51 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:20:31.34 ID:kekraPo30


第二話「戦乙女」

━月面居住区━


(#^ω^)「ふんぎいいぎぎぎぎいいいいいいいい」

今日もトレーニングルームに内藤の唸り声が聞こえる

ビードロの死からさらに半年━
「有人土星往還船エルメス2号」の搭乗員選出試験を受けると覚悟した内藤は、
日夜トレーニング、勉強に励んでいるのである。

(;^ω^)「はぁ、はぁ、140sクリアだお・・・・」

ξ゚听)ξ「あら、頑張ってるわね内藤」

(;^ω^)「お、ツン!」

ξ゚听)ξ「全く・・・・あんたがいないおかげでこっちは大変なんだから!」

(;^ω^)「うはwwいきなりごめんお、ごめんおww」

内藤はデブリ回収業を退職し、貯めておいた貯金で生活している。

 

53 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:20:58.36 ID:kekraPo30

|゜ノ ^∀^)「ども〜♪」

(;^ω^)「えっと・・・レモナちゃんだお?」

|゜ノ ^∀^)「そうで〜っす♪」

|゜ノ ^∀^)「そのバーベルのウェイト、最大ですよね?」

|゜ノ ^∀^)「内藤さんすごーい!」

ξ゚听)ξ「ほんとよ、あの内藤とは思えないわ」

( ^ω^)「うひひ!もっと褒めて欲しいお」

ξ゚听)ξ「調子に乗らない!」


この人懐っこい笑顔をするレモナは、内藤とビードロの代わりに補充された船外活動員だ。
現在デブリ課の船外活動員はレモナとツンのコンビとなっている。
(ツンは一応EVA技能士免許を持っている。
アッソは右目を完全に失明したためEVA技能士免許を剥奪されたので、サポート役にまわって
いるのだ)

 

55 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:22:45.84 ID:kekraPo30

 

(;^ω^)「・・・・じゃあ漏れはトレーニング続けるお。ばいばいだお」

ξ゚听)ξ「え・・・・・うん・・・ばいばい・・・・」

(;^ω^)「ふんふんふんふん!!」

|゜ノ ^∀^)「先輩、いきましょ♪」

ξ゚听)ξ「え・・・ええ、行きましょう。」

レモナとツンはトレーニングルームを後にし、ルナベース(月面国際宇宙港)へ向かう
 

56 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:23:01.73 ID:kekraPo30

 

ツカツカツカツカ

通路に二人の足音が響く

|゜ノ ^∀^)ニヤニヤ

|゜ノ ^∀^)「先輩、もっとお話したそうでしたね」

ξ;゚听)ξ「そ、そんなこと・・・・」

ξ;゚听)ξ「・・・ないわよ」

|゜ノ ^∀^)「またまた〜」

ξ;゚听)ξ「・・・そんなことないって。なによいきなり・・・」

|゜ノ ^∀^)「バレバレですよ、先輩は内藤さんが好きなんですよね?」

ξ///)ξ「そ、そんなわけないでしょ!もう!」

|゜ノ ^∀^)ニヤニヤ
 
57 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:23:29.76 ID:kekraPo30

 

━地球より高度300km宇宙域━


ξ゚听)ξ「目標デブリ発見よ。直系20m、重さ5.4tの※アポジモーターよ」

(メι _`  )「こりゃまたずいぶんでかいな・・・・」

|゜ノ ^∀^)「おっきいですね〜♪」

(メι _`  )oO(・・・・・・・・・)

(メι _`  )「よし、さっそく作業に入るか」

|゜ノ ^∀^)「了解!」

ξ゚听)ξ「じゃ、アッソ、アーム操作頼んだわ。レモナ、行くわよ」

(メι _`  )「了解」

※衛星を静止軌道に乗せる際に使われるエンジンのこと。

 

58 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:23:47.74 ID:kekraPo30

 

━宇宙空間━

二人はスクーターに乗ってデブリに近づいていく


ξ;゚听)ξ『近くで見るとホントおっきいわね・・・』

ξ゚听)ξ『収納できるかしら?』

(メι _`  )『サイズを計算してみたが大丈夫そうだ。』

ξ゚听)ξ『ありがと。』

ξ゚听)ξ『ワイヤー回すからレモナも手伝って!』

|゜ノ ^∀^)『・・・・』

ξ゚听)ξ『レモナ、聞いてる?』
 
59 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:24:09.94 ID:kekraPo30

 

|゜ノ ^∀^)『あのー・・・内藤さんってなんであんなに頑張ってるんですか?』

|゜ノ ^∀^)『ただの低重力障害予防じゃないですよね』

ξ;゚听)ξ『な、なによいきなり・・・・』

(メι _`  )『どした?何か問題あったか?』

|゜ノ ^∀^)『あ・・・ごめんなさい、今話すことじゃないですよね・・・』

ξ;゚听)ξ『あ、あらそう・・・ならいいけど・・・』

ξ゚听)ξ『じゃあ、作業を続けるわ』

(メι _`  )『了解、アーム伸ばすぞ・・・・』
 
60 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:24:36.47 ID:kekraPo30





━月面居住区、静かの海公園━


公園内の池を見ながら歩く二人


|゜ノ ^∀^)「先輩」

ξ゚听)ξ「ん?どしたの?」

|゜ノ ^∀^)「新しくできたカフェ、行ってみません?」

レモナは正面の看板[カフェ・NEET]を指さした

ξ゚听)ξ「え?別にいいけど・・・」
 
61 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:25:04.93 ID:kekraPo30

 

