357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:36:44.82 ID:5wxMOfu9O
(;メ゚д゚)「ブーン、助かったぜ。それより…」
 
GIKOはニダーを牽制しながらさっきの雄叫びの方を見る。
 
<ヽ`∀´>「お前らの前衛の一部が崩れたニダ。お前らの敗北も近いニダ…」
 
ニダーはいやらしい笑みを浮かべる。その顔には自信が漲っていた。
 
(,メ゚д゚)(クソ…迷ってる暇はねぇな)
(,メ゚Д゚)「ブーン、この大物は貴様に任せたッ! 必ず討ち取れ」
( `ω´)「把握したお」
(,メ゚Д゚)「もし殺されやがったらあの世まで追いかけてもう一度殺してやるからな」
 
言い残して身をひるがえすと、崩された場所へと駆け出して行った。
 
<ヽ`∀´>「何をしても無駄ニダ。お前らには──」
 
喋り終える前にブーンの剣撃がニダーを襲う。
 
( `ω´)「黙れおッ!」
 
一喝しながらもその手数は多い。ニダーはこれをあざやかにかわし、受け止める。
だがブーンの猛襲は止まらない。むしろその鋭さは増すばかりだ。それに加えて高速の足捌きに、ニダーは翻弄され始めた。
 
<;ヽ`∀´>(コイツ…! 手数が多いダ…!)
 
焦りを感じ始めるニダー。そこに森側の兵からどよめきが広がり、ニダーの耳にも聞こえてきた。

 
358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:38:16.03 ID:5wxMOfu9O
<;ヽ`Д´>「!? ぐ──!」
( `ω´)「余所見するからそうなるんだお…」
 
ブーンの剣がニダーの脇に突き刺さり、傷口をえぐる。そして短剣を喉に突き刺した。
 
「ニダー様ッ!! おのれ…!」
「ニダー様が…討たれた…」
 
力を失って崩れるニダーに連合兵と交戦していた帝国兵が気付く。そのどよめきは瞬く間に広がっていった。
ブーンはニダーを倒した後も帝国兵に疾走し、次々と斬り倒す。心を折られた兵は、脆い。
 
(*`ー´)「誰かと思ったら、アンタかい。状況を説明してもらおうかね?」
 
奮闘するブーンの前に、リヴムント騎兵師団長──SHIIが現れた。


 
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:40:49.97 ID:5wxMOfu9O
( ・∀・)「前衛が崩れたからな、奴等の全滅も近いな」
 
重装歩兵の壁が破られた事を見てほくそ笑むモララー。
だがその笑みは兵の言葉によって引き歪む。
 
「も、森から新たな敵が! 騎兵師団です!」
(;・∀・)「なんだと!?」
 
モララーは馬の上に立ち、望遠鏡でその様子を確認する。 
(;・∀・)「………SHII…ッ!」
「奇襲をかけられた兵はどんどんやられていきます! 指示をッ!」
(;・∀・)(クソッ! 後ろから来ると伝えたせいで、しかもこの早さだからな、完全に新手だと思ってやがる…)
( ・∀・)「全兵に伝えろ。奴等は増援じゃなくてSHIIの部隊だからな。これ以上の増援はない、俺達も突撃するからな!」
「はっ!」
(;・∀・)(やばいからな…これ以上兵の士気が下がるような事があっては…)
 
その兵と入れ替わりになり、新たな兵が告げる。
 
「ニ、ニダー様が討たれました…!」
(;・∀・)「なに…!?」
「そ、それに後方から森とは別に、新たな敵影が…」
(;;・∀・)「なん…だと…」
 
モララーは顔面蒼白になりながら呟いた。


 
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:44:15.12 ID:5wxMOfu9O
(*`ー´)「アッハハ! モララーのヤツは驚いただろうねぇ、森からアタシ達が出て来たんだからね」
 
