9 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:25:33.25 ID:joZw0Wdl0

第11幕:車内にて・3



ξ   ξ「――何よ。こんなに朝早くに」

(    )「――――ええっと」

 違った。
 彼は、此処にも居なかった。
 
ξ   ξ「何しに来たのよ」

(    )「――――――」


11 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:27:31.78 ID:joZw0Wdl0

 考える。
 ほかに、この館内に彼が行きそうな場所は有るのか?
 ――館内。
 そう、館内だ。
 今時、備え付けのスリッパで外出するような輩は居ない。
 間違っても、彼はそんな事はしない。彼は煙草を吸わないので、ふらりと外出するようなことは
考えづらい。そもそも彼は、あまり外出が好きではないのだ。

ξ   ξ「朝食の時間までは、あと1時間もあるじゃない。今はまだ7時よ?」
 
(    )「うん――――――」

 そもそも彼は、なぜ居なくなったのだ?
 なぜ一言もくれずに部屋を出て行ったのか?
 


12 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:31:12.26 ID:joZw0Wdl0

ξ   ξ「ねぇ、ちゃんと聞いてんの!?」

(    )「うん――――――」

 100歩譲って彼は館内に居ないとしても、鄙びた田舎よりも雑多な都会の方が
好きな筈の彼が、進んで外出するものだろうか?

ξ   ξ「――聞いてないでしょ」

(    )「うん――――――」

 彼は、何処へ消えたのか………………?

 彼はひとりの世界に入り込み、長いあいだ考えていた。
 

13 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:33:44.78 ID:joZw0Wdl0

ξ#  ξ「人の話をきちんと聞きなさい!!」

 痺れを切らした彼女の口から怒号が発せられる。

煤i    )「え!? ああ……」

 一瞬で、呆としていた彼の頭が呼び覚まされる。

ξ   ξ「――で、何をしに来たの? まさか、もう朝食の時間だと思ったんじゃないでしょうね?」

(    )「いや、そんなことじゃないんだよ……」
 
 こほん、と咳払い。

(    )「――けさ、僕の連れを見なかったかい?」


14 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:37:03.18 ID:joZw0Wdl0

ξ   ξ「アンタの連れなんか、アンタが知らないのに私が知っているわけないでしょう?」

(    )「まあ、それはそうなんだけど……。本当に見てないのかな?」

ξ   ξ「少なくとも私は知らないわよ。どうせ、ふらりと外に出て行ってるんじゃないの?」

(    )「まあ、そうかも知れないけど、外履き用の彼の靴が土間に残されているんだよ。
 その代わり、部屋に備え付けられているスリッパが一足無くなっていた」

ξ   ξ「……じゃあ、どうせトイレとかに行ってるんじゃないの?」

(    )「少なくとも、部屋に最も近いトイレに彼は居なかった」


15 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:39:56.88 ID:joZw0Wdl0

ξ   ξ「おかしいわねぇ……。売店も風呂も、この時間ではまだ営業してない筈よ?」

(    )「そう思うでしょ? まさか、スリッパのままで外出するとは考えられないし」

ξ   ξ「まあ、とにかく、部屋で待ってりゃそのうち腹を空かして帰ってくるわよ。
 そんなわけで、帰った帰った!!」

(    )「まるで動物みたいな物言いだね……」

ξ   ξ「アンタの連れだって人間なんだから、動物には間違いないじゃないの。ほら、
 アンタたちの朝御飯を張り切って作らなくちゃならないんだから、自分の部屋でマターリ待ってなさい」

