435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:01:28.53 ID:5wxMOfu9O
(*`ω` *)「向こうが騒がしいっぽ。こっちも準備するぽっぽ」
(><)「…この戦いが終わったら、オズンの再建ですね。
人は集まるでしょうか…?」
「きっと大丈夫ですよ。あのような美しい街に人が集まらない訳がありません」
「集まらなかったら俺達男だけのむさ苦しい街になるけどなw」
 
兵の一人がおどけて見せると笑いが起きた。
 
(><)「ちんぽっぽさんは女性です!」
(*`ω` *)「そうだぽっぽ! 失礼な人達だっぽ」
 
憤慨したように見せたが怒ってはいない。
 
(*`ω` *)「平和な暮らしを取り戻す為に、出陣だっぽ!」

 
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:02:14.20 ID:5wxMOfu9O
(´<_` )「ぬ、突撃の合図だ」
「いよいよですね。リヴムント隊に遅れを取らぬよう全力で戦いましょう」
(´<_` )「うむ。仲間同士での勝ち負けはどうでもいいが、奴等に負ける訳にはいかん」
 
振り向いて出来る限りの声で叫んだ。
 
(´<_` )「行くぞ! これが最後の戦いになる、我々で勝利を勝ち取れ!」
『おおおおおお!!!!』


 
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:04:31.82 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「よーし、お前ら腹括れよ。全軍突撃──」
 
叫ぼうとした時、傍らの小さな影に気付く。
 
(;;゚∀゚)「テ、テテテテル!!!??」
 
ジョルジュはあまりの事に、声を裏返して叫ぶ。
何故このガキが此所にいるのか…そんな考えが脳内を目まぐるしく駆け巡った。
 
「何やってんだよ、『オオォー!』って言う準備してたのにさ」
 
そんな心中など読み取れないのか、テルは文句を垂らす。 
(;;゚∀゚)「お前、どうやって着いてきた…?」
「普通に歩いてだよ。みんな歩くの早くてさ、参ったよ」
 
本当に参っているのはジョルジュだ。
 
( ゚∀゚)「お前らの中にコイツに気付いた者がいるはずだろ? そいつは何をしていた」 
ジョルジュは兵達を睨む。すると一人の兵が名乗り出た。
 
「この子供、ジョルジュ様に許可をもらったと…」
(##゚∀゚)「馬鹿野郎! 俺がガキを戦場に引っ張り出すとでも思ってんのかッ!!!?」
 
ジョルジュの怒号に怯む兵だったが、テルは気にした様子もない。相当図太いのか馬鹿なのか…。
テルはにぃ、と無邪気な笑顔で言う。

 
438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:06:14.08 ID:5wxMOfu9O
「これから帝国の奴等を倒しに行くんだろ? 俺も手伝うよ!
強くなったんだぜ! ほら!」
 
以前与えた訓練用の模擬刀を振り回す。
確かに型はマシになってはいるが、まだまだ児戯に等しい。
 
(#゚∀゚)「遊びじゃねぇんだぞ!? 何考えてんだ!」
 
怒鳴るジョルジュの脳裏に、もう一つ、不安が浮かび上がった。
 
(;゚∀゚)「…まさか、妹も連れて来た、って言うんじゃないだろうな?」
「セレンは置いてきたよ。あいつじゃ足手まといだし」
 
その場にいた全員が心の中で「お前もだ」と総ツッコミしたに違いない。
 
(;゚∀゚)(クソ…もう突撃の時間だ…どうする…?
帰れと言って聞くタマじゃないぞ…。かと言ってここに残らせる訳にもいかん。聞くとも思えないしな…)
 
想定外の事態に彼は混乱していた。
おかげで兵に連れて帰らせる、という選択肢を考える事すら出来なくなくなっていた。
ジョルジュは大きく舌打ちし、言う。
 
( ゚∀゚)「俺に着いて来い。決して離れるなよ」

 
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:07:24.23 ID:5wxMOfu9O
「やった! 流石ジョルジュだぜ!」
「コ、コラ! ジョルジュ様を呼び捨てとは!」
 
すかさず兵がテルを叱り付ける。
対するジョルジュはめんど面倒臭気に手をヒラヒラさせながら
 
( ゚∀゚)「あー…いい、いい。それより少し遅れている。さっさと行くぞ」
 
そう言って腰の短剣を抜き、テルに渡した。短剣だが子供が持つと普通の剣に見える。
 
( ゚∀゚)「一応渡しとくがお前は自分から戦おうとするな。それは護身用だ」
「えー、なんで──」
 
また文句を垂らすテルに、今度こそゲンコツが入る。それもかなり強めの物だ。
頭を押さえながら、とりあえずは逆らう気はなくなったようだ。
 
(;゚∀゚)(本当にめんどうなガキを抱え込んじまったぜ…)
 
