764以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:25:26.57 ID:j0xcX/jkO
しばらくすると頭がボーッとしてきた。何分経ったのかも分からない。
五感が無くなり、ある種の高揚感に浸っていると、突如激しい光に襲われ、目の前が明るくなった。様々な色が入り交じり明滅する。とても目を開けていられない程の眩しさだったが、目を閉じる事も許されぬまま、ただ呆然とその光を眺めていた。
それは徐々に鮮明なものになり、風景を形作った。
 
柱に挟まれる母、逃げる自分、崩れる家の映像が繰り返される。
 
(やめてくれ。こんなものを見せないでくれ!)
 
ブーンは叫ぶが声にならない。
母が現れた。
 
J( - )し「ビップガ モットハヤク キテイレバ ワタシハ シナズニスンダ」
 
母は独白するように語る。
 
J( - )し「ビップガ モットツヨケレバ ワタシハ タスカッタ」
 
(それは仕方のない事だ! VIPを責めてはいけない!)
 
ブーンは声にならない言葉を叫ぶ。
 
J( - )し「ワタシハ ビップガニクイ… アナタモ ソウデショ…?」
 
(そんな事はない! …そんな事は…)

 
767以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:27:41.45 ID:j0xcX/jkO
闇にジスプロが現れた。
ブーンは指一本動かせない。
 
「クカカカ…内藤ホライゾン…お前の闇が見えるぞ。
本心では母親を救わなかったVIPを恨み、仲間に激怒している。
その闇に身を任せろ」
 
(何を言っている。仲間を、VIPを憎む訳がない)
 
「内藤ホライゾン…希望に手を伸ばせ。
僅かな希望に縋り、それさえも蹂躙され、絶望しろ。
奈落へと墜ちて行け」
 
(ふざけるな。絶望などするものか)
 
「カカカ…内藤ホライゾン、お前はただの捨て駒だ。
いいように使われ、お前がこの様な時でも仲間は助けに来ない。お前が死ねばすぐに忘れ去られる。
捨て駒のお前にはお似合いだ」
 
(僕が捨て駒…? 断じて違う!
そんなはずは…)

 
768以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:28:18.73 ID:j0xcX/jkO
「感情の赴くままに行動し、全てを破壊し、そこに光を見出だし、それを否定され、存在を失い、誰の記憶にも残らない。
お前は虚空の世界の住人だ。
クカカカ…」
 
(…………)
 
「だが我々は違う…。
墜ちたお前を拾い上げよう…。
我々はお前を失望させない裏切らない忘れない受け入れる。
内藤ホライゾン…。
私と君は友達だ」
 
その映像が何十回、何百回と繰り返される。
次第にブーンの思考は停止し、死人のように呆然とそれを眺めるようになっていった。 
 
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 
769以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:29:29.56 ID:j0xcX/jkO
「おはよう…。気分はどうかな?」
( ゚ω゚)「………」
 
いつの間にか拘束具は外されていた。だがブーンは虚空を見つめて微動だにしない。
その瞳は映る物を認識していないのか、全く動かなかった。口はだらしなく開かれ、その端からはだらしなく涎が糸を引いていた。
 
「カカカカッ。いい具合に壊れたじゃないか。我々の数分がこの男にとっては数時間に感じられるのだから無理もない…。
B-14を投与しろ。それと…」
 
ジスプロは邪悪な笑みを湛える。
 
「Dy-1、Dy-2もだ」
 
ジスプロは廃人のようになったブーンを笑い飛ばし、部下に指示を出す。
 
「シカシ アレハ マダ…。ジハクザイ ノ ホウガ イイノデハ? ソノウエ ディーシリーズ ハ……」
「構わん。失敗して死亡したとしても我々には何の痛みもなかろう? 仮に適合すれば我々は貴重なデータを得る事が出来る。
それとも私に意見する気かね?」

 
770以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:30:17.01 ID:j0xcX/jkO
「シツレイシマシタ」
 
