1 :1 :2006/04/20(木) 03:29:09.46 ID:Sw4T0s680

暗闇に白い顔が浮いている。生首。首から血が垂れている。長い。髪が長い。
血走った目。黄色く濁った眼球、色を失った黒目。
それはそこに佇んでいた。長い髪が風に揺れていた。

  】呪【_ 】霊【
/ ⌒   ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < ( ^ω^)ブーンが霊能力者になったようです
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_________
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\


2 :1 :2006/04/20(木) 03:31:34.80 ID:Sw4T0s680

■第一話:三人の出会い。


〜ご乗車ありがとうございます。この特急は新宿発〜


(*゚ー゚)「わーw特急の中は暖かいなぁ」

ξ゚听)ξがグリーン車に腰を落ち着けたとき、明るい声が聞こえた。

白いスペルが無機質にプリントされた黒いキャミソールに、白いジャケット。
下は黒いヒラヒラのプリーツミニスカートと黒いブーツの小柄な女性が入ってきた。
小顔に大きなクリッとした目が可愛いらしい女の子だ。

あの落ち着きのなさを見ると、女子高生だろうか。
随分大人っぽい格好をしてるなと思ってチラチラ見ていると、自然と目が合った。


 
4 :1 :2006/04/20(木) 03:37:22.40 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)「お一人ですか?」

ξ゚听)ξ「そうよ」

(*゚ー゚)「ホントですかー!じゃ、隣に座っても良いですか?一人旅って初めてで」

そう言いながら、ξ゚听)ξの返事も待たずに座った。


5 :1 :2006/04/20(木) 03:40:11.30 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)(綺麗な人だなぁ)

(*゚ー゚)「名前聞いても良いですか?」

ξ゚听)ξ「ツンよ。あなたは?」

(*゚ー゚)「ボクはしぃって言います。あ、お弁当食べます?多めに買ったんだけど、ちょっとお腹が痛くなっちゃって」

ξ゚听)ξ(ボクって若い子の中で流行ってるのかな・・・)

ξ゚听)ξ「いいよ。私も買ってきたから・・・」

そう答えた瞬間、(*゚ー゚)の表情が曇った気がした。


24 :1 :2006/04/20(木) 11:58:15.91 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξ「いいよ。私も買ってきたから・・・」

ξ゚听)ξの声が(*゚ー゚)の耳を素通りする。

(*゚ー゚)(うわぁ、後ろの方から禍々しい感情を感じる。アレかな?アレだったらヤダな)

ξ゚听)ξ(急に黙り込んじゃった。ぶっきらぼうに言った憶えはないんだけどな)

ξ゚听)ξ「どうかした?」

Σ(*゚ー゚)「あ、いえ、何でもないですよwツンさんって綺麗ですよねwwなんか憧れちゃうなぁwww」

ξ///)ξ「な、なに言ってるのよ!別にお世辞言ってもなんにも出ないんだからね!」


27 :1 :2006/04/20(木) 12:06:13.32 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)(愛液が出るじゃん・・・ってどっかでみたな・・・)

(*゚ー゚)「お世辞じゃないですよーwwボクって子供っぽいじゃないですかwだから大人の女性に凄く憧れるんですw」

(*゚ー゚)(まだ嫌な感じが消えない・・・私に用があるのか、ツンさんに用があるのか・・・)


28 :1 :2006/04/20(木) 12:09:23.92 ID:Sw4T0s680

ホームでベルが鳴り、特急が発車した。しばらくすると、車掌が切符を切りに来た。

( ゚д゚ )「はい。甲府までですね。ありがとうございます」

車掌がそう言って次の車両に向かおうとしたとき、一人の女性が飛び込んできた。

(。・д・)「あ、車掌さん。これ切符ね」

( ゚д゚ )「はい。オッケーです。甲府までですね。ありがとうございます」

(*゚ー゚)(あ、あの人も美人だ)

(*゚ー゚)「あのー、甲府まで行くんですか?」


32 :1 :2006/04/20(木) 12:20:33.33 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「え・・・そうだけど。あんたたちも?」

