃぃぃぃぃぃ」

<丶`∀´>←店員「さっきの客一人だったニダ。
やっぱりイルボンは寂しい民族ニダ、世界からも孤立してるニダ!
ホルホルホルwww」

20歳、真夏の失恋ここにあり。
 


27 名前: あらし(東京都)[] 投稿日:2007/03/19(月) 23:59:24.84 ID:X80afG+W0

それから数日後、僕らにとっては一番大事とも言えるイベント、第一回VIP大実践模試があった。

それと、

ショボンさんが倒れた。

 

 

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