148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:19:53.72 ID:5wxMOfu9O
ξ゚-゚)ξ「あの、少し席を外してもよろしいですか?」
( ◎W◎)「構わないが…化粧室ならそこの職員に聞いておくれ」
「ご案内します」
 
ツンは職員に連れられて部屋を出る。
 
「こちらです」
ξ;゚听)ξ(なに…ここ?)
 
トイレに入ったツンは訳が分からないまま、とりあえず個室に入る。
そして通信機の電源を入れた。
 
ξ゚-゚)ξ「………」
『ハロハロ、こちらモナー、聞こえるかモナ?』
ξ;゚听)ξ「キャッ!」
『その声はツンちゃんかモナ? 元気だったモナ? どうしたんだモナ? ブーンに何かあったモナ?』
ξ;゚-゚)ξ「えっと…その、げ、元気よ」
 
一度にたくさんの質問をされて、困惑するツン。
 
『で、どうしたんだモナ?』
ξ゚听)ξ「ゆっくりしてられないから必要な事だけ言うわ。今サイスにいるんだけど、ここの博士がブーンの乗って来た乗り物を見たいって言ってるの」
 
聞き取る事ができる範囲の早口で説明する。


 
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:22:22.19 ID:5wxMOfu9O
『あれならもうバラバラに分解しちゃったモナ』
ξ;゚听)ξ「えぇ…どうしよう…」
『これから作る予定の物は設計図に起こしてあるから、それを見せればいいんじゃないかモナ? 見せても問題ないモナ。たぶん』
ξ゚-゚)ξ「たぶんが気になるけど見せてもいいのね? ありがとう、もう十分だわ。そう伝えるから、サイスの人がクアールに行くわよ」
『分かったモナ。あ、ブーン達によろし』
 
話の途中で通信を切り、博士のいる部屋に戻る。
 
( ◎W◎)「で、どうだね? 見せてくれるのかね?」
ξ゚-゚)ξ「はい、問題ありません」
( ◎W◎)「そうか! では早速私は出発の準備をするよ」
ξ゚-゚)ξ「博士が行くのですか?」
( ◎W◎)「もちろんだ。私にしか分からない事かもしれん。あと助手を連れていくよ、構わないね?」
ξ゚-゚)ξ「はい、大丈夫です。もし宿泊するのでしたら私の家を使って下さい。今は誰もいませんので」
( ◎W◎)「お祖父さんはどうしたんだね?」
ξ´-`)ξ「祖父は…死にました…」
( ◎W◎)「なんと。…辛い事を思い出させてしまった、すまない」
ξ´-`)ξ「いえ…」


 
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:23:44.57 ID:5wxMOfu9O
( ◎W◎)「よし、そうとなれば話は早い。次はオズンに行くつもりだろう?」
ξ゚-゚)ξ「はい」
( ◎W◎)「我々の車を貸してやりたい所だが、すまないがこの街の秘密が漏れるといけないから貸す事はできない。
しかし馬車でも今日の夜には着けるだろう。早速出発したまえ」
ξ゚听)ξ「はい、では失礼します」
 
ツンと博士は一緒に部屋を出る。そして博士は助手を連れて別の部屋に入っていった。
ツンはそのまま外に向かう。

 
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:26:24.88 ID:5wxMOfu9O
──街の外
( ーωー)「…zzZ」
(´<_` )「おいブーン、起きろ。ツン子殿が戻って来たぞ」
 
弟者がブーンを揺するが全く起きる気配はない。そうしとる内にツンが馬車に到着した。
 
(´<_` )「お帰り。どうだったのだ?」
ξ゚ー゚)ξ「ええ、悪い方向ではないと思うわ。あら?
ブーン寝てるの?」
(´<_` )「こやつ、いくら揺すっても起きないのだ」
ξ゚ー゚)ξ「まあいいじゃない。寝かせてあげましょ」
(´<_` )「む? やけに優しいではないか」
ξ////)ξ「べ、別にいいでしょう? 深い意味はないわ」
(´<_` )「ほう…?」
 