ξ゚听)ξ「そうよ」

(*゚ー゚)「良かったらボク達とご一緒しませんか?」

(。・д・)は少し考える素振りをしてから、頷いた。

(*゚ー゚)「あ、隣どうぞー」

ゾクリ。また空気が変わった。背骨を電気が駆け上がる感じ。


33 :1 :2006/04/20(木) 12:24:40.23 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)(なんだろう。こんなに強い不快感は初めてだなぁ)

ξ゚听)ξ「どうしたのしぃちゃん」

(*゚ー゚)「あ、なんでもないですよ!それより、えっと名前はなんて言うんですか?ボクはしぃです」

ξ゚听)ξ「ツンよ」

(。・д・)「ピアスだよ。よろしく」

ボーイッシュなピアスが来た途端に、不快感が増した。

(*゚ー゚)(まさか彼女がオバケって事はないと思うけど・・・)


この不吉な旅は、三人の女性が揃ったところからはじまる。
 

 


35 :1 :2006/04/20(木) 12:33:55.19 ID:Sw4T0s680

■第二話:山奥の洋館。


(*゚ー゚)「だよねー。男なんてやりたいだけだもんね」

(。・д・)「あるあるwwwww死ねよっつーの」

ξ゚听)ξ「ホント、ガツガツしててやんなっちゃうわ」

三人がすっかり打ち解けあった頃、アナウンスで甲府に到着することが告げられた。

 
36 :1 :2006/04/20(木) 12:38:20.48 ID:Sw4T0s680
(。・д・)「あー久しぶりに楽しかったwお互いカレシには苦労するねw
    そういえば二人とも甲府に観光なわけ?」

ピアスが特急から降りながら言った。

(*゚ー゚)「違うよー。ここから普通で韮崎まで行くの」

ξ゚听)ξ「うそ、私も」

(*゚ー゚)「えー!そうなのー?偶然だねw」

(。・д・)「あたしもなんだけどwwww」


37 :1 :2006/04/20(木) 12:43:01.08 ID:Sw4T0s680

三人はそのままホームで雑談しながら普通列車が来るのを待ち、韮崎駅に降り立った。
すでに外は暗闇に覆われている。
満月が出ているでそれほど暗くは感じないが、都会のネオンを見慣れている三人は恐怖を感じた。
駅前の狭い駐車場にフェラレディがポツンと停まっていた。

(。・д・)「うわぁ。田舎だな」

(*゚ー゚)「真っ暗だね・・・」

ξ゚听)ξ「空気は綺麗だけどね・・・って言うか、ホテルないかも?」

(*゚ー゚)「あ、なんならおじさんの家に泊まる?」

ξ゚听)ξ「え?良いの?」

(*゚ー゚)「おじさんの別荘があるんだよww誰もいないから、気にしなくていいよー」

(*゚ー゚)(誰かにオバケがついている以上、バラバラにならないほうが良いかも・・・)


38 :1 :2006/04/20(木) 12:48:25.86 ID:Sw4T0s680

(*^ω^)「うはwww可愛いおにゃのこがいるおwさっそく声をかけるおwwww」

( ^ω^)「おいすー。観光かお?」

ドクン!(*゚ー゚)の背骨を電気が流れた。だが不快な感じではない。

(*゚ー゚)「あ、はい。さっき着いたんですよー」


39 :1 :2006/04/20(木) 12:54:52.88 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξ「ちょっと、係わらないほうがいいんじゃない?」

(*゚ー゚)「だいじょぶだよ、弱そうだし」

(。・д・)「たしかになww」

( ^ω^)「どうかしたかお?俺は全然怪しいもんじゃないおwww
    ただ、三人の誰かが呪われてるみたいだから声をかけたんだおwww」

(*゚ー゚)(え?この人も霊能力者?!)