一睨みされた部下はこれ以上何も言わずに命令に従う。
彼は薬品が詰まったシリンダーを取り出し、ブーンの血管に突き刺して中身を注入した。
しばらくすると、ブーンの身体はビクンッと波打ち、完全に意識を失った。
 
「ノウハ セイジョウ ヒトマズ セイコウ ノ ヨウデス」
「オドロキマシタ マサカ チキュウジン ガ テキゴウ スルトハ…」
 
何がどうなれば成功かは分からないが、とにかくブーンは死んではいないらしい。
その結果にジスプロは満足気に目を細める。
 
「クカカカカッ! 素晴らしいぞ内藤ホライゾン! お前には我々の目と耳になってもらおうか…」

 
771以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:32:11.54 ID:j0xcX/jkO
(;゚∀゚)「オイ! しっかりしろ!」
( ーω^)「あ…ジョルジュ…と、ツンかお?」
 
ブーンが目を開くと、そこにはジョルジュとツンがいた。周りには心配そうにしている連合軍の人々…。
 
( ゚∀゚)「ああ、俺だ。心配させやがって…」
ξ゚听)ξ「生きてて良かった…。もう! 心配したじゃないの馬鹿!」
 
ツンはここぞとばかりに声を荒げる。言葉のマシンガンはまだ続きそうだったが、弟者に落ち着くように言われ、渋渋口を閉ざした。
 
(*`ω` *)「とにかく無事で何よりだっぽ」
(><)「でもあの高さから落ちて擦り傷一つだなんて奇跡ですね!」
(;^ω^)「そ、そうだお! 僕は撃墜されたんだお。ドクオ達は…」
 
空を見上げると戦闘機が交戦を繰り広げていた。パッと見でも良い状況とは言えなかった。傷は既に乾いている事から、それなりの時間が経っている事が分かった。
 
( ´∀`)「ラウン城は目の前だモナ。急ぐモナ」
(*゚-゚)「そうね。今は急がないと」
(;^ω^)「それはいいとして…なんでツンが此所に…?」
ξ゚听)ξ「あら? 何か問題でも?」
(;^ω^)「大ありだお! 危険過ぎるお!」

 
772以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:34:14.03 ID:j0xcX/jkO
確かに出撃前にツンは自身も基地に向かうような事を言っていた。あの時は特に深く考えなかったが、それが今となっては悔やまれる。
ブーンはまくし立てるが、
 
( ゚∀゚)「まあいいじゃねぇか。この女、見掛けより、特に精神的にタフだぜ」
( ^ω^)「でも…」
ξ゚ー゚)ξ「安心して。戦い方なら分かってるつもりよ」
 
ツンはレーザーサーベルを持ち、ブンブン振り回す。視線がブーンに向いていたので、もう少しで隣りにいたジョルジュの首を跳ね飛ばす所であった。
 
(;^ω^)「ちょwwwww危ねぇwwwwwwwww」
(#゚∀゚)「テメェこのクソ貧乳ッ! 何しやがる!」
ξ#゚д゚)ξ「!!」
( ゚∀゚)「お、なんだ? 怒ったか? みんな逃げろ、まな板女が怒ったぞ」
ξ#゚听)ξ「こ、この…!」
 
ツンは羞恥と怒りで顔を真っ赤にしながら剣呑な雰囲気を漂わせている。
ジョルジュはというと、舌を出して煽り続けていた。
まるで子供の喧嘩だ。

 
773以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:35:27.96 ID:j0xcX/jkO
(;^ω^)「つ、ツン…落ち着くお…」
(´<_`;)「そうだぞツン子殿…今はそんな事をしている場合では…」
ξ゚-゚)ξ「…そうね。非は私にあるし、もういいわ」
 
納得した訳ではなかろうが、ブーンと弟者に宥められて怒りを静めるツン。
それに対してジョルジュはまだ煽っていたが、喉にSHIIの手刀が突き刺さり悶絶する。
ジョルジュ以外の者は全員ため息を残してラウン城へと歩みを進めた。
 
(><)「そういえばブーンさん、武器はどうしたんですか? 何も持ってないみたいですけど」
( ^ω^)「あ、ホントだお。きっと戦闘機から脱出する時に落としたんだお」
 