横目でツンを見る。それが気に入らないのか、すかさず問い掛けた。
 
ξ゚-゚)ξ「何よ?」
(´<_` )「いや…ツン子殿、お主変わったな」

ξ゚听)ξ「そうかしら…? そ、それより急げば今日中にオズンに着けるわ。馬車を出して」
(´<_` )「把握した」
(´<_` )(しかし昔と随分変わったな。
彼女を変えたのはブーンか…。不思議な男だな…)
 
ブーンの顔をチラリと見、馬車を発車させた。


 
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:28:53.24 ID:5wxMOfu9O
すっかり日は落ち、三つの月が水面で揺れる。ここは大きな湖の中にある街だ。
 
──水の都:オズン
( ^ω^)「きれいな街だお〜」
 
街に入ってからブーンはずっと水路や噴水など、水が作りだす芸術に見とれていた。酒場などからは明かりが漏れ、その光を水が反射するのも美しさに一役買っていた。
 
(´<_` )「さて、着いた訳だがどうする? けっこう遅い時間だぞ」
 
夜ではあるが街には人の影があり、商店などもポツリポツリとある。賑やかとまではいかないが静まり返っている訳でもない。
 
ξ゚ー゚)ξ「そうね…でもここの領主は穏やかな人だって聞いた事があるわ。ダメ元で訪ねてみましょう」
(´<_` )「うむ、そうだな。ブーン、行くぞ」
 
ここの領主の屋敷はセンスは良いが屋敷というには、いささか小さかった。
やはり門番はいたが、ジョルジュからの紹介状のおかげですんなりと中に入る事ができた。
屋敷の中はガラス細工の装飾品を中心に彩られていた。下品な感じではなく、やはりセンスが良い。


 
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:30:42.36 ID:5wxMOfu9O
「失礼します。客人をお連れしました」
(*`ω` *)「ようこそいらっしゃいましたっぽ。どうぞ掛けて下さいぽっぽ」
 
領主は女性であった。
勧められ椅子に腰掛ける。この領主は穏やかな上、ずいぶんと腰が低いようだ。
召使はここの領主をちんぽっぽ様と呼んでいた。

 
ξ゚-゚)ξ「遅くにすいません。ですが事態は一刻を争うのです」
(*`ω` *)「私は構わないぽっぽ。どうせ暇だったっぽ」(><)「今お茶を淹れますね」
 
お茶を淹れているのはどうやら彼女の側近らしい。ビロード、と名乗っていた。
お茶が並べられた後、ちんぽっぽから話を切り出した。
 
(*`ω` *)「紹介状は読んだっぽ。出来る限り協力するぽっぽ」
( ^ω^)「話が早いお」
(*`ω` *)「でも兵は出せないぽっぽ」
ξ゚听)ξ「それは何故ですか?」
(*`ω` *)「兵隊とはいえ、市民に変わりはないっぽ。市民を危険な目に合わせたくないぽっぽ」
 
ちんぽっぽは平和主義者らしい。温厚で腰が低く市民の事を第一に考える平和主義者…。
この様子ではかなり慕われている事だろう。


 
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:32:51.35 ID:5wxMOfu9O
( ^ω^)「でも帝国のヤツらをほっといたらいずれここにもやってくるお!」
(´<_` )「その通りですぞ。…しかし男尊女卑の塊のような皇帝がよくこの街を放っておいたな…」
 
当然の疑問だった。ティーグルでは帝国側も商業を営んでいるだろうから手は出さないとして、ここオズンはいつ攻められてもおかしくない。
 
(*`ω` *)「それは心配ないぽっぽ」
(><)「ちんぽっぽさんに代わって僕が説明します!」
 
ビロードが割って入ってきた。
 
(><)「皆さんこの街に入る時に大きな橋を渡りましたよね? 実はあの橋は収納が可能なんです! もし攻められたら橋を終っちゃえばいいんです!」
 
一息で話し終えた。よく息が続くものだと関心しながらブーンは尋ねる。
 
( ^ω^)「でも泳いだり船で攻めてくるんじゃないのかお?」
(><)「その時こそ、兵隊さん達の出番です! 渡ってくる敵には投石などをすればいいのです! 喩え上陸できたとしてもかなりの数を減らす事が出来るので、後は袋叩きです!」
 