41 :1 :2006/04/20(木) 13:09:27.38 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「はぁ?おまえ頭だいじょぶか?」

ξ゚听)ξ「あの、宗教勧誘なら間に合ってますから・・・」

おにゃのこ達が気持ち悪そうな目を向ける。

(;^ω^)「ちょwwww(これは失敗したお。てっきりホラーツアーにでも来たのかと思ったお)」

(。・д・)「まったく、とっとと別荘にでも行こうぜ。かまってらんねーよ」

(*゚ー゚)「あ、でも力仕事があるから、この人使えるかも」


42 :1 :2006/04/20(木) 13:14:29.35 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)「そうだおw力はあるおww」

(。・д・)「白豚に力なんてあんのかぁ?」

(;^ω^)「あうあう」

ξ゚听)ξ「まぁ白豚でも居れば心強いし、しぃちゃんがそう言うなら文句ないわ」

(*゚ー゚)「オッケー。じゃ別荘までいこっかw」

(*゚ー゚)(ふぅ・・・霊能力者は多いほうがいいもんね)


43 :1 :2006/04/20(木) 13:18:25.74 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)のフェラレディに乗って商店街を抜け、山を目指す。
まだ8時だと言うのに、店のシャッターはどこも閉まっている。当然ネオンなどない。

(。・д・)「すげぇ田舎だな・・・楽しそうなとこがねーじゃん」

そのまま走ると、坂道ばかりになった。道は狭くなり、すれ違いが出来なくなる。
街灯もいつの間にかなくなっていた。

(*゚ー゚)「でも自然は凄いよw都会じゃ見れないもんねー」

 
44 :1 :2006/04/20(木) 13:26:02.05 ID:Sw4T0s680
民家もなくなり、フェラレディの振動と砂利を踏む音しか聞こえない。

ξ゚听)ξ「・・・・・・大丈夫・・・よね?」

しばらく走るとフェラレディが金網の前で停まった。


45 :1 :2006/04/20(木) 13:31:19.05 ID:Sw4T0s680

(;^ω^)「これ以上は車で行けないお」

(*゚ー゚)「んー。あとちょっとなんだけどなぁ。仕方ないから、歩いてこっか」

(。・д・)「まぁ仕方ないな」

田舎なので路上駐車を咎める警官もいない。
( ^ω^)はフェラレディを端に寄せ、トランクから大きい荷物を3つ取り出した。

(*゚ー゚)「はいはい。こっちだよー」

(*゚ー゚)が金網にかけられた南京錠をはずし、懐中電灯を振り回している。
声が暗闇に響いた。他になんの音もしない。

(。・д・)「こりゃあ・・・見ろよ、町の明かりがあんな下に見えるぜ」

ξ゚听)ξ「周りには民家もないのね。本当に真っ暗だわ」

(*゚ー゚)(まだ霊が憑いて来てるみたい。ううん、力が強くなってる気がする)


46 :1 :2006/04/20(木) 13:36:05.10 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「うひぃ・・・もう・・・歩けねっ・・・つーの・・・うぇ」

(*゚ー゚)「あれー?こんなに遠かったっけ?」

ξ゚听)ξ「ちょっと・・・だいじょぶ・・・なの?ぜぇぜぇ」

(#^ω^)(バッグ全部持たせやがって!絶対犯るお!)

