ブーン26歳の春。3月・・・ 
 
('A`)「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死に・・・」 
 
( ^ω^)「ドクオいい加減にするおwもう覚悟決めるおw」 
 
ブーンはそう言ってドクオをなだめる。 
 
('A`)「うう・・・緊張して吐きそうだ・・・でも今吐いたら昨日の食ったものと一緒に 
俺の臓物まで出てきそうだ・・」 
 
( ^ω^)「グロいおwwそういう時は楽しい事を考えるおwww」 
 
ブーンはそう言ってドクオを元気づけた。 
 
(´・ω・`)「おじさん、おばさん、お久しぶりです。」 
 
J(‘ー`)し「ショボン君、ギコ君も。久しぶりね。」 
 
(゚Д゚)「いよいよ今日っすね・・・なんか俺まで緊張してきました。」 
 
( ´∀`)「ギコ君もかい?おじさんも緊張しっぱなしで昨日から一睡もしてないんだ。」 
 
J(‘ー`)し「あらお父さんたら・・・私なんかここ一週間眠った記憶がないわよ。」 
 
(´・ω・`)(゚Д゚)「ちょwwww二人ともwwww」 
 
 
しばらくしてツンとユリが駆け足でやってくる。 
 
ξ゚听)ξ「すみません。仕度に手間取ってしまって・・・」 
 
J゚-゚)「みなさんこんにちは!」 
 
J(‘ー`)し「ツンちゃん、ユリちゃん。こんにちは。 
まだ時間あるから大丈夫よ。・・・さ、これで全員揃ったわね。行きましょうか。」 
 
そう言って一行はある場所を目指して歩き出す。 
 
(゚Д゚)「しっかしブーンもすごいよな。ライブゲストにあのドクオさん呼んじゃうんだもんな」 
 
(´・ω・`)「なんか大学時代からの友達らしいね。」 
 
(゚Д゚)「はーっ・・・類は友を呼ぶってやつか・・・」 
 
 
ブーンが歌手になりたいと言った時から6年の月日がたった。 
 
ショボンは大学を卒業後一種の公務員試験に無事合格。今は税務署で働いている。 
 
ギコは中学校の体育の先生になった。子供相手に日々奮闘しながら頑張っている。 
4月からは1年生のクラスも受け持つようでますます大変そうだ。 
 
ツンは5年前コンテストに応募した絵が審査員特別賞に輝き、 
それがきっかけでイラストの仕事をちょくちょく頼まれるようになり 
今はフリーのイラストレーターとして頑張っている。 
ユリも相変わらず内職に精を出す日々だ。 
 
ブーンは23歳の時にデモテープをある事務所に送ったのがきっかけで 
なんとか無事デビューする事ができた。 
一方ドクオも同時期に、路上ライブ後とある有名な事務所からスカウトされた。 
二人とも夢を掴む事ができたのだ。 
 
デビューしたばかりの頃はお互いほとんど収入などなかったが、 
バイトをしながらなんとか頑張ってきた。 
 
やがてドクオは独特なインストサウンドが話題になり徐々に注目され始め、 
ブーンは24の冬に出したファーストアルバムをきっかけに一気に有名になった。 
二人ともテレビ出演はほとんどしないので顔こそ一般の人々には知られていないものの、 
少し音楽に詳しい人ならば知らぬ人のいない存在になっていた。 
 
そして今日はいよいよそんな二人の武道館デビューの日なのである。 
 
一方今から6時間ほど前 
 
-@∀@)「・・・・・・ここが、今日ドクオが演奏をするところか・・・」 
 
ドクオの父は武道館を見上げながらそう呟く。会場は18時からなのに 
時刻はまだ12時も回っていない。当然周りにはまだ誰もいなかった。 
 
-@∀@)「あいつは母さんに似てあがり症だからな・・・。 
緊張して戻したりしていないといいが・・・まあ、私はそんな心配はないけどな・・・ 
ここのところ寝てないとはいえほんの二週間ほどだし・・・って 
う!?うおえええええええええええ!!」 
 
いきなり嘔吐したドクオの父を見つけ、近くにいた警備員が駆けつけてきた。 
 
警備員「だっ、大丈夫ですか!?」 
 
-@∀@)「・・・すみません。大丈夫です。・・・うおええええええええええええ!!」 
 
警備員「ちょ、大丈夫じゃないでしょう!救急車、呼びますか!?」 
 
-@∀@)「それには及びません・・・きょ、今日は息子がここで演奏をするんです・・・ 
ほら、見てください・・・息子が送ってくれたんです・・・このチケット・・・」 
 
そう言って父は警備員にチケットを見せる。 
 
警備員「へえー!あなた今日ここでやる人のお父さんなんですか! 
それならば武道館の中にある医務室で休んでいてください。 
関係者に事情を話せば分かってくださると思うんで!」 
 