ため息は、行進の音にかき消されていった───

 
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:09:34.58 ID:5wxMOfu9O
両軍が衝突し、大混戦となった。聞こえるのは怒号と断末魔の声、金属音のみだ。
会話など余程近くでないと聞き取れない。
聞き取れないはずだが、不思議な事にこれから剣を交える者同士は意思の疎通が出来るようだ。
 
( ・∀・)「また会う事が出来てうれしいからなッ! SHII!」
(*゚ー゚)「あら…あの時のボーヤじゃない。まだ生きてたのね」
 
SHIIは嘲笑する。
モララーは気にした様子はない。
 
( ・∀・)「あの時、お前が一枚上手だった事は認めるからな。でも今回は小細工なしの勝負だからなッ!」
 
モララーとSHIIが交差する。
SHIIの剣はモララーの鎧に弾かれ、モララーの剣はSHIIの頭上を斬った。
それに伴い各騎兵が戦闘を開始する。
通り抜けながら剣を振るう者や止まって斬り合う者など様々だ。
 
(*゚ー゚)(ふぅん、剣にも自身があるって訳ね…)
 
互いに馬を向き合わせて突進する。
モララーがチラリと横に目配せした。
 
(*゚ー゚)「…面白いじゃない。とことん付き合ってあげるわ」


 
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:10:14.45 ID:5wxMOfu9O
二人は近付き、方向転換させた。
二頭と二人は横に並びながら共に走る。もちろん攻撃も忘れずに。
剣を交しながら彼女はGIKOと弟者の戦いを思い出していた。
こんな時に考える事じゃないわね、とその考えをかき消しながら剣を突き出した。

 
442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:11:31.81 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「悪いが前線は任せるぞ。俺にはガキの子守があるからよ…」
「はっ!御任せ下さい」
 
テルは馬鹿にすんな、と口を挟むが無視される。
 
( ゚∀゚)「まだ早いと思ってたがいい機会だ。戦がどんなものか、その目に焼き付けろ」
 
ジョルジュは厳しい顔つきで前方を睨みながら言い、敵が来た時の為に身構える。
テルはというと、訓練の時でさえ見た事のないジョルジュの発する闘気に固まっていた。
少し離れた場所では既に戦闘は始まっている。
所々、前衛を抜けた敵もいるがその後ろにいた兵に斬り殺されていた。
だが、とうとう敵がジョルジュ目掛けて走って来た。
かわす事は出来ない。かわしたらテルに刃が振り降ろされるかもしれないからだ。
ジョルジュは落ち着いて剣を受け止める。そして弾き返してすぐに一閃、敵の喉元をかっ捌いた。
血を噴き上げながら即死した敵を、テルはまばたき一つせずに凝視する。
そこに、ジョルジュが言葉を投げ掛けた。
 
( ゚∀゚)「いいか? これが戦だ。奴等も俺らも、やってる事は大差ねぇ。目的は違ってもな」

 
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:12:39.57 ID:5wxMOfu9O
テルは聞いているのかいないのか───
恐らく、聞こえてはいないだろう。全身がガタガタと震えて目の焦点が合っていない事がそれを表していた。
ジョルジュは軽く息を吐き、しゃがみ込んでテルの頬を軽くはたく。
 
「あ…? あ、あ…」
 
完全なショック状態だ。
やはり早すぎたか…
そんな思いがジョルジュを支配したその時、前衛の兵が次々と吹き飛ばされるのが目に入った。
ここを通すまいと向かう兵も、巨大なハンマーに吹き飛ばされる。
 
(;゚∀゚)「…とんだ化けモンが来やがったな…」
 
その化け物はジョルジュの前に立つとハンマーを降ろした。

 
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:14:16.22 ID:5wxMOfu9O
/ ,' 3 「ティーグル領主のジョルジュと見受けられる。
…しかし子持ちだとは聞いていなかったぞ。その上戦に連れてくるとは行楽のつもりか?」
( ゚∀゚)「生憎、コイツは俺のガキじゃねぇ。それに俺は未婚だ」
 