(*゚ー゚)「あ、看板めっけー!ボクが一番乗り!きゃっきゃっきゃ!」

(*゚ー゚)「はやくはやくー!別荘あったよー!ここだよー!」

(。・д・)「ちょ・・・なんであんなに元気なのあの子・・・」

ξ゚听)ξ「一番ちっちゃいのに・・・ね。内藤、早く来なさいよ」

(#^ω^)「はいだおー(今に見てろお!)」


48 :1 :2006/04/20(木) 13:42:51.59 ID:Sw4T0s680

Σ(。・д・)「おぉ!なんだこりゃ」

蔓の巻きついた薄汚れたレンガ、聳え立つ尖塔。
そこには大きな樹木に囲まれて、年代を感じさせる瀟洒な洋館が建っていた。

ξ゚听)ξ「・・・・・・」


49 :1 :2006/04/20(木) 13:44:09.22 ID:Sw4T0s680

(;^ω^)「ちょwwwしぃちゃんの家は大富豪かおwww」

(*゚ー゚)「バブルの頃の名残だよ・・・ん?」

(*゚ー゚)の背筋を電気が這う。急に空気が変わった。

Σ(。・д・)「うわぁ!!!!」

Σ(*゚ー゚)「わぁ!」

Σξ゚听)ξ「きゃぁ!」

( ^ω^)「ん?どうかしたかお?」


50 :1 :2006/04/20(木) 13:44:24.92 ID:Sw4T0s680

(。・д・)が三階の端を指差している。ξ゚听)ξがそちらを見て頬をゆるめた。

ξ゚听)ξ「ちょっとwびっくりさせないでよ。何もないじゃないw」

(。・д・)「あ、あれ?なんか窓に立ってた気がしたんだけど・・・」

ξ(゚、゚ξ「ほんとー?って、しぃちゃん大丈夫?」

(*゚ー゚)がガクガク震えながら窓を見上げている。もともと白い顔がいっそう青白く、闇に浮かんでいるようだ。
隣にいる( ^ω^)も目を見開いている。

Σ(*゚ー゚)「はっ!あ、あぁぁ何でもないですよ!
      ってかなんにも見えないじゃないですかwwwピアスさんったらもうw」


51 :1 :2006/04/20(木) 13:44:40.30 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「あはは、ゴメンネ。カーテンがオバケに見えたみたいw」

ξ゚听)ξ「もー。ただでさえ出そうなんだから、そういうのは勘弁してよ」

(。・д・)「ごめんごめんwさ、中に入ろうかw」

(*゚ー゚)「そうだね。いま鍵を開けるー」

(;^ω^)(見間違いなんかじゃないお。窓にカーテンなんかないお・・・でも帰るのも怖いお)

(。・д・)「ちょっとなにしてんの白豚。はやく荷物運びなさいよ」

(;^ω^)「りょ、了解だお!」

後ろで女の笑い声が聞こえた気がして、( ^ω^)は大急ぎで洋館へと飛び込んだ。
背筋が電気を流されたように痛んだ。
 

 

57 :1 :2006/04/20(木) 14:00:54.42 ID:Sw4T0s680

■第三話:ポルターガイスト。


洋館は薄汚れて埃がたまっていたが、想像以上にしっかりした造りだった。

(。・д・)「へぇ、これキリストだろ」

玄関を入ると、目の前に螺旋階段が弧を描いて二階へと続いており、その途中には大きなキリストの絵がかかっていた。
月の光を受け、この世のものとは思えない面妖さを醸している。

ξ゚听)ξ「これはラファエロのキリストの変容ね」

( ^ω^)「すげぇおwww」

白い羽衣を羽織った太目のキリストが天に浮いており、二人の男がそれを追うようにして舞っている。
そのすぐ下には崖があり、三人の男達がキリストを崇めるように跪いていた。

ξ゚听)ξ「確かにすごいけど・・・とても怖い絵よね」


62 :1 :2006/04/20(木) 14:08:55.04 ID:Sw4T0s680

絵は上下でまったく違う様相を呈していた。

崖の下では、大勢の村人が左右のグループに分かれている。
白目をむき、全身を引きつらせた少年を指差し、なにやら討論をしているようだ。

(。・д・)「芸術家なんてどっかどうかイカれてんだよな」

ピアスの言葉に三人とも頷く。それほどに凄まじい絵だった。

Σ( ^ω^)「あうあう!」

ξ゚听)ξ「え?どうしたのよ」


63 :1 :2006/04/20(木) 14:12:53.12 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξの隣で白い着物に身を包んだ髪の長い女性が絵を眺めていた。
恨めしそうに、唇が歪んでいる。

ξ゚听)ξ「ぎゃー!!」

(*゚ー゚)「走って!二階に行こう」

四人が一斉に駆け出した。


64 :1 :2006/04/20(木) 14:17:02.94 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)(おかしいな・・・嫌な感じは全然しなかったのに)