また一息で説明する。


 
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:34:40.46 ID:5wxMOfu9O
(´<_` )「なるほど…。うかつには手を出せないという事か…。
しかしちんぽっぽ殿、奴等がその気になれば
ここの兵力だけでは守り切れない数の兵を送って来るかもしれませぬぞ」
(*`ω` *)「お、脅かさないでほしいぽっぽ」
( ^ω^)「脅しじゃないお。守ってばかりじゃダメだお。それに攻める事が守る事になる場合もあるんだお」

ξ゚-゚)ξ「なんとか兵を出してもらえないでしょうか…」
(*`ω` *)「……どうするぽっぽ?」
(><)「……少し、考える時間が必要です」
(*`ω` *)「そうぽっぽ。明日の朝、伝えるっぽ」
 
ブーン達は寝室に案内され、部屋から出て行った。


 
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:35:31.16 ID:5wxMOfu9O
(><)「………」
(><)「僕は……」
(*`ω` *)「なんだぽっぽ?」
(><)「僕は、ブーンさん達の意見に賛成です!」
(*`ω` *)「!? 突然なにを言うぽっぽ!」
(><)「ちんぽっぽさん…あの日を覚えていますか? 僕を拾ってくれた日を…」
(*`ω` *)「…よく覚えてるぽっぽ…」


 
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:36:42.87 ID:5wxMOfu9O
──三年前
僕はいろんな街や村を周るのが大好きな旅人でした。
もちろん帝国の領土の街にも行ったりしました。だから帝国のやり方もよく分かっていました。分かっていたつもりでした…。
 
僕はいつものように街で補給をし、次の新天地に向かう為の準備をしていました。
 
(><)「あとこれと…これ下さい」
「はいよ、これで最後だ。運が良かったな兄ちゃん」
(><)「ありがとうございます」
 
僕は最後の干し肉を買い、気分よく店を出ました。あの店の干し肉は美味しいと有名でしたからね。
しかし…
 
『おいコラァ! 品切れですだぁ?』
 
突然の怒号に立ち止まってしまいました。
 
『ひぃ、あ、あの客が最後のを買ったんだよ…』
 
店から出て来たのは鎧を着た二人の人達…指にはあの指輪がはめられていました。
帝国兵です。


 
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:38:06.48 ID:5wxMOfu9O
(><)(なんで帝国兵がこんな所にいるんですか? ツイてないなぁ…)
「おい、お前のせいで俺が肉を食えないじゃないか、どうしてくれるんだ?」
「責任取ってもらおうか」
 
食べ物の事でこんなに怒る彼らも彼等ですが、こんな時の対処方は彼らの欲しがる物を差し出す事です。それでもダメならお金を渡せばいいのです。
 
(><)「あ、この肉どうぞ。僕食べませんから」
「あ? そうか。それなら俺が食ってやってもいいぞ」
(><)(あ〜あ、残念だなぁ。まぁまた来た時に買えばいいか)
(><)「ではこれで…」
「ちょっと待てよ、俺には何もないのか?」
(;><)「え? 買った物は隣りの方に…」
「そんな事は聞いてねぇ。俺には何の詫びもないのか?」 
あの時、素直にお金を渡しておけば痛い目にあわずに済んだかもしれません。
 
