162 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:21:56.93 ID:jM1l2e+j0
- おまたせしました、五話目いきます。
五時限目:「リベリオン〜前編〜」
吐き出した紫煙は常にその身を変化させつつも蒼穹の空へと登っていく。
たなびく煙は上空に浮かぶ雲になれるのだろうか、それとも辿り着く前に消えてしまうのだろうか。
僕はそれらが天を目指して駆け上がっていったのを確認し、また口元に手をやった。
新たに吸い込んだニコチンとタールは肺を満たし、身体の隅々にまで充足感を与えてくれる。
もう一度大きく息を吐くと、遥か上にある空に向かって呟いた。
(*^ω^)「ピースうめぇwww」
(=゚ω゚)ノ「マルボロうめぇwww」
ヒュン台に入学してから早三週間、大体サボるタイミングももわかってきた頃だ。
この日は僕もイヨウも三時間目の化学は選択外故に空きになるので、
最近は二人でこうして公園で煙草をふかすのが日課になっていた。
禁煙宣言?知らんがなそんなもん。
163 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:22:56.81
ID:jM1l2e+j0
- ( ^ω^)「それにしても昨日の地学は本気で貞操の危機を感じたお…」
(=゚ω゚)ノ「阿部さんはアレで有名だヨゥ、マジで気をつけた方がいいヨゥ」
( ^ω^)「ずっとモホロビチッチ不連続面の事をホモビッチホモビッチって言うから何かと思ったら、
いきなり僕のカルデラにいきり立ったデスモスチルスを突っ込もうとするもんだから
びっくりして思わずエルニーニョしちゃったお」
(=;゚ω゚)ノ「言ってる事が一つもわからんヨゥ…」
Dクラスで僕しか受けていなく、実質あの地下教室でマンツーマン授業の地学の阿部先生が、
どうやらホモだったらしいというお話。
何とかその場を切り抜けた後、
皆にその話をした時にショボンさんの目が妖しく輝いていたのは気のせいだと思いたい。
164 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:23:57.59
ID:jM1l2e+j0
- (=゚ω゚)ノ「お、そろそろ三時間目終わるヨゥ、次は英語だから戻るヨゥ」
( ^ω^)「把握」
二人してベンチから立ち上がりヒュン台に向かって歩き出す。
と同時に、僕らは急に現れたスーツとサングラスに身を包んだ数人の男達に囲まれてしまった。
(;^ω^)「な、なんだお?」
男達は一様にガチムチのいい身体をしており地学の阿部さんが見たら舌なめずりをして喜びそ(ry…
じゃなくて、僕の頭は突然の事態に瞬時に様々の不吉な憶測を描き出していく。
誘拐とかリンチとか強嬲とか。
だが、男達の一人が発した言葉はまさに予想GUYなものだった。
(■3■)「イヨウお坊っちゃま、お父上のスカルチノフ様がご心配してらっしゃいます、
どうか私共と共にお戻り下さい」
165 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:24:53.90
ID:jM1l2e+j0
- (;^ω^)「…お坊っちゃま?」
数匹の亀を引き連れたイガグリ頭が脳裏に浮かんでは消え浮かんでは消え、
しきりにともだちんこともだちんこと繰り返す。
イヨウがお坊っちゃま?
このどっからどう見てもセンター街出身です本当にありがとうございましたなこいつが?
(=゚ω゚)ノ「…しつこいヨゥ松元…俺はあいつの提案を飲むつもりはないんだヨゥ」
(■3■)「それは困ります。では仕方ありません、直接対談なさって下さい。」
松元と呼ばれたグラサンが背後の別の黒服に何か合図をすると、
彼はいつの間にか停めてあった高級そうな黒塗りのリムジンへと走っていく。
黒服は後部座席を開いて中に手を入れると、
何やら鞄大の白いモフモフしたものを大事そうに抱えて戻ってきた。
166 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:26:15.63
ID:jM1l2e+j0
- (*^ω^)「(ゴマフアザラシみたいだお…)」
黒服がモフモフを胸元まで掲げると、それはしわがれていながらも良く通る声で話し出した。
/ ,' 3「イヨゥ…そろそろ戻ってこい。もう十分わかっただろう」
(=゚ω゚)ノ「うるさいヨゥ…俺はあんたの言いなりになるつもりはないんだヨゥ」
/ ,' 3「今からでも遅くない、わしが一から帝王学を叩きこんでやる。
お前は荒巻コーポレーションの御曹司なのだから大学など必要ない」
(;^ω^)「荒巻コーポレーション!?」
荒巻コーポレーションと言ったら今や有数の大企業じゃないか。
何でも今の社長の荒巻スカルチノフが一代でここまで大きくしたのだとか。
そのかわり黒い噂も沢山ある。ということはこのモフモフが荒巻か?
