340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:10:29.46 ID:5wxMOfu9O
──SHII.弟者サイド
(*`-´)「弟者」
(´<_` )「ぬ? なんだ?」
(*`o´)「この森をアンタなら何日で一周できる?」
(´<_` )「ふむ…三日か四日だろうな。SHII殿、お主の策が分かったぞ。
森を周って背後を取る気だな?」
(*`ー´)「その通りさ。敵がいきなり後ろから現れたらびっくりするよ。士気も下がるだろうね」
(´<_` )「それはいい考えだ。急ごう」
 
弟者が鞭を入れようとした時、SHIIが口を挟む。
 
(*`ー´)「それだけじゃ甘いね。あのモララーってヤツは切れる男なんだろう? 読まれるかもしれないよ」
(´<_` )「だとしたら何故この戦略を?」
(*`ー´)「こういう事さ!」
 
SHIIが方向を変える。
 
(*`O´)「背後を取るのはアンタに任せるよ! アタシは森を抜けて側面から攻撃する!」
 
そして自分の部隊に号令をかける。
 
(*`O´)「お前達! アタシに着いて来な! アタシが安全な道を選んでやるよ!」
 
その声を最後にSHII率いるリヴムント隊は森に消えて行った。
 
(´<_` )「なんという無茶な事を…。それともこの森を知っているのか…?」
(´<_` )「総員に告ぐ! 三日以内に敵の背後を取るつもりで飛ばせ!」
 
兵士の雄叫びと鞭の音が混ざった音が響き渡った。


 
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:13:13.36 ID:5wxMOfu9O
──GIKO.ブーンサイド
(;゚ω゚)「わおおおおおお!!!」
 
今まさにブーンに剣が振り下ろされようとしていた。ブーンは尻餅をつきながらも死の一撃を弾き返す。

二撃、三撃と弾いた所で剣は弾き飛ばされた。
 
「死ねぇ!」
 
繰り出される突きを、地面を転がってなんとか避ける。そして立ち上がり、一目散に逃げ出した。
両軍が入り交じる中、兵の間を縫って駆け回る。尚、その間もブーンに刃は向けられたが当たる事はなかった。
 
(,メ゚д゚)(こいつは…)
 
その様子が目に入ったGIKOは敵を斬り倒し、突き刺し、薙ぎ倒しながらブーンの下へ向かう。
 
((;゚ω゚))「………」
(,メ゚д゚)「大丈夫か?
後ろで見てろって言ったが、この状態じゃそうもいかねぇな」
 
飛来した矢を叩き落とし、腰に挿してあった細身の剣を抜く。
 
(,メ゚д゚)「これを使え。貴様は軽い剣の方が合っているみたいだ」
 
ブーンが受け取った剣は、今まで使ってきた物と比べてかなり軽い。これならブーンでも楽に振り回せるだろう。
 
(;^ω^)「わ、わかったお…」
 
流石に軍人だけあって、既に冷静を取り戻している。


 
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:14:42.72 ID:5wxMOfu9O
(,メ゚д゚)「奴等の鎧にある隙間を狙って突け。一突きでいい。但し狙うのは胴体だけだ。
突いたらすぐに別の敵に狙いを定めろ。抜く時に剣を捻るのを忘れるんじゃねぇぞ」
 
それだけ言うと再び敵陣の中に切り込んで行った。
 
(;^ω^)「隙間…そんなのあったかお?」
 
観察してみると確かに僅かな隙間がある。剣を振り上げた時、一瞬ではあるが、その隙間は大きくなった。よく見てみると、腕や足…身体を動かす度に隙間が生じるらしい。
 
( ^ω^)「あれを狙うのかお…。ちょっと試してみるお」
 
ブーンは大軍から外れて腕を休めている兵を狙う。
 
「ハァハァ…疲れたぜ…」
 
帝国兵はブーンに気付いていないようだ。だがブーンは敢えて自分の存在を知らせる。
 
( ^ω^)「僕は連合軍の内藤ホライゾンだお! 覚悟するお!」
「!! 敵かッ!
…俺は帝国軍第二師団のクリフ=マルコビッチだ」
( ^ω^)「かかって来いお!」


 
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:17:06.80 ID:5wxMOfu9O
ブーンが挑発するとクリフは剣を構える。
 