(><)(けっこうギリギリだしなぁ…どうしよう…)
「おい、聞いてんのか?」
 
彼は僕の胸の辺りを見ました。
 
「しかたねぇ、これで勘弁してやるよ」
 
彼は僕の胸からペンダントをむしり取ります。これは、旅に出るときに母がくれたお守りでした。
中心に宝石が入っているのでそこに魅かれたのでしょう。

 
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:39:30.90 ID:5wxMOfu9O
(;><)「あ…! それはダメです! お金なら差し上げますからどうか…」
「ああ? 俺はこれが気に入ったんだよ、なんか文句あるのか?」
(;><)「お願いします! どうかそれだけは…」
「…うるせぇヤツだな!」
 
彼は僕を殴りました。横で見ていた人も、一緒になって殴ります。そして人気のない所に連れていかれました。
そこでまた殴る蹴るの猛襲です。
なんという理不尽な暴力! 僕は耐えるしかありませんでした。
 
(;><)「ああぅ……うぅ………」
「どうするコイツ?」
「殺した所でお咎めはなしだ。殺っちまおう」
 
この時僕には抵抗する力も勇気もなく、ただ死を待つのみでした。あと少しで殺される───
その時でしたよね? ちんぽっぽさん、貴女が現れたのは。
 
(;><)「誰…か、助………」
 
彼はスラリと剣を抜きます。
 
「苦しませるのもいいが、一発で殺してやろう。俺様は優しいからな」
 
そして僕に剣を突き刺そうとした時です。
 
(*`ω` *)「何やってるぽっぽ!」
「なんだ貴様はぁ?」
「邪魔するとお前も殺すぞ?」
(;><)「……?」


 
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:41:09.18 ID:5wxMOfu9O
(*`ω` *)「その人はもう動けないまでに弱り切ってるっぽ。もう許してあげるぽっぽ」
「おい、いい加減にしろよ? 俺達が誰か分かってるのか?」
(*`ω` *)「君達が誰でも関係ないっぽ。動けない人を痛め付けるなんて、最低の弱虫のやる事だっぽ!」
「なんだとこのクソ女ぁ! …いいだろう、貴様は今から魔女だ。これで殺す理由ができた訳だ」
「へへへ、余計な事に首を突っ込むからだぜ。死んで後悔しな」
 
僕はかすれる目で見ました。剣をかわされ、そのまま腕を捻り上げられ、地面に叩き付けられる帝国兵を。
 
「げぇっ! ゲホッゲホッ…」
「な、な…」
(*`ω` *)「まだやるかっぽ?」
「う…」
(*`ω` *)「やらないならこの人から取った物を返してとっとと去れっぽ!!!」
「ク、クソ! 覚えてろ!」
「ゲホッ…今に見てろよ…っ」


 
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:42:35.15 ID:5wxMOfu9O
(*`ω` *)「さあ、悪者は去ったっぽ。大丈夫ぽっぽ?」
(;。><)「う…ありがとう、ございます…ありがと、うございます…」
 
僕は泣きながらお礼を言いましたよね。
それを見て貴女が言った言葉は
 
(*`ω` *)「男の子はこれくらいで泣いたらダメぽっぽ。でも嬉しい時は泣いてもいいぽっぽ」

(;。><)「う…う…うわぁぁぁぁ…」
(*`ω` *)「う、嬉しいのかっぽ???」
 
貴女は僕が泣いている理由が分からなかったようですが、あの時の涙は自分の弱さと悔しさからでした。もちろん嬉しさもありましたけどね。
ちんぽっぽさんは戦って僕を守ってくれました。
この人は強いなぁ、こんな人になりたいなぁ、僕はあの時心からそう思ったんです。


 
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:43:33.82 ID:5wxMOfu9O
(><)「ですから! 今日ブーンさん達の話を聞いてあの時の事を鮮明に思い出しました! 戦う事が守る事に繋る…これは間違っていないはずです!」
(*`ω` *)「……でもたくさんの人が死ぬぽっぽ」
(><)「今行動を起こさないともっとたくさんの人が死ぬかもしれないんです! もしかしたらこの街がなくなるかもしれないんですよ!」
(*`ω` *)「………」
(*`ω` *)「分かったっぽ。兵を出す事にするっぽ!」
(><)「あ、ありがとうございます! 嬉しいです!」
(*`ω` *)「泣いてもいいぽっぽ」
(><)「この涙は戦いが終わった時まで残しておきますよ!」


