4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/05/13(土) 22:43:06.32 ID:j0xcX/jkO
((;´Д`))「ブーン…あいつは…化け物だモナ…」
(#`ω´)「やっぱりジスプロかお!」
 
また激怒しそうになったが、瀕死の仲間を思い出して気を静める。早く止血をしなければ出血死は免れない。
 
(;゚ω゚)「そうだ…治療、治療だお! 基地だったらメディカル・キットがあるはずだお! モナー手伝ってほしいお!!」
 
ブーンとモナーは医務室に向かう。場所は管制室で確認済みだったのですぐに辿り着けた。
不安があるとすればスクリプト人のメディカル・キットがニューソク人に使えるかどうか…。
しかし止血道具くらいは同じような物だろう。
ブーン達はありったけのメディカル・キットを持ち出して格納庫に急行する。
 
(;゚ω゚)「絶対死なせないお…!」
 
血まみれになりながら治療していると、クーが必死な顔で懇願してきた。
 
川;゚ -゚)「この男も…モララーも助けてやってくれないか…。この通りだ」
(;´∀`)「もちろんモナ」

 
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:44:29.88 ID:j0xcX/jkO
モナーは素早くジョルジュの止血を終えると、モララーの止血に取り掛かった。
一方ブーンはSHIIの治療を始めようとするが目立った傷はない。
しかし吐血している事から内臓に異常事態があるようだ。
手術が必要かもしれない。でもブーンにはそんな技術はなかった。
 
(;゚ω゚)「どうすれば…」
 
ブーンが思い悩んでいると、モナーが思い出したように声を上げる。
 
(;´∀`)「そうだ…ジスプロから伝言があるモナ…。
あいつは一言『私は空で待っている』とだけ…」
 
ブーンは苦悩する。
今すぐに空に向かいたいが仲間の命が最優先だ。それに、出撃しようとも戦闘機がない。
(;`ω´)「……そんな事はどうでもいいお! それよりSHIIを…」
( ´∀`)「SHIIさんは僕に任せてほしいモナ。これはチャンスなんだモナ」

 
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:46:06.47 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「チャンス?」
( ´∀`)「ジスプロは戦闘機に乗っても強いモナ。
でも直接戦うよりは全然マシなんだモナ」
 
確かに「別格」のスクリプト人との身体能力の差は埋め難い。だが戦闘機となると、差が生まれるのは機体の性能とテクニックだ。
機体性能は同じ物に乗れば差はないので残りはテクニック。これなら対抗する事は可能である。
 
( ^ω^)「でも戦闘機が…」
( ´∀`)「それなら心配いらないモナ。ほら」
( ^ω^)「…! ああ…なるほど」
( ´∀`)「こっちは任せてくれモナ! ブーンはジスプロを!」
( ^ω^)「把握したお!」

 
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:47:32.62 ID:j0xcX/jkO
(;'A`)「お前ら何機墜とした…?」
『45…ってとこだね…』
『私もそれくらいです…』
 
二人の声には疲労の影がある。ドクオ自身も休まる事のない戦闘でかなり消耗していた。
当然集中力も切れてくる。
 
『メーデー、メーデー! こちら第一アイン、危険レベルA! 後ろに3機着かれた!! 至急援護を───』
 
また1機撃墜された。ジワジワと味方が減っていく事は、大きなプレッシャーとして各パイロットにのし掛かる。
そのせいで精神的疲労も無視出来ない程大きくなっていた。
 
(;'A`)「チッ! 友軍は残り何機だ!?」
『君と僕とスズ、それと第一が3機だね…』
('A`)「クソ…いくら弱いっつったってマジで切りがねえぜ…。スズ、平気か?」
『ふえぇ…疲れましたよぉ…。それにエネルギーが…』
 
エネルギー残量は既に1/3を切っていた。このままではエネルギー切れで敗北も有り得ない事態ではない。
そしてスズ機には、けして小さいとは言えない損傷があった。これは、ジスプロを追跡した際に反撃された物だった。