腰のホルスターからはレーザーガンがすっぽりと無くなっており、レーザーサーベルも持ってはいない。
この状態で進むのは自殺行為だが、敵から奪えば事足りるので大した問題ではなかった。

 
774以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:37:06.80 ID:j0xcX/jkO
ブーン達は滞りなく基地に侵入する事が出来た。唯一の妨害といえば入口にロックが掛けられていた事くらいだ。
その上基地内は静まり返っている。
 
(*゚-゚)「変ねぇ…敵兵がいないわよ?」
( ^ω^)「出撃の為に格納庫に集まっているのかもしれないお。でも──」
 
ブーンが訝しげにしていると、入口の方から重々しい音が響いた。
 
ξ;゚听)ξ「壁が降りてくるわ…!」
 
どうやら外へは出さないつもりらしい。入口はいくつもの壁によって完全に塞がれてしまった。
しかし罠だと分かっていても引き返す訳にはいかない。この期を逃せば反撃の機会は永遠に失われてしまうかもしれない。
それに、上空では激しい戦闘が繰り広げられている。彼らの負担を早く軽くしてやらねばならなかった。

 
776以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:38:31.88 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「悩んでも仕方ないし先に進むお」
( ´∀`)「ちょっと待ってくれモナ」
 
モナーは小型のコンピュータを操作し、ブーンを呼ぶ。
 
( ´∀`)「この基地の見取図だモナ。格納庫と管制室、別々に攻めた方が効率がいいモナ」
( ^ω^)「そうなると…必然的に僕は格納庫になるお。セキュリティもあるだろうし…。
…でもなんか管制室に行きたい気分だお」
( ´∀`)「…気分で言われても困るモナ」
( ^ω^)「頼むお! なんか管制室に行かなきゃいけない気がするんだお!」
( ´∀`)「う〜ん……分かったモナ」
 
ブーンとモナーは二ヵ所を同時に攻める為に兵力を二分化した。
管制室にはブーン、ちんぽっぽ、ビロード、それと兵士が200名。
格納庫にはモナー、弟者、ジョルジュ、SHIIと兵士は約300名。

 
777以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:41:53.48 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「ツンはどうするお?」
ξ゚-゚)ξ「私は…」
( ´∀`)「どっちも危険に変わりはないけど、格納庫の方が敵が多いと思うモナ。だからブーンに着いて行くといいモナ」
ξ゚ー゚)ξ「そうね。モナーがそこまで言うならブーンに着いてくわ」
( ゚∀゚)「素直じゃねぇヤツ(ボソッ」
ξ゚-゚)ξ「なにか?」
( ゚∀゚)「なんでもねぇよ貧乳」
ξ#゚听)ξ「…っ! また…! このスケベ! 変態!」
( ゚∀゚)「それは聞き捨てならねぇな。スケベは認めるが俺は変態じゃ──」
(#`Д´)「はいストーーーップ!!!!」
(;゚∀゚)「うぉ……」
ξ;゚-゚)ξ「も、モナー?」
 
轟く怒号に二人は体をビクリとさせて硬直した。
 
(#`Д´)「本当にいい加減にしろモナ! 喧嘩ならいつでも出来るモナ! 今じゃなくてもいいモナ!!」


 
778以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:42:21.60 ID:j0xcX/jkO
長年同じ村に暮らしていたツンでさえ、モナーのここまで怒った顔は見た事がなかった。
穏やかな者は怒ると怖いというが、まさにそれだ。
二人共、完全に畏縮している。
 
(#`Д´)「返事は!?」
ξ;゚д゚)ξ;゚∀゚)「すいませんでした…」
( ´∀`)「分かればいいモナ。ツンちゃん、気をつけるモナ」
 
モナーの怒気に皆顔を引きつらせていたが、それよりもこの変わり身の早さに驚いて口も訊けない状態だった。
しかし一刻を争うので気を取り直し、素早く二手に別れる。そして必ず生きて再会する事を誓い、走り出した。