 
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:45:21.10 ID:5wxMOfu9O
──翌朝
(*`ω` *)「兵を出す事に決めたっぽ」
( ^ω^)「本当かお!? 助かったお!」
(*`ω` *)「でも数はあまり期待しないでほしいっぽ。4000〜5000人が限界だぽっぽ」
( ^ω^)「それでもいるのといないのじゃ全然違うお。本当にありがとうだお」
(´<_` )「しかし何故協力する気になったのだ?」

ξ゚ー゚)ξ「協力してくれるんだしいいじゃないそんな事」
(´<_` )「そうだな。
準備ができたぞ、二人共乗るんだ」
 
三人は馬車に乗り込む。
 
(*`ω` *)「リヴムントに行くなら気をつけるっぽ。あの街は治安が悪いぽっぽ」
(><)「あそこは怖い人がたくさんいます! 気をつけて下さい!」
(´<_` )「御忠告、感謝する。では行くぞ!」
 
弟者が手綱を振るうと馬車は勢い良く走り出す。速度はどんどん加速してすぐに見えなくなってしまった。
 
(*`ω` *)「これからが大変だぽっぽ」
(><)「全力でサポートします! こうしてはいられません! 集会の準備です!」


 
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:47:35.21 ID:5wxMOfu9O
──クアール
( ´∀`)「ようこそいらっしゃいましたモナ」
( ◎W◎)「我々が来る事を知っていたのかね?」
 
眼鏡の奥の目が鋭く光った。 
(;´∀`)(しまったモナ…)
(;´∀`)「え〜と、勘だモナ。僕の勘はよくあたるんだモナ」
 
言い訳にしてはかなり苦しいものだったが博士はそれ以上追及はしなかった。余程戦闘機の事が気になっているのだろう。
 
( ◎W◎)「こちらは私の助手を勤める者だ」
( 〇w〇)「よろしくお願いします」
( ´∀`)「よろしくモナ」
( ◎W◎)「では早速飛行していた物体を拝見したいのだが…」
( ´∀`)「あれ? ツンちゃんから聞いてないモナ?」
( ◎W◎)「何をだね?」
(;´∀`)(そういう事は伝えてほしいモナ…)
( ´∀`)「あれは分解してバラバラの状態だモナ」
( ◎W◎)「なんと! 貴重な研究資料を分解してしまったのか!」
 
博士の表情は先程とは打って変わって一気に落胆した物になった。
 
( 〇w〇)「博士…どうしましょう?」
( ◎W◎)「ううむ…調べるとなると分解するのは当然だが見ておきたかった…」
( ´∀`)「とりあえず部品を見るモナ? これから作る物の設計図もあるモナ」
( ◎W◎)「…そうだな。見せて頂こう」


 
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:48:55.68 ID:5wxMOfu9O
モナーは二人を地下に案内する。二人は、そこらに転がる機械の山に目を奪われていたがすぐに当初の目的を思い出し、モナーを追う。
 
( ´∀`)「これらが部品だモナ」
( ◎W◎)「ふむ…一部構造の分からない物もあるが、どれも我々が扱った事のある物ばかりだ。…本当にこれらから飛行機械を作る事などできるのだろうか…?」
( 〇w〇)「疑わしいですね…」
 
二人の会話を余所に、モナーは分厚い紙の束を取り出す。そして博士に手渡した。
 
( ´∀`)「これが設計図モナ」
( ◎W◎)「ほう」
 
博士は設計図を熟読する。その横から助手が覗き込む形だ。
 
(;◎W◎)(こ、これは…!)
 