 
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:49:31.77 ID:j0xcX/jkO
('A`)「ローレン、そっちはどうだ?」
『あかん、スクリプトの兵力を舐めとった…。このままじゃ敗北は確実や。何とかせなあかんな…』
『FOX…使っていいですかぁ…?』
('A`)「馬鹿かお前は」
『何考えてるんだい?』
『阿呆か。冗談も程々にしぃや』
『そんな一斉に言わなくても…。冗談ですょ…』
 
敵機を撃墜しながらも、少し気の抜けた会話をしている時、気を引き締めるには十分な通信が入った。
 
『カカカカカ…随分と数が減ったじゃないか…』
『!! また戻って来よったで!』
『うぅ…もうアレとは戦いたくないです…』

('A`)「弱音を吐くなッ! お前が嫌でも相手は来るぞ!」
『その通り…お前達は皆殺しだ』

('A`)「俺を簡単に墜とせると思うなよ。ショボ! 行くぜ!」
『OK.第一とスズに通達、雑魚は任せるよ』
『わかりました〜…』
『よっしゃ、お前らに近寄ろうとする奴等は全部墜としたる。お前達、行くで!』
『隊長に続けぇ!』
 
スズは第一に編入してドクオとショボンに攻撃しようとする敵機を撃破する。
ドクオとショボンは敵勢の中から必死にジスプロを探し出そうとしていた。

 
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:50:45.48 ID:j0xcX/jkO
('A`)「たぶん、アレだな」
 
レーダーには自分の仲間の編成を崩す勢いで向かってくる機体。
実際、邪魔だとばかりに味方にレーザーを撃ち込んで強引に空路を作っている。哀れ上官に攻撃された戦闘機は成す術もなく爆発した。
 
『なんやぁ? 最初の時と様子が違うで? 仲間攻撃しとるやんけ』
『それはそれで都合がいい。敵も減るしね』

('A`)「でもこの調子ならすぐに──
ほらな、もう見えてきやがった」
 
最短距離を全速力で飛行した為に、想像以上の早さで肉眼で確認出来る距離まで接近する。
既に射程内だ。
 
『墜ちるがいい弱者よ…』
 
ジスプロの機体からレーザーを発射しながら迫る。
それをかわす為にドクオとショボンは機体を回転させて二手に別れた。
ジスプロはそこを通過するとすぐに機体を反転させて再度追撃を開始した。
狙いはショボンだ。
 
『まずいね…機体の返しが想像以上に速い…。このままじゃ後ろに着かれるよ…』
('A`)「落ち着いて凌げ。すぐに援護に向かう」
『OK…』
 
ドクオがレーダーに目をやると、ショボン機に反応が一つ、接近している。それは今にも後ろに着きそうだった。


 
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:54:30.52 ID:j0xcX/jkO
(;'A`)(速すぎるな…。コイツどんな腕してるんだ…? それとも機体の性能が段違いなのか…?)
 
機体を旋回させ、ショボンの援護に向かう。
そしてショボン機が視界に入った時、衝撃を覚えた。
視界にあるのはショボンの戦闘機だけだったのだ。
 
('A`)「おい! 後ろにいねーぞ!?」
『そんなはずは……レーダーには反応があるよ?』
 
確かにレーダーにはショボン機を追跡するように敵反応がある。しかし実際には視認出来ない。
光学迷彩か───?
そう思った時、レーダーから敵反応が徐々に小さくなり、やがて消失した。
 
(;'A`)「なんだと…? ショボ! ヤツが消えた! そっちはどうだ!?」
『こっちも……!? ドクオ! 上!!』
(;'A`)「え…うおぉぉぉぉ!!!!?」
 
ドクオ機が激しく揺れる。レーダーにはいつの間にか、真上に反応が出現していた。
上から飛来したレーザーがドクオ機に突き刺さったようだ。

 
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:56:08.29 ID:j0xcX/jkO
『大丈夫かい!?』
(;'A`)「ああ…だがバリアが全部吹き飛んじまったぜ…」
 
ドクオは回避行動をとりながら必死にこの謎を考える。
実際に攻撃されたとなると上にいるのは間違いなく実体だ。しかし反応が消えた瞬間に別の場所に現れる敵など、これまでの戦いでは有り得ない事だった。
 