━カフェ〜NEET〜━


若者達の社交場を目指すカフェ・NEET。
窓からは地球を見ることができ、店内には最新のファッションに身を包む若者達、
恋人達が楽しそうにおしゃべりを楽しんでいる。
そしていたるところに職安のポスター。


ξ゚听)ξ「私はコーヒーでいいわ」

|゜ノ ^∀^)「じゃ、私レモンティー」

店員「かしこまりました」

ξ゚听)ξ「結構・・・良い店ね」

ツンは店内を見回す

|゜ノ ^∀^)「でしょでしょ?私、気に入っちゃって〜♪」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「先輩」

ξ゚听)ξ「?」

|゜ノ ^∀^)「さっきの話の続き、いいですか?」
 
63 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:25:23.28 ID:kekraPo30

ξ゚听)ξ「続き?さっきのって・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「内藤さんのことですよ♪」

ξ゚听)ξ「内藤のこと?」

|゜ノ ^∀^)「はい♪」

|゜ノ ^∀^)「えっと・・・・・」

レモナはバックから宇宙船の写真入りの広告を出す。

|゜ノ ^∀^)「内藤さんが頑張る理由って・・・・これですよね」


ξ゚听)ξ「これは・・・・」

|゜ノ ^∀^)「有人土星往還船、エルメス2号」

ξ゚听)ξ「・・・・・?」

 

65 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:25:46.14 ID:kekraPo30
 

ツンはその広告を黙々読み続ける

ξ;゚听)ξ「これが、内藤が頑張る理由・・・?」

|゜ノ ^∀^)「あれ、先輩知らなかったんですか?」

ξ;゚听)ξ「え、ええ・・・今知ったわ・・・」

|゜ノ ^∀^)「これ、7年かかるんですよ」

ξ;゚听)ξ「!」

 

66 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:27:14.94 ID:kekraPo30

 

|゜ノ ^∀^)「もし内藤さん行っちゃったら、私達のことなんて忘れちゃうんでしょうね」

ξ;゚听)ξ「そ、そんなことあるわけ・・・・」

ξ;゚听)ξ「・・・・無いわよ」

|゜ノ ^∀^)「死ぬかもしれませんよね」

ξ;゚听)ξ「な、なにを!」

ξ;゚听)ξ「なにを言うのよ・・・」

ξ;゚听)ξ「・・・・第一、選ばれるわけないわ。20万人も受けるのよ。」

 

67 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:27:36.05 ID:kekraPo30

 

|゜ノ ^∀^)「<人間が本気になって、「それ」以外のことをやらなければ、出来ないことなんてない>」

ξ;゚听)ξ「?」

|゜ノ ^∀^)「内藤さんの情熱は尋常じゃありません。先輩も分かってるはずです」

ξ;゚听)ξ「な、なにを・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「先輩、いいんですか?このままで」

ξ;゚听)ξ「?」

|゜ノ ^∀^)「内藤さんのこと好きなんでしょ」

 

68 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:27:53.22 ID:kekraPo30

 

ξ;゚听)ξ「え・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「内藤さんとあなたの距離、どんどん伸びてますよ。」

ξ;゚听)ξ「一体・・・・・」

ξ;゚听)ξ「一体なんだっていうのよ・・・・・・」

ξ;゚听)ξ「わたしだって・・・・・わたしだって・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「なにもしなくていいんですか?」

ξ#゚听)ξ「う、うるさいわ!!」

|゜ノ ^∀^)「!」

 

69 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:28:34.83 ID:kekraPo30

 

ξ#゜听)ξ「わたしだって・・・感じてるのよ!!・・・内藤が・・内藤がどんどん私から離れていってること・・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・・」

ツンが大声を出したので、店中の目がツンに集まる

ξ#;凵G)ξ「あ、あいつと初めて会った頃は、すごい頼りないやつだなって・・・・・でも・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・」

ξ#;凵G)ξ「ごめん・・・大声だして・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・」

 