螺旋階段を駆け上がり、適当な扉から客間に入る。むわっとカビ臭い匂いが鼻をついた。
電気は通っているようだ。スイッチを押すと、しばらくして豪華なシャンデリアが光った。

ξ゚听)ξ「あ、あれは何なのよ?お手伝いさん?」

ξ゚听)ξがぜぇぜぇ言いながら聞いた。

(*゚ー゚)「お手伝いさんなんていないよー」

(。・д・)「うへぇ、マジでオバケが出るのかよ」

ξ゚听)ξ「・・・あら?白豚がいないじゃない」

(。・д・)「マジだ。はぐれるわけねぇのにな」


68 :1 :2006/04/20(木) 14:21:42.16 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)「ねぇ、やっぱりピアスの言うとおり、はぐれるわけないよ。探しに行かなきゃ」

(*゚ー゚)がそう言った瞬間、雨戸が大きな音を立てて閉まった。

(*゚ー゚)「え?」

(。・д・)「なんだこりゃ」

バタバタバタバタ・・・二階にある全ての部屋の雨戸が閉まっていく。

ξ゚听)ξ「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」

(。・д・)「オバケ屋敷かよ!!」


71 :1 :2006/04/20(木) 14:26:16.99 ID:Sw4T0s680

シャンデリアが点滅を繰り返す。

(。・д・)「ちょ!マジでやべぇって!!ここ出た方が良くねぇ?」

(*゚ー゚)「うわぁぁぁぁ!急いで逃げよう!」

ξ゚听)ξ「あの白豚はどうするの?!」

走りながらξ゚听)ξが叫ぶ。

(。・д・)「もう外に出てんだろ!あたし達も急ぐぞ」

螺旋階段を駆け下り、玄関の扉を開ける・・・開ける。

(*゚ー゚)「えぇぇぇ!開かないよ!なにこれ!」

(。・д・)「なに言ってんだよ!ちょっとどけって!」


72 :1 :2006/04/20(木) 14:31:32.52 ID:Sw4T0s680

(。・д・)がノブを触るが、どちらにも回らない。

(。・д・)「なんだこりゃあ!くそ!くそ!」

扉を蹴っても押してもビクともしない。

(。・д・)「はぁはぁはぁ、どうなってんだこりゃ・・・」


73 :1 :2006/04/20(木) 14:36:15.76 ID:Sw4T0s680


甲高い叫び声が聞こえる。いい気味だ。お前らは怖がらなければならない。
恐怖で頭をパンクさせ、発狂で身を捩らせろ。
俺はお前達を許さない。簡単には殺さない。永遠に続く苦しみを与えてやろう。


74 :1 :2006/04/20(木) 14:39:56.24 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)「お!どうかしたかお?」

ξ゚听)ξ「あ、白豚」

(。・д・)「お前どこに行ってたんだよ?」

( ^ω^)「オバケが怖すぎて、腰が抜けてたんだお。ずっとここに居たおw」

(。・д・)「じゃぁ状況は解ってんだろ。あたしたちゃ閉じ込められたみたいだ」

(;^ω^)「その扉は壊せないのかお?」

ξ゚听)ξ「確かに古いけど・・・素手じゃ無理でしょうね」


75 :1 :2006/04/20(木) 14:44:09.81 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξ「確かに古いけど・・・素手じゃ無理でしょうね」

ξ゚听)ξがそう言っている。だが(*゚ー゚)には聞こえなかった。

頭の中で男の声が木霊する。

(許さん許さん許せん許せん許せん)

(*゚ー゚)「何が許せないんだろう」

ξ゚听)ξ「え?しぃちゃんなんか言った?」


76 :1 :2006/04/20(木) 14:48:39.66 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)「え、ううん、なんでもないよ。そう言えば三階に古くから伝わる刀があったはずだよ」

