104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:05:32.87 ID:5wxMOfu9O
(´<_`;)「あ、兄者…どうしたんだ…?」

( ´_ゝ`)「お前が危険な旅に出るってのに、引きこもってはいられないだろ?」
 
(´<_` )「………」
( ´_ゝ`)「絶対、生きて帰って来るんだぞ」
(´<_` )「ああ、分っている」
( ´_ゝ`)「帰ったら、お前の欲しがっていた──」
(´<_`;)「よせ! 兄者!」
(´<_`;)「こんな時にそんな話をするなんて流石だな、兄者」
( ^ω^)「なんの話だお?」
(´<_`;)「気にするな。出発するぞ」
 
弟者は手綱を握り、馬車を走らせる。村人達に見送られながら、ブーン達は出発した。

 
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:08:09.53 ID:5wxMOfu9O
馬車は森を疾走する。弟者の手綱捌きはかなりの物だった。華麗に馬を操り木々を避けて走る。
彼の話によると、自分より兄者の方が上手く操るらしい。
 
( ^ω^)「まずはどこに行くんだお?」
ξ゚-゚)ξ「まずはここ。ティーグルよ」
 
 
ティーグル
商人によって様々な物資が流通する商業の街。自由に取引が行われているので自由な街だと思われがちだが、規約違反には領主によって重い罰が課せられる。
 
ツンは地図を広げて目的地を指さす。距離はそう離れていないので二日あればつけるとの事だ。
 
生物に欲があるのは当たり前だ。知性のある生物には生理的欲求の他にも様々な欲が生まれる。その結果、戦争などが起こり貧富の差が生まれる。
だが欲がなければ文明の発達はありえない。速く走りたい、空を飛びたいという欲から車や飛行機が誕生した。
欲とは、生物が生きる為には必要不可欠な物なのだ。
それに忠実という事は、ある意味素直なのかもしれない。

 
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:09:51.39 ID:5wxMOfu9O
(´<_` )「今日はここで野宿するぞ」
 
森は抜けたが日は沈み、辺りを闇が支配する。弟者は手早く寝床を作り始めた。馬車で寝てもよかったのだが、ツンに気を使って弟者とブーンは外で眠る事にしたようだ。
ブーンは火を起こし始め、ツンは食事の準備を始める。
 
半刻ほど経っただろうか。
三人は火を囲み、食事を摂る。干し肉と野草で簡単に作ったスープだが味はなかなか良い。
スープを口に運びながら弟者が尋ねた。
 
(´<_` )「ブーンよ、気になっていたのだが、お前は何者なんだ?」
( ^ω^)「え…? それはどういう──」
ξ゚-゚)ξ「私も気になってたわ。ブーンって自分の事は何も話さないんだもの」
 
ツンも問いただす。
 
( ^ω^)「たぶん話しても信じられないお…」
ξ゚听)ξ「そんなの言ってみなきゃ分からないでしょ」
(´<_` )「そうだぞ、これから数日間共に旅をするのに、隠し事があってはこちらも気持ちが悪い」
( ^ω^)「……分かったお」

 
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:12:59.50 ID:5wxMOfu9O
ブーンは観念し、自分がこの星の人間ではない事と、この星に来た経緯を話した。
この星の外には宇宙が広がり、他の星にも生命体が存在する事を理解させるには苦労したが、村に降りた戦闘機を目の当たりにしたので、信じてもらえたようだ。
 
(´<_` )「それは何とも奇想天外な…」
 
ξ゚听)ξ「私も驚いたわ…」
 
二人は驚いた様子ではあったがブーンを偏見の目で見たりはしなかったのが救いになった。ブーンが話すのをためらった理由の一つに、自分が軍人である事もあったからだ。 
(´<_` )「とにかく頼りにはしているぞ。
そろそろ寝るとしよう。明日は早いぞ」
 
弟者は寝床に向かい、横になる。ブーンもそれに続き、ツンは馬車に入っていった。


 
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:22:46.99 ID:5wxMOfu9O
「お! そこの兄ちゃんコレ買ってかないかい? よく熟れてるぜ」
「とっても美味しいフルーツはいかがですかー?」
「うーん、コイツは偽物だな。これ以上金は出せねぇ、ヘッヘッヘ…」