ジョルジュは吐き捨てるように言い放つ。
 
/ ,' 3 「ふむ…場違いな質問であったな。
我は帝国重装歩兵師団大隊長、荒巻スカルチノフ。手合わせ願いたい」
( ゚∀゚)「断る…って言っても引いてはくれないよな。
いいぜ、相手してやる。俺はティーグル──今は歩兵師団長だな。必要に応じて重装歩兵の指揮も執るぜ。名はジョルジュ長岡だ」
 
普段のジョルジュなら、大隊長を見た途端にしめた、と思うはずだが今回は違った。
大隊長を倒せば敵の士気は大いに下がる。
だが今は後ろで震えている少年の事ばかりが気になっていた。この時ばかりは本心では引いてほしい、と思っていたのだ。

 
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:15:29.90 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「お前は何の為に戦う?
皇帝にビビってるだけなら止めときな。ヤツは俺等が討ちとるからよ」
 
無駄とは知りながら説得してみる。
 
/ ,' 3 「……我らの障害になる者は全力で葬り去る、それだけだ」
 
少し言葉に詰まったようだったが、やはり引く気はないらしい。
当然だ。
腹に一物ない限り、これくらいで主を裏切るようでは隊をまとめる事など出来ようもない。
 
( ゚∀゚)「テル、下がってろ」
 
短く言い放ち、剣を携えて疾走する。
先手必勝───
時間が経てば経つほどテルの命が危険に晒される。この相手は速攻で倒すしかない。

ジョルジュは一気に間合いを詰めて喉元に向かって突きを繰り出した。
だが荒巻はこれを軽くかわし、追撃の斬撃もひらりとかわした。
そしておまけとばかりにハンマーを振り降ろす。
重い鎧を身に着けてこの巨大なハンマーだというのに、何という俊敏さだろうか。
ジョルジュもこれをかわすが、ハンマーは地面に突き刺ささって粉塵を巻き上げた。
かと思いきや粉塵の中から地面に突き刺ささっているはずのハンマーが横薙ぎに振り回される。
ジョルジュはこれも辛うじてかわす事に成功した。


 
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:17:12.92 ID:5wxMOfu9O
(;゚∀゚)(こいつは一発でもまともに食らったらアウトだな…。さてどうするか…)
 
ジョルジュが考えている間も荒巻はハンマーを振り回す。考える暇さえ与えないつもりらしい。
そこに、一人の兵士が荒巻の死角から襲いかかった。
荒巻は察知していたのか腰を落とすと、地面すれすれでハンマーを振り回す。
ハンマーの直撃を受けた足は脆くも砕け散り、宙を舞った。
倒れ込む兵に無慈悲な一撃が振り降ろされる。
憐れ成す術もない兵は顔面を叩き潰されて絶命し、頭部の破片がジョルジュの顔にぶつかった。
ジョルジュはそれを不快そうに拭いながら荒巻の目の異常さに気付く。
 
何と冷たい目だろう。戦いの中で感じる恐怖や喜びは愚か、闘志やたった今敵を葬った達成感さえも窺い知る事は出来ない。
 
コイツには感情が欠落しているのではないだろうか、そんな錯覚さえ覚えてしまいそうだった。

 
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:19:03.95 ID:5wxMOfu9O
(;゚∀゚)「マジでとんでもねぇ化けモンだな…」
 
一人愚痴り、荒巻の僅かな動きさえ見逃すまいとジリジリと接近する。
荒巻が動いた。
今更驚きはしないが、猛スピードで接近してくる。そして間合いに入った瞬間にハンマーが斜めに振られた。
注意すべきは刺のついた塊───
ジョルジュは勇気を振り絞って一歩踏み出す。
柄に強打されるが先端に比べれば殺傷力は皆無に等しい。
 
懐に入った。
そのまま突きを繰り出そうとした時、悲鳴が聞こえた。
思わず悲鳴の方向を向いてしまう。その方向には、爆砕した地面からの礫が当たったのか、顔を押さえるテルの姿。
 
振り向いたのは一瞬だった。その一瞬が命取りになる。
荒巻は腰の剣を抜き放ち、一閃する。
 
ジョルジュの右手が宙を舞った。


 
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:21:52.19 ID:5wxMOfu9O
よろめくジョルジュにハンマーが襲いかかった。
剣で受け止める事が出来たのは偶然であったが、その衝撃に剣は砕け散り、身体は吹き飛ばされてしまった。
地面を転がるジョルジュにテルが駆け付ける。
 