(。・д・)「マジかよwwお前ん家すげぇなwwwよし、取りに行こうぜ」

ξ゚听)ξ「でも危なくないかしら?懐中電灯も一個しかないし、雨戸が閉まったせいで真っ暗でしょう」

(。・д・)「まぁ一理あるわな」

(刀には触るな刀には触るな刀には触るな)

(*゚ー゚)(え・・・。触られたら霊には都合が悪いって事かな。なら、なおさら)


77 :1 :2006/04/20(木) 14:52:35.73 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)「そうだお。行動しないでここに居たほうが安全だお」

ξ゚听)ξ「じゃ、そうしましょうか」

(*゚ー゚)「あ、でも、刀はあったほうが心強いし、取りに行ったほうが・・・」

ξ゚听)ξ「でも、外に出ても山道は危険よ」

(*゚ー゚)「あ、でも・・・」

(。・д・)「まぁここに居ても安全だとは限らないし、取りに行くくらいなら良いんじゃねぇ?」


78 :1 :2006/04/20(木) 14:57:32.39 ID:Sw4T0s680

刀に触られるのは危険だ。
まさか鞘から抜ける事はないと思うが、ガキっぽい女は先祖の血を引いている可能性がある。
だが・・・まぁ良いだろう。俺に考えがある。


85 :1 :2006/04/20(木) 15:04:38.33 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)「三階と言っても広いし危ないお。場所ははっきり解るのかお?」

(。・д・)「広いっつったって限度があるだろ。探せばすぐ見つかる」

ξ゚听)ξ「待って。白豚の言うことも一理あるわ。あまり長い間探すのは良くないと思うの」

(*゚ー゚)「三階の書斎か保管庫にあると思うよ」

ξ゚听)ξ「・・・・・・危険ね。やめましょう」

( ^ω^)「だお。おとなしくしてるお」


86 :1 :2006/04/20(木) 15:05:08.62 ID:Sw4T0s680

くくく。そうだ、おとなしくしていろ。まだ殺さない。まだだ。まだ。まだ。

(。・д・)「あーもうお前らgdgdしてんじゃねーよ!おい、しぃ。あたしらだけで行くぞ!」

(*゚ー゚)「あ、うん」

ξ゚听)ξ「危ないわよ。やめなさいってば」

(。・д・)「うるせぇなぁ」

そう言って(。・д・)が階段をのぼりはじめる。(*゚ー゚)も後に続いた。


87 :1 :2006/04/20(木) 15:05:41.75 ID:Sw4T0s680

(;^ω^)「あーあ。行っちゃったお。二人きりだお」

ξ゚听)ξ「変なことしたら殺すわよ」

(;^ω^)「・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ところで、話しがあるんだけど」

 


 


97 :1 :2006/04/20(木) 15:26:21.83 ID:Sw4T0s680

■第四話:不協和音。


(。・д・)「全く、あたしはなんか保守的なのって嫌いなんだよな」

(。・д・)がブツブツ呟きながら前を歩いていく。手には先ほど拾った火かき棒を握っている。

(。・д・)「あのツンって女は頭でっかちな気がして好きになれない。しぃはどうだ?」

突然話しを振られて、(*゚ー゚)が戸惑ったように声を出した。

(*゚ー゚)「あ、いい人だと思うよ。リーダーシップあるよね」

(。・д・)「まぁな。だけどやっぱ頭より体を動かさなきゃだろ。な?」

(*゚ー゚)「そうだね。ボクも頭使うの苦手かなwあはw」


98 :1 :2006/04/20(木) 15:30:32.78 ID:Sw4T0s680

何事もなく三階まで上がると、ひとつだけ開いている天窓から満月が見えた。
月の光が二人を照らす。(*゚ー゚)は心強さを感じた。

(*゚ー゚)(ピアスさんは頼りになるなぁwこんなお姉ちゃんが欲しかった)