70 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:28:56.84 ID:kekraPo30




━3年前━


( ^∀^)「みんな、新人さんが来たぞ」

ξ゚听)ξ「はじめまして、ツンと申します。管制課から来ました。」

ξ゚听)ξ「今日からみなさんと一緒にお仕事させていただきます。」

ξ゚听)ξ「どうぞよろしくおねがいします」

ペコリと挨拶するツン

パチパチパチパチ

(´ι _`  )「俺はアッソ。VIPBOXの船外活動員兼、アーム操縦士兼、修理作業員だ。よろしく。」

ξ゚听)ξ「こちらこそよろしくお願いします」

( ^ω^)「・・・・・・・」
 
71 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:29:17.84 ID:kekraPo30

(´ι _`  )「どうした?内藤」

( ^ω^)「堅いおwwww堅すぎるおwwww」

( ^ω^)「こんな堅物と仕事なんてできないおwwww」

ξ;゚听)ξ「な、な・・・・・」

(´ι _` #)「おま、内藤!失礼だぞ!」

( ^ω^)「へへーんだおwwしらないおwww」

(´ι _` #)「こら!!」

        ⊂二二二( ^ω^)二⊃ 「逃げるおwwww」

(´ι _` #)「待て!こら!」

事務所の中でアッソとブーンの追いかけっこが始まる

ξ;゚听)ξ「なんなのあの人・・・・」
 
72 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:29:40.69 ID:kekraPo30

                   (´ι _` #)「逃げるな!」

          ( ^ω^)「漏れが捕まるわけないおwwwwww」

ガコッ

(;^ω^)「うはっwwww」

内藤は右足をゴミ箱に突っ込み、コケる

(´ι _` #)「よし!」

ξ///)ξ「プッw」

( ^ω^)「お」

ツンの顔を見上げる内藤

(´ι _` #)「ん?」

( ^ω^)「やっと笑ったお。」
 
74 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:30:06.56 ID:kekraPo30

ξ///)ξ「!」

( ^ω^)「ツンちゃん、笑顔は素敵だお」

( ^ω^)ニッコリ

ξ///)ξoO(・・・な、なんなのよ一体・・・・・・・)






あのときの笑顔を、私は忘れられない━



 
75 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:30:37.15 ID:kekraPo30



━現在・カフェ〜NEET〜━


ξ#;凵G)ξ「私は・・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・」

ξ;凵G)ξ「好きなのよ  内藤のことを   愛してるわ・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・・・」

ξ;凵G)ξ「内藤は、私にこの宇宙船のことも教えてくれなかったわ・・・・・・」

ξ;凵G)ξ「毎日・・・・・毎日、寂しくて・・・・・」
 
77 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:31:25.18 ID:kekraPo30

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・先輩、いや、ツンさん」

ξ;凵G)ξ「あ、あなたは!!・・・・・あなたは一体なんだっていうのよ・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「・・・・この船に乗ってくれませんか」

ξ;凵G)ξ「!?」

ツンは驚いて涙が引いた

ξ;゚听)ξ「な、なにを・・・?」
 
78 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:32:02.82 ID:kekraPo30

|゜ノ ^∀^)「だから、ツンさんはこの船に乗ってください。オペレーターとして。」

ξ;゚听)ξ「オペ?オペレーター?・・・・それには試験が・・・・20万人も・・・・」

|゜ノ ^∀^)「大丈夫、あなたなら合格できます」

ξ;゚听)ξ「え?」

|゜ノ ^∀^)「本当のことを話します。」
 
79 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:32:24.25 ID:kekraPo30

 

|゜ノ ^∀^)「私は、エルメス2号の設計者の一人であるモナー博士の妹です」

ξ;゚听)ξ「!」


|゜ノ ^∀^)「私は民間の企業に潜入して優秀な人材を探していたんです」

|゜ノ ^∀^)「そして10社目のここ、ツーチャンネルグループであなたの存在を知りました」

ξ;゚听)ξ「・・・・・・」

ツンはあっけにとられて口を開いたまま話を聞いている

|゜ノ ^∀^)「あなたの経歴を見せてもらいました。」
 
80 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:32:54.66 ID:kekraPo30

|゜ノ ^∀^)「ツンさん、あなた16歳の時に航宙特殊通信免許を取得した。」

ξ;゚听)ξ「・・・・・・・」

|゜ノ ^∀^)「航宙特殊通信免許の取得者として世界最年少であり、その年齢ですでにSランクの実力を持っていましたね」

|゜ノ ^∀^)「しかしなぜかデブリ課に志願した。何故です?」
 
81 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:33:17.29 ID:kekraPo30

ξ;゚听)ξ「私は・・・・」

ξ゚听)ξ「・・・・もっと宇宙のために、人のためになる仕事がしたかったの。だからよ」

ツンは冷静になってきた

|゜ノ ^∀^)「・・・・・土星調査は人類のためです」

|゜ノ ^∀^)「乗ってくれませんか?」

ξ゚听)ξ「・・・・・・・」
 
82 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:33:39.44 ID:kekraPo30




ねぇ、内藤





ξ゚听)ξ「・・・・・・・7年だったわね、確か」

|゜ノ ^∀^)「はい」




愛してるって言っちゃったから




 
83 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:34:36.81 ID:kekraPo30
ξ゚听)ξ「・・・・・」

携帯電話を取り出すツン

プルルルル




やってやるわ・・・・・




ξ゚听)ξ「あ、お母さん?あのね、ちょっと話があるんだけど・・・・・・」






責任とってよね!もう!





 
85 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/06/20(火) 00:35:05.89 ID:kekraPo30

 

「戦乙女」完

 

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