『た、大変です!!』
 
スズから通信が入った。
その声色から本当に大変な事態が発生したらしい。
 
(;'A`)「どうした!?」
『敵の増援や! ただでさえ数が多いっちゅうのに、また増えよった!!』
(;'A`)「マジかよ…」
 
レーダーには新たな敵影がわらわらと現れ、こちらに向かっている。
今までにも数々の修羅場を潜って来たが、このような絶望的状況は初めてだった。
しかしそれは、その増援が 敵 で あ れ ば の 話 だ 。

 
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 22:58:06.62 ID:j0xcX/jkO
その増援は仲間と合流したかと思うと、敵機に向かって攻撃を開始する。
 
『あれ…? なんか同士討ちしてるんですけど…』
('A`)「なに…?」
『ホンマや! 奴等の中で反乱でも起きてるんかいな?』
 
レーダーに映る膨大な数の反応が少しづつではあるが減っていくのが分かる。
 
『みんな! 待たせたお!!』
('A`)「ブーンか!?」
『なるほどね…敵の反乱じゃなくて別動隊のみんなだね』
『無事でよかったです〜!』
『よっしゃ! 勝機が見えてきたで!!』

ドクオ達は思わぬ朗報に活気を取り戻す。
精神的な負担も軽くなったはずだ。
 
('A`)(とはいえ援軍はニューソク人…アレとやり合っても無駄な犠牲者が出るな…)
('A`)「スズ! ローレン! お前達がニューソク人を先導して雑魚の撃破を頼む!」
『わっかりましたぁ!』
『任しとき!』
('A`)「ブーンは俺達に加わってくれ!」
『了解したお。三人でジスプロを墜とすお!』
『ジ、ジスプロだってぇ!? ジスプロは昔、司令が倒したはずじゃ…』

 
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:00:33.84 ID:j0xcX/jkO
その知らせにドクオも驚愕したが、呻き声を発しただけで済んだ。
 
('A`)「生きてたって事だろ。ここで倒せば問題ねぇ! ビビってんじゃねぇぞ!」
 
動揺するショボンに喝を入れた。
それは同時に、自分にも向けた言葉でもあった。


 
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:01:42.11 ID:j0xcX/jkO
『カカカカ…来たかホライゾン…』
( `ω´)「お前はここで終わりだお!」
『それはどうかな…? あの二人はなかなかやるようだがお前は如何ほどの物か…見せてもらおう』
 
ジスプロ機は挑発するようにドクオを追尾している。攻撃は戯れ程度にしかしていなかった。
後ろに着かれたとはいえ、そんな遊びのような攻撃を食らうドクオではない。
上手く機体を操り回避している。
ジスプロ機が高度を上げた。
ドクオから離れると、真っ直ぐブーンに接近する。
 
『ブーン! レーダーは信用するな!』
( ^ω^)「なんでだお?」

『俺も詳しくは知らん! とにかく説明してる時間はねぇ、ショボはこの意味が分かるな?』
『そうだね…どんなからくりかは分からないけど、こいつを相手にするには目に頼るしかないね』

( ^ω^)「よく分からないけど了解したお!」

 
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:02:44.59 ID:j0xcX/jkO
『お喋りとは余裕だな…。戦いに集中しろ…カカッ! 』
 
ブーンはジスプロ機を肉眼で確認した。それは正面から接近していた。
翼を振りながらレーザーを発射している。
ブーンも応戦するが、正面からの攻撃が一発被弾した。
揺れる機体。
だがすぐに持ち直して擦れ違う。
視界から敵機が消えた。
見失ってはまずいと、反転を開始する。
 
( `ω´)(あれ…? 思った以上に機体が動いてくれるお…。まるで自分の身体の一部、身体そのものみたいだお)
 
ブーン機が向き直った頃、ちょうどジスプロ機もこちらを向いていた。
 
『ほう…もう効果が現れているか…。どうだ? 戦闘機と完全にシンクロした気分は…』
( `ω´)「何を言って…!」
 
ジスプロ機から即座にレーザーが発射された。
レーザーといえば光の速さと同じだ。回避するには敵機からのエネルギー反応をレーダーから視認し、かわすしかない。
だがブーンはそれを視認する前に感知し、回避行動をとる。

