1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:05:10.05 ID:5wxMOfu9O
最初に
 
出血等のグロ描写や残酷描写は自分なりに少し(←ココ重要)押さえたつもりですが、
「気持ち悪いの苦手なんだよね」「吐き気がするんじゃボケェ!」「胸が痛くなるのは見たくない」
と思っている人には見るな、とは言いませんが、お勧め出来ません。

その辺り御了承願います。
 
では始めます。


 
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 10:47:18.80 ID:5wxMOfu9O
ちょwwwwおまいらwwwwwwwww
気持ちはありがたいんだがな…
 
こうなったら何故保守がいらないと言うか語らなければなるまいな。
たまに話題になる「ブーンスレ問題」
ブーンスレ嫌いの人にとっては、もう立てないってのが一番だろう。
でも俺のように書きたい人もいる訳で…。
そこで俺は考えた訳ですよ。互いに妥協すべきだと(両者が受け入れるかは別として)。
しかし妥協しているスレは極僅か(ちなみに俺はそんなスレ知らない。あるのか?)
 
保守はいらない、sage進行、一応最後までは書いてから投下する、落ちたら書く時だけ立てるなど、これらを実行すれば苦情も減るのではないだろうか。
何をしても自由なのがVIP。他の作者を非難する気もないし、変えなければいけないとは思わない。
だが変わればいいな、くらいは思った。
でもどうやれば変わるだろうか?
言った所で変わりはしないだろう。
なら俺がやってみようと、このスタイルを選択。
まあ内容や文章はお手本になるような物じゃないが。
こんな事しても無駄かもしれたんが、まずはやってみようじゃないか!と、この話を作ったんだ。

さあ、注文を聞こうか。



 
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:10:05.71 ID:5wxMOfu9O
漆黒の闇に光る閃光。無数の戦闘機が暗闇を縦横無尽に飛び回っている。
在る者は敵機を撃墜し、在る者は闇に墜ちて行った。
そしてここにも数奇な運命に飲み込まれようとしている若者が一人…。
 
(;^ω^)「後ろに付かれたお!」
『無暗に突っ込みやがって! 何やってんだ馬鹿野郎!』
(;^ω^)「こいつら弱いから調子こいたお…」
 
レーダーに目をやると後ろには5機の戦闘機が彼を墜とそうと追跡している。
出力を最大にし、振り切ろうとするが必死に食らいついてくる。
 
(;^ω^)「別格…一機強いのがいるお! 至急援護を…!」



 
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:11:29.57 ID:5wxMOfu9O
『……OK、射程に入った。援護を開始する』
 
レーダーに味方の機影が映ると共に敵機の反応が一つ、消滅した。
しかし…
機体が大きく揺れる。不運にも被弾してしまったらしい。
揺れる機体に、更に追撃のレーザーが命中。バリアが吹き飛ばされ機体にも被害をもたらした。
 
『ブーン!大丈夫か!?』
(;゚ω゚)「や、やばいお…エンジンをやられたお…!」
 
機内では警報が鳴り響き、非常事態発生の文字がモニターに写っている。
とにかく現状の確認が先だ。
ブーンと呼ばれた若者は被害状況を確認する。
動力原および左翼に被弾により出力80%低下、シールド73%破損、レーザー発射不可、軌道修正装置破損、酸素濃度低下。
尚、航行可能、生命維持装置の作動は可能…


 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:12:45.97 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「危険レベルBだお」
『B…って事は戦闘が出来ねぇだけで事態が悪化しなけりゃ死なねえって事だな! 残りも俺が引きつける! お前は離脱しろ!』
 
ブーンは念の為にマスクを装着し、スーツのボタンを押して宇宙用に設定した。
その時敵機から不気味な声が響いた。
 
『カカカカ…墜ちろ…』
 
先程とは比べ物にならない衝撃がブーンを襲った。

………………………………………………………………………………………………………


 
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:14:45.22 ID:5wxMOfu9O
( ーωー)「…………」
( -ω^)「……ここは…」
 
自動操縦装置が働いたのか、どうやら命は助かったようだ。
モニターを再度確認する。

出力、バリア共に35%まで回復。レーザーの発射は不可…。そしてシールドは破損、通信機は故障していた。航行は可能だが、大気圏の突破は出来ない上に、長距離となると燃料が保たないだろう。
ブーンは軽く目を閉じてため息をつく。そして今度は外部をモニターに映した。
 