(    )「――――分かったよ」


16 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:42:35.95 ID:joZw0Wdl0

 言われて、彼は彼女に背を向けると、もと来た道を引き返す。
 食堂の入り口に差し掛かると、思い出したように肩越しに彼女に向かって呼び掛けた。

(    )「怒ってても張り切って朝御飯を作ってくれるのなら、マターリ待つのはちょっと
 申し訳ない気もするけどね」

 言い終わるや否や、見る見るうちに彼女の顔が紅潮する。

ξ////)ξ「――――っ、さっさと帰りなさい!!」

(    )「はいはい……」


18 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:47:42.53 ID:joZw0Wdl0

 もとより、彼が居ないのであれば食堂には用は無い。実際、彼にとっては
旅館の若女将をからかうことは、ちょっとした楽しみでもあるのだけれど。

(    )「まあ、部屋に戻ればそこにあいつが居る。そんなもんさ」

 廊下を引き返しながら、誰に語るとでもなくそう呟いた。

 彼が宿泊している旅館はそれ程広くなく、歩いているとすぐに
自分の部屋が見えてくる。

 気丈だった彼も、いざ自室の障子戸の前に差し掛かると、やはり、
抑えていた疑念が顔を覘かせはじめた。

 障子戸を目の前にして、しばし立ち止まる。

 障子戸の向こうには、果たして彼は既に居るのか。

 それとも、やはり彼は居ないのか。

 暫しの間考える。


20 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:49:41.94 ID:joZw0Wdl0

 彼の性格からして、他人を放り出して自分だけどこかに行くような真似はしない。絶対に。
だから、何かの間違いが無い限り彼は帰って来ている。

 だが。

 ――もしも。

 ――もしも彼の身に、その『何かの間違い』が有ったら?

 ――――自分は、その事実をすんなりと受け容れることができるのか?

(    )「――――――」

 ――答えを知りたければ、障子戸を開ければ良いことだ。


21 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:50:49.99 ID:joZw0Wdl0

 ただ、開けるだけで良いのだ。

 開けるだけで……。

 ……。

 彼は、時間が止まったような感触に囚われた。
 
 答えに通ずる扉の前で立ち尽くしたまま、その扉を開けるという選択ができなかった。

(    )「――――――莫迦莫迦しい」


22 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:53:03.94 ID:joZw0Wdl0

 ――アイツは居る筈だ。ただ1時間そこら姿を見せないからと言って、自分は何に恐れ、
慄いているのだ。考えてみれば、全くもって莫迦莫迦しく思えた。

(    )「――――――開ければ良いんだ、開ければ」

 頭の中の雑念を振り払うかのようにそう呟くと、存外迷う様子もなく障子戸に手を掛けた。

 ガララッ。

(    )「――――――おーい、居るか?」 

 土間に上がるなり、彼は碌に部屋の中を見ないまま、そう呼び掛けた。


24 名前: 野球選手(石川県)[ID:ksXzstcV0さん多謝] 投稿日:2007/03/24(土) 22:55:08.20 ID:joZw0Wdl0

 沈黙。

 沈黙を超えた、静寂。

 静寂を超えた、静謐。

 応える声は無い。

 (    )「――――――おーい、居るか?」

 スリッパを脱ぎながら、再度声高に呼び掛ける。 


25 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:57:33.76 ID:joZw0Wdl0

 再度の沈黙。

 再度の静寂。

 再度の静謐。

 矢張り、応える声は無い。

(    )「――――――おーい、居るか?」 

 何度呼び掛けてみても無駄だった。何故と言うに、固より呼び掛けた部屋の中には
誰も居なかったのである。

 
 独り、友人の姿を求めて部屋の中央で呆としている彼を除いては。


27 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 22:59:53.50 ID:joZw0Wdl0



  _
(**゚Д゚)「――――」

(*・ω・*)「――――やはり、酒の席での話じゃないですね。肴にもなりません」

 確かに、先ほどからグラスを持った二人の右手は全く動いていない。ヤカンの中の湯もすっかり冷え切り、
先ほどまで口から出ていた湯気は、今はもうない。

(*・ω・*)「さて……私はそろそろ酔ってきたようです。……まぁ、もとより、酔ってなければ他人
 ――それも長岡さん――に、こんな話をしていないんですがね……」
  _
(**゚∀゚)「えぇ、私もいささか酔ったようです。……が、話の続きは気になります
 どうぞ続けて下さいませんか?」


