( ゚∀゚)「ふぬっ!」
ジョルジュが気合と共に剣を振り下ろす。モナ丸は、黙ってそれを止めた。
( ∀ )「………」
先程から彼は考えていた。やはりここは倒すべきなのか。
よく考えてみれば、すでに殿は死んだではないか。では今目の前にいるあいつは誰だ?
幻――ただ単に殿の姿をしているだけの虚無の存在。そんな奴を殿と認める方が失礼ではないか。
だが逆にこうも思える。
いや、あれは殿だ。私のことを知っており、容姿がまったく同じ。生まれ変わりともいえるのではないか。ならば殺せない。
モナ丸は葛藤した。こいつを、主君と認めるか認めないかで。
――ズッ……!
( ゚∀゚)「………終わり、だな」
ジョルジュの刀がモナ丸の肩に食い込む。血がどろどろと流れ出て、床を染めていった。
しかし、
( ;゚∀゚)「!?」
突如、モナ丸はジョルジュの刀をつかみ、引き抜いた。そのまま押し返す。
( ;゚∀゚)「何をする気だ……」
ゆっくりと刀を抜く。その切っ先をジョルジュに突きつけた。
モナ丸が口を開く。
(´∀`)「たとえ、貴方が幻であろうとそうでなかろうと、殿は殿です」
――へぇ……。
精霊は心底驚いたように喋った。こいつ、意外な考え方をしたらしい。
37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/07/22(土) 09:49:44.22 ID:xCGrVbb80
( ;゚∀゚)「ならば何故余に刃を……」
(´∀`)「ですが殿。貴方が本物であるならば、私がこのまま成すすべも無く殺されていくのを望まないのではないか。そう思ったのです」
(´∀`)「むしろ自分が殺されるほうがいい、そうお考えになるのではないかと」
モナ丸の手は微かに震えていた。声も擦れる。
(´∀`)「勝手な考えだと思って構いません。ですが、私はこれからの斉藤家を守る義務がある」
( ゚∀゚)「………」
(´∀`)「ですから死ぬわけにはいかないのです。だからこうなった以上、無理矢理あのような理由をこじつけるしかありませんでした」
ゆっくりと、剣を振り上げる。刃が微かに光った。
(´∀`)「………さよならです。我が敬愛する殿よ」
そして、モナ丸は剣を振り下ろした。ためらうことなく。
一方、こちらはショボ之介。
(´。ω゚`)ノシ「ウェーハッハッハッハ! ミンナシネヤァ!」
……完全に狂人と化していた。
――あちゃー。今回はほんとにやり過ぎたか……反省。
と、暢気なことを言ってくれる精霊。最早ショボ之介の耳には入っていない。
次々と切り裂かれていくいい男達。最初は無駄に多く出てきた彼等も徐々に減ってきた。
(´。ω゚`)ノシ「ホリャァ!」
無力と化したいい男「ぎゃぁぁ!」
何十体目かのいい男が煙と化した。果たして今、こいつ等はショボ之介の目にどう映っているのだろうか。
次々と倒され、数を減らしていくいい男達。
数分後には残り1人となった。
(´。ω゚`)ノシ「ウェーヘッヘッヘッヘッヘ! カクゴシロコノアマ!」
ガクガクブルブルないい男「尼じゃありません……頼むからもうやめて……」
(´。ω゚`)ノシ「ウルセェ、シネ!」
問答無用で胸を切り裂かれる。
さようならいい男「うぎゃあぁっ! そんなぁ………」
最後の1人がついに煙となった。
39 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/07/22(土) 09:50:59.40 ID:xCGrVbb80
――見事だ。よく耐えた。
精霊は心の底から褒め称えた。しかしショボ之介の狂気は止まらなかった。
(´。ω゚`)ノシ「ハァ? タエタ? ナンノコトデスカイナブハハハハ!」
――………。
その言葉を聞いた精霊は何やら呪文を唱え始めた。
するとショボ之介を優しい光が包んだ。
(´。ω゚`)ノシ「ウォ? コレハナンダ! ウワァァァァァァ!」
座り込んでしまうショボ之介。少したってから、精霊は声をかけた。
――大丈夫か?