──商人の街:ティーグル
空が白んでからすぐに出発したおかげで昼過ぎには到着できた。街は人で溢れかえっている。
 
( ^ω^)「活気のある街だお」
ξ゚ー゚)ξ「そうでしょ? ここはいつもお祭り騒ぎよ。いろんな所から人が集まるのよ」
(´<_` )「ふむ…。急ぎの用でなかったらゆっくりと巡ってみたいものだな」
 
ブーン達は商店がならぶ大通りを進み、領主の屋敷に向かう。しかし大きな街だ。屋敷までかなりの距離がある上、客引きを避けながら歩くのはなかなかしんどい。
途中ブーンがはぐれそうになったり、弟者が客引きに連れて行かれたりと、屋敷に着く頃には日が傾き始めていた。

 
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:25:03.84 ID:5wxMOfu9O
「ジョルジュ様、是非会って話しがしたいと申している団体が来ておりますが…。如何なさいましょう?」
 
ジョルジュと呼ばれた男は机で書類に目を通している。召使は遠慮がちに伝える。
 
( ゚∀゚)「俺は忙しいんだ。今日も俺を通さず商売をしたヤツらがゴマンといやがる。ヤツらの処分だけで手一杯だ」
「では引き取らせましょう」
( ゚∀゚)「…待て。女はいるのか?」
「は?」
( ゚∀゚)「その中に女はいるのかと聞いているんだ」
「は、はい。門番の者によりますと、一名女性の方がいるようです。しかもかなりの美貌だとか」
 
召使の言葉を聞き、ジョルジュの顔色が変わった。
 
( ゚∀゚)「気が変わった。そいつらをここに通せ」
「かしこまりました」
「(またあの癖が出たか…)」

 
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:27:28.74 ID:5wxMOfu9O
──門の前
(#^ω^)「だから何度言ったらわかるんだお! 領主の命なんて狙ってないお!」
「ジョルジュ様はたくさんの人間から恨みを持たれていらっしゃる。少しでも危険のある者をジョルジュ様に近付ける事はできん」
 
例外はあるが普通、暗殺者ならコッソリと忍び込むはずだが、門番はブーン達を刺客だと勘違いしているのだろう。
堂々と門から訪ねる暗殺者の方が珍しいのだが。
ブーン達を断固として中に入れようとしないので、入れろ帰れの不毛な争いが続いていた。
ブーンの頭に強行突破という危険な考えが浮かんだ時、
召使が走ってきた。
 
「………」
「………」
 
門番と召使の二人は、小声で話しているので内容は聞き取れない。門番は少しづつ焦った表情になっていった。
そしてブーンの下へ駆け寄り、気合いの入った声で言う。
 
「失礼しましたっ! ジョルジュ様の客人であるとは知らず、ご無礼をお許し下さい! では、どうぞ中へお入り下さい」
 
門番が門を開く。


 
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:29:51.76 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「客人?」
(´<_` )「なんの事だか…」
ξ゚-゚)ξ「私も知らないわよ?」
 
混乱する三人を余所に、召使は三人を引き連れて大きな扉の前に来た。
そして扉を開ける。
 
「どうぞ」
 
通された部屋はとても広い。奥に座っている男がこの街の領主だ。
 
( ゚∀゚)「よく来てくれた。まずは掛けてくれ」
 
三人が椅子に腰掛けると、ジョルジュはパンパンと手を叩く。何かの合図なのか、それを聞くとメイドは部屋を出て行った。
そしてジョルジュはすぐに話を切り出した。
 
( ゚∀゚)「さて、俺に話しがあるんだってな? 商売の苦情か?」
 
話しながらもジョルジュの目はツンを上から下まで舐め回すように視線を這わせる。
その視線が気持ち悪いのか、ツンは僅かではあるが顔を歪ませた。
 
( ^ω^)「いや、商売の話じゃなくて力を貸して欲しいんだお」
( ゚∀゚)「力を貸す? 訳が分からねぇな、説明してもらおうか」
 
ブーンはこれから帝国と戦おうとしている事を話す。話の途中でジョルジュが口を挟んできた。


 
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:32:38.63 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「お前ら馬鹿か? 帝国とやり合うなんて自殺行為だぞ」
( ^ω^)「それは分かってるお。だから対等に戦う為に力を貸して欲しいんだお」
 