28 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:01:57.03 ID:joZw0Wdl0

(*・ω・*)「――まぁ、良いじゃないですか。所詮は他人の話です。本当に長岡さんが数年前に香川を案内した
 客だとは、まだ決まってないのですよ?」
  _
(**゚Д゚)「ショボさんが言い出したんじゃないですか。ここからは掻い摘んで下さって結構ですので、
 ちゃんと話を終えてくださいよ」

(*・ω・*)「――――把握しました。では、手短かに……」 


 


30 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:05:11.69 ID:joZw0Wdl0




 彼は、連れも男を探して館内を隅々まで探し回った。が、男はどこにも居なかった。
 朝の10時を過ぎた頃、旅館の女将も男の行方が気になりだした。そこで、女将は旅館の全従業員
――と言っても、5人にも満たないものだったが――に命じ、男の捜索に当たらせた。
 最初は館内の捜索のみに留まっていたものの、どこにも男が居ないことが確かめられると、
館外にまで捜索範囲が広げられた。これが、凡そ午前11時のことである。
 
 まずは、旅館の中庭や旅館近くの商店に目星をつけて捜索が為された。
 だが、ここにも男の姿は無かった。
 
 しだいに捜索範囲は広がり、旅館近くの谷底や旅館の脇をサラサラと流れる清流の
河原も捜索されたが、やはり男の姿は無かった。


31 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:07:48.20 ID:joZw0Wdl0

 そのうち、役場に備え付けられてある大型のスピーカーによって、村中に行方不明者の
情報提供を求める放送が行われたが、これも無駄だった。

 男の姿を探す彼の心中には、焦りがばかりが容赦なく積もる。それは、今にも彼自身を
すべて埋め尽くし、彼の中から溢れ出さんかのようであった。
 彼は、まるで雪の積もる高原に、独り取り残されたような錯覚に囚われた。
 


32 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:10:03.25 ID:joZw0Wdl0

 周りには誰の影も無い。

 人の影や気配を求めて、彼は深深と雪が積もる中を彷徨う。

 しかし、どこまで行っても彼の目に入るのは雪ばかり。

 だが、そのうち、雪は彼自身にも積もり始める。

 周囲は白一色に染められる。

 雪しか見えない。 

 雪は、積もれば積もるほど彼の気力を奪っていく。

 そのうち、彼も雪に取り込まれた。

 そのまますると、彼は完全に雪に同化する。

 空から彼を見下ろすと、彼を中心にして雪が彼を包み込んでいるようにも見える。

 彼は、男の姿を探しているうち、次第に意識が遠のいていくように感じられた……。
 


34 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:13:16.04 ID:joZw0Wdl0

(    )「本当に、見つかるのか……? 冗談じゃないぞ、こんな秘境みたいな所で行方不明なんて」

 初夏のため外が暑いからか、それとも焦りのためかは定かではないが、彼の額からは
汗が噴きだし、頬を伝って顎からしとどに落ちてる。
 体の次元では明らかに暑苦しい。しかし、精神はうすら寒い焦燥感に満たされている。
 彼は、何度も身震いをした。

 朝日がすっかりと昇り、vip峡のある村全体に強烈な日差しを降り注ぐ、真昼のことであった。
 男を捜索している一団は、いまは旅館の中庭で昼休みを取っている。
結局、午前中は男を誰も発見することができなかった。
もちろん、男の姿を探す一団の中には、男の連れである彼の姿も有る。
 彼は、昼食の弁当を食べ終え、中庭の芝生に寝転びながら高い空を見上げていた。