三階は部屋数こそ少ないものの、ひとつひとつが非常に広かった。

(。・д・)「部屋は五つか。どれが書斎かわかる?」

(*゚ー゚)「奥から二つ目が書斎で、三つ目が保管庫だよ」

(。・д・)「じゃまずは書斎から行くか」

そういった途端、天窓からカラスが飛び込んできた。

(*゚ー゚)「きゃぁ!なに?」

(。・д・)「カラスだ!くそ、伏せろ」

(。・д・)はそう言うと、火かき棒を振り上げた。


99 :1 :2006/04/20(木) 15:34:21.98 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξ「あなたさっきずっとここに居たって言ってたわよね?腰が抜けてたって」

( ^ω^)「言ってたお?それがどうかしたかお?」

ξ゚听)ξ「あのね、あなたさっき三階は広いって言ってたけど、言ったことないのにどうして解ったのかしら」

Σ( ^ω^)「さ、さぁ。そんなこと言ったかお?」

ξ゚听)ξ「言ったわ」

ξ゚听)ξに睨まれて、慌てて目をそらす( ^ω^)。

(;^ω^)「あ、だってここが広いんだから三階も広いお?そうだお!勘で言っただけだお!」

ξ゚听)ξ「そう。だったら良いわ」


100 :1 :2006/04/20(木) 15:40:18.22 ID:Sw4T0s680

カラスの動きを捉えるのは不可能だ。(。・д・)は火かき棒を振り回しながら、(*゚ー゚)を引っ張って立たせた。

(。・д・)「書斎まで走るぞ!来い」

カラスは二人の周りを飛びながら、時々思い出したように嘴を突き出してくる。

(*゚ー゚)「痛い!」

見ると、(*゚ー゚)の方から血が出ていた。

(。・д・)「ガマンしろ!あと少しだ」

(。・д・)が書斎の扉を開け(*゚ー゚)を投げ込むと、しっかりと扉を閉めた。

(。・д・)「はぁはぁはぁはぁ、あんなカラス新宿にもいねーぞ」

(*゚ー゚)「痛い・・・」

(。・д・)がカットソーの袖を破って(*゚ー゚)の肩に巻きつけた。

(。・д・)「これで我慢しとけ」

(*゚ー゚)「あ、ありがとう」


101 :1 :2006/04/20(木) 15:45:31.80 ID:Sw4T0s680

( ^ω^)「ちょっとトイレに行ってくるお」

ξ゚听)ξ「暗いからトイレの場所なんて解らないでしょ。我慢しなさいよ」

( ^ω^)「でも漏れちゃうお・・・そこら辺でするわけには行かないお」

ξ゚听)ξ「・・・・・・いいわ。行ってきなさいよ」

( ^ω^)「おkwwwすぐ戻るおww」

( ^ω^)の足音が遠ざかっていく。

ξ゚听)ξ(あの白豚・・・怪しいわ)


103 :1 :2006/04/20(木) 15:49:16.12 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「しかしすげぇ数の本だな。どれも国立図書館にすらねぇぞ」

(*゚ー゚)「古いからね。おじさんのお爺ちゃんは相当な本マニアだったみたい」

(。・д・)「読みたいが仕方ない。とりあえずここに刀はないようだぞ」

書斎には大量の本と木で出来た本棚しかない。どこにも死角はなく、ここに刀がある可能性はないようだった。

(。・д・)「まさか暖炉の中ってこたぁないだろうし、隣の保管庫にあるようだな」

(*゚ー゚)「まだ居るよね・・・カラス。保管庫には鍵がかかってると思うんだ」

(。・д・)「・・・良いか?あたしが扉を開けるから、しぃが飛び出して隣の扉を開けてくれ」

(*゚ー゚)「うん」

(。・д・)「あたしが後ろからカラスをおびき寄せとく。その隙に鍵を開けといてくれれば良い」

(*゚ー゚)「解った」


104 :1 :2006/04/20(木) 15:54:37.69 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「今だ!」