(;´・ω・`)「はっ……ここはどこだ。……そうだ私は確か地獄にいたはず……」
――その地獄は終った。試練は終ったんだぞ。
(´・ω・`)「え……? 真実?」
――あぁ、真実だ。
しばし、ショボ之介は呆然としていた。だがやがて、
(´゚∀゚`)「キタキタキタ――――――!」
奇声を発しながら喜びを味わった。ホッとする精霊。何とか廃人を生み出さずに済んだ。
ふと、ショボ之介が立ち止まった。
――? どうした。
(*´・ω・`)「 や ら な い か ? 」
―― だ が 断 る 。
自らの未来の姿、内藤を打ち倒したブーンは精霊のいるところへ戻ってきた。
――勝ったようね。
( ^ω^)「あれ、そういや僕気絶してたはずじゃないかお?」
――それも全て計算しつくされていたこと。私達はそれに伴い行動していたのよ。
そうか。この装置を作ったのが内藤ならば、精霊達もといシステムを作り出したのも内藤というわけだ。
彼等には全てお見通しだったのか。必ずできるということが。
( ^ω^)「そういや僕のことはともかく、ショボ之介さん達の試練はどうなってるんだお?」
ブーンは勿論ショボ之介の試練内容を見ていない。よって未来の内藤が知っているはずもないのだが……。
――あぁ、あれは適当よ。
( ;^ω^)「ちょww適当ってwwww」
41 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/07/22(土) 09:52:03.40 ID:xCGrVbb80
世界の運命をかける戦いをする兵士の試練に適当という言葉が使われるとは思わなかった。
まぁ、彼等なら何とかするだろう。
( ^ω^)「……で、もう終わりなのかお? これって最初の試練じゃなかったのかお?」
――終わりよ。もともと試練は1人当たり1つづつしかないし。最初の、とかってつけたのはそうした方があなたが頑張ると思ったから。
( ;^ω^)「何かいいわけ臭いお……。ただ単に作れなかっただけじゃないのかお?」
そこで初めて精霊が焦ったような口調になる。
――し、失礼ね。内藤様に限ってそんなことはないわ。……多分。
随分といい加減に作ってくれたものだ。しかし、成功したのからいいというべきかもしれないが。
ブーンが再び口を開く。
( ^ω^)「これでお別れかお?」
精霊は、暫く黙っていた。
――そうね。お別れよ。あなたはもう十分強くなった。ギコとも対等に戦えるはず。
そう言った精霊の言葉は、どこか寂しさを含んだようなものだった。
ブーンの周りを光が進む。
( ^ω^)「また会えるお?」
ブーンの問いに、精霊は笑って返した。
――当たり前でしょ? 私を作ったのは、あなたなんだから。
( ^ω^)「……そうだったお。忘れてたお」
笑顔でそう言ったブーン。ふと精霊が思い出したように呟く。
――そう、私も忘れるとこだったわ。……これを持っていきなさい
( ^ω^)「え? うわっ!」
パッと辺りが一瞬明るくなったと思うと、いきなり目の前に刀が現れた。
微かな光を放つその刀は、物騒な物のはずなのに見ているとどこか心が落ち着く。
43 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/07/22(土) 09:53:25.98 ID:xCGrVbb80
( ^ω^)「これは……」
――内藤様からのプレゼント、よ。
刀を握るブーン。幻ではなく、本物だった。
( ^ω^)「ありがとうだお!」
――お礼なんていいわ。早く行きなさい。
そしてブーンは光の中へ飲み込まれていった。
後には、何もない虚無の世界があるのみ。
精霊の声も、もうしなかった。
???「……さん」
まただ。また誰かが呼んでいる。
今度は誰なのだろうか。もう、誰が出てきても驚かない。
( -ω-)「……お?」
(`・ω・´)「ブーンさん!」
( ;^ω^)「おぉ!?」
と、思ったはずだが大声を出されて驚いてしまった。
よく見れば、シャキンではないか。ということは?
( ^ω^)「戻ってきたお?」
(`・ω・´)「えぇそうですよ」
周りを見渡すと、元いたショボ之介の家にいた。
どうやら本当に戻って来たらしい。
( ^ω^)「そうだ、ショボ之介さんとモナ丸さんは……」
(´・ω・`)´∀`)「ここにおる」
2人ともそこに立っていた。どうやらブーンより少し先に帰っていたらしい。
( ^ω^)「お! よかったですお!」
手を上げて喜びを分かち合おうとするブーン。しかし、
(♯´・ω・`)♯´∀`)「じゃかましぃぃぃ! ちっともよくないわこの阿呆がぁぁぁ!」
2人に思いきり殴られた。
( ;;゚ω。)「あべしっ!」
(;`・ω・´)「(いたそ)」
殴られた後、更に長い説教をくらうブーン。
(♯´・ω・`)「仲間に嘘をつき騙すなど言語道断! おかげで私は地獄の夢を見たぞ!」
(♯´∀`)「お前のような奴は向こう側でくたばってしまえばよかったモナ!」
ガミガミガミ……説教は続く。
その様子を唖然と見守っているジョーンズとシャキン。
(;`・ω・´)「……どうします?」
(;’e’)「放っておけ」
ガミガミガミ……当分の間、終わりそうにはなかった。