( ^ω^)「…森の中みたいだお。てことは酸素はあるのかお?」
 
一応、マスクを装着したままハッチを開く。
小鳥の囀りが聞こえる。生命体は生息しているようだが、ブーンの体に合った環境かを確かめる必要がありそうだ。
ブーンは空気を調べる機材を取り出し、外に出た。
少し酸素濃度が高いが有毒の気体は含まれてないようだ。
ブーンはマスクを外し、機体を調べ始める。被弾した部分は広範囲に溶解しているが、修理はできそうだ。
……部品があればの話だが。


 
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:16:09.64 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「部品が手に入らないと修理は無理っぽいお…。ここはとりあえず…」
 
ブーンは救難信号を発信する為に装置を組み立て始めた。足りない部品は機体から拝借する。
約5時間後…
 
( ^ω^)「できたお!」
 
時間はかかったが装置は無事動作している。部品が満足に手に入らないので電波の強さはいささか不安ではあるが贅沢は言ってられない。
救助が来るまでしばらくの間サバイバル生活を送る事になりそうだ。
ブーンは周りの調べる為に立ち上がった。
 
(;^ω^)「おっとと……」
 
頭がクラクラして吐き気がする。どうやら酸素酔いしたらしい。
 
(;^ω^)「まぁ、すぐ慣れるお…」
 
ふらつく足取りで調査を開始した。



 
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:18:11.18 ID:5wxMOfu9O
調査の結果、この星は重力が多少小さい事と半径5km以上は森が広がっている事がわかった。
走ってみてわかった事だが、重力が小さい為に走るとバランスを保つ事が出来なかった。転んでしまったが、慣れるとなかなか快適に走る事ができる。
そしてサバイバルの基本、住居、水、暖、食料の内、三つは解決した。
住居は機内を使えば問題ないし、水は小川を発見できた。暖は火を起こせば解決するだろう。
あとは食料だが…
 
( ^ω^)「非常食はあんまりないし、どうしよう…」
 
ブーンが思い悩んでいるとガサガサと背後で騒がしく草を掻き分ける音が耳に入る。
咄嗟に振り返り、目をやるとそこにはタヌキのような獣が走っている。
いや、逃 げ て い る 。


 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:20:12.59 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「ちょ……」
 
ブーンの目に飛び込んで来たのは、体長3mほどの獣だ。
全身毛で覆われた巨躯、頭は熊と狼を足して割ったような顔をしていた。
目が合った。
大きい方の獣は獲物をブーンに変更した。たしかに追いかけていた獣より、ブーンの方が食いでがありそうだ。
涎を垂らしながら突撃してくる。
ブーンはホルスターからレーザーガンを抜き、発射した。レーザーは獣の肩に命中し、火花と共に肉を焦がす。痛みで叫びながらのたうち回る獣。レーザーは肩をから胸部を貫通しているので動けないのだろう。
 
(;^ω^)「ちょっとかわいそうだお…」
 
ブーンは獣の頭にレーザーを撃ち込んだ。
動かなくなる獣。
 
(;^ω^)「…いきなり出たからビックリしたお」
( ^ω^)「………」
( ^ω^)「コイツ食えるのかお?」



 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:22:11.72 ID:5wxMOfu9O
すっかり日も落ち、闇が森を支配する。その闇を照らす炎の光。
 
( ^ω^)「コイツうめぇwwwwwwwwww」
 
ブーンは焚き火で焼いた肉を貪っている。
毛皮の下には食用に適した脂の乗った肉があった。
 
( ^ω^)「ここも捨てたもんじゃないお」
 
食事を終えたブーンは残りの肉を干し肉にする為に捌き始める。これで当面の食料は確保できた。作業を終えたブーンは救難信号を確認する。
機械は正常に作動していた。
ブーンは空を見上げた。
 