半分ほど読み終えた頃にモナーが尋ねる。
 
( ´∀`)「いかがモナ?」
(;◎W◎)「す、すまないがこの設計図と、あの部品を調べさせてもらえないか?」
 
博士は構造がわからないと言っていた部品を指さす。
 
( ´∀`)「…? 別にいいモナ」
 
三人で部品を運び出し、ツンの家に運ぶ。そして博士と助手はすぐに家に籠ってしまっう。
家の明かりは朝まで消える事はなかった。

 
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:50:24.76 ID:5wxMOfu9O
──リヴムント領:荒野
ブーン達はリヴムントの近くまで来た所で日が暮れたので野宿をした。丁度良い洞穴がある岩山があったので、そこを寝床にした。
明け方、馬の悲鳴で目を覚ます。
 
(´<_`;)「なんだ!? 起きろブーン!」
( ーωー)「なんだお…?」
(´<_` )「いいから来るんだ!」
 
馬は岩山の陰の近の木に繋いであった。他にも野宿する場所はあったが、弟者がこの場所にすると言ったので、敢えて馬の姿が確認できないこの場所を寝床にしたのだ。
二人が馬の下に駆け寄ると馬の一頭は血の海に沈んでおり、頭部は半ばまで千切れていた。そしてその死肉を喰らう生物。
内臓を貪り血を啜る音が静かに響く。
 
(´<_`;)「コイツは…」
 
二人が目にした物、それはブーンが最初にこの星で襲われた獣に酷似していた。しかし体毛は短く、逞しい肉体が見え隠れする。二人の姿を発見すると唸り声を上げて突進してきた。


 
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:51:09.82 ID:5wxMOfu9O
(´<_`;)「チッ! ワイルドデビルか!! 来るぞッ!」 
弟者は剣を抜き、迎撃体勢をとる。突進して来たワイルドデビルを横に避け、胴体を一文字に斬り付ける。
ワイルドデビルは咆哮して涎を撒き散らすと、すぐに弟者に向き直った。血は滲んでいるが平気な様子だ。
 
(´<_`;)「たしかコイツは──」


 
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:53:36.64 ID:5wxMOfu9O
( ´_ゝ`)「弟者よ、また俺の勝ちだな」
(´<_` )「馬のせいだ。今度は馬を交換して勝負だ」
( ´_ゝ`)「いいだろう。久しぶりに森から出てみるか」
 
二人は馬を走らせ森を出た。
 
( ´_ゝ`)「ゴールはティーグル方面にある大きな岩山でどうだ?」
(´<_` )「よし」
 
二頭の馬は同時に走り出す。先頭を行くのは弟者だ。
 
(´<_` )「毎回負けてたのはやはり馬の差だな。兄者は汚い男だ」
 
中盤に差し掛かり、後ろを見ると兄者は脇に逸れ、20馬身ほど離れた場所を走っていた。
 
(´<_` )「何故あんな場所を走っているのだ? まあいい、このまま勝たせてもらう!」
 
弟者は鞭を叩き、加速させる。
走っていると、ゴールの岩山が見えてきた。もう勝負は勝ったも同然だ、そう思って後ろを見た。


 
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:54:33.97 ID:5wxMOfu9O
(´<_`;)「な…!」
 
兄者はすぐ後ろ、4〜5馬身の所にいた。しかも距離はどんどん縮まっている。
 
(´<_`;)「クソッ!」
 
鞭を打ち、引き離そうとするが速度は上がらない。そして遂には並ばれてしまった。
 
( ´_ゝ`)「弟者よ…もっと馬の事を考えるんだな」
 
兄者は鞭を打つ。兄者の馬は加速し、弟者を追い抜かした。

 
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:56:03.93 ID:5wxMOfu9O
──岩山
(´<_` )「兄者よ…完全に俺の負けだ…」
( ´_ゝ`)「そう落ち込むな。お前には才能がある、もっと自信を持つんだ」
(´<_` )「しかし兄者。何故中盤で脇を走っていたんだ?」
( ´_ゝ`)「あそこは馬が走りにくい悪路だったからな。走りやすい道を選んでやるのも乗り手の義務だ。
他にもお前は中盤で鞭をたくさん入れただろう。あれではすぐに馬がバテてしまうぞ」」
(´<_` )「そうだったのか…」
( ´_ゝ`)「さて、日が暮れない内に帰るぞ。遅くなったら母者に殺される」

