787以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:52:22.37 ID:j0xcX/jkO
「よく来てくれた…」
 
部屋には二人のスクリプト人がいた。
椅子に座ってグラスを傾けているのはジスプロ、その後ろに立っている男は記憶にない。
ブーンはテーブルを挟んでジスプロを睨み付ける。
 
(#`ω´)「お前を…殺しに来たお…!」
「クカカカ。威勢がいいのは良い事だ。それよりまずは一杯どうかね?」
 
ジスプロはボトルを持ち上げ、赤い液体を勧める。
自ら注いで飲んでいる事から毒ではないみたいだが、母の敵と杯を交わすなど、虫酸が走った。
 
「ん? どうした、まずは座ったらどうだ?」
(#`ω´)「ふざけるなお!!」
 
ブーンが素早くレーザーガンを握る。そして銃口をジスプロにポイントした時。
ブーンのレーザーガンが破壊された。
それを成したのはジスプロの発射したレーザーだ。今の今までグラスを握っていた手には、グラスではなく変わりにレーザーガンが握られている。
ブーンは彼の動作は目を離さずに見ていたが、ジスプロの手の動きは残像が残るように映った。
 
こいつは半端な相手ではない。
ブーンは錠剤を飲み込むと、レーザーサーベルを放出させてテーブルを叩き斬る。
そしてレーザーを警戒しつつ、一気に肉薄した。


 
788以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:53:32.92 ID:j0xcX/jkO
「止まれ」
(#`ω´)「!?」
 
ブーンはビクリと身体を震わせて足を止める。ジスプロが放った一言は、意志とは関係なしにブーンを停止させた。 
「クッ、クカカカカッ!」
(;`ω´)「な…何をしたんだお…」
「カカカカ……。なに、さっきも言ったが世の中にはお前の知らない事があるのだよ…。カカカッ!」
「シレイのヒトコトでコウゲキをタメラッタ、まずはこれだけでジュウブンかと…」
 
後ろの男が初めて口を開いた。
 
「そうだな。実験は成功のようだ。
もう此所にいる意味はない。後は任せるぞ」
「リョウカイしました」
 
返答を聞き、懐から小瓶を取り出す。そこには黄金色の液体が入っていた。
 
「使ってみるか…?」
「シレイもヒトが悪い…。アレをヨぶとワタクシのセイシンがモちませんので…」
「クカカッ! そうであったな。健闘を祈るぞ」
 
ジスプロは立上がり、後ろのドアに向かって歩き出した。
 
(#`ω´)「どこに行くんだお! 待てお!」
「カカ…お前の相手はそこにいるサマリがしてくれる。
サマリは手強いぞ、精々死なないように気をつけろ。カカッ」
「そういうワケだ。ココはトオサヌ」

 
789以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:54:57.95 ID:j0xcX/jkO
ブーンの前に立ちはだかるスクリプト人──サマリは両手にグローブのような機械をはめる。そして手を大きく開くと、その指先から30cm程のサーベルが発生した。
爪型の武器らしい。
 
「イクゾ」
 
サマリがブーンの視界から消滅する。天井からミシッという音が聞こえた。
上か───
上を見上げた時には既にサマリは天井を蹴って接近していた。
ブーンは慌てて後方に跳ぶ。
しかし着地したサマリはほとんど予備動作なしで追撃する。都合12本の高出力の爪がブーンを切断しようと振り降ろされた。
ブーンはこれを転がってかわし、飛び起きた。
薬の効果が現れるまであと約一分…。それまで逃げ回るしかない。
だが、この強敵を相手に一分も逃げ続ける事が可能だろうか。サマリのスピードは、並の人間には捉えられない。
それだけでも十分脅威だが、それに見合うパワーも持ち合わせている事だろう。

 
790以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:56:11.27 ID:j0xcX/jkO
離れれば一瞬で距離を潰され、近寄れば叩き潰されるか切り刻まれる。
どうやって戦うか───
焦りながら考えていると、目前に爪が迫った。
ブーンは身をのけ反らせてかわす。
間一髪だった。
考える暇も与えてくれないらしい。
ブーンは下から突き刺そうとするがサマリは勢いよく床を蹴って跳躍する。その衝撃で床にはヒビが走った。
そしてまた迫り来る。
 
(;`ω´)(つ…強過ぎるお…!)
「そのテイドか…? ワタシにもオトルニンゲンがシレイをコロソウなどとはショウシセンバンッ!!」

 
サマリは余裕の表情で突きと斬撃を繰り出す。それに対しブーンは反撃も出来ずにただ逃げるだけだった。
まだ三十秒も経っていない。
このままでは負ける、そう思った時だった。
ドアが開いてレーザーがサマリに撃ち込まれた。
サマリは突然の射撃に反応しきれなかったのか、腹に一発被弾、残りは手で弾く。
レーザーが命中したグローブは彼の手ごと砕け散り、鮮血を撒き散らせた。

 
791以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/13(土) 20:57:15.33 ID:j0xcX/jkO
(><)「大丈夫ですか!?」
(;`ω´)「な、なんで来たんだお? 管制室は──」
(><)「その部屋でしたらちんぽっぽさんが向かっています! それより今はあいつを倒す事を考えましょう!」
 
一息で言い切り、ビロードは疾走した。
速い。
どうやらビロードは薬を服用しているようだった。サマリの攻撃に反応出来ている。
研ぎ澄まされた五感でサマリの攻撃を見抜いてかわし、サーベルを繰り出す。
サマリは咄嗟に身をよじり、バランスを崩さないように横に跳んだ。
そして今度はジグザグに走りながらビロードに接近する。
残像が残る程の速さだが、これにもビロードは反応出来た。
落ち着いて本体を補足し、攻撃に備える。
ブーンもようやく目で追えるようになってきた。慣れたのではなく、薬の効果が現れてきたのだ。
 
(;><)(薬を使って互角ですか…。思ってたより厳しいですね…!)
 
疲労でビロードの動きが鈍くなる一方、サマリは疲れた様子もない。血は既に止まり、出血による体力の低下は期待出来そうもなかった。
 
「どうした、サイショのキレがなくなってきているぞ」

(;><)「まだ…終わりませんよ…!」

 
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