( ^ω^)「……!!」
 
空気が澄んでいるせいか、今まで見た事のない数の星々。月のような天体が三つ、空に輝く。
美しい空を見上げていると無性に心が安らぐ。
 
( ^ω^)「あの中に地球はあるのかお……?」
 
空を眺めながら横になる。そして次第に睡魔が襲い、ゆっくりと眠りに落ちていった……。



 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:23:43.66 ID:5wxMOfu9O
──翌朝

ブーンは戦闘機から離れた場所にいた。食べる事のできる植物を探す為である。しかし、様々な種類の草木が生えているが収穫はなしだった。
林檎に似た果実を見つけて食べてみたが非常に苦く、異常なくらい種が大きかった。
 
( ^ω^)「栄養偏るお…」
 
しかたなく戦闘機のある場所に戻る。
 
( ^ω^)「まあ食料は余裕があるし、救助が来るまでなんとかやっていけそうな気がするお!」

 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:25:20.58 ID:5wxMOfu9O
一ヵ月後…
 
(ヽ´ω`)「お腹すいたお…」
 
あの日以来、動物は姿を現さなかった。最後の干し肉も四日前に底を付いてしまった。
正確にはトカゲのような生物を見つけたりしたのだが、食料に余裕があったので捕まえたりはしなかったのだ。
 
(ヽ´ω`)「何か…食い物…」
 
虚ろな目で探していると、カエルのような生物が跳ねている。
 
(ヽ^ω^)「く、食い物だお!」
 
ブーンは嬉嬉としてカエルを捕獲する。大きさは20cmくらいだ。
急いで火を起こし、カエルを調理する。毒がある可能性は否定できないが、今は空腹を満たしたい気持ちが強い。焼き上がったカエルはすぐに腹の中に収まった。
幸い、毒はなかったようだ。
 
(ヽ´ω`)「全然足りないお…」
 
やはりカエル一匹では空腹を満たす事はできなかった。空腹と寂しさから涙が溢れる。
 
(ヽ;ω;)「もう嫌だお…。帰りたいお…」


 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:27:40.90 ID:5wxMOfu9O
ターン…
 
(ヽ´ω`)「今のは……銃声…?」
 
小さいが、確かに聞こえた。
 
(ヽ^ω^)「てことは人がいるって事だお!」
 
人でないかもしれないが、ブーンにそこまで考える余裕はなかった。誰でもいい、会って話がしたい。銃声がしたという事は確実に誰かがいる。それだけがブーンの足を動かした。立ち上がって銃声の方向へと歩き始める。

2kmほど歩いた辺りでブーンは猛烈に後悔していた。
救難信号の装置を作る為に部品を拝借した戦闘機は飛べなくなっていた。今更戻って装置を分解し、戦闘機を修理する訳にもいかない。最初に上空から調査すべきだったのだ。
 
(ヽ´ω`)「とにかく歩くしかないお…」
 
それから10時間ほど歩いただろうか。大きな道に出た。
幅の広さから人為的に作られた物だろう。やはり知的生命体は存在しているらしい。
だがブーンの体力は限界だった。
目が霞む。
 
(ヽ´ω`)「もう…歩けないお…」
 
ブーンは道に倒れ込み、そのまま意識を失ってしまった。


 
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:31:02.89 ID:5wxMOfu9O
飛び交う戦闘機、人々の悲鳴。爆音と共に倒壊する建物。
今にも崩れそうな家で幼いブーンは震えていた。そこに今は亡き母が駆け寄ってくる。
 
J('-`)し「さあ早くここから逃げるんだよ!」
( 'ω`)「う、うん…」
 
母に手を引かれ、外を目指す。だが爆音と共に鉄の柱が倒れてきた。
 
J(;'-')し「!!!」
 
母はブーンを突き飛ばす。転げ回るブーンが起き上がり母を見ると三本の柱の下敷きになっていた。
 
(;'ω`)「お、お母さん!」
 
駆け寄ろうとするが、
 
J(;'-`)し「来ちゃダメ! 逃げなさい!」
( 'ω`)「でも…でも…」
J('-`)し「お母さんは大丈夫。すぐに追いかけるから早くこの家を出なさい! シェルターの場所は知ってるわね? 振り返らず走りなさい!」


 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:32:39.00 ID:5wxMOfu9O
この状況では幼いブーンでは、いや、例え大人がいても何もできないだろう。
 
( 'ω`)「でもお母さんを置いて行──」
J('-`)し「行きなさい!!」
( 'ω`)「!!」
 
母の言葉に身を硬直させるが、すぐに踵を返し、泣きながら走り出す。家を出てもその足は止まらない。
再び爆音。
振り返えってはいけない。
だがブーンは見てしまった。
倒壊する家を。