(;-д-)「に…逃げろ…」
 
ジョルジュは霞む目で荒巻を捕らえた。
 
/ ,' 3 「その童がいなければ俺の敗北だった…」
 
ジョルジュに止どめを刺す為にハンマーを振り上げる荒巻。
だが彼にも予想の出来ない事は防げなかったらしい。
背後からテルの短剣が荒巻の太股に突き刺さる。テルはそのまま手を放して後退った。
荒巻はグラリとよろける。

 
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:25:24.77 ID:5wxMOfu9O
/ ,' 3 「ぐ…、子供を手にかけるのは本意ではないが…」
 
本当にそうなのか、彼は冷徹な目をジョルジュからテルに向ける。
 
(;゚∀゚)(クソ…動きやがれ俺の足…! あの野郎をぶっ殺した後なら動かなくなってもいいからよ…!)
 
ジョルジュは全身の力を腕に込めて身を起こす。そして立ち上がった。
荒巻は今にもテルを殺害しそうだ。
 
(#゚∀゚)「う…おおおおあああああああ!!!!!!」
 
迷ってる暇はない。
ジョルジュは荒巻を羽交締めにして、残った手で太股に刺さった短剣を引き抜く。


 
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:25:49.61 ID:5wxMOfu9O
/ ,' 3 「まだ動け──ッ!」
 
引き抜いた短剣を素早く荒巻の喉に突き刺した。
 
/ ,' 3 「か…は…」
 
口と喉元から盛大に鮮血を吹き出して崩れる荒巻。
それと共にジョルジュも地面に沈む。右の手があった場所からは止めどなく血が噴出していた。
 
「ジョルジュ!
目を開けてよ! ジョルジュ!」
(;ー∀ー)「よお…生きてる、か…」
 
ジョルジュは更に霞む目で、あの化け物に立ち向かった小さな戦士を見上げる。
テルは叫ぶ。
 
「誰かぁ! ジョルジュが! ジョルジュがぁ───!!!」


 
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:27:39.02 ID:5wxMOfu9O
(;メ゚д゚)「こいつら…やけに強いぜ…」
 
GIKOはブーンに聞こえるように喋る。周りには無数の死体が散乱している。
どれが帝国の物か、連合の物かは分からない程だ。
それでも尚、敵は攻め続けて来た。
彼らの顔に浮かぶもの、それは恐怖であるとはっきりと分かる。戦う前から恐怖している、そんな感じだ。
その恐怖は死をも凌駕するのか、敵は狂ったように襲いかかって来る。
 
(;`ω´)「数も半端なく多いお…。切りがないお…」
 
ブーンは敵の喉を斬り裂きながら応じる。
今までの敵軍なら、そろそろ一個師団は壊滅させられる程の人数を斬り倒しているのだが…敵は減る様子もない。
そろそろ味方の兵にも疲労が見え始めている。
その上、敵の兵力はこちらを上回る。正直な所、押され気味だ。

 

(,メ゚д゚)「ん…? あれは…」
 
GIKOが何かを発見した時、ブーンの懐から声が聞こえた。
モナーの声だ。
 
( `ω´)「モナーかお!? 此所は通信不可能の範囲じゃ…」
『説明は後モナ! 例の兵器が完成したモナ! そこにいると巻き添えをくらうから一旦引くモナ!』

 
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:29:29.17 ID:5wxMOfu9O
( `ω´)「…! 分かったお! GIKO!」
 
ブーンが叫ぶとGIKOは興奮した様子で話しかけてきた。
 
(,メ゚Д゚)「皇帝だッ! 今、チラッとだが奥に帝国のデカい旗が見えたぞ! ここは奴等の本隊だ! どうりで数が多い訳だぜ…」
 
GIKOはすぐにでも突撃しそうだったがブーンに引き止められる。
 
( `ω´)「例の兵器が完成したらしいお! 此所にいると僕達も危ないお!」
 
だがGIKOは不満を隠そうともせずに言い放つ。
 
(#メ゚Д゚)「ふざけるなッ! 奴等の親玉がいたんだぜ!? ここで引くなど──」
 
ブーンの拳がGIKOに突き刺さった。
 
( `ω´)「冷静になるお! 奥まで行くには犠牲が大きすぎるお! ここは一旦引くのが賢明だお!」
(;メ゚д゚)「……。クソッ! 確かに貴様の言う通りだ。
…俺の方が指揮官失格だったな」
 