「初めて戦場で名乗ったぜ…。名乗るのはいつも隊長だけだからなぁ…」
 
名乗れた事が余程うれしかったのか、先程の疲れた顔ではなくなっていた。
 
「なんか隊長になった気分だぜ…!」
(;^ω^)(早く攻撃してほしいお…)
 
最初に名乗った事を少し後悔した時、クリフが一歩踏み出して剣を振り上げた。そして間合いに入った瞬間に振り下ろす。
だがブーンはクリフが動いた時には回避行動をとっていた。
 
「(こいつ、速いぞ!)」
( ^ω^)(脇と肩の所が開いたお)
 
ブーンはそれだけ確認すれば十分だった。クリフが今度は突きを繰り出す。肩の部分は開かないが脇がガラ空きだ。
その隙間に剣を滑り込ませた。


 
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:17:58.70 ID:5wxMOfu9O
「あ…?」
 
痛覚が麻痺しているのか気の抜けた声を漏らすクリフ。だが体は正直で、剣を取り落とす。
次期に激痛が襲ってくるだろう。ブーンは剣を引き抜いた。もちろん捻るのを忘れない。
クリフは大量の血を吹き出して倒れる。
 
「ぐ……ああああ!!!
あぁぁ…痛てぇ、痛てぇよぉぉぉ…」
 
このやり方だと相手は動けなくなり、しばらく苦しむようだ。
 
「うぅぅ…」
 
見兼ねたブーンは尋ねる。
 
( ´ω`)「止どめが……欲しいかお…?」
 
クリフは呻くばかりでブーンの言葉は聞こえていない。
 
( ´ω`)「………」
 
ブーンは黙ってクリフの喉を刺し貫いた…。
 
( ´ω`)(僕は甘いお…。これは戦争なんだお…)
 
こんな事ではいけないと、心に戒めるのであった。


 
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:19:41.51 ID:5wxMOfu9O
──二日後
(,メ゚д゚)「チッ…囲まれちまったか…」
 
GIKOの周りを埋め尽くす兵。
流石のGIKOでも疲労の中、この数は骨が折れる。
 

(,メ゚Д゚)「…まぁやるしかねぇな!」

『おおおおおおお!!!!!』
 
GIKOが駆け出そうとした時、雄叫びと共に一陣の風が兵の間をなびいた。
風の名はブーン。
GIKOを囲む兵の間を潜り抜けながら首筋を裂き、脇を突き刺して駆け巡る。
 
( `ω´)「GIKO! やっと見つけたお!」
(,メ゚Д゚)「ブーンか! ククッ、いいタイミングで来てくれた!」
 
ブーンは動きを止めず、敵の間を疾走する。ブーンが通った跡には次々と兵が崩れ落ちた。
GIKOも負けてはいない。
一振りで二人もしくは三人を薙ぎ倒し、そのまま突き進む。背後から迫る敵にも後ろに目があるかのように斬り捨てた。
全神経を集中させ、その身体に隙はない。
ブーンの介入で動揺が広がった事もあるが、彼の強さは凄まじかった。


 
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:21:16.82 ID:5wxMOfu9O
(,メ゚д゚)「よぉブーン、死んでなかったのか」
( ^ω^)「当たり前だお。この剣のおかげでまともに戦えるようになったお」
 
剣を見せると、血と油で切れ味は悪そうだ。だがブーンの場合、突きの方を多用するので問題はあまりない。
 
(,メ゚д゚)「貴様が生きていたら渡そうと思ってた物だ」
 
GIKOの手に握られている獲物は、細身だが以前ブーンに渡した剣よりも短い。
 
(,メ゚д゚)「その剣じゃ斬るのはキツいだろ、突き以外はこっちを使え」
 
そう言って放り投げた。
以前のブーンなら慌てて避ける所だが、空中で回転する短剣の柄の部分をガシリと掴む。
 
(,メ゚Д゚)「ほう…」
 
GIKOは眉を持ち上げて感心している。刃を掴んで怪我をしたら笑い飛ばすつもりだったに違いない。
 
( ^ω^)「どうしたんだお?」
(,メ゚д゚)「ああ、何でもない。それより兵を集めろ。総大将を見つけたんでな」


 
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:22:30.64 ID:5wxMOfu9O
<ヽ`∀´>「戦況は兵が多い分こっちが優勢ニダ。…でも奴等の騎兵はどこに言ったニダ…?」
「報告します。連合の歩兵師団がこちらに向かっています」
<ヽ`∀´>「そろそろ来る頃だと思っていたニダ。迎撃準備!」