そして立ち止まったせいで自分を貫く運命にあるパイプが飛来───


 
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:33:38.45 ID:5wxMOfu9O
( ーωー)「ううぅ……お母さん……」

( ;ω;)「………」
 
夢を見ていたようだ。頬には涙の跡がある。
突然攻撃を仕掛け、母の命を奪ったスクリプト軍。
ブーンはあの時誓ったのだ。必ず母の敵を取ると。その為に軍に入隊し、兵士となった。

今まで多数の作戦に参加し、奴等を蹴散らしてきた。そして今回、辺境惑星を徘徊している奴等の目的の調査および撃破の任務にあたり、あの出来事だ。
ブーンは自分の不甲斐なさから改めて怒りが込み上げてくるのを感じた。
 
彡´∀`)「※※※、※※※※※※?」
(;^ω^)「うわっ!」
 
突然覗き込まれて声をあげる。覗き込んだのは白髪混じりの男だ。
この星の原住民は人間によく似ていた。見た目は同じ、と言っても過言ではない。
 
( ^ω^)「あなたが助けてくれたのかお?」
彡´∀`)「※※※? ※※※……。※※※※…」
 
男は何か言っているが、言葉は完全に通じない。ブーンがどうしようかと考えていると、ブーンの腹が鳴った。


 
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:35:04.02 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「すいませんお…」
彡´∀`)「※*※*※。※※※※」
 
男は何か言うと、
 
彡´∀`)「※※※※!」
 
誰かを呼ぶような大きな声を出した。
数分後、トレイに食事を乗せ、歩いてくる一人の少女。動きに合せて揺れるカールした髪。美しいが、どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

腹の音は依然として鳴りやまないが、ブーンは空腹も忘れてその少女に見入ってしまう。

歳はブーンより年下に見えた。冷たそうな雰囲気ではあるが、それが返って美しさを際立たせているようにも見える。
ブーンが惚けていると少女は怪訝な表情でブーンを見た。
 
(;^ω^)「あ、ああ…ごめんお」
 
伝わるはずもないが、とりあえず詫びを入れる。
やはり怪訝な表情のまま無言でトレイを置いて出ていってしまった。
しばしの沈黙。
だが空腹に耐え兼ねてブーンが口を開いた。


 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:37:04.03 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「これ…食べていいのかお?」
 
男に視線を送る。
 
彡´∀`)「※※※※※※」
 
男は言葉とジェスチャーで、恐らく「食え」と言っているのだろう。
ブーンは遠慮がちに食事を口へ運ぶ。
一口、腹に物を収めると胃が活発に活動を始め、気が付けばブーンはがっついて食事をしていた。
男はそれを見ると満足そうに頷き、部屋を出て行った。

 
食事を終えたブーンは、男を探す。
家をうろついていると、さっきの少女がいた。


ξ゚-゚)ξ「※※※※※…?」
 
相変わらず冷たい表情でこちらを見る。
 
(;^ω^)「え〜と、その、ご馳走さまだお…」
 
少女は僅かに目を細め、何も言わずにその場を去る。
 
(;^ω^)(なんか嫌われるような事したかお…?)


 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:39:32.44 ID:5wxMOfu9O
男は外にで薪を割っていた。
ブーンが近付くと作業を中断し、近寄ってきた。
 
彡´∀`)「※※……」
 
男は言葉を発しようとしたが、無駄だと思ったのかジェスチャーを始める。腹や頭を押さえた後に元気な表情をした後、こちらを見る。
具合は良くなったのか?と聞いているらしい。
 
( ^ω^)「もう大丈夫ですお。助かりましたお」
 
ブーンもジェスチャー付きで答えるが、男は元気な声を聞いただけで理解したようだ。
 
( ^ω^)「そろそろ帰りますお」
 
どこへ帰るのだろうか。
戦闘機の場所か。
 
( ^ω^)「ありがとう、ございます…お」
 
あの一人寂しい一ヵ月と、ここで触れた人の温かさを思い出す。
( ω )「………」
彡´∀`)「…?」
( ω )「……て…ませんかお?」
彡´∀`)「……???」
( ;ω;)「ここに置いてくれませんかお? お願いしますお!」