 
779以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:43:15.13 ID:j0xcX/jkO
「アノオトコ ガ コチラ ニ ムカッテイマス」
「予定通りだ。あの実験が成功していれば思わぬ副産物を手にする事が出来る…。怪しまれない程度に兵を送れ。あの男は殺すな」
「カクノウコ ハ ドウシマス?」
「ニューソク人に用はない。始末しろ」
「リョウカイシマシタ」
「クカカカ…」

 
780以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:44:13.12 ID:j0xcX/jkO
通路は普通に比べて広かった。おかげでさほど長い列を作らずに進む事が出来る。
足音が響き渡った。
侵入には気付かれてしまっているので、隠密行動をする意味はない。管制室を目指して全力で駆け抜ける。
 
「イタゾ」
 
奥からスクリプト兵が走って来た。数はそれほど多くはない。
ブーン達を発見するや否や、レーザーサーベルから刀身を発生させる。
 
(><)「ブーンさんは下がって下さい!!」
 
ビロードが叫ぶと兵士達は一斉にレーザーガンを発射する。
もたついている兵もいたが、多くは訓練と同じように動いてくれた。
レーザーの雨中をスクリプト兵は怯みもせずに接近する。一発や二発当たっただけではその動きを止められそうになかった。腹部に穴を開けながらもその勢いは緩みもしない。

 
781以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:45:05.41 ID:j0xcX/jkO
(><)「来ます!」
 
その声と同時にスクリプト兵は跳び上がる。
スクリプト人特有の発達した筋肉が、勢いをそのままに床を蹴る。そこから生み出された跳躍力は十数メートルはあろう距離を瞬時に消滅させた。
全体重とスピードを乗せた蹴りが前衛の兵士に直撃し、後ろにいた兵を数人巻き込み吹き飛ぶ。蹴りを受け止めた鎧は深く陥没していた。
スクリプト兵はそのままレーザーサーベルを振り、周りの兵を叩き斬った。高出力のサーベルの前では鎧など意味を成さず、胴体を二つに分離させた。
次々と迫る猛襲。
だが連合兵も負けてはいない。いち早く白兵戦に切り換えた兵はスクリプト人の素早さに惑わされながらも、何とか戦闘を行っている。
中にはレーザーガンとサーベルの両方を上手く使い、敵を圧倒している者もいた。
ちんぽっぽとビロードもその一人だ。

 
782以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:45:59.31 ID:j0xcX/jkO
特にちんぽっぽには目を見張るものがあった。
 
肉薄する敵を見据え、武器であろうが爪であろうが受け流す。そして受け流したかと思うと、勢いよく通過した相手に拳を打ち込む。
数人が同時に攻撃を仕掛けた場合も同じだ。
最小限の動きでかわし、受け流す。足をかけてバランスを崩して転倒した相手の喉を踏み潰し、迫るサーベルをかわしたついでに、彼女もサーベルを突き刺して横に引き裂いた。更に隣りにいる相手の向こう脛を横から蹴り砕く。
スクリプト人の肉体はかなり頑強ではあるが、ちんぽっぽは苦もなく破壊した。
そして頭部にレーザーガンを撃ち込む。
彼女のレーザーサーベルは出力を絞り、刀身が短くなっている。さしずめレーザーナイフといった所か。
ビロードの戦い方も、ちんぽっぽとよく似ている。
 
( ^ω^)(今の動きは合気道? ……いや、システマ…?)
 
旧ロシア軍特殊部隊が一対多数を想定した戦いの為に編み出した近接戦闘武術、システマ。
この武術はあらゆる場面に効果的に対応でき、むろん、VIPの総合格闘術にも取り入れられている。
彼女の戦い方はそれに酷似していた。
しかしそのような武術がこの星にあるとは思えない。彼女は自らの手でこの技術を磨き、システマまで昇格させたというのか。

 
783以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:46:44.72 ID:j0xcX/jkO
(*`ω` *)「みんな! もう一息だっぽ!」
 