 
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:04:05.45 ID:j0xcX/jkO
( `ω´)(なんだお…? 今あいつが発射するタイミングが分かったお…)

『クカカカァ…素晴らしいぞホライゾン…』
 
再び交差した頃、ドクオとショボンが援護の攻撃を開始した。
ジスプロは機体を振りながら軽々とかわし、さらに反撃までしてみせた。
その一撃はショボン機に命中し、機体が揺れた所に追撃を放つ。
 
『ショボ!』
『大丈夫…! 君と同じくバリアは吹き飛んだけどね…』
 
ドクオとショボン、この二人に機体を守るバリアはない。
時間をかければ回復するが、それを待つ時間はなさそうだ。
全力で回避するしかない。
 
( `ω´)(ん…? なんだお? このボタン…)
 
スクリプト軍の戦闘機はVIP軍の物とは異なっているが、基本は同じだった。
そのせいで気付かなかったが、何に使うか分からないスイッチがある。
戦闘中にも関わらず興味に駆られ、ブーンはそれを押してみた。
瞬間、ブーン機からバリアが消滅した。

 
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:05:17.77 ID:j0xcX/jkO
『おい…ブーンの機体反応が二つになったぞ…』
『こっちでも確認したよ…。ブーン、何をしたんだい…?』
(;`ω´)「わ、訳分からん! バリアが消えたお!!」
『戦いに集中しろといったろう…?』
(;`ω´)「ぬぉぉお!!」
 
またしてもレーザーの発射を感知して回避行動をとる。今度は後ろからだったが被弾はしなかった。
不可解だが、これを利用しない手はない。
ブーンは前だけを見つめ、レーダー等の機材をシャットアウトした。
意識して見ないでいると、友軍や敵機の位置が手に取るように分かる。機体が感知する情報が直接頭に流れ込んでくる感覚だった。
 
( `ω´)(左…!)
 
左からの攻撃を上昇してかわす。そして上からジスプロ機を捉えた。
 
( `ω´)「墜ちろお!!」 
ブーン機からレーザーが発射される。
ジスプロは機体を回転、その前にドクオ機、後ろからはショボン機が現れた。

 
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:06:23.52 ID:j0xcX/jkO
『カカッ…ここまでか…』
 
ドクオ、ショボン機からもレーザーが発射され、ジスプロ機に突き刺さる。
最期まで回避行動をとったが、煙を上げて墜落していった。
 
『カガガ…ミ事だホ…イゾn…kノワタs…トス…na……』
 
ノイズの入り交じった音声と共に地面に激突し、爆発。
 
『なんか最期は簡単に墜とせたね…』
『ああ…もうちょっとなんかしてくると思ったがな…』

( ^ω^)(敵は取ったお…お母さん…)
( ^ω^)「ドクオ、ショボン! まだ終わってないお! みんなの援護に行くお!」
『そうだな、最後まで気ぃ抜くんじゃねーぞ!』
『OK.さっさと蹴散らしてやろう!』
 
ジスプロを墜とした三人は、未だ交戦を続ける友軍に向かって飛び去っていった。

 
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:08:26.25 ID:j0xcX/jkO
──サイス
( Ф∀Ф)「いやー、お前さん達、特にブーンがいなかったら負けてたわ。ホンマ感謝するで!」
 
ローレンが豪快に笑いながらブーンの手を握った。
彼の握力は強く、ブーンは呻く。
 
(;^ω^)「ちょ、痛いお、放してくれお…」
( Ф∀Ф)「ああ? すまんスマンww」
( ^ω^)「でもなんでスクリプトはこの大陸だけを狙ったんだお? この星は大きいお。
侵略するつもりなら他の大陸にも基地を作るはずだお?」
( ФΔФ)「う〜ん…それについては俺も不審に思ってたんやけどな、どうせまずはこの大陸を支配するつもりやったんやろ。
他に目的がなかったとは言えんが…」
 