 
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:40:49.54 ID:5wxMOfu9O
彡´д`)「※※!?※※※…」
 
突然泣き出したブーンに、男はパニックになっている。眉をハの字にして困惑していた。
 
( ;ω;)「お願いしますお!なんでもするお!」
 
とりあえず男はブーンを宥め始める。
十数分後、落ち着いたブーンはジェスチャーで帰る家がない事、ここに置いてほしい事を伝える。
これはなかなか難儀であった。
身振り手振りだけではどうしても簡単には伝わらない。
2時間ほど頑張った挙句、その旨を理解してもらえた。
男は少し悩んだ末、さっきまでブーンが寝ていた部屋を指差した。
 
( ;ω;)「ありがとうございますお…」
 
ブーンはひたすら頭を下げ続けていた……。


 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:42:13.86 ID:5wxMOfu9O
あれから一週間ほど経った。
ブーンの仕事は基本的に力仕事だ。重力の小さいこの星では物を持ち上げる事が地球に比べて楽だ。
今日はブーンは買い物に来ていた。手にはメモとお金が握られている。
地図を見ながら目的の店に辿り着き、中へ入る。
中からは怒鳴り声が聞こえる。店主が客に怒鳴りつけているらしい。
 
「※※※※※!? ※※※※!!」
( ´∀`)「※※※※? ※※※……」
 
客は踵を返すと、出口に向かう為にブーンと擦れ違う。
 
( ´∀`)「使えない店モナ…(ボソ」
( ^ω^)「………」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれお!」


 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:43:57.60 ID:5wxMOfu9O
(;´∀`)「……モナ!? な、なんでその言葉を喋れるモナ!?」
(;^ω^)「それはこっちが聞きたいお!」
 
驚愕と喜びが混じった会話に、店主がこちらに顔を向ける。
 
(;^ω^)「ちょっと待っててほしいお!買い物だけ済ませるお」
 
ブーンはメモとお金を店主に渡し、商品を受け取る。
商品は釘と木材だった。壁でも補強するのだろうか。
 
( ^ω^)「これを届けたらすぐ戻ってくるお!」
 
数分後…
 
( ^ω^)「お待たせだお!」
( ´∀`)「君、あんなに重そうなの持ってたのに、足速いモナ…」
( ^ω^)「この星は重力が…ってそんな事どうでもいいお! なんで僕と同じ言葉を喋れるかを聞いてるんだお!」
( ´∀`)「ちょっと落ち着こうモナ。こっちも状況が把握できないモナ。お互い順番に質問するって形にしようモナ」
( ^ω^)「おk」
( ´∀`)「とりあえず僕から…。僕はモナー、君の名前は?」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお。ブーンって呼んでくれてもいいお。モナーはこの星の人かお?」
( ´∀`)「違うモナ。ここには──」
 
モナーは口ごもってからいい直す。


 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:45:20.62 ID:5wxMOfu9O
( ´∀`)「その……観光に来たら帰れなくなったモナ。でも不便はしてないモナ。
ええと、ブーンは?」
 
それに対し、ブーンは特に気にする事もなく答えた。
 
( ^ω^)「僕は不時着したんだお。スクリプト軍との戦闘で戦闘機が故障したんだお」

( ´∀`)「!! てことはブーンは…」
( ^ω^)「僕の質問の番だお。言葉はどうやって覚えたんだお?」
( ´∀`)「…10年くらい住んでたら自然と話せるようになったモナ。ブーンはVIPの人間モナ?」
( ^ω^)「10年も…。そうだお。VIP軍第三攻撃部隊所属だお」
( ´∀`)「第三!? …失礼、質問をどうぞモナ」
( ^ω^)「う〜ん、今の所は特に…さっき何で言い争ってたんだお?」
( ´∀`)「注文した部品がなかったモナ。『そんな形にどうやって加工するんだ!』って怒鳴られたモナ。
第三にまだギコはいるモナ?」


