1 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 11:56:02.33 ID:61LhPQcRO

 VIP高校の二階、一番北にある階段の横にひっそりと佇む、日当たりの悪い小さな部屋がある。
 中に入るとまず目に付くのが壁に向かうように置いてある六台のコンピューター、中心にそれほど大きくはない机。
 …それともう一つ、うまい棒がぎっしりと入った箱。

 表向きはコンピューター部。だがその実態は――



( ^ω^)とSOS団なようです


3 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 11:56:34.80 ID:61LhPQcRO

 カタカタとタイプする音とうまい棒を貪り食う音が、この狭い部室を支配している。

(´・ω・`)「ふふ、新しいウイルス完成しちゃったよ」

 怪しげな笑みを顔に浮かべながら、ショボンは言った。

( ^ω^)「まじかお! どんなのだお?」

 興味津々のこの男は内藤ホライゾン、通称ブーン。一応部長をやっている。

 ひひひ、とショボンは笑う。

(´・ω・`)「このウイルスはね…エロ画像を見ようとすると画面一面にホモセックス画像が咲き乱れる、素晴らしいものなんだ」

( ^ω^)「アッー!」

(´・ω・`)「つまり、これによってゲイが広が……」

('A`)「おいお前らっ、今日が何の日か知ってるか?」

ノックもせず、勢い良く入って来たドクオにショボンは嫌悪感をまるだしにした。話の腰を折られたからかもしれない。


4 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 11:57:11.22 ID:61LhPQcRO

(´・ω・`)「…ぶち殺すぞ」
('A`)「え…えーっと、あの、…」

 ドクオは泣きそうだ。

( ^ω^)「まあまあ。今日が何の日かって? そりゃあ――」

( ><)( ´∀`) (,,゚Д゚)「言うなあああ(です・モナー・ゴルァ)」

( ^ω^)「おっ? 何だお急に?」

( ><)「それを言ったらおしまいなんです!!」

( ´∀`)「良いかモナー!! 僕たちは『忘れてたんだ』モナー! こうすることによって全く可哀相じゃなくなるんだモナー!」

(,,゚Д゚)「ただこれは自分へのダメージが大きい諸刃の剣なんだゴルァ」

 急にテンションが上がった三人に戸惑いを隠せない内藤。

(;^ω^)「な、なんのことか全く分からないお!!」


6 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 11:57:48.65 ID:61LhPQcRO

(´・ω・`)「ドクオ、キミもいい根性してるよね。放課後にここに来ている時点で分かり切ってることなのに。触れないことは暗黙の了解だったのに」

('A`)「い、いや、みんな何の話をしているんだ?」

――俺が言いたかったのは

('A`)「今日は煮干しの日らしいんだ!!」

一同「………。」


 ウハ、ハズカシイネ! カラマワリシチャッタカラマワリシチャッタ!
\ コレハマチガイナク人生オワタオオオワターオワオオワオワターー/

    ♪\( ><) ♪
 キュッキュ __) >_
     /◎。◎。/|
\(゚Д゚)ノ「 ̄ ̄ ̄ ̄| |
   ) ) |      |/
(( > ̄>)) \(・ω・`)ノ
        ノ ノ
\(´∀`)ノ ((< ̄< ))
   ) )
((( < ̄< )))



9 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 12:05:22.63 ID:61LhPQcRO

('A`) ( ^ω^)「………」

 いまいち話の流れについていけなくなった二人は、今のでさらに取り残された。

(;><)「あは…あはは知っていましたよ! まさかそっちがくるとは…分かんなかったです!」

(,,゚Д゚)「おう、煮干しの日な! 煮干しと言えばコーンスープ! じゃなくて味噌スープ!」

( ´∀`)「ちょwww味噌スープっておまwww」

( ><) (,,゚Д゚) ( ´∀`) 「………」

\(^o^)/「オワタ」


11 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 12:12:49.97 ID:61LhPQcRO

(´・ω・`)「…もう見苦しい…。認めようじゃないか」

ショボンはぽつぽつと語り出した。

(´・ω・`)「僕たちは何のためのSOS団だ?

S:隅っこで縮こまっている
O:オタク達に光を与える
S:ショボンのための

団じゃなかったのか!?」


( ^ω^)「最後のSが違うお!!

S:隅っこで縮こまっている
O:オタク達に光を与える
S:そのための

団だお!!


(´・ω・`)「うるせえピザ」

(´゚ω゚`)「………」


15 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 13:49:37.90 ID:61LhPQcRO

(´・ω・`)「…つまりだ。今僕たちがこの場でこんな動揺する、そんなことがこの団で許されると思うか?」

(,,゚Д゚)「……そうだ。その通りだぜ、団長!」

( ^ω^)「いや、団長はぼ…」

( ><)「僕らは醜かった! こんな…こんな必死に!! 馬鹿みたいです!!!」

( ^ω^)「いや、あの、」

( ´∀`)「一生付いて行くモナー!!」

('A`)「(何となく波に乗るか)
俺も付いてくよー」

(^o^)ノ「僕もだよー」

(´・ω・`)「よし、じゃあ今日が何の日か答えようじゃないか」


16 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 13:52:47.57 ID:61LhPQcRO

せーの!