35 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:15:44.68 ID:joZw0Wdl0

(    )「――いったい、何処に居るんだよ、アイツ」
誰にともなく呟く。

 今まで、旅館の周辺はあらかた捜索したんだ。

 だが、アイツは見つからなかった。

 いったい何処に居るんだ。
 
 いったい何処に……

 何処に……

 ……。

(    )「――――あれ?」
 


36 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:18:23.91 ID:joZw0Wdl0

 考えているうちに、ふと疑問点が湧き上がる。

 彼は、今までは旅館近くでも比較的見通しの良いところを重点的に探してきたが、旅館のすぐ裏に
鬱蒼と茂っている森には誰も足を踏み入れていないことに気がついた。
 成る程、先ずは見通しの良い所から探したほうが、男の姿を見つけやすいだろう。その後で少々
見通しの悪い場所を探したほうが、効率が良いように思われる。
 だが、現時点では誰も森の中に入ろうとしなかったし、誰も森の中に入ることを提案しなかった。
その点が、彼の中では喉に刺さった魚の骨のように妙に引っかかる。

(    )「――森、か」

 しばし逡巡したのち、彼はその旨を同じく中庭に居た旅館の従業員の一人に伝えた。

从   从 「――えっ、森ですか?」
 声を掛けられた従業員が、芝生の上で半身を起こしている彼を見下ろす形で訊き返す。


37 名前: 野球選手(石川県)[トイレ行ってきます。] 投稿日:2007/03/24(土) 23:21:17.01 ID:joZw0Wdl0

(    )「ええ、旅館のすぐ裏の森です。なんでみんな、あんなに近い所を探さないかな……と思いまして」

从   从「そう言えば、まだあの森の中は探してませんでしたね。――ですが、
 あそこには近づかないほうが良いですよ」

(    )「――それはなぜ?」

从   从「まァ……、一言にすると、『結界』ですかね。あの森は鎮守の森でして、
 村人もバチが当たるのを恐れて、普段からあの中には入らないんですよ。なので、あの森に
 入る者は居ません。斯く言う私だって、毎日旅館に勤めてはいますが、あの森には
 決して入りませんよ。この旅館の敷地だって、無理を押して森の一部を切り拓いたものですし……」

(    )「ですが、やはりそんな場所でも探した方が良いのでは……?」


39 名前: 野球選手(石川県)[再開] 投稿日:2007/03/24(土) 23:28:32.09 ID:joZw0Wdl0

从   从「――こういう言い方も何ですが、もともとは私たちに関係のないことですからねぇ。
 それに、あの森の中を探しても、誰も居ないと思いますよ。だいいち、何のためにその人が
 森の中に入るって言うんです?」

(    )「――――――――」

从   从「まあ、無理に『行くな』とは言いませんが、止したほうが良いですよ。何の祟りがあったものか……」

 そう言い残し、従業員はすたすたとその場を立ち去った。
 しばらくの間、彼は半身を起こした姿勢のままで先程の会話について考えていた。。 
 
(    )「――森の中に、彼が居ないと言う確証は何処にも無い」


40 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:31:29.39 ID:joZw0Wdl0

(    )「それに、こうして旅館周辺や村全体を捜索範囲にしていても見つからないのだから、
 もしかしたら森の中に居るかも知れないな……」

 逡巡の上の逡巡で、どれ程の時間が流れたのか分からない。

(    )「――――――――よしっ」

 やがて彼は決心し、すっくと立ち上がる。背中や尻に付着した芝生の切れ端を払うと、
確固たる意思のもとで旅館の裏手にある森のほうへと進んでいった。
 
 『旅籠vip峡温泉』は、もともとは山裾だった部分を切り開いて建てられたものであるので、
森は旅館の裏手と言うよりも、旅館のうちでも道路に面していない部分をぐるりと囲うように
生い茂っている。なので、そんなに敷地が広いわけでもない旅館から、森の中に入るのは
全く苦労を要しない。
 しかし、先程の従業員も滅多に入らないような森であるから、やはり部外者である彼は、
森の中に入るのには大きな抵抗を覚えた。ましてや、鎮守の森である。