 
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:46:48.60 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「ギコ司令を知っているのかお? 今は第三の司令官だお」
( ´∀`)「アイツも出世したもんだモナ…。まあ強かったし当然だモナ」
( ^ω^)「もしかして、モナーもVIPの人間かお?」
( ´∀`)「元、だモナ。ギコとは友達だったモナ。僕は開発部門だったけど…」
(;^ω^)「宇宙は狭いお…」
( ´∀`)「とりあえず最後の質問をするモナ。その……友達になってくれるモナ?」
( ^ω^)「構わないお。でも友達くらい…」
( ´∀`)「村人は僕を『変り者』と呼ぶモナ。まあいろんな機械作ってるのが原因だモナ」
(;^ω^)「ごめんお…」
( ´∀`)「気にするなモナ。立ち話もアレだし、家に来てほしいモナ」
( ^ω^)「わかったお」
 
二人は一旦質問を止め、モナーの家に向かった。


 
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:48:38.09 ID:5wxMOfu9O
モナーの家は、村の外れにひっそりと建っている。
 
( ´∀`)「どうぞモナ」
( ^ω^)「お邪魔しますお」
 
中はきれい…というより何もなかった。あるのは必要最低限の物だけだ。
 
( ^ω^)「機械を作ってるって言ってたけど、どこにあるんだお?」
 
( ´∀`)「驚けモナ!」
モナーは床にある取っ手を握り、ハッチを開く。
 
( ^ω^)「うはwwwww地下基地みたいだお。テラカッコヨスwwwwwwwww」
 
モナーはハシゴを降り、ブーンを呼ぶ。
ブーンが降りると、そこにはたくさんの機械が転がっていた。
通信機のような機械から何だかよく分らない機械まで多種多様だ。
 
( ´∀`)「ちょっとそこに寝てほしいモナ」
 
モナーは診察台のようなベッドを指差す。
 
(;^ω^)「何する気だお…?」
( ´∀`)「痛い事はしないモナ」


 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:50:29.05 ID:5wxMOfu9O
ブーンは不安になりながらベッドに横になる。すると、モナーは耳に何か入れてきた。
 
(;^ω^)「ちょwwwwwww何するんだお!?」
( ´∀`)「ちょっと小型カメラを入れてるだけモナ。てか汚いモナ。ちゃんと耳掃除しろモナ」
(#^ω^)「ほっといてくれお!」
 
数十秒でモナーはカメラを抜き、ノートにメモを始めた。
 
( ^ω^)「何してるんだお?」
( ´∀`)「ヒ・ミ・ツだモナ〜。明日を楽しみにしててほしいモナ」
( ^ω^)「?」
 
この後二人は地球の様子などについて語りあった。
 
( ^ω^)「そろそろ帰るお」
( ´∀`)「ブーンはどこに住んでるモナ?」
( ^ω^)「村の丘の上にある少し大きい家に置いてもらってるお」
( ´∀`)「村長の家だモナ…」
(;^ω^)「あの人村長だったのかお…」
( ´∀`)「あの家の人は良い人だモナ。みんな僕に近付かないのに、村長とツンちゃんだけは普通に接してくれるんだモナ」
( ^ω^)(あの娘、ツンっていう名前なんだ…)
( ^ω^)「でもツンっていう娘、なんか僕に冷たいお」


 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:54:15.82 ID:5wxMOfu9O
( ´∀`)「ツンちゃんは誰にもあんな感じだモナ。でも最近はちょっと暗い感じがするけど…。
でも本当は優しい女の子だモナ」
( ^ω^)「ちょっと安心したお。また長話になるといけないから今度こそ帰るお」

( ´∀`)「わかったモナ。ばいばいモナ〜」
 
モナーと別れ、夕日が沈もうとしている中をブーンは歩き始めた。
 
 
──次の日
ドアを叩かれ、ツンが向かう。ドアの前にはモナーが立っていた。
 
ξ゚听)ξ「※※※※、※※※…」
( ´∀`)「※※、※※※※。※※※※?」
ξ゚-゚)ξ「※※※」
 
ツンはブーンの部屋のドアをノックする。
 
( ^ω^)「どうぞだお〜」
ξ゚-゚)ξ「※※※…」
( ´∀`)「※※※※※」
 
ツンはモナーと一言、言葉を交わし去っていく。
 
( ´∀`)「やあブーン、良い物を持ってきたモナ」
( ^ω^)「昨日言ってたヤツかお?」
 
モナーの手の上には5mmほどの鉄くずが。


 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:56:04.24 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「ゴミ?」
(#´∀`)「失礼な人モナ!立派な機械だモナ。
いいからそれを耳に入れてみろモナ」
 
