745以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:02:51.11 ID:j0xcX/jkO
('A`)「あと三時間ってとこか…」
 
既に整備は完璧なので、特にする事もない。
 
从*-O-)从「ふぁ〜…私はちょっと仮眠とりますよ」
(´・ω・`)「よし、僕が添い寝してあげよう」
从*'-')从「お断りします」
(´・ω・`)「つれないねぇ」
 
そう言うとショボンはドクオの傍らを通り、何かを耳打ちしてどこかに行ってしまった。
 
(;'A`)「………」
( ^ω^)「どうしたんだお? 顔色が悪いお」
(;'A`)「な、何でもねーよ…」
 
彼らは一旦解散する。
 
『アッー!』
 
しばらくして、誰かの悲鳴がサイスに響き渡った。

 
746以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:04:00.38 ID:j0xcX/jkO
日が沈み、暗闇が世界を支配する。ここでは明るい内には姿を見せないどう猛な獣が牙を研いで獲物に目を光らせている事だろう。
その暗黒の世界で、人工の光が控目に息づいていた。
 
( ^ω^)「じゃあ、基地の方は頼んだお」
( ´∀`)「任せろモナ」
 
モナーは胸を張って言う。
輸送機の操縦はモナーがする事になっている。ブランクがあるものの、他の者が操縦するよりはマシだろう。
約500人を収容出来る船はかなりの大きさである。これを操るには熟練した者でないと大きな事故を起こす可能性があった。
モナーと言えども完璧に乗りこなせるかは不安が残ったがこの際仕方がない。
 
( ´∀`)「まあ、大丈夫だと思うモナ。たぶん」
(;^ω^)「だからたぶんはやめろと何度言ったら…」
 
一抹の不安を抱えながら周りを見渡す。連合軍の兵はほぼ収容が完了していた。
残るは各領主だけだ。

 
747以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:05:41.24 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「じゃあ僕達は先に出撃するお。基地の方は頼んだお」
(´<_` )「うむ。必ずや奴等を追い払おう」
ξ゚ー゚)ξ「城は必ず私達が落としてみせるわ」
(*゚ー゚)「アナタ達も気をつけてね」
( ゚∀゚)「腕が鳴るぜ…」
(*`ω` *)「無理は禁物だぽっぽ」
(><)「僕達で平和を取り戻しますよ!」
 
ブーンは力強く頷き、戦闘機に乗り込む。モナーはそれを見届けると自分も輸送機の方へと歩き出した。
 
『夜っつっても肉眼で見え難いだけや。ステルス全開で行くで』
『了解』
『了解した。お前達も準備はいいか?』
( ^ω^)「おk」
『いつでも行けるよ』
『問題ありませ〜ん』
『ほんじゃ出撃するで』


 
748以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:06:52.95 ID:j0xcX/jkO
戦闘機が飛び立ち、しばらくしてから輸送機も発進する。馬を使っても一週間かかる距離も、戦闘機なら数時間だ。
間もなく目的地点に到着しようとした時、通信が入った。
 
『なあ…このレーダーってヤツに我々以外の点がいくつもあるんだが…』
(;^ω^)「ちょwwwwwwwww」
 
嫌な予感がした。
 
『おいブーン、なんだって?』
(;^ω^)「なんかレーダーに僕達以外にたくさん反応があるって…ステルス機能を使ってる時は広範囲は調べられないはずだお?」
『おい…まさか…』
 
ブーン以外にも不穏な気配を感じているようだ。
 
( ^ω^)「まさかとは思うけど、ステルス機能使ってるかお?」
『え? ステル…?』
 
不安が現実となった瞬間だった。
やはり数日の訓練では全ての機能を把握する事は出来なかったらしい。
ブーンは叫ぶ。
 
(;^ω^)「こっちの行動は筒抜けだお! 大量の敵機が向かってるお!」

 
749以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:07:52.70 ID:j0xcX/jkO
『なんやて!? チッ! 総員ステルス解除、迎撃に備えろ!』
 
ブーンはレーダーが目をやると、そこには100程の敵機が映る。
対するこちらは20機。その上ほとんど訓練を積んでいない者が6名…。
 
『やるしかねぇな…!』
 
射程に入った。
ドクオとショボンが飛び出す。
それに続いてブーンとスズ
も出力を最大にした。
そしてニューソク人パイロットは輸送機を護衛する為に引き返した。
第一部隊は進路を変えて別方向から攻撃するようだった。
敵機からレーザーが発射され、ブーン達もそれに応戦する。
ドクオが先陣を切って特効し、まずは3機を墜とす。そして編隊に突っ込んだかと思いきや、旋回して数機の後ろを取る。相手からしてみれば悪夢のような攻撃に、一機、また一機と撃墜していく。