 
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:23:03.62 ID:5wxMOfu9O
(,メ゚Д゚)「敵が引いて行きやがる…。総攻撃を掛ける気だな。やばいぜ…」
 
GIKOはもっと兵を出すべきだったと後悔した。
現在の兵力は帝国軍が歩兵9000、騎兵7000程。
対する連合軍は歩兵6500、重装歩兵4000程だ。
この状態で一斉突撃されれば全滅も有りうる。
 
(,メ゚д゚)「後退しながら重装歩兵は前に出ろ。歩兵は矢の用意だ」
 
GIKOの指令で各師団が行動を開始する。守りに徹する為の布陣だ。
SHIIが到着するまで持ち堪えるしかない。
帝国の突撃が始まった。


 
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:24:53.14 ID:5wxMOfu9O
(,メ゚Д゚)「今だ放てッ!」
 
限界まで引き絞られた矢が次々と放たれた。
突撃しながら敵は矢を受け、地に沈む。転倒し、息のある者も仲間に踏み付けられて命を散らす。
だが帝国軍はやはり怯まない。かまわず突進して来た。
そして衝突。
剣や槍が鎧と盾に弾かれる音や叩き潰される音、断末魔の悲鳴が近い。
 
(,メ゚д゚)「そろそろ行くか…。貴様ら! そのまま矢を射続けろ!」
 
GIKOは弓を下ろして剣を抜く。そして横の男に言う。
 
(,メ゚д゚)「副隊長、隊長補佐、指揮は貴様らに任せる」
「GIKO様はやはり…」
(,メ゚Д゚)「ああ、前のヤツらを手伝ってくる」
「やはりそうですか…。お気をつけて」
 
副隊長らの言葉を聞くとすぐにGIKOは走り出した。


 
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:25:58.62 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「なんで止めないんだお? GIKOは隊長、しかも領主だお」
「GIKO様には何を言っても無駄ですよ。いつもああやって最前線で御戦いになさる…。
本来なら私がGIKO様を御守りしなければならないのだが…」
 
彼には指揮するという重要な役目がある為にそれが出来ないのだろう。
それにもし、仮にGIKOに着いて行ってもGIKOのように戦えない事も彼は分かっていた。
やりきれない表情で、それでも指揮の為に周囲に目を配る。
 
( ^ω^)「僕が行くお!」
「しかし危険すぎるぞ。手練でも命を落とすのが戦だ。それが前線となると…」
 
話を全て聞く前に、ブーンは既に彼の前から姿を消していた。
 
「無茶な若者だ。……GIKO様を頼んだぞ…」


 
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:26:50.18 ID:5wxMOfu9O
GIKOは敵の首を撥ねながら叫ぶ。
 
(,メ゚Д゚)「いいかッ! あと一日、あと一日なんとしても食い止めろ!」
 
その時ブーンは…
 
(;^ω^)「ちょ、人多杉で前に出られんwwwwwww重装歩兵邪魔スwwwwwwwwww」
 
別の戦いを繰り広げていた。

 
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:28:18.11 ID:5wxMOfu9O
<ヽ`∀´>「奴等も一ヵ所に集まり始めてるニダ。まともに突撃を受けるほど馬鹿じゃないって事ニダ」
 
ニダーはモララーを呼ぶ。
 
<ヽ`∀´>「向こうは防衛戦に徹する気ニダ。撤退しないって事は何かあるニダ…」
 
そして尋ねた。
 
<ヽ`∀´>「モララー、お前の戦ってた奴等はどうなったニダ?」
( ・∀・)「SHIIの部隊は撤退したぞ。だがあの女の事だからな、森を周って奇襲でも仕掛ける気なんだろ」
<ヽ`∀´>「ならまだ余裕があるニダ。それまでに奴等を打ち破ってやるニダ」
( ・∀・)「俺は持ち場に戻るからな。
SHIIが戻って来た時に
あいつらが全滅してたらどんな顔するか楽しみだからな!」
 
そう言ってモララーは騎兵の中に舞い戻って行った。
 
<ヽ`∀´>「整列が終わったニダ。全軍突撃ニダ!」
 
ニダーの声と共に兵は雄叫びを上げながら突撃を開始する。
そこに、矢が振り注いだ。
だが矢の雨も彼らの突撃を止める事は出来ない。攻撃を受けながらも殺意の塊となって前進した。
 