ローレンは顎をしゃくって答えた。
 
( ^ω^)「それにしても第一はずるいお。武器や兵器だけじゃなくてドーピングまで特別性かお」
( ФΔФ)「はぁ? なんのこっちゃ。俺らに支給されてんのもお前さん達に支給されてんのも同じ物のはずやで?」
( ^ω^)「へ?」
( ФΔФ)「なんやよう分からへんけど今は勝利の味を噛み締めようやないか。小難しい事はやめぇや」
( ^ω^)「??? あっれぇ〜????」
 
首を捻るブーンだったが、ローレンの言う通り小難しい事を考えるのは止めた。

 
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:09:32.65 ID:j0xcX/jkO
ジスプロ機を撃破した後の空戦は実に呆気ない物だった。
ブーン達が参戦してからすぐに、指令を出す者がいないにも関わらず敵機は揃って撤退を始めたのだ。
ジスプロが事前にそう指令を出していたのか、はたまた別に指令を出した者がいたのかは不明。
だが、スクリプト軍は去ったのだ。今はこの喜びを分かち合いたいというのが彼らの本音であった。
 
('A`)「さて、戻るぞ」
(;^ω^)「ちょwwwwwwww」
从*'O')从「ええー! もう戻るんですかぁ!? ちょっとは休みましょうよぉ…」

(´・ω・`)「君、仕事熱心だね…」
 
ドクオの命令に一同は口々に不平を漏らす。
 
(;'A`)「じょ、冗談だよ…。俺も疲れたしな…」
从*'ー')从「ですよねぇw よかったぁ…。私ヘトヘトですよ」
 
そこに、一機の戦闘機が飛来した。着陸するやいなや、中からモナーが手を振って走って来た。

 
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:11:00.67 ID:j0xcX/jkO
( ´∀`)「やっぱりここだったモナ」
(;^ω^)「モナー! みんなは…みんなは無事なのかお!?」
( ´∀`)「心配いらないモナ。SHIIさんも命に別状はないモナ」
( ^ω^)「よかったお…。
そういやモナーって手術出来たのかお?」
( ´∀`)「医師免許はないけど、人体の構造は把握してるモナ。だからたぶん上手くいくと思ったモナ」
(;^ω^)「おまwwwwwwwまた
たぶんかお…」
( ´∀`)「今はみんな基地のベッドで眠ってるモナ。
あと、さらわれた人達が地下に監禁されてたから解放したモナ」
('A`)「じゃあ俺らがやる事はないな。俺は寝るぜ。
朝にはここを出るぞ」
(;^ω^)「朝って…、8時間くらいしかないお…」
('A`)「のんびりしてる暇はないっつーの」
 
それだけ言い残してドクオは去る。それに続いてスズとショボンもここを後にした。
 
从*'ー')从「私も寝よーっと」
(´・ω・`)「今回の相手は君に決まりだ。フフフフ…」

从*'д')从「近寄らないで下さい」

 

 
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:12:26.67 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「ツンはどこにいるんだお?」
( ´∀`)「ツンちゃんなら基地でみんなの看病をしてるモナ」
( ^ω^)「じゃあ僕も基地に──」
(;ーω^)「あ…れ…? 急に眠気…が…」
(;´∀`)「大丈夫モナ? ブーンも寝るといいモナ」
 
( ーωー)「もう…ダメ…お…zzZ」
 
倒れ込み、静かな寝息を立てるブーン。その身体をローレンが担ぎ、モナーに言った。 
( ФΔФ)「こいつは俺が運んどくわ。お前さんも疲れたやろ? ベッドなら空いとるから好きなの使ってええで」
( ´∀`)「う〜ん、そうさせてもらうモナ」

 
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:13:32.89 ID:j0xcX/jkO
──翌朝
('A`)「オラ、ブーン起きろって」
(#)ーωー)「…zzZ」
('A`)「こりゃダメだな…。ひっぱたいても起きやしねぇ」
从*-O-)从「私も…眠ぃ…」
(´-ω-`)「僕も眠いよ…」
('A`)「なんだお前ら二人して…。まあいい、眠いならまだ寝てろ。帰還時刻を延ばす事にしたからよ。
起きるなら顔洗って飯食ったら帰還準備しろ」
('A`)(チッ、ブーンの野郎、せっかく帰還を遅らせてやるってのによ…)
从*-д-)从「二度寝します…おやすみなさい…」
(´-ω-`)「僕も…」
 