そしてショボンの攻撃もまた悪夢であった。
ショボンはドクオを狙う敵機を無駄のない動きと精確過ぎる射撃で次々と墜としていた。
ブーンとスズも順調に敵機を撃破している。
敵もレーザーを発射しているが、それは精確ではなかった。中には見当違いの方向にレーザーを発射する機体もある。

 
750以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:09:35.79 ID:j0xcX/jkO
『おい、こいつら弱いぜ? 俺らが普段戦闘してる奴等と同じじゃねーか。敵は別格ばかりかと思ってたんだが…。
本当に第一はこんなやつらに壊滅させられたのか?』
『それは嘘やない。
空中戦やったら圧倒してたんや。でも直接乗り込まれてしもてな、あの様や』

( ^ω^)「圧倒してたのに、乗り込まれるってのも変な話だお」
『問題は数や。見てみ』
 
レーダーを見ると、ブーンだけで10機以上は撃墜したにも関わらず、敵機は最初より増えている。
 
『おい! すげぇ数じゃねぇか! まだ増えてるぞ! 騙したのか!?』
『これでもかなりの数は減らしたんや。2000くらいは墜としたはずやで』

『2000機ですか!? すごいですねぇ!』
 
驚嘆したスズが惜しみない賛辞を贈る。ニューソクに来た第一部隊の戦闘機の数は300機程だった。さすが、精鋭の集まりだけある。

 
751以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:11:43.99 ID:j0xcX/jkO
『そういや聞いてなかったけど、第一の陸上部隊も一緒にやられたのかい? 半分って言えばかなりの兵力だよ』
『奴等はパイロットとしての腕は三流やけど、まあ例外はいるけどな。お前らの言う別格ってやつや。
それ以外やったら俺達を上回っているのも知ってるやろ? おかげで全滅や。自分らより強い敵に一度に攻められたんや、そりゃ堪らんで。
てか戦闘中にんな事聞くんやない』
 
ローレンは怒ったように言う。彼も仲間がやられた事は辛いのだろう。掘り返されていい気分になるはずもない。
ブーンは、そんな事より輸送機が気になっていた。引き返して様子を見に行こうかと思案していると、今度はローレンから通信が入った。
 
『さっき言った「別格」が出よったで。気ぃつけや!』
 
その声は焦燥に駆られている。彼がここまで焦るという事は余程の相手なのだろう。
 
『クカカカッ! 愚か者共よ…闇に葬ってくれよう』
 
聞いた事のあるような声が聞こえた。

 
752以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:14:01.62 ID:j0xcX/jkO
『ケッ! 余裕のつもりか──』
『ふ、振り切れない…! 援護を──』
『バークがやられた! 今度はこっちに──!』
 
ドクオが煽り返そうとした時、味方の反応が二つ消滅した。ローレンの部下だった。
 
『うわっ!! なんだ!?』
『どうしたんや!?』
『侵入さrぐぎぇ…………
カカカッ! お前達にはこのような真似は出来まい…』
 
信じがたい事だが、高速で飛行する戦闘機から飛び移ってパイロットを殺害したらしい。
 
『今のはちょっとしたお遊びだ。自分の機に戻るとしようか…』

 
753以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:15:10.71 ID:j0xcX/jkO
数秒後、パイロットを失った戦闘機が墜落していくのをドクオ達は目にする。
機体は地表に激突して爆発した。
 
『次はお前だ…』
 
敵機の形状は同じだが、どの機体が「別格」かは一目瞭然だった。恐ろしく速く、精確な攻撃をしてくる機体…。
それはブーンを狙って向かって来た。
 
『ブーン! 気をつけろッ! そいつはやべぇ!』
『援護に行きたいけど…敵が多過ぎる…!』
 
ドクオとショボンは次から次へと湧いてくる敵を相手にするだけで精一杯だった。
 
(;^ω^)「大丈夫だお…スズ!」
『ハイ!』
( ^ω^)「援護、頼むお」
『任せて下さい!』
 
スズの返答を聞く前にブーンは出力を最大にして「別格」に接近する。
射程に入り、ブーンはレーザーを発射するが「別格」はそれをかわすだけで攻撃して来ない。あと数秒で交差するという距離で「別格」の機体から何かが発射された。
ミサイルだ。
しかし通常のミサイル程度ならバリアで無効化される。

 
754以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:16:40.50 ID:j0xcX/jkO
何故ここでミサイルを──?
 