GIKOはすぐに全兵に伝える。
 
(,メ゚Д゚)「一旦引くぞッ!」 
彼らが撤退を始めて間もなく、一筋の光が帝国軍が密集する場所に突き刺さった。
光は爆炎を上げて敵を吹き飛ばす。
その光は一度きりではない。立て続けに迸り、一度の爆撃で100余名を吹き飛ばした。

 
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:31:19.80 ID:5wxMOfu9O
(;メ゚Д゚)「すげぇな…」
 
それはGIKOだけでなく、それを見た全ての人間の感想だった。ただ、GIKOは不満気な顔をしている。
 
( ^ω^)「こちらブーン、聞こえるかお?」
『聞こえるモナ〜。どうモナ? これの威力は』
( ^ω^)「すごいお! 人がゴミのようだお!」
 
ブーンは興奮して話す。
 
( ^ω^)「どこから狙撃してるんだお?」
『君達のいる場所の、北西の山脈だモナ。高い所の方が狙撃しやすいからちょっと無理して登らせたんだモナ。
通信はこの戦車が中継してるモナ』
( ^ω^)「すごいお! これならこっちにこれ以上被害なしで勝てるお!」
 
嬉々として応答するブーン。
 
『でも、君達の隊以外はまだ戦ってるモナ。どうにかならいモナ?』
 
撤退命令はティーグル隊には伝える事が出来なかった。距離が離れ過ぎていて伝える暇はなかったのだ。
 
( ^ω^)「でもさっきGIKOが伝令を送ったお。時期に撤退すると思うお」
『じゃあ味方がいない所だけ狙撃するモナ』
 
戦車…視認は出来ないが、戦車があるべき場所からレーザーが迸る。
帝国軍本隊の敵は次々と爆炎に飲み込まれていく。
そこに、撤退した味方が集まって来た。
追撃しようとする敵をモナーは器用に迎撃する。


 
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:32:55.24 ID:5wxMOfu9O
(*゚-゚)「あれが例の? すごいじゃない」
 
言葉では褒めるが、GIKOと同じく若干不満そうだ。やはり血が騒ぐのだろうか。
(´<_` )「オズン隊は最初の場所、北に撤退した。ティーグル隊も撤退しているはずだが…」
 
確かにティーグル隊は撤退しているが、ジョルジュの姿はない。
 
(,メ゚д゚)「ジョルジュのヤツがいねぇのが気になるが…」
 
しばらくは砲撃を黙って見ていたが、とうとう我慢出来なくなったようだ。
 
(,メ゚Д゚)「おい! 奴等もかなりの数を減らしたぞ。そろそろ攻めてもいいんじゃないか?」
 
ブーンが再び止めようとした時、兵が声を荒げる。
 
「そうだぜ、これじゃ何の為に俺達がいるか分かんねぇぜ!」
「後は俺達に任せろよ!」
「ダメとは言わないよな?」
 
流石荒くれ者の集まりのリヴムント。血の気が多い者が粒揃いだ。さっきまでの疲労の色はない。
まだ僅かにこちらが数を上回った程度だというのに、このまま押さえ付けたら暴動が起りそうだった。
 
『しかたないモナ。連合軍を巻き込まないように狙撃するモナ』
(;^ω^)「苦労かけるお…」

 
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 23:34:17.28 ID:5wxMOfu9O
彼らはまた戦場に舞い戻った。
そこでGIKOは信じられない物を目にする。帝国の巨大な旗と、相変わらず恐怖に駆られて襲いかかる敵兵の姿。
 
(,メ゚д゚)「皇帝のヤツ、生きてやがるみたいだぜ…」
 
あの爆撃の中を生き延びたようだ。爆撃は此所、本隊を中心に行ったはずだというのに、なんという強運の持ち主だろうか。
 
(,メ゚д゚)「…まぁ、ヤツを殺す事が出来るのは幸運だ」
 
数を減らしたと言っても本隊はまだかなりの敵兵が残っている。また激しい戦闘は避けられそうもなかった。

戦車がある以上、連合軍の圧倒的有利に変わりはないが…。
ブーンは初めて皇帝の顔を確認したが、まだ何か余裕のある表情に見えた。
GIKOは皇帝の顔は見ていないのか、それに気付かない。
例え気付いたとしても攻める事を止めはしないだろう。
 
『城壁を破壊するモナ』
 
連合軍と帝国軍がぶつかる激しい戦闘の中、レーザーが撃ち込まれ、城壁が破壊された。

 
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