41 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:34:11.15 ID:joZw0Wdl0

 彼の足は、森を目の前にして長いあいだ竦んだ。

(    )「――――――」

 目の前の森は成る程単なる雑木林であるが、その枝葉の末端からは何か、部外者のみならず
『森ならざるもの』を寄せ付けないような威霊が迸っているようであった。
 
 足が竦んだまま、なおの間立ち尽くす。

 彼はただ、森を見つめることしかできなかった。

 風が吹くと、森全体がザザザ、と不気味な音を立てて彼に警告を喚起させるかのように唸る。
枝葉はと言うと、吹いている風は確かに微風であるにも関わらずに大きく揺らぎ、彼には
炎が揺らめく様に思われた。 

 それでも猶、彼は森の中に入らなければならない事を思い出す。僅かな希望でも、連れの男の
安否に関わることであれば捨てるわけには行かない。

 彼は、意を決して森の中の小径へと足を踏み入れた。

42 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:36:42.70 ID:joZw0Wdl0




  _
(**゚Д゚)「――――それで?」

(*・ω・*)「――彼は30分ほどの間、森の小径を歩き続けました。そのうち、小径が途切れるころ、
 薄暗い森の中で、ひときわ明るい場所に出ます。――――男は、そこにうつぶせの状態で倒れていました」
  _
(**゚Д゚)「結局、館外に居たわけですか」 

(*・ω・*)「ええ、浴衣に部屋のスリッパを履いて」
  _
(**゚Д゚)「スリッパを履いて、部屋着のままで森の中に居たのですか。何か、流感の薬でも
 服用していたんじゃないですか? 最近は風当たりが良くないようですが」

(*・ω・*)「いや、何も薬は飲んでません。胃薬も、酔い止めもです。とにかく、その格好で
 森に横たわっていたことは、揺るぎ無い事実です。都合の良い理由は、そこにはありません」


43 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:39:07.33 ID:joZw0Wdl0

 眠たいのか、ショボは時折り目を擦りながら話し続ける。

(*・ω・*)「ああ、それにしても、この話は長くなりそうです……」
  _
(**゚Д゚)「無理せずに……。軽い描写で良いじゃないですか。あまり描写を厚くしすぎると、
 読者に次の展開を読まれかねませんよ。それに、名前を伏せているからとは言え、
 『彼』と『男』の描写があやふやですし……。書く方も頭を抱えてますよ」

(*・ω・*)「――何を言っているのかよく分かりませんが、わかりました。これからは
 語り口調で展開をサラッと次の展開を述べていくことにしましょう。まあ、こんな
 描写にしたって内容には変更を>>929
加えませんしね……」

 そう言うと、再びショボは大きく息をつく。
 そして、先ほどと比べて少々テンポ良く語りだした。


44 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:39:49.82 ID:joZw0Wdl0

('A`;)「なんだか、最後の方に変な会話が入ってませんか?」

(^ω^; )「まるで、誰かの捏造を受けたようだお」
  _
( ゚Д゚)「何だか私たちも良く分からなかったんですが、こういう会話をしたんですよ」
 
 郊外のバイパスを走っていたタクシーは、今は市街地の大通りを走っている。標識と信号が
頻繁に長岡たちの目に入るようになっていた。
  _
( ゚∀゚)「もうすぐ、お客さんが泊まっていた旅館に着きますよ。回想ももうすぐ終わりますから……」

('A`)「はい。分かりました」


45 名前: 野球選手(石川県)[] 投稿日:2007/03/24(土) 23:40:27.21 ID:joZw0Wdl0

 曖昧な相槌をついたあと、ドクオはブーンに耳打ちする。

('A`)(おい、ブーン)

( ^ω^)(なんだお?)

('A`;)(ふたつの意味で、変な流れだな……)

(^ω^; )(禿同、だお)



第11幕:車内にて・3                   了

 

 

back < >

inserted by FC2 system