ちんぽっぽの激励で士気は一気に跳ね上がる。
それでも、やはりスクリプト人は強靱な肉体を持っている為、殲滅までには相手の倍以上の犠牲が必要だった。


 
784以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:48:07.81 ID:j0xcX/jkO
( ^ω^)「被害は…百人くらいかお…」
 
血に濡れた武器を拾いながら呟く。
次も今と同じ戦力で攻められれば突破するのは難しい。
 
( ^ω^)「みんな、次はアレの使用を許可するお」
ξ゚-゚)ξ「なんだか怖いわね、これを飲み込むのは…」
 
ツンが取り出した錠剤、これは第一部隊から配られた物で、これを服用した者は一時的に身体能力と動態視力、感覚や反射神経が飛躍的に向上する。つまりドーピングだ。
ただ、連続して服用すると凄まじい副作用があるのでVIPでも厳しい使用制限が定められていた。
少数を相手に、これ程の犠牲が出るならもっと早く使用を許可していればよかったと、ブーンは後悔した。

相手が現在どれくらいの兵を抱えているかは知る由もないが、これで終わりとは思えない。
ドーピングしたとしても、果たして残された兵だけで管制室を占拠出来るだろうか。
焦燥と不安を募らせ、管制室に繋がる階段を登ろうとした時だった。
兵の一人がレーザーを発射する。ブーンが慌てて振り返ると、そこには一人のスクリプト人の姿。
レーザーは彼を貫通して後方の壁から火花を散らす。しかしその攻撃が彼に与えた効果は少し身体を波打たせる程度であった。

 
785以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:49:31.82 ID:j0xcX/jkO
「カカカカッ! 意味のない事はやめたまえ。それより諸君、ご機嫌如何かな?」
「なんだ…? 今、あいつの身体が歪んだ…? それにピンピンしている…」
( ^ω^)「あれはホログラム…つまり幻影だお。撃っても無駄だお…」
 
言われた兵士は、理解した訳ではないだろうがレーザーガンを降ろす。
 
( `ω´)(それにしても、なんかあいつ…ジスプロを見てると殺したくなってくるお…)
 
そこでブーンはハッとした。
何故、あいつの名前を自分が知っているのか。
それに内から湧き上がってくる感情は紛れもなく殺意だ。
今までは一目見ただけでここまでの感情は芽生えなかった。何故か膨れ上がる殺意と疑問に、ブーンは戸惑いを感じていた。
 
「内藤ホライゾンよ…身体の調子はどうかな…?」
( `ω´)「! なんで僕の名前を知ってるんだお…?」
「世の中にはお前の知らない事がたくさんあるのだよ。
しかしこれだけは教えてやろう。間接的ではあるがお前の母親を殺したのは私だ」
( `ω´)「!!!」
「顔色が変わったな。私を殺したいか? そうだろう。私はこの先の部屋にいる。私を殺したければ10分以内に来るがいい。クカカカカ…」
 
気分が悪くなる笑い声を残してホログラムは消失する。彼がブーンに与えた影響は絶大であった。
ブーンは鬼のような形相で踵を返し、彼がいるであろう部屋に向かって歩き出した。


 
786以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:51:18.48 ID:j0xcX/jkO
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 目的の部屋はこの上よ」
(#`ω´)「そっちは任せたお…僕はあいつを…」
(;><)「でも一人でなんて無茶です! せめて半分の兵隊さんと一緒に…」
(#`ω´)「あいつを殺すのは僕だお…。それにここでただでさえ少ない戦力を割くのはダメだお」
(;><)「でも…」
 
ビロードは説得を続けるが、ブーンはもう話す事はないと言わんばかりに歩みを再開する。
 
(;><)「ああ、待って下さい!」
ξ;゚听)ξ「勝手な行動は──」
(#`ω´)「邪魔するなお!! みんなは管制室の占拠、僕はあいつを始末ッ! 文句は言わせないお!!」
 
腕にしがみつくビロードを突き飛ばし、ツンを払い除けて走り去った。
 
ξ#゚听)ξ「なによ! ブーンの馬鹿っ!」
(><)「ちんぽっぽさん…」
(*`ω` *)「………」


 
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