SHIIは敵を薙ぎ倒しながら楽し気に戦う。
それに水を挿した訳ではなかろうが、隣りの兵が伝える。
 
「あちらの方から敵のどよめきが広がって来ました。何かあったんでしょうか?」
(*`ー´)「ふぅん? …この動揺の仕方は尋常じゃないね。アタシ達の他にこれほど兵に影響を与える事…気になるね、行くよ」
 
SHIIは方向を変え、大部隊に切り込む。
すると、多くの敵と奮闘中のブーンを発見した。
 
(*`ー´)「誰かと思ったら、アンタかい。状況を説明してもらおうかね?」
(;^ω^)(うおっ! なんでSHIIさんがここに…? 早すぎじゃないかお?)
( `ω´)「敵の総大将を倒したお」
 
動揺を隠しながら、言う。
 
(*`o´)「へぇ、アンタが! やるじゃないかっ!」
 
ブーンに短く賛辞を贈り、周りに伝える。
 
(*`ー´)「聞いての通り勝利は目前だ! でも最後まで気を抜くんじゃないよ!」
(*`o´)「アタシ達も敵を掃討するよ。アンタも死ぬんじゃないよ」
 
ブーンに投げキッスをすると、再び敵勢の中に馬を走らせて行った。
 
( `ω´)「う〜ん…スケ番みたいな人だお…」
 
SHIIの部隊が周りの敵は掃討したらしい。
ブーンは残りの敵を倒すべく、GIKOの下に向かった。

 
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:46:41.32 ID:5wxMOfu9O
(;・∀・)(ニダーを倒され更に新手の出現…しかも兵力は逆転した…どうする…?)
 
普通なら撤退──だがモララーは面子を気にしていた。もう一刻もこうして悩んでいる。
 
(;・∀・)「!」
 
モララーが思い悩んでいる所に一本の矢が飛来する。
モララーはそれを弾こうと剣を振るうが、反応が遅れた為に腹に突き刺さった。
 
「モララー様ッ!」
(;・∀・)「ぐ……引くぞ」
「御怪我は…」
 
第二師団長が近付くとモララーは一喝する。
 
(;・∀・)「聞こえなかったのか? 撤退だからなッ!」
(;・∀・)(面子を気にしてるようじゃ指揮官としては三流以下だからな…)
「はっ! …ですが我々は残ります」
( ・∀・)「何を言って──…そうか、頼んだからな」
 
モララーは第二師団がしんがりとして残る決意をした事を察した。
 
(;・∀・)「すまない…」
「我々に気にせず早く撤退の準備を!」
 
モララーは傷の痛みに苛まれながらも撤退の準備を始める。

 
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:47:48.37 ID:5wxMOfu9O
「本隊を逃がす為に皆には死んでもらわねばならん…」
「承知しております。この命、存分にお使い下さい!」
「戦で死ぬなら本望でありますッ!」
「すまぬ…。
奴等には最期まで我々、帝国の意地を見せてやろうぞ!」 
『おおおおおおお!!!!!!!』

 
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:51:33.88 ID:5wxMOfu9O
戦は終わり、連合軍は救護隊に傷の手当てを受けていた。その中にツンの姿をブーンは発見した。
 
(;^ω^)「つ、ツン!? こんな所で何してるんだお!? 危ないお!」
(,メ゚д゚)「敵もいねぇし、危ないこたぁねぇだろ」
 
すぐさまGIKOにつっこまれる。
 
ξ゚-゚)ξ「事の始まりは私だもの。ジッとしてられないわよ…」
 
そう言って戦場であった場所に目を向ける。
一概には自分一人が原因でこの戦いが起きたとは言えないが、やはり多少の責任を感じているようだ。
大きな戦争になる事は予想していたが想像と現実ではその規模も激しさも違ってくる。
 