一同「バレンタインデイ!!!」
('A`)「煮干しの日!」





('A`)「あれ?」

( ^ω^)「………。」


17 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 13:56:03.70 ID:61LhPQcRO

(#^ω^)「まあ、何だ。全く把握できない件」

(´・ω・`)「いや、だから今日はバレンタインデーでしょ?」

( ^ω^)「………」

(^ω^)「!!」


18 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:02:14.72 ID:61LhPQcRO

(;^ω^)「う…うわあああああ……ヒィ……ビクンビクンッ」

内藤はごろごろとその場を転がる。

(,,゚Д゚)「ほんとに忘れていやがったのかよて…おめでたい奴だな」

( ´∀`)「ちょっとうらやましいモナー」

('A`)「バレンタイン…ってなに?」

一同「………」

(*´・ω・`)「ウブなドクオたん萌え」


19 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:12:59.60 ID:61LhPQcRO

ドクオにバレンタインとは何か、どれだけ恐ろしいかを怒濤のごとく叩き込んだ後、恒例の暴露会が始まる。


(^o^)ノ「で、みんな何個もらったのー?」

( ^ω^)「…の、望むところだお…! 惜しげなく暴露してやるお!」

(,,゚Д゚)「お、俺だって」

(´・ω・`)「まあ僕の場合アッチ系って知れ渡ってるからね。別に女子からのチョコなんてどうでもいいんだ」

( ´∀`)「アッー!」


――てなわけで、


20 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:16:16.55 ID:61LhPQcRO

 


( ^ω^)0個(

('A`)一個(母から)

(´・ω・`)0個

(,,゚Д゚)五個

( ´∀`)0個

( ><)0個

(^o^)ノ十二個


 結果は上の通りだ


21 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:20:15.85 ID:61LhPQcRO

( ^ω^)「…ぎゃっはははは! みんなやっぱ一緒だおねフヒヒ」

(´・ω・`)「母さんのはもちろん含まないしね」

('A`)「J( 'ー`)しからのチョコ美味しかったぜ」

( ><)「…あ! ギコさんの数よく見てください!」

( ´∀`)「アッー!!」

(´・ω・`)「殺すぞ」

(,,゚Д゚)「いやっ! もらったもんはしょうがねえだろ、その…」

(#^ω^)「隠そうとする態度が気に入らないお! やっちまえ!」

( ><)「ギコさん覚悟ォォォォ!」


――ぎゃあああああ
――あっはっはっはっは…

………

……

(^o^)ノ「おんな なんて ちょろいです」


22 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:25:34.32 ID:61LhPQcRO

 

――…

( ^ω^)「オワタって…もてるのかお…」

放課後もとっくに終わり、内藤は夕日の照らす道をとぼとぼと歩いていた。

( ^ω^)「全然人生終わってないじゃないかお…」

ギコは顔が良いので当然といったら当然かもしれないが。
なぜオワタが。

( ^ω^)「…まあ良いお」

( ^ω^)「バレンタインなんて、そんなビックな行事じゃないお」

( ^ω^)「全然…悲しくなんか…」

( ;ω;)「ない、お……」

他校の男女が内藤の横をすれちがう。男も女も幸せそうに話していて、内藤はさらに泣けて来た。


23 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:27:17.61 ID:61LhPQcRO

――…ブーン!


( ;ω;)「お?」

気のせいか、誰かに呼ばれた気がする。

( ;ω;)「誰…だお? どこから…」

ξ゚听)ξ「内藤っ!!」

ばしりと背中をたたかれた。


24 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:30:27.06 ID:61LhPQcRO

ξ゚听)ξ「あんた部活終わったらすぐ帰っちゃうのね!」

 たたいた犯人は幼馴染みのツンだった。
 顔を微かに赤くして肩を上下させているあたり、内藤に会うために走ってきたのだろう。

( ;ω;)「おっ…ツン怒ってるお…なんかごめんだお」

ξ゚听)ξ「別に怒ってなんか……ってあんた泣いてんの?」

( うω;)「おっ…」

泣き顔を誰かに見られたのは久しぶりだった。


26 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:38:40.38 ID:61LhPQcRO

ξ゚听)ξ「しょうがないわね…」

ツンはごそごそと鞄から袋を取り出す。

その中から出て来たのは、可愛いラッピングが施された―――チョコ。

        「ほら」

ξ*゚听)つロ (^ω^ )


( ^ω^)「良いのかお?」

ξ゚听)ξ「良いわよ」

ξ/////)ξ「べ…別にあんたにあげようとなんか思ってなかったんだからね! たまたま余ったからなんだから!」

( ;ω;)「それでも嬉しいお」

ξ゚听)ξ「な、泣かないでよバカ!」


―――…


29 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:46:57.68 ID:61LhPQcRO

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2/14(水)

今日はツンにチョコをもらったお。とても美味しかったお!
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内藤は日記を書き終わるとすぐに寝てしまいまった。
口許には、うっすらと笑み。

――…

(´・ω・`)「だーんちょーう」

( ^ω^)「あっショボン! おはようだお!!!」

(´・ω・`)「……見てたよ」

( ^ω^)「…え?」

('A`)(,,゚Д゚)( ´∀`)( ><)「ふふふふふ」

(;^ω^)「ちょ、おま! 落ち着けおっ! ぬわーーーーーーーーー!」

\(^o^)/「オワタ」

 校舎を内藤の声がこだました。



30 :愛のVIP戦士 :2007/02/15(水) 14:47:22.46 ID:61LhPQcRO

 
〜〜〜みなさん、ハッピーバレンタイン〜〜〜



( ^ω^)とSOS団のようです バレンタイン編


おしまい

 

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