そう思った時、「別格」の機体からレーザーが発射され、ミサイルを撃ち抜いた。
爆発し、爆炎が煙幕となって視界を塞ぐ。妨害電波が発生するのか、レーダーが狂っている。
その電波は強力な物で、激しい通信障害を引き起こしていた。
 
(;^ω^)(もう擦れ違ったはず…)
 
ブーンが旋回しようとした時、
『…n…機……うs…』
 
この意味を理解するのに時間はかからなかった。
後ろから攻撃されたのだ。
まさか交差してから一瞬で後ろに着かれるとは思ってはいなかっただけに衝撃的だ。
レーザーは両翼に被弾していた。どうもわざと翼を狙ったらしい。
ブーンは何とか引き離そうとするが「別格」はピッタリと着いて離れない。このままでは墜とされるのも時間の問題だった。
 
『カカカカ…追われる気分はどうだ? 恐ろしかろう…。だがすぐに…!?』
 
通信は回復したようだ。声が聞こえて来た。
「別格」の声ともう一人──
 
『大丈夫ですか!?』
『カッカカッ! いい腕だ…』


 
755以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:17:26.51 ID:j0xcX/jkO
妨害電波に捕らえられている間も、スズは援護してくれていたようだ。「別格」がブーンを狙っている限り、スズが「別格」の後ろに着く事はたやすい事だった。
既に一発ではあるが「別格」の翼には被弾している。
先の戦いでもそうだったがスズの戦闘機を操る技術は新人としては突出している。
このままブーンが持ち堪えれば、如何に「別格」と言えども危ういだろう。
 
『クカカカ…ここは一旦引くとしよう…』
 
どうやら無理はしない性格らしい。「別格」は速度を更に上げ、ブーンの機体に接近する。
そして一発、レーザーを撃ち込んでから高度を上げ、そのまま戦線を離脱した。
無理はしないがやる事はキチンとやって行くとは、かなりの手錬だ。
ブーンの機体は胴体をまともに撃ち抜かれ、墜落を待たずとも爆発しそうだった。
警報が響き渡る。

 
756以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:18:11.35 ID:j0xcX/jkO
(;゚ω゚)「メーデー、メーデー! こちら内藤、危険レベルS、もう保たないお! 脱出──」
 
ブーンは叫びながら脱出のボタンを押す。
ブーンの身体は空中に投げ出され、地上へと落下。
刹那。
ブーンの乗っていた戦闘機が爆発、木っ端微塵に砕け散った。
パラシュートを開いて落下するブーンの上空をスズの戦闘機が通過する。どうやらスズは追跡する気らしい。
ブーンはそれに向かって無茶だけはするな、と合図を送ると再び地上を見つめた。
幸か不幸か、真下にはラウン城…であった建造物が拡がる。半壊していた城の面影はなく、完全にスクリプト軍の基地へと生まれ変わっていた。
基地の目の前に降りたブーンは勢い余って壁に腕を擦り付けてしまい、バランスを崩す。
おかげで頭を強く打ってしまった。腕は掠り傷だが、これくらいなら問題はない。問題は脳震盪だ。


 
757以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:18:59.95 ID:j0xcX/jkO
(;-ω-)(景色が歪むお…)
 
回復するまでどこかに身を隠そうと行動するが、立ち上がる事さえ出来なかった。
ほんの十数秒。
その間にブーンは囲まれてしまう。周りにはあの異形の生物、スクリプト人が立っていた。
もちろん獲物を構えて。
 
「ウゴクナ」
(;^ω^)(テラヤバス…)
 
どうにかここを切り抜ける案を出そうとするが、とてもじゃないが不可能だった。
思い切って抵抗してみるか……しかし下手をすればこの場で始末されてしまう可能性も大いにありえる。
ここはおとなしく従った方が無難であると、ブーンは判断した。
 
(;^ω^)(何とかしないと…)
「コイツ ドウスル?」
「コロス」
(;^ω^)(考え直せお!)
「マテ シレイ カラ メイレイ ガ キタ ツレテイクゾ
シレイ ハ ジキ モドッテ クル」
 