ξ;゚-゚)ξ「!!」
 
ツンは死体の山の中に、助かりはしないがまだ生きて、苦しみもがいている者を見つけてしまい、目を背ける。が、GIKOに頭を掴まれて無理やり死体の山に顔を向けられた。
 
(,メ゚д゚)「目を背けるな。これが戦だ。
どんな理由があっても、俺達のやっている事はただの人殺し…それを忘れるな」
ξ;゚-゚)ξ「は、はい…」
 
GIKOは厳しい言葉を投げかけ、ツンはそれを悲痛ではあるが強い意志の秘めた表情で噛み締める。


 
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 20:52:54.94 ID:5wxMOfu9O
(*゚ー゚)「そういえばあなた、到着が随分早かったじゃない。どんな魔法を使ったの?」
(´<_` )「SHII殿に習って森を渡ったのだ。道も知らずに入る危険は承知だったが、あそこは無茶する場面だった」
 
弟者の答えに、SHIIは口をポカンと開けたまま黙ってしまう。
 
(*゚o゚)(私はあの森知ってたから、あの道使ったのに…。無茶苦茶な子ねぇ…)
 
(*゚ー゚)「GIKOがいなかったら惚れてたかもしれないわ♪」
(´<_`;)「ぬ…け、けっこうだ」
(*゚ー゚)「あら、照れちゃって可愛いわね」
(´<_`;)(勘違いだ)


 
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:40:38.95 ID:5wxMOfu9O
──ラウン城:作戦会議室
川 ゚ -゚)「プギャー、まずはご苦労だった」
m9(^Д^)「簡単で面白すぎる作戦だったプギャ。次もこういうのを頼むプギャ」
川 ゚ -゚)「それから…」
 
クーはモララーの前に立ち厳しい視線を送った。
 
川 ゚ -゚)「ニダーは戦死、戻って来たのはお前と1000の兵…。
お前の事だ、面目が潰れないように撤退を悩んだのだろう。
閣下は悲しんでおいでだ」
 
モララーは言い訳もせずに歯を噛み締める。言い訳は彼のプライドが許さなかった。
 
(=゚ω゚)ノ「ニダーは閣下のお気に入りだったからかよぅ?
なんか不公平を感じるよぅ」
 
いよぅが文句を垂れると、クーは静かではあるが怒気を漂わせて言う。
 
川 ゚ -゚)「違う。ニダーとモララーの不甲斐のなさにだ」
(;・∀・)「………」
川 ゚ -゚)「そしてメンヘルと火竜の砦が奴等の手に落ちたぞ」
 
その言葉にプギャーがいきり立つ。
 
m9(^Д^)「俺の砦を狙うなんて許せんプギャ。俺が出るプギャ」


 
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:43:30.15 ID:5wxMOfu9O
川 ゚ -゚)「そのつもりだ。いよぅ、お前にも出てもらうぞ」
(=゚ω゚)ノ「やっと僕の出番だよぅ。待ちくたびれたよぅ」
川 ゚ -゚)「荒巻」
/ ,' 3 「…なんだ」
 
驚いた事に、荒巻が普通に受け応えする。

(=゚ω゚)ノ「!! 荒巻が起きてるなんて珍しいよぅ」
川 ゚ -゚)「お前の部隊から第二〜第五師団をいよぅに預けろ」
/ ,' 3 「了解した」
川 ゚ -゚)「我々が奪還作戦に出る事になるとは奴等もなかなかやる。気は抜くな」
m9(^Д^)「軽く蹴散らすプギャ」
(=゚ω゚)ノ「任せろよぅ」
 
自信満々、といった様子で二人は立ち上がった。だがそこに意気消沈している者がいる。
 
( ・∀・)「……俺は…」
川 ゚ -゚)「お前はその傷がなくても待機だ。少し頭を冷やすがいい」
( ・∀・)「………」
m9(^Д^)「プギャー!」


 
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:45:02.17 ID:5wxMOfu9O
──リヴムント
(;゚∀゚)「オズンが壊滅しただと…?」
 
帰還したジョルジュに知らされた第一報はオズンの壊滅だった。
帝国軍は少数の兵で現れたが半日も経たずに滅ぼされた。建造物のほとんどが全壊、残された街の人々も老若男女構わず、たった一組の兄妹を除いて皆殺しにされたらしい。
その兄妹は名をテルとセレン、といった。
 