167 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:27:33.52
ID:jM1l2e+j0
- 思わず大声を出してしまった事に気付くと、
既にモフモフ改め荒巻はなんだこいつといった視線でこちらを見ていた。
/ ,' 3「…なんだ貴様」
(;;^ω^)「ひぃっ」
―――圧倒的な威圧感、自分とは住む世界が違う事をまざまざと実感させられる。
全身の毛という毛が逆立つのを感じた。
抑揚のないただ発せられただけの声なのに、何故にここまで恐怖を感じるのだろうか。
荒巻という人物だからこそ成せる業なのか。
ろくに声を出せない僕をかばうようにイヨウが一歩前に出た。
(=゚ω゚)ノ「こいつは俺の友達のブーンだヨゥ、この話には関係ないから脅すなヨゥ」
168 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:29:10.52
ID:jM1l2e+j0
- (;^ω^)「い、いつもイヨゥお坊っちゃまにはお世話になってますお、
イヨウのともだちんこの内藤と言いますお」
/ ,' 3「ふん…こんな低俗な人間と付き合っているからお前は駄目と言うんだ」
(#^ω^)「(…低俗って僕の事かお…)」
(=゚ω゚)ノ「ブーンの事を悪く言うなヨゥ。話は終わりかヨゥ?なら俺達はもう行くヨゥ」
どうしていいかわからずにたちすくむ僕の腕を取り、無理矢理引きずっていくイヨウ。
尻がコンクリに擦れて痛い。
しかし彼の動きは、次に荒巻が放った言葉を耳にした瞬間ぴたりと止まった。
/ ,' 3「次は、ヒュン台を買い取ろうと思うのだがな」
(=;゚ω゚)ノ「…それはマジかヨゥ…?」
/ ,' 3「そうすれば私がオーナーだ。生徒の一人や二人やめさせる事など容易いぞ」
(=;゚ω゚)ノ「…何が言いたいんだヨゥ…」
169 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:30:14.43
ID:jM1l2e+j0
- 完全に荒巻の方を向き直り話を聞く体制になったイヨウを見て、小柄な老人はニヤリと笑う。
/ ,' 3「簡単な事だ。お前にチャンスをやろう」
(=゚ω゚)ノ「チャンス?」
( ^ω^)「?」
/ ,' 3「もうすぐ模試らしいな。その模試で…
そうだな、そこのキンタマピザと合わせてVIP大のA判定が出る点数を出したらヒュン台の買取はやめる。
お前にもう干渉する事もやめてやろう、どうだ?いい条件だろう?」
(#^ω^)「絶世の美少年に向かってキンタマピザとは失礼だお!!」
(=゚ω゚)ノ「ブーンを巻き込むなヨゥ!それにそんな話には乗らないヨゥ!」
/ ,' 3「ならば今すぐ乗っ取りに移る。急な制度の変更に生徒は混乱するだろうな」
(=;゚ω゚)ノ「うっ…何を考えているんだヨゥ…」
171 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:31:07.68 ID:jM1l2e+j0
- / ,' 3「ククク…親から子に選択肢を与えただけだ。で、どうするんだ?」
(=゚ω゚)ノ「ブーン…無理に付き合わなくていいヨゥ。こいつは俺の問題だヨゥ」
なんだかイマイチ事情が飲み込めないのだが、
要するにイヨウは今度の模試で僕と合わせてA判定に達する点数を取ればこのじじいから解放されるらしい。
( ^ω^)「(二人合わせてA判定なら余裕っぽいお…)」
(*^ω^)「(それにここで恩を売っておけば、将来に繋がるコネクションゲッツだお!
イヨウは荒巻コーポレーションの御曹司だお!うはwww天才現るwww)」
( ^ω^)「他ならぬイヨウの為だお、やるお」
ごめんなさい、コネの為です。
(=゚ω゚)ノ「ほ、本当かヨゥ…ありがとうだヨゥ…」
イヨウは心底ほっとしたような顔をしている。
そんなに荒巻コーポレーションを継ぐのが嫌なのだろうか?
楽して金持ちになれるのに。僕なら間違いなく継ぐぞ。
173 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:32:40.60 ID:jM1l2e+j0
- / ,' 3「決まりだな。ちなみにわかってるとは思うが、達成出来なかった場合のペナルティは…」
( ^ω^)「(イヨウが連れてかれるだけで僕には関係ないお)」
/ ,' 3「お前(イヨウ)が戻ってくるのと、そこのキンタマピザがうちの人体実験用のモルモットになるでいいな?」
( ^ω^)「あぁ、はいはい勝手にどうぞだお」
(=゚ω゚)ノ「ばっ…!おまっ、いいのかヨゥブーン!?モルモットだヨゥ!?