そして、今度はその為に連合軍を作ろうとしている事を話した。
ジョルジュはまさかここまで大きな事を伝えられるとは思ってもいなかったようで、最初は言葉に詰まっていたがブーンの話を聞く内に、目には理解の色が広がっていった。
 
( ゚∀゚)「……それなら確かに勝機はあるかもな。帝国の奴等には腹が立ってた所だ。
あいつら市場でも傍若無人だしな…。今日も死者が出たしよ。
協力してやってもいいが…」
 
そこで言葉を切り、ニヤリと笑みを浮かべて言った。
 
( ゚∀゚)「その代わりこちらにも条件がある。帝国の領土を手に入れたとなれば、かなりの利益が期待できる。
連合って事は他の街にも協力を頼むつもりだろ? 得た利益の取り分はどうなるんだ?」
( ^ω^)「それは…」
( ゚∀゚)「そうだな、4割…いや5割もらおうか」


 
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:36:35.56 ID:5wxMOfu9O
(´<_`;)「5割だと? 俺達の村は構わぬが、他の街が納得するかわからぬぞ」
ξ゚-゚)ξ(思った通りがめついわね…)
(;^ω^)「それは今は約束できないお。他の代表者と話し合ってもらいたいお…」
( ゚∀゚)「ふん…。まあそれはいいだろう。他にも条件がある。
あとこの辺りで帝国の息がかかってない大きな街と言えばオズンとリヴムントにだな。その二つの街が協力しない限り俺も協力しない。
勝てない戦いはやらない主義でな。それと…」
(;^ω^)「まだあるのかお…」
( ゚∀゚)o彡゚「おっぱい一年分だ」
 
(´<_`ξ゚听)^ω^)「はぁ?」
( ゚∀゚)「冗談だ。ただ、その、つまりだな…、その娘の乳を揉ませろ」
ξ////)ξ「!!! な…な…!」
 
ジョルジュの意外な申し出に、ツンは顔を真っ赤にしながら言葉に詰まる。
 
(#^ω^)「何言ってんだお! そんなのダメに決まってるお!」
(´<_`;)(とんだスケベ野郎だな…)

( ゚∀゚)「じゃあこの話はなしだ」
 
(;^ω^)「ちょwwwwwww」
 
どうやらこの男は儲けよりおっぱいの方が重要らしい。


 
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:39:39.67 ID:5wxMOfu9O
( ゚∀゚)「どうする?」
(;^ω^)「どうするっておま…」
(´<_`;)「………」
 
流石に言葉を失う二人。
だが…
 
ξ゚听)ξ「いいわ」
(;^ω^)「ツンまで何言って──」
( ゚∀゚)「おっと、彼女がいいと言ったんだ。部外者は口を挟まないでもらおうか」
(#^ω^)「………」
ξ////)ξ「しかたないわ。協力してもらう為ならそれくらい…」
(´<_` )「それくらいと言ってもだな…」
ξ゚听)ξ「うるさいわね。私がいいって言ってるんだからいいのっ!」
 
ここまで言い切られてしまったらブーンと弟者には何も言えない。その様子をジョルジュは薄ら笑いを浮かべながら見ていた。
 
( ゚∀゚)「安心しろ、ただ揉むだけだ。貞操まで奪ったりしない」
 
ニヤニヤしながら言う。
そこに、料理を持った数人の召使が入ってきた。ブーン達の前には豪華な料理が次々と並ぶ。
 
( ゚∀゚)「話し合いも終わった事だ、飯にしよう」
(´<_`ξ゚-゚)( ^ω^)「………」
 
この夜の食事は豪華ではあるがブーン達三人にはひどく味気ない物に感じられた…。


 
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:41:03.82 ID:5wxMOfu9O
──屋敷の一室