<ヽ`∀´>「帝国をナメるなニダ! それくらいじゃ止められないニダ!」


 
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:30:10.85 ID:5wxMOfu9O
兵は連合軍の重装歩兵と交戦を開始する。
帝国兵は重装歩兵を斬りつけるが鎧に弾かれ、逆に頭を叩き潰される。騎兵も同様だ。
 
それでもどんどん迫り来る帝国兵に倒される者もいた。
だがやはり守りは頑強なようだ。進軍は止まり、停滞しながら戦っている。
 
重装歩兵の武器は大斧や大剣、ハンマーまで様々だ。
共通している所と言えば、どの獲物も人間を一撃で粉砕できる点か。
そして全身の鎧はかなり分厚い。普通の剣で斬り裂けるはずがない。
だが…
 
<ヽ`∀´>「何をモタついてるニダ!」
 
重装歩兵の前にニダーが躍り出る。そして顔全体を覆う兜の、僅かな間に剣を突き刺した。
顔面を破壊されて倒れる重装歩兵を無視して近くにいる重装歩兵に、今度は首の部分を刺し貫く。
 
<ヽ`∀´>「だからお前らはいつまで経っても下っ端なんだニダ!」
 
部下を怒鳴りつけた時だった。
 
<ヽ`∀´>「!」
 
横からの殺気に反応して剣を振り上げる。
剣は火花を散らして相手の剣を弾いた。
 
(,メ゚Д゚)「よぅ…貴様が総大将だな? その首貰うぜ」

 
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:32:53.98 ID:5wxMOfu9O
GIKOは不意打ちを防がれた事に歯がみはしたものの、ニヤと笑って言った。
 
<ヽ`∀´>「リヴムントの領主…お前が大隊長ニダ? その風格があるニダ」
(,メ゚д゚)「『そんなもんいらねぇ。
一応師団長って肩書きだが、ヤツらはそんな物なくても俺に従ってくれる」
<ヽ`∀´>「…まあいいニダ。ウリは帝国歩兵師団大隊長ニダーッ! 我等の邪魔はさせないニダ!」
(,メ゚Д゚)「帝国の糞共に名乗る名はねぇなッ!」
 
吐き捨てると疾走して先制攻撃を仕掛ける。一瞬で肉薄し、剣を一閃した。
今までの敵ではこれで終わりだった。
だが、
 
<ヽ`∀´>「慌てるなニダ。名乗りもしないとは無礼なヤツニダ」
 
ニダーは剣を受け止めていた。なんという反応速度だろうか。
 
(,メ゚д゚)「…チッ、連合軍リヴムント第一歩兵師団長GIKO、…これで満足か」
 
GIKOはしぶしぶといった様子で名乗る。
 
<ヽ`∀´>「まぁ名前なんかどうでもいいニダ」
(#メ゚Д゚)「……馬鹿にしてやがるな? 殺すぜ」
 
馬鹿にしなくても殺す気でいたのに今更この言葉もないが、とにかく殺意の籠った目で睨む。


 
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:34:26.91 ID:5wxMOfu9O
<ヽ`∀´>「死ぬのはお前らニダ!」
 
ニダーの剣がひるがえる。そしてすぐに突きを繰り出した。
GIKOは跳び下がってこれをかわし、着地と同時に地面を蹴る。再び間合いに入ったGIKOはすくい上げるように剣を一閃。
ニダーも身を沈めてかわす。
 
GIKOは一閃途中の剣の軌道を無理やり変更して振り下ろした。
だがニダーも手練だ。読んでいたのか既に受け止める態勢に入っている。
 
その時、今までより大きな帝国兵の雄叫びがGIKOの耳に入った。GIKOは思わず集中を乱してしまった。
剣と剣がぶつかった瞬間、ニダーはもう一本、剣を引き抜いた。
そして突き出す。
 
<ヽ`∀´>「余所見してる余裕があるニダ?」
 
集中が乱れたせいで反応が一瞬遅れたGIKOは身をよじる。
切っ先はGIKOの脇腹を掠めて突き進み、そしてGIKOを斬り裂こうと刃が横になる。
溜めのない斬撃に如何ほどの威力があるかは些か疑問ではあるが、かわせない。
だが刃は止まった。
それを成したのは一振りの剣。GIKOの物ではない。
 
( `ω´)「危ない所だったお…」
 
ブーンは刃がGIKOの肉に食い込む寸前で受け止めていた。

 
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