人体実験されてもいいのかヨゥ!?」
( ^ω^)「え?モルモット…?」
(;^ω^)「…え?」
(;;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれおwww今のタンマwww
良く聞こえなかったから無しだってwww」
/ ,' 3「無理」
(■3■)「きちんと録音もさせてもらいました」
松元の手にはいつからか小型のICプレーヤーが握られていた。
174 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:33:37.80
ID:jM1l2e+j0
/ ,' 3「じゃ、せいぜい頑張れよ。松元、行くぞ」
(■3■)「はっ」
松元に抱きかかえられ、荒巻は悠々と車に乗り込むと去って行った。対して残された僕達は…
(;^ω^)「モルモット…これはヤバス…」
(=;゚ω゚)ノ「お前アホだヨゥ…」
一陣の風が僕を嘲笑うかのように吹き抜けていく。
時計の針は、既に四時間目の途中を指していた。
175 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:34:41.82
ID:jM1l2e+j0
- 〜Dクラス・教室〜
(;´・ω・`)「なんでブーンはそうやって人の話をちゃんと聞かないかなぁ…」
( ´ω`)「申し訳ないですお…」
ξ゚听)ξ「ほんっとにあんたって馬鹿ね、
ゴキブリ並の頭だわホント、生きてる価値ないんじゃないの?」
(*´ω`)「あぅっ…仰る通りでございます女王様…返す言葉もございませんお…あんっ…」
今は昼休み。
先程の出来事をショボンさんに報告したところ、
早速説教を受ける羽目になったので今こうして冷たい床の上に正座しているワケで…。
ついでに何故か便乗したツンに足蹴にされつつ罵倒されているワケで…
こちらは気持ちいいから構わないのだが。
176 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:35:35.01
ID:jM1l2e+j0
- ('A`)「…とにかく…次の全国判定模試で…二人合わせて…A判定…取る必要が…あるんだよね…?」
(=゚ω゚)ノ「そういう事だヨゥ」
( ゚∀゚)「ミーハ…AヨリBIGナノガ、好キデス」
ξ#゚听)ξ「なんであたしを見ながら言うのよ」
ちなみにジョルジュは二週間でこんなに喋れるようになりました。なにもんだこいつ。
(´・ω・`)「ふぅ…もう約束しちゃったものは仕方ないね。前向きに対策を考えよう。
イヨウ、君の去年の全国判定模試のVIP大の判定は?」
(=;゚ω゚)ノ「Eしか取れてないですヨゥ…」
179 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:36:39.12 ID:jM1l2e+j0
- (´・ω・`)「成程。ブーン君は?」
( ^ω^)「さぁ…?模試とか受けた事ないんですお」
(;´・ω・`)「君ホントに受験生だったの…?
まぁいいや、じゃあつーさんに去年の問題を借りてくるから、明日までに一通り解いてみてよ。
マーク方式だからそんなに時間はかからないと思うし」
( ^ω^)「把握ですお」
そしてその次の日の夕方、僕が解いた去年の全国判定模試をショボンさんとツンが手分けして採点していく。
心なしか二人とも表情が固いような気がする。僕としてはかなり手応えがあったのだが。
コトン、と音を立て、二人が同時にペンを置いた。
180 名前: 留学生(東京都)[] 投稿日:2007/03/13(火) 21:37:41.15
ID:jM1l2e+j0
- ξ゚听)ξ「出来た…」
(´・ω・`)「こっちも…」
ξ゚听)ξ「じゃあ発表します」
(´・ω・`)「900点中820点以上がA、以後730点以上がB、
610点以上がC、520点以上がDと下がっていき、520点未満は全てE判定です」
ξ゚听)ξ「ちなみにイヨウは去年は451点でした」
(´・ω・`)「さて、肝心のブーンの合計点は…」
ξ;゚听)ξ「900点中………」
181 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:38:15.59 ID:jM1l2e+j0
- (;´・ω・`)「………170点。ぶっちぎりのE判定です。イヨウと合わせてもかろうじてCです」
182 名前: 留学生(東京都)[]
投稿日:2007/03/13(火) 21:40:33.99 ID:jM1l2e+j0
- (;'A`)(=;゚ω゚)ノ(;゚∀゚)「うわぁ………」
( ^ω^)「これはマズイかもしれんね」
ξ#゚听)ξ「てめぇが足引っ張りすぎなんだろうがこのスカタンがぁぁぁ!!!」
(;;゜ω゜)「ちょっ、あっ、ら、らめぇぇぇぇ!!!」
僕の断末魔が地下教室に響き渡る。父さん、どうやら僕はモルモットになりそうです。
〜後編に続く〜
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