この部屋はジョルジュがブーン達の為に用意してくれた物だ。一流の宿でもここまで豪華な部屋はないだろう。
しかし三人は無言だった。
ドアがノックされた。
ツンがドアを開けると召使が立っている。
 
「ツン子様、ジョルジュ様がお呼びです」
 
( ^ω^)「………」
(´<_` )「………」

ξ´凵M)ξ「じゃあ…、行ってくるね…」
 
ツンは悲しそうな顔で、部屋を出て行った。


 
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:44:34.55 ID:5wxMOfu9O
──ジョルジュの部屋
( ゚∀゚)「待ってたぞ。どうした、暗い顔して」
 
ジョルジュはいけしゃあしゃあと抜かす。
 
ξ´-`)ξ「………」
 
ツンはやはり黙ったままだ。
 
( ゚∀゚)o彡゚「まあいい。騒がれるよりはマシだしな。早速、服を脱げ」
ξ//_//)ξ「………」
 
ツンは最初はためらったが、少しづつ服を脱ぐ。
徐々に外気に触れる肌。やがてツンの上半身は一糸纏わぬ姿となった。小振りではあるが形のよい乳房がジョルジュの前に晒された。
 
(;゚∀゚)「な─!」
ξ゚-゚)ξ「…?」
 
すぐにも飛び付いて来るかと思われたが、ジョルジュは目を見開いて固まってしまった。
 
ξ゚听)ξ「あの…」
(;゚∀゚)「もういい…行け」
ξ゚听)ξ「え?」
(;゚∀゚)「お前の乳は揉まないから行けって言ったんだ…」
 
ジョルジュはハァー…と、深いため息をついて再度ツンに部屋から出て行くように言った。


 
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:47:00.16 ID:5wxMOfu9O
──ブーン達の部屋
ξ゚ー゚)ξ「ただいま」
( ^ω^)「大丈夫だったかお!? 必要以上の事されなかったかお!?」
(´<_` )「しかしやけに早かったな…」
ξ゚ー゚)ξ「見られただけで何もされなかったわ」
 
ジョルジュの部屋での事を話す。
 
(´<_` )「どういう事だ?」
ξ゚-゚)ξ「私にも何がなんだか…」
( ^ω^)「でも何もなかったなら良かったお」
(´<_` )「うむ。だがこれで協力しないと言い出すのではなかろうな…?」
 
その時、ノックもなしにドアが開かれた。そこに立っているのはジョルジュ。


 
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:49:51.82 ID:5wxMOfu9O
(;^ω^)「な、なんだお? まさかあの話はなしって言うんじゃ…」
( ゚∀゚)「その事で心配してると思って来てやった。安心しろ、後の条件が揃えば協力してやる」
( ^ω^)「安心したお」
ξ;゚-゚)ξ「それより、何故なにもしなかったんですか…?」
 
ツンが恐る恐る聞く。
 
( ゚∀゚)「小さい…」
ξ゚听)ξ「え?」
 
ツンはまた聞き返す。
 
(#゚∀゚)「お前の乳は小さいんだよ! 今まで会ったお前のようなタイプの女はみんな着痩せしてたから勘違いしちまった…。
クソッ! 俺とした事が…」
 
それだけ言い残すとフラフラと部屋を出て行ってしまった。
 
ξ#゚-゚)ξ「………」
(;^ω^)「あの〜…」
ξ#゚听)ξ「うるさいっ! 寝なさい!」
 
どうやらかなりご立腹の御様子。手元にあった枕をブーンに投げ付けると、別室に入ってしまった。
 
(;^ω^)「なんで僕が…」
(´<_`;)「今回は許してやれ…」
 
この場合、ブーンに当たるのはお門違いではあるが、仕方なしに、釈然としないままブーンと弟者も眠りについたのだった…。


 
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:52:08.80 ID:5wxMOfu9O
──翌朝
ξ゚听)ξ「昨日はむしゃくしゃしてやったの。今は反省しているわ」
( ^ω^)「気にしてないお」 
ツンがブーンに謝罪の言葉を送っているとジョルジュが現れた。
 