(´<_`;)「そうだな…」


 
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:56:37.15 ID:5wxMOfu9O
二人は帰路につく。馬を走らせながら、ある物が目に入った。
 
(´<_` )「おお兄者、あんな所にワイルドデビルがいるぞ。珍しいな」
( ´_ゝ`)「馬に乗ってれば襲われる事はない。
ときに弟者よ、馬乗りが荒野で馬を休める時、何故岩の近くで休むか分かるか?」
(´<_` )「いや…」
( ´_ゝ`)「ワイルドデビルに襲われた時の為だ。ヤツらは馬鹿だからな、必ず全力で突進してくる。
そのくせ急には止まれないし方向転換も出来ない」
(´<_` )「それが岩と関係あるのか?」
( ´_ゝ`)「岩を背にして戦うのだ。突っ込んで来たら避ければいいだけだ。弟者も覚えておくといい」
(´<_` )「倒し方まで知っているとは、流石だな兄者」
( ´_ゝ`)「まあ俺ならかわせずに激突されるだろうがな…」
(´<_` )「そうか…」
( ´_ゝ`)「ああ…」
(´<_` )「………」
 
 
 
(´<_` )「よし!」
 
弟者は岩山を見る。


 
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 07:58:24.74 ID:5wxMOfu9O
(´<_` )「ブーン! 少しの間コイツを引きつけてくれ!倒す方法がある!」
( ^ω^)「そんな事しなくてもこれで終わりだお」
 
ブーンは銃を抜き、ワイルドデビルに向けて発砲した。弟者は銃声に驚きはしたが、その隙に岩山へ走る。
 
ξ;゚听)ξ「何事!?」
 
ツンが銃声で目を覚ましたようだ。緊迫した顔で出て来る。
ワイルドデビルは痛みに咆哮し、ブーンの方を向いた。
 
( ^ω^)「ツンは隠れてるお!」
 
立て続けに発砲する。
弾丸は獣に突き刺さるが、皮膚が分厚いせいか大したダメージにならないようだ。
弾を食らいながら突進して来た。
ブーンはワイルドデビルの突進を横に避ける。避けた後にすぐさま発砲するが───
 
(;^ω^)「ちょwwwwジャムったお!」
 
ワイルドデビルは既に方向転換して向かって来ている。ブーンが薬莢を取り除き終えた時にはもう目の前だ。
横に跳んで転げ回る。
起き上がると同時に石がワイルドデビルに命中する。
 
(´<_` )「ブーン! もういいぞ! 今度は俺の方に意識が向くように何もするな!」

 
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/12(金) 08:00:12.40 ID:5wxMOfu9O
弟者は投石を続ける。
ワイルドデビルは相変わらずブーンを狙っていたが、何度も石を当てられ頭にきたようだ。
再び弟者に狙いを定め突進した。
 
(´<_` )(よし…いいぞ…)
 
ワイルドデビルの速度はまもなく最高速度に達する。
 
(´<_`;)(まだだ…あと少し…)
 
最高速度に達した巨躯は空気を押し退け速度を緩めない。止まる様子は皆無。
 
(´<_`;)(…………今だ!)
 
弟者は足に全ての力を込めて跳ぶ。だが片足が僅かに掠った。その衝撃で弟者はバランスを崩して派手に転げ回った。
肉と岩のぶつかる派手な音に弟者は目をやると、ワイルドデビルは岩山に頭から激突して動かなくなっていた。
 
(;^ω^)「大丈夫かお!?」
(´<_`;)「ああ。だが掠っただけであの衝撃とは…。まともに激突されたら間違いなく死ぬな…」
( ^ω^)「コワスwwwwwww」
(´<_` )「ツン子殿、もう出て来ていいぞ」
 
弟者の呼び掛けに、ツンが顔を出した。


 
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