( ゚∀゚)「短時間で街が壊滅か…その生き残りに会えるか?」
「はい。今は落ち着いているので話もできるかと」
 
ジョルジュは二人の所へ案内される。
 
「この部屋です」
 
ジョルジュが扉を開けると、そこには少年が座っていた。その横には静かな寝息を立てて眠る少女。
少年の瞳には暗い影と、その奥には憎悪の炎が燻っていた。
この年頃の少年が浮かべる表情にしては哀しすぎる。
 
( ゚∀゚)「話したくはないと思うが、少し話を聞きたい。
…起こすといけないな、部屋を変えようか」
「………」
 
テルは黙したままだったが立ち上がったのを見ると、逆らう気はないらしい。
二人は部屋を変えて話始める。

 
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:46:56.70 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「さて、まず聞くが襲って来たヤツらの武器だが…コイツじゃないか?」
 
ジョルジュは懐から一つの塊を取り出してテルに見せる。
その塊を目にした瞬間、テルの目は大きく見開かれ、怒りと恐怖が入り交じった表情になる。
 
「そ…そうだよ…。あいつらはそれを投げて来たんだ…」

( ゚∀゚)「やっぱな」
 
ジョルジュはそれだけ聞くと立ち上がる。
 
( ゚∀゚)「話はもういい。妹の所に──」
「俺を、俺を軍に入れてくれよ! 父さんと母さんの敵を討ちたいんだ!」
 
テルは勇気をふり絞って訴える。その瞳には影と憎悪の他に、決意の光が宿っていた。
だが、それに対する答えはテルの決意を踏み躙る。
 
( ゚∀゚)「ダメだ」
「な、なんでだよ!? 俺だって──」
 
ジョルジュはいきなりテルの首を掴んで壁に押さえ込む。
叩き付けたと言ってもいい。
その手を振りほどこうとするが、所詮は子供──ジョルジュの力に敵うはずもない。
 
( ゚∀゚)「俺だって…なんだ?」
 
脅す訳でなく囁く。そして手に力を込める。
器官を圧迫されて苦しげに呻くテル。
あと数秒で意識を失う所でジョルジュはそのまま放り投げた。

 
388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:48:07.95 ID:5wxMOfu9O
解放されたテルは倒れながら激しく咳き込み、ジョルジュを見上げる。その目にある憎悪はジョルジュにも移り始めていた。
 
( ゚∀゚)「この通りお前は無力だ。お前などが戦場に出ても真っ先に殺されるだけだ。戦をナメるな」
「ゲホッ…くそぉ…! だったら、訓練してくれよ!」
 
先程受けた行為は子供にすれば相当恐ろしい物だったに違いない。しかしテルには諦めた様子は皆無だ。
 
( ゚∀゚)「お前なぁ…」
 
呆れながらも詰め寄るジョルジュの前に立ちはだかった小さな影。妹のセレンだ。
 
「お兄ちゃんをいじめるなぁ!」
 
いつの間に起きたのか、半ベソをかきながらジョルジュを睨む。

 
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 21:49:32.32 ID:5wxMOfu9O
(;゚∀゚)「別に苛めてた訳じゃないぞ…」
 
だがセレンにそんな事が理解できる訳もなく、
 
「あっち行けぇ!」
 
ジョルジュの足を連続で殴り付ける。
ジョルジュはいよいよ困り出した。
 
(;゚∀゚)「わかった分かった、痛いからやめろ」
 
とうとう降参したジョルジュ。
セレンはテルの横に戻ってピッタリとくっついている。
 
( ゚∀゚)「妹に守られてるようじゃダメだな。お前は守る立場だろうが」
「………」
 
実際その通りだったのでぐうの音も出ない様子だ。
 
( ゚∀゚)「お前は戦に出ずに妹を守ってやれ」
 
そう言うと、ジョルジュは退室する。
その背に、「俺は諦めないからな!」と声が聞こえた。


 
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