( ゚∀゚)「よく眠れたか?」
ξ゚听)ξ「いいえ、腹が立って眠れませんでした」
 
刺のある声で言うが、ジョルジュは気にもしていない様子で、
 
( ゚∀゚)「そうか、それは残念だったな」
 
平然と答える。
 
ξ#゚-゚)ξ「……行くわよ」 
ブスッとした顔でブーン達を促す。ツンと弟者は街の外に向かって歩き出す。それにブーンも続こうとするが、
 
( ゚∀゚)「ああ待て待て、これを持って行くといい」
 
ジョルジュはブーンを呼び止め、二通の手紙を手渡された。
 
( ゚∀゚)「俺からの紹介状だ。それがあれば今回のように門で足止めされる事もなくなるだろ」
( ^ω^)「知り合いなのかお?」
( ゚∀゚)「まあ商売柄、な。それにリヴムントのヤツとは古い──いや、犬猿の仲だな…」


 
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 03:55:02.48 ID:5wxMOfu9O
ジョルジュはなんとも微妙な顔になり、最後には肩を竦めた。
 
( ^ω^)「助かるお。どうもありがとうだお」
 
礼を言って、二人を追いかける為に走り出した。
 
( ゚∀゚)「………」
( ゚∀゚)「あ! ……揉んで大きくするって手もあったな…」
 
やはり客引きなどに掴まりそうになりながら街の外に出たブーン達。馬車の預かり所から馬車を返してもらい、次の街を目指した。



 
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:05:00.16 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「次はオズンって場所かお?」
ξ゚-゚)ξ「そのつもりだったけど途中にサイスがあるわ。頭のいい人が集められたの街だから、協力してくれれば大きな力になると思うの」
(´<_` )「サイスか…。昔、兄者と馬で長距離レースをした時に通った事があるが、街の前にも門番がいたぞ。
休もうと思って入ろうとしたが門前払いされてしまった」
ξ゚-゚)ξ「どういう事かしら?」
( ^ω^)「行ってみれば分かるお」
 
馬車を一日走らせ、昼前には到着する事ができた。
街の入口は巨大な門があり、中の様子を窺い知る事もできない。早速入ろうとすると、やはり門番に止められてしまった。
 
「すまないが部外者は立ち入り禁止だ。博士の許可がない者を入れる訳にはいかないのだ」
 
人の出入りを管理している事から、博士とは領主にあたる人物なのだろうか。


 
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:07:55.01 ID:5wxMOfu9O
「お引き取り願おう……ん? その顔は…」
 
門番の一人がツンの顔を見るなり、懐から紙の束を取り出す。パラパラとめくり、何かを探しているようだ。
探している物が見つかったのか、紙とツンを交互に見やる。
 
「もしかして君はツン子という名前ではないかね? クアール出身の…」
ξ゚-゚)ξ「ええ、そうですが…」
「我々からの使者が来た事は?」
ξ゚-゚)ξ「昔に一度だけ…。その時はお祖父さんが追い払いましたけど…」
 
それを聞いた途端、門番の表情が明るくなった。
 
「やはりそうか! 君なら歓迎しよう」
ξ゚ー゚)ξ「本当ですか! ありがとうございます!」
 
喜ぶツンだったが、門番はブーン達には非情な言葉を投げ掛けた。
 
「でも後ろの二人はダメだ」
ξ゚听)ξ「何故です?」
「決まりなのだ。理解してほしい」
ξ゚-゚)ξ「そうですか…。ちょっと待って下さい」
 
ブーン達の下に戻り、今の事を伝える。
 
( ^ω^)「うーん、決まりなら仕方ないお」
(´<_` )「我々はここで待っていよう」


 
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:09:08.19 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「あ、これを持っていくといいお」
 
ブーンは通信機を手渡し、使い方を簡単に教える。
 
( ^ω^)「もし何かあったらモナーに連絡するといいお。監禁でもされたら大変だお」
 
危険はないと言っておきながら、とりあえず念を入れておく。そしてなるべく人前では使わないようにと忠告する。
 
門番に一人で入る事を伝えると、門番は何かを取り出して、それに話しかける。
すると門が開いた。人の力ではなく機械式のようだ。
ツンは門番に連れられて中に入って行った。
 