(。・д・)が扉を蹴飛ばして開けた。(*゚ー゚)が体を丸め、隣の扉まで走っていく。
カラスが(*゚ー゚)目がけて飛んで行った。

(。・д・)「やっぱりまだ居やがったか!」

(。・д・)が火かき棒を振り回しながら走る。カラスは(*゚ー゚)の肩をかすめ、そのままの勢いで(。・д・)の方に向かってくる。

(。・д・)「清原の魂見せてやる」

(。・д・)が清原そっくりのフォームを取る。しかしカラスはどう考えてもデッドボール狙いだ。

(。・д・)「うおらぁ!」

(*゚ー゚)「清原打ったー!これは大きいぞー!届くか?届くか?あー!!!」


105 :1 :2006/04/20(木) 15:58:49.23 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「実況は良いから早く開けろよ」

(*゚ー゚)「あははwゴメンゴメンwでもよく打てたねw怖くなかった?」

(。・д・)「ばかやろうw清原はデッドボールも避けないんだぜww」

(*゚ー゚)「あははwww」

役に立たんカラスだ。やはり私は空を飛ぶ生物は好かん。天使もそうだ。
あれはまさに醜い人間の空を飛びたいと言う妄想が生んだ代物だ。
玄関ホールの絵が人間の醜さを表している。特別な者には羽を!空を!天を!
だんだんむかついてきたぞ。あの絵は破壊してしまおう。我慢ならん。痒い!体が痒いぞ!!!


106 :1 :2006/04/20(木) 16:02:18.46 ID:Sw4T0s680

(*゚ー゚)「うっ!」

頭の中に呪いの言葉が充満する。(痒い!痒い!)・・・痒い?
背骨・・・いや、延髄に直接電気を流されたような痛みが体を襲い頭が混乱する。

(。・д・)「ちょっと、肩が痛むのか?だいじょぶか?」

(*゚ー゚)「あぁぁぁ、だいじょぶ、だいじょぶだよ!それより、あれを見て」

(*゚ー゚)が指した方向には、禍々しい赤い色の鞘に収まった刀があった。

(。・д・)「イテッ!」

刀に触れた(。・д・)が驚いたように手を引っ込めた。

(*゚ー゚)「ん?どうしたの?」


107 :1 :2006/04/20(木) 16:05:00.88 ID:Sw4T0s680

ξ゚听)ξ(あの白豚・・・さっきから行動がおかしいわ)

( ^ω^)「・・・・・・」

ξ゚听)ξ(それにいくら美女が三人もいるからって、こんな所までついてくるもんかしら)

( ^ω^)「どうかしたかお?」

ξ゚听)ξ「きゃ!いつ戻って来たのよ!」

( ^ω^)「・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ちょっと!その手に持ってるのはなんなの?」

( ^ω^)の手には斧が握られていた。


110 :1 :2006/04/20(木) 16:09:37.14 ID:Sw4T0s680

(。・д・)「なんか刀に電気が流れてるっぽいぞ。触ったら痺れた」

(*゚ー゚)「え?でもそれっておかしいよね?」

(。・д・)が火かき棒で鞘をつついた。

(。・д・)「うぉ!」

直接脳に届くような痺れが全身を襲う。

(。・д・)「だめだこりゃ。普通の刀じゃねーよ」

(*゚ー゚)「・・・・・・ちょっとどいてみて」

(。・д・)「あ?」


111 :1 :2006/04/20(木) 16:13:47.64 ID:Sw4T0s680

体が痙攣しているみたいだ。延髄と言わず、体中の血管を通ってピリピリした感覚が(*゚ー゚)を襲う。

(*゚ー゚)「あ・・・あ・・・」

(。・д・)「おい、大丈夫かよ?」

それは刀に近づくにつれて、強さを増す。(。・д・)の目でも刀が光っているのが見えた。

(*゚ー゚)「きゃぁぁ」

刀から発せられる光が(*゚ー゚)の胸に飛び込んだ。(*゚ー゚)と刀が光で繋がる。

(*゚ー゚)「あっあっ・・・」

(。・д・)「しぃ!刀から離れろ!」

(。・д・)が叫んでいるのが見えた。必死の形相で(*゚ー゚)の方に走ってくる。

(*゚ー゚)の意識が遠のいた。

 

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