32 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:20:05.99 ID:kaQLNSwA0
- 第三話
私立VIP高校入学式
そのとき私はまだ普通の女の子だった。
どこにでもいる、これからの学校生活にwktkしている女の子。
目覚めは良かった。
前日の夜は気分が高揚してよく眠れなかったのに。
桜舞散る道。
数人の仲の良い友達と、他愛のない話をしながら校門をくぐる。
私がこれからの3年間、苦楽を共に生活していく学校。
そう思うと、大きくて真っ白な校舎が笑顔で出迎えてくれているような気がした。
入学式は滞りなく行われた。
すでに定番と化した、校長の長話。
在校生代表からの祝辞。
入学式が終わると、クラス分けが発表された。
33 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:20:49.39 ID:kaQLNSwA0
- ξ゚听)ξ「あ〜あ、知り合いが一人もいないじゃない」
友人A「あ、私Bと一緒だ〜」
友人B「ほんとだね。あれ、もしかしてCも一緒じゃない?」
友人C「おぉ、すごいね〜」
どうやら私以外はみんな同じクラスになったらしい。
・・・クラス編成したヤツ空気嫁。
ξ゚听)ξ(まぁ、仕方ないか)
ξ゚听)ξ「じゃあ、私の教室向こうだから」
友人A&B&C「うん、じゃあね〜ノシ」
軽い別れの言葉を交わして、私たちは別れた。
ひ、一人でだってさびしくなんかないんだからっ!
34 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:21:20.11 ID:kaQLNSwA0
- そんなことを考えながら、教室まで歩いていった。
教室に入り、指定された自分の席に着く。
廊下よりの一番後ろの席。
なかなかのぐっどポジション。
ここならば居眠り、携帯、マンガ、なんでも出来そうだ。
とりあえず、授業中に退屈しないですみそうだ。
他の生徒たちも教室に入ってきて座席がすべて埋まった頃、担任がやってきた。
でっぷりと膨らんだ中年腹を揺らしながらのそのそと教室に入ってくる。
頭も薄くなりかけていた。
典型的な中年オヤジ。
ジャージがよく似合いそうだ。
( ´∀`)「おはようモナ。これから一年間君たちの担任をするモナーだモナ」
中年オヤジの名前はモナーというらしい。
その後も自己紹介は続いた。
担当教科は国語だとか。
どうでもいいことをgdgdと垂れ流し。
最後に、よろしくだモナと言って締めた。
35 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:21:44.05 ID:kaQLNSwA0
- 誰も聞いていないのに自分のことをよく喋った。
お喋り好きなのだろうか。
それからは恒例の自己紹介タイム。
ξ゚听)ξ(なんだか自己紹介って苦手なのよね)
ξ゚听)ξ(でも、今日は大丈夫!)
ξ゚听)ξ(私は、このときのために最高の台詞を考えてきたわ)
私の番が回ってくる。
机をバン!と叩いて立ち上がる。
ξ゚听)ξ「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
言えた。
これで完璧。
もう、私の人気は確実なものになったろう。
・・・でも、私の予想に反して教室は静かになった。
突き刺さる視線が痛い。
失敗した。
いくらなんでもそれぐらいはわかる。
36 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:22:15.36 ID:kaQLNSwA0
- 非常に気まずい。
ばつが悪くなり、うつむいて席に着く。
他の人の自己紹介は、ずっとうつむいたまま聞いた。
休み時間。
私の周りには人だかりが出来ていた。
さっきの反応とは違い、どうやらみんな強烈な自己紹介が気になったみたい。
( ´_ゝ`)「ハルヒ乙wwwwwwwww」
(´<_` )b「たいして仲良くもないのにツッコミだなんて流石だな兄者」
川 ゚ -゚)「なかなか興味深い自己紹介をするじゃないか」
川 ゚ -゚)「・・・ちなみに私は未来人だ」
(´・_ゝ・`)「じゃあ僕は、超能力者だね」
なにやら変なのばかり集まってきた。
ちなみにそっくりな顔をしている2人組み。
右向きが兄者で左向きが弟者。
ミステリアスな雰囲気を醸し出しつつ、電波を発信している未来人はクー。
それに続いた超能力者は盛岡デミタス。
なんとなくけど、デミタスとはもう絡む機会がない気がした。
・・・本当になんとなく。
37 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:22:58.69 ID:kaQLNSwA0
- そうこうしているうちに、時間は過ぎていき登校初日が終わった。
VIP高校の最寄り駅から三駅ぐらい。
駅から歩いて10分ほど、もとは白かった塗装が少し剥げかけたマンション。
これが私の家。
軽い運動代わりに、階段で目的の階まで上る。
これが最近の日課。
鍵を開け、ドアを開ける。
誰も居ない部屋に向かって「ただいま」。
お父さんは仕事。
夜遅くに帰ってきて、朝早くに出て行く。
お母さんはいない。
物心ついたころには、もういなかった。
おばあちゃんの家ですごし、
幼稚園に入るまで、おばあちゃんに育ててもらうのが普通でみんなもそうなんだと思っていた。
でも、今はこんなのにも慣れた。
慣れれば半一人暮らしみたいなもので、誰に気兼ねすることもなく過ごせる。
何かあったときは、近くにそのおばあちゃんがいる。
本当に気楽な一人暮らし。
・・・そういえば、今日が入学式だということはまだおばあちゃんに報告していなかった。
38 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:23:47.02 ID:kaQLNSwA0
- 私は報告がてらに、夕食をいただきにおばあちゃんの家に向かった。
目の前に立ちふさがる大きな門。
ξ゚听)ξ「何度来ても、相変わらず大きい家・・・」
呼び鈴も鳴らさずに玄関まで行くと、鍵は開いていた。
なんて物騒な。
これは後で注意しておかねば。
ξ゚听)ξ「勝手に失礼するわねーおばーちゃーん」
靴を脱ぎながら家の中に向かって言う。
('、`*川「はーい、どうぞって、あらツンちゃん」
ξ゚听)ξ「こんばんは、おばあちゃん」
('、`*川「どうしたの?何かあった?」
ξ゚听)ξ「たいした用でもないんだけどね。久しく来てなかったし、顔を見せに」
ξ゚听)ξ「それと、玄関の鍵開けっ放しだったわよ。
近頃は日本だって治安がいいとは言い切れないんだから、注意してよね」
ξ////)ξ「・・・べ、別にあんたのこと心配してるんじゃないんだから!」
('、`*川「はいはい、ツンデレ乙」
('、`*川「でも今日はツンちゃんが来そうな気がしてたから開けておいたのよ」
39 :愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:24:33.27 ID:kaQLNSwA0
- おばあちゃんの勘は妙に鋭い。
なぜそんなにも鋭いのか聞いてみたら、女だからだそうで。
少しおかしなところのある彼女だったが、そんなところも含めて私はおばあちゃんが大好きだった。
それからは当初の予定通り、夕飯を食べながら高校のことで雑談した。
結局その日はおばあちゃんの家に泊まった。
次の日も、もちろん学校はあるので早朝に家に帰ることになってしまった。
初めての朝帰り。
どきどきなんてものはなく、眠たくて身体がだるくなっただけだった。
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