少々ご立腹のモナー。
 
( ^ω^)「取れなくなったら嫌だから断るお」
(#´∀`)「い・い・か・ら・入・れ・ろ・モ・ナ!」
(;^ω^)「ちょwwwwwやめるお!」
 
ブーンを力ずくで押さえつけ、耳の中に機械を押し込む。
少し暴れたせいか、村長が心配して入ってきた。
 
(;^ω^)「ちょ、マジ取れないお!」
彡´∀`)「どうしたんだね!?」
( ^ω^)「モナーが僕の耳に…」
( ^ω^)「ん?」
( ´∀`)「フフフ」
( ^ω^)「村長の言葉が聞こえるお!」
彡´∀`)「?」
 
村長は何だかよく分らないといった表情で二人を見ている。
 
( ´∀`)「今度は口にしたい言葉を頭に思い浮かべるモナ」
 
ブーンが「心配いりませんお」と思い浮かべると、耳に入れた機械から音声が流れる。

 
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 00:57:55.93 ID:5wxMOfu9O
( ´∀`)「聞こえた言葉を言ってみろモナ」

( ^ω^)「心配いりませんお」
彡´∀`)「!!! 君、我々の言葉を喋れるようになったのかね?」
( ^ω^)「…………」
 
ブーンは言葉を思い浮かべる。
 
( ^ω^)「モナーのおかげですお」
彡´∀`)「そうか…。モナー君! ありがとう! 言葉が通じないのは辛い所だったんじゃ。君には感謝の言葉しかないよ」

( ´∀`)「礼には及ばないモナ」

彡´∀`)「早速、ツンを呼んでこよう」
 
村長はツンを呼び、改めて自己紹介をした。
ツンの名前はツン子だが、皆からはツンと呼ばれているそうだ。村長はツンのお祖父さんにあたる。
 
彡´∀`)「そうか、ブーン君と呼べばいいんだね?」
( ^ω^)「………」
( ^ω^)「そうですお、よろしくお願いしますお」
彡´∀`)「こちらこそよろしく。ほら、ツンも挨拶しなさい」
 
ずっと黙り込んでいるツンに村長が催促した。



 
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:00:10.20 ID:5wxMOfu9O
ξ゚-゚)ξ「……よろしくお願いします、内藤さん」
 
怒っている訳ではなさそうだが、なんだか怖い。
 
(;^ω^)「よ、よろしくだお…」
 
それからブーンは村中に挨拶して周った。この村の名前はクアールといった。
モナーの話によると会話の時、言葉を浮かべる為に起きるタイムラグは慣れれば解決し、さらに慣れれば機械なしでも会話できるようになると言っていた。
聴きながら喋る事により普通よりも格段に早く言葉を覚える事ができるとの事だった。 
( ^ω^)「言葉って大切だお…」
 
ブーンは普段何気なく使っている言葉の大切さを改めて実感する。遥か昔、人類の祖先は言語を持たずに生活していたが、それは言葉に代わる何かがあったのだろう。
家に戻るとツンとモナーが慌ただしく動いている。テーブルの上にはご馳走が並んでいた。
ブーンと会話ができるようになったお祝いらしい。


 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:01:21.24 ID:5wxMOfu9O
ξ゚听)ξ「内藤さん、この料理を運んで下さい。モナーは食器を運んで」

(;^ω^)(なんか距離感があるお…。さん付けだし…)
 
ブーンの心の内を読み取ったのか、モナーがからかってきた。
 
( ´∀`)「嫌われてるんじゃないかモナ?」
(;^ω^)「そんな事ない………そうかもしれないお…」
( ´ω`)「はぁ…」
(;´∀`)「冗談モナ、落ち込まないでほしいモナ」
ξ゚听)ξ「遊んでないで仕事して下さい。ほら、モナーも!」
 
パーティは問題なく行われ、ブーンはこの時初めてツンの笑顔を見た。
笑顔といっても細やかな微笑だったが。


 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:04:16.31 ID:5wxMOfu9O
ξ゚听)ξ「いつまで寝てるんです。あなたはお客さんじゃないんですよ」
( ーωー)「ふぁ……。すいませんお…」
ξ゚-゚)ξ「私は水を汲みに行きます。あなたは畑でお祖父さんを手伝って下さい」
(;^ω^)「了解しましたお…」
 