ブーンの願いが通じたのかは不明だが、とりあえずこの場は助かった。
スクリプト人はブーンの側頭部を拳で殴りつける。その一撃は膝を着いていた身体を軽々と吹き飛ばし、ブーンは気を失ってしまった。

 
758以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:20:07.91 ID:j0xcX/jkO
( ーωー)「う……」
( ^ω^)「ここは…」
 
ブーンは椅子に座っていた。
手足には拘束具がつけられ身動きはとれない。頭には機械が取り付けられていた。
まずは状況を整理が先だ。
スクリプト人に捕らえられた所までは覚えている。その際に負った擦り傷から血が滲んでいる事から、そう時間は経っていないようだった。武器は全て奪われており、動けたとしても心許無い。
それでも何とか脱出しようともがいていると、誰かが近付いて来た。
当然、味方ではない。
スクリプト人だ。
 
「おはよう…」
 
わざとかは分からないが、この星の言語だ。
そのスクリプト人は手を後ろに組ながらブーンの傍らを通り過ぎる。そして椅子を一周してブーンの前に立った。
 
「気分はどうかな?」
( `ω´)「いい訳ないお」
「クカカカカ…。それはそうだな。失敬した」
 
不快になる声で笑う。この笑い方、あの「別格」に違いない。そのせいか、他の兵とは少し違うようだ。
スクリプト人特有の凶暴性が見られない。だが温和という訳ではなく、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。

 
760以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:22:18.37 ID:j0xcX/jkO
( `ω´)「僕をどうする気だお? 尋問なら無駄だお」
 
軍では拷問や尋問に対する訓練は受けている。耐える自信はあった。
 
「安心しろ。そんなつもりはない。今はな…。
それより、お前の名は内藤ホライゾンだな?」
( `ω´)「………」
 
ブーンは答えない。
 
「隠さなくてもお前の事は調べてある。…失敬。まずは自分から名乗るのがお前達の礼儀だったな。
私の名はジスプロ。この部隊の司令官だ」
 
司令官…つまりこの男を始末すれば統率がバラけるかもしれない。
ブーンは多少反応したが、黙秘を続けるつもりだった。
しかし、その意志は次の言葉で脆くも崩れ去る。
 
「私の名を知らぬか? そうだな、数年前に地球を攻撃した部隊をお前は覚えているだろう?
いいや、忘れられないはずだ。何せそこでお前は母親を失ったのだからな」
( `ω´)「!!! …なんでそんな事を話すんだお…?」
「その部隊を指揮したのは私だ」
 
ふつふつ湧き上がってくる怒り、憎しみが大きく膨れ上がり、出口を探して身体中を駆け巡る。

 
761以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:23:47.62 ID:j0xcX/jkO
(#`ω´)「お前が…! お前がお母さんを…ッッ!!」
 
ブーンは喉を震わせて言葉を絞り出す。そして呪詛するように唸りを上げた。
それをジスプロは涼しい顔で受け止めた。
 
「カカカッ! 脳波が大きく乱れたな。私が憎いか? 殺したいか?」
(#`ω´)「ゔゔゔ……!」
 
低く唸り、何とかこの激情を押さえようとするが出来そうもない。拘束具がなければ暴れていただろう。
怒り狂うブーンを余所に、ジスプロは部下を呼ぶと指示を出す。
部下が作業を始めるとジスプロはブーンの前でしゃがみ込むと頬を掴み、息がかかるくらいまで近付けた。爪が食い込んで皮が裂け、血が流れ出す。
細い瞳孔がブーンの瞳孔を至近距離で見据えた。
 
「私も幼くして母親を失った…。同種の紛争が原因だがな。
私はお前と同じ境遇だ。だがお前との違いは母親の記憶に縛られるか否かだ。全てを忘れて楽になれ…」
 
鋭い牙が生え揃った口が空気を震わせる。優しいが悪意に満ちた囁きだ。

 
762以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:24:37.46 ID:j0xcX/jkO
「やれ」
 
ジスプロがブーンから離れ、代わりに彼の部下が近付く。
そして両目と両耳を何かで塞がれた。
暗闇の中、腕に痛みが走る。血液を抜かれているようだ。
そして次は痛みの他に、冷たい何かを感じ取る事が出来た。
恐らく薬品を注入しているのだろう。
 
(;■ω■)「う…やめろ…」 
 
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