( ^ω^)(あれは無線…? それに門は人力じゃないお…。ここはいったい…)


 
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:11:44.72 ID:5wxMOfu9O
──科学の街:サイス
中に入ったツンはかなり戸惑った。建物は木製ではなく石のような物で作られ、馬がいないのに走る車、炎とは違う光を放つ柱が一面に広がる。 
門番は白い服を着た男にツンを任せ、門に戻って行った。
 
「驚きましたか? これがあの厳重な門の秘密です」
 
確かにこの街を公開してしまったら何かと面倒が多そうだ。混乱を防ぐ為にも、秘密にした方が良いだろう。
見た事もない物に見とれている内に、街の中心に立つ大きな建物に着いた。
 
「博士がお待ちです。こちらへどうぞ」
 
ドアが横に勝手にスライドする。しかしこれには驚きはしなかった。半ば夢を見ているような感覚だった。
 
( ◎W◎)「おお、待っていたよ。この街には驚いただろう?」
ξ;゚听)ξ「ええ。まるで魔法の国に来たみたいです」
( ◎W◎)「そうだろう。ここで勉強してみる気になったかね? 昔、君を迎えに行った時は君のお祖父さんに追い払われてしまったからね。しかしとうとう君を──」

ξ゚-゚)ξ「いえ、今回はその件で来たのではありません」
 
博士の言葉を遮った。



 
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:15:06.33 ID:5wxMOfu9O
( ◎W◎)「はて? では何の用でここに来たのかね?」
ξ゚听)ξ「単刀直入に言います。帝国と戦う為に力を貸して下さい」
 
ツンは、此所に来た目的を説明した。
 
( ◎W◎)「な、なんと! 帝国と戦う気なのかね!? それは無謀という物だよ」

ξ゚-゚)ξ「確かに私達だけでは無謀です。ですが──」
 
これまでの経緯を話す。だが彼はジョルジュとは違い、最後まで難しい表情を崩さなかった。
 
( ◎W◎)「君達は大きな勘違いをしているね。帝国の兵力は君達の想像以上だ。
連合軍を結成しても帝国には敵わないだろう…」
ξ゚听)ξ「しかし誰かがやらなければなりません。このままだとこの地域の街も帝国の支配下に置かれてしまいます。
帝国がこれ以上力をつける前に行動を起こさないと!」
 
ツンの声は次第に大きくなり、いつしかかなり興奮している事に気付いた。取り乱した事に顔を赤らめて、落ち着こうと深く息を吸った。
 
( ◎W◎)「それは我々も理解しているつもりだが…、何か策はあるのかね?」


 
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:17:23.41 ID:5wxMOfu9O
そこで言葉を切り、少し考えてから、言葉を紡ぐ。
 
( ◎W◎)「私の推測だと数日前に君の村、クアール上空に飛行する物体が観測されたが、それと何か関係があると睨んでいるのだが…」
 
この星の技術で遠くの物まで観測できるのも驚きだが、この男の鋭さもなかなかのものだ。
流石博士といった所か。

 
ξ;゚-゚)ξ(ブーンが乗っていた乗り物の事だわ…)

ξ;゚听)ξ「はい。詳しくは分かりませんが、おっしゃる通りです」
( ◎W◎)「やはりそうか…。いや、我々もあの物体が何なのか気になってね。近い内に使者を派遣しようと思っていた所だよ。
……もしよかったら我々に見せてはくれないかね?」
 
最後の言葉は、慎重に探るように尋ねる。
 
ξ゚-゚)ξ「と、言いますと…」
( ◎W◎)「ここにない物だ。我々が君達の村に行くので見せてほしいのだが…」
ξ゚听)ξ「そうすれば力を貸していただけると?」
( ◎W◎)「いや、それは約束できない。まずは見てからでないと…」
ξ;゚-゚)ξ(困ったわ…。私の独断では決められない……そうだわ!)


 
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