ツンは事務的な態度で接する。ここ数日はずっとこの様な感じであった。
だが、ある日の事。
 
( ^ω^)「あ、その実は苦くてまずいお。食べる所なんかほとんどないお」
 
ブーンは野草や木の実を取る為にツンと共に森の中に来ていた。
 
ξ゚-゚)ξ「苦い…? あなた実を食べたんですか?」

( ^ω^)「食べたお。やたらとデカい種もあるし食べられないお」
ξ゚-゚)ξ「これは種を割ってその中身を食べるんです。そんな事も知らないんですか?」
( ^ω^)「それは盲点だったお」
ξ゚-゚)ξ「あと、実の部分は毒です」
(;^ω^)(あの時よく死ななかったお…)
 
絶句するブーンを無視して木の実をもぎ始めた。
籠の半分くらい摘んだ所で、その様子をただ見ていたブーンを見兼ねて言った。
 
ξ゚听)ξ「何してるんです? 働いて下さい」
(;^ω^)「すいませんお…」

 
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:05:37.08 ID:5wxMOfu9O
ツンから渦の巻いた植物を手渡され、同じ物を取ってくるように言われる。
ツンの前では謝ってばかりだな、と思いつつブーンはその場を離れた。
 
( ^ω^)「おお! たくさんあるお!」
 
地面から生え出ているこのゼンマイのに似ている植物を一本づつ摘んでいく。
 
( ^ω^)「たくさん取ったし、そろそろ戻るお」

『キャー!』

(;^ω^)「今の悲鳴は…」
 
今のは間違いなくツンの声だった。籠を放り出して悲鳴の方へ駆け抜ける。
 
(;^ω^)「どうしたん──げ、あいつは…」
 
ツンの前に立ちはだかる獣には見覚えがあった。大きさはブーンと同じくらいではあるが、紛れもなくこの星で最初に食べたタンパク質である。

 
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:07:14.68 ID:5wxMOfu9O
ξ;゚听)ξ「あ…あ…」
 
ツンは後退りながら言葉にならない喘ぎを漏らす。
ジリジリと距離を詰められ、今にも飛び付かれそうだ。
獣が咆哮するとツンは座り込んでしまった。
ブーンは咄嗟に腰のホルスターに手を伸ばすが…。
 
(;^ω^)(レーザーガン持って来てNEEEEEEEE!!!!)
 
しかしこのままではツンの命が危ない。
とりあえず足下にある石を投げ付けた。軍で鍛えられた腕力で放たれた石は見事獣の頭に命中した。
よろめいたが倒れはせずに、ブーンの方を振り返る。
 
(;^ω^)「今の内に逃げるお!」
 
ブーンは更に石を投げながら促す。
しかしツンは足が竦んだのか、立ち上がる事すら出来ないようだった。
 
(;^ω^)(倒すしかないお…!)
 
投石を続けると、獣は標的をブーンに変更、怒り狂って突進する。
 
(;^ω^)(カウンターでぶちのめ──)
(;^ω^)(無理!)
 
ブーンは身を翻して逃走した。
獣の怒りは完全にブーンに向けられているのでツンに襲いかかる事はないだろう。
案の定、ブーンを追ってきている。
非常に速く、このままでは追いつかれていまう。


 
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 01:08:23.15 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)(ヤバス…)
 
目の前には大木があった。
追い詰められて焦ったのか、ブーンは大木によじ登る。
木はデコボコしていたので簡単に登れた。
そこで、己の過ちに気付く。 
(;^ω^)(これじゃ袋の鼠だお!)
 
しかし今更降りる事も出来ない。獣はそこまで迫っているのだ。
覚悟を決め、枝を折る。
甚だ心許無い武器だが、ないよりはマシだろう。
目に突き刺せばあるいは撃退できるかもしれない。
だが、その必要はなかった。
獣はスピードを緩めずに飛び上がり、大木に突進したのだ。
木は軋み、揺れ動いたので危うく振落とされる所だった。
跳躍力がもう少しあればブーンも危なかったが、一歩届かずに激突して昏倒した。
 
( ^ω^)「こいつテラバカスwwwwwwwww」


 
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