二人はふらつきながら寝室に帰っていった。
二人を見送り、振り返るとモナーが立っていた。
 
( ´∀`)「おはようモナ。君は確かドクオ君だったモナ?」
('A`)「ドモ、ドクオです。
あなたは…モナーさんでしたね」
( ´∀`)「そうモナ」
 
軽く挨拶をし、共に朝食を食べる為に外に出た。

 
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:14:30.51 ID:j0xcX/jkO
('A`)「お〜寒…」
 
朝方は冷え込み、ドクオは身を震わせて火の下へ向かう。
外には少なくなった第一隊員や戦闘機に乗っていたニューソク人が火を囲んで談笑している。
モナーは種火を貰い、焚火を作る。腰を落ち着け、缶詰を空けながらモナーが切り出した。
 
( ´∀`)「……第三に、ブーンは必要モナ?」
('A`)「それはどういう…」
 
聞き返しながらも、ドクオにはその意味が分かっていた。
 
( ´∀`)「ブーンを、この星に永住させられないモナ? ブーンにとっても、それが一番だと思うんだモナ」

('A`)「………」
('A`)「それは、本人が決める事ですんで」
 
入隊前からの旧友、入隊してからの戦友、そして親友であるブーン。
ドクオは共に軍に戻って来てほしかった。
しかし彼の言った通り、それはブーンが決める事だ。
ブーンが此所に残ると言うなら、それに甘んじると心に決めていた。
 
('A`)「今はブーンが起きるのを待つだけです」
( ´∀`)「………」

 
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:15:21.48 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「ふぁ〜…よく寝たお…」
 
ブーンが外に出るとドクオ、ショボン、スズが彼を出迎えた。しかしその顔に笑みはない。
 
(;^ω^)「みんなそんな顔してどうしたんだお?」
('A`)「お前に大事な話がある」
(;^ω^)「なんだお…?」
('A`)「お前、ここに残る気はあるか?」
(;^ω^)「ちょwwwww唐突だおwwwwwwwwww」
('A`)「笑ってんじゃねーぜ、真面目な話だ」
 
ドクオはモナーと共にブーンは残ってもいいと伝える。VIPに戻るもよし、ニューソクに残るでもいい、自分達は口を挟まない事も同時に。

 
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:17:56.84 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「………いいのかお…?」
 
('A`)「あ?」
( ^ω^)「僕は此所に残っていいのかお…?」
('A`)「……ああ」
 
それだけ聞けば十分であった。ブーンはニューソクに止どまりたいと願っている。
ドクオ達にはそれに反対する権利などない。
 
('A`)「元気でな」
 

ドクオは素早く戦闘機に乗り込む。永く涙腺を閉じている自信がなかったからだ。
 
(´・ω・`)「君の──
いや、やっぱ止めとこう。元気でね」
从*;д;)从「遊びに来ますからね〜先輩〜…」
( ;ω;)「おっおおぉ…絶対来てくれお〜」
 
飛び立つ戦闘機。ブーンは彼らが見えなくなるまで、手を振っていた。
        fin


 
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 23:19:00.49 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「僕はみんなと一緒に戻るお」
('A`)「本気か? 無理しなくてもいいんだぞ」
( ^ω^)「無理なんかしてないお。僕だけ逃げる訳にはいかないお」
('A`)「いや、逃げるとかじゃなくてだな…」
( ^ω^)「とにかく、みんなと一緒に戦いたいんだお!」('A`)「だってさ。ブーンは俺達と戻るみたいですよ」
( ´∀`)「…そうかモナ」
 
モナーは残念そうな顔をしたが、ブーンの意見を尊重した。
 
('A`)「そうと決まれば出るぞ。予定より遅れているからな」
( ^ω^)「了解したお。モナー!」
( ´∀`)「?」
( ^ω^)「ツンに伝えてくれお! 僕は必ず帰ってくるお!」
( ´∀`)「確かに承ったモナ!」
 
モナーは力強く頷き、ブーンもそれに応えるように敬礼をする。
またの再会を共に願い、ブーンは宇宙へ、モナーは仲間の下へと歩み出した────


 
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