-@∀@)「あ、ありがとうございます・・・」 
 
こうして父は警備員に連れられ、武道館内にある医務室へと運ばれて行った。 
 
('A`)「あ、ブーン、俺もうダメだ。死んだ母ちゃんが見える。」 
 
( ^ω^)「ちょwいよいよ幻覚かおwしっかりするおドクオ! 
今日は夢にまで見た武道館なんだお!!」 
 
('A`)「分かってる、分かってるんだけど・・・うおえええええええええええ!!!」 
 
( ^ω^)「汚ねえええええええええええええええええええええ!!!!」 
 
そんな事をやっていると、なにやら控え室の向こう側が騒がしくなってきた。 
 
「ちょっと困りますよ!!ここは関係者意外立ち入り禁止です!!」 
 
「ええい、だから私は今日の出演者の父親だと言ってるだろう!!」 
 
「たとえそうだとしても、今はダメなんです!!ライブ終了後におこし下さい!!」 
 
( ^ω^)「・・・なんだお?不審者でも来たのかお。」 
 
('A`)「この声はもしかして・・・」 
 
 
バン!と控え室のドアが開く。 
 
-@∀@)「ドクオか!!?」 
 
('A`)「父ちゃん!?何でこんなとこ来てんの!?」 
 
ドクオの質問に、父は照れくさそうに答える。 
 
-@∀@)「・・・いやな、さっきまで医務室で休ませて貰ってたんだが、 
どうしても演奏前にお前を見たくてな。こっそり抜け出してきた。」 
 
('A`)「なにやってんのww」 
 
( ^ω^)「ドクオのお父さんですかお?初めまして。友達の内藤ホライゾンですお。」 
 
そう言ってブーンはドクオの父にお辞儀する。 
 
-@∀@)「あ、ああ初めまして・・・うちの息子がいつもお世話になっています・・・」 
 
('A`)「それより父ちゃん、せっかくここまで来てもらったのに悪いけど 
早く出て行って貰わないと俺がみんなに怒られるんだ。 
ごめんな。ライブ終わったらまた来てくれ。」 
 
-@∀@)「ああ・・・すまんな。警備員の人にも謝っておかなくては・・・ 
しかしお前が吐いたりしてなくて安心したぞ。」 
 
( ^ω^)「さっきまでゲロゲロに吐いてましたお。」 
 
('A`)「ちょw余計な事いうなwwwww」 
 
ドクオの父がふと腕時計を見ると時刻は17時少し前を指していた。 
 
-@∀@)「お・・・もう17時か・・・私はいつの間にかこんなに眠ってしまっていたのか・・・ 
あと1時間程で開場だな・・・じゃドクオ、内藤君も、頑張るんだぞ。」 
 
その言葉に、二人は力強く返事をした。 
 
('A`)( ^ω^)「はい!」 
 
そしてさらに時は流れ時刻は18時・・・ 
 
ブーンの母たちが武道館に着いた頃、開場はすでに長蛇の列になっていた。 
 
J゚-゚)「わあー!すごいね!!この人達みーんなブーン君たちのお客さん!?」 
 
ユリがはしゃいだ声をあげる。 
 
J(‘ー`)し「あああああああなた、ブブブーン達はこんなにたくさんの皆様の前で 
ほ、ほ、ほ、本当にちゃちゃちゃんとできるかしら!?」 
 
( ´∀`)「かかかか母さん!すす少し落ち着きなさい!! 
だだだ大丈夫にききき決まってるだろうが!!!」 
 
ξ゚听)ξ「ちょちょちょ、ちょっと!ふふふふ二人ともお、落ち着いて下さい!!」 
 
(゚Д゚)「そそそそうですよ!!落ち着いてあwせdrftgyふじこlp」 
 
(´・ω・`)「くぁwせdrftぎゅいおp@」 
 
J゚-゚)「み、みんなどうしちゃったの!?」 
 
ブーンとドクオ達と同じく、みんなの緊張もピークに達していた。 
 
そんな時、懐かしい人影が現れた。 
 
( ゚∀゚)「あれ!?もしかしてギコとショボン!?」 
 
(´・ω・`)(゚Д゚)「ええっ!?ジョルジュ!?」 
 
突然すぎる再開に二人は驚く。 
 
(゚Д゚)「お、お前どうしたの!?こんなところで!?」 
 
( ゚∀゚)「やだなあ〜ブーンのライブ聴きに来たに決まってんじゃん。」 
 
(´・ω・`)「そうかあー!久しぶりだね!」 
 
( ゚∀゚)「本当にな!いやー。それにしてもブーンはすごいね。 
俺、最近あいつが歌手になってた事知ってさ、 
で、武道館でやるって雑誌に載ってたからチケット一般発売の日に電話したらもう瞬殺。 
だからチケットセンターで働いてる知り合いに俺のおっぱい触らせてやっと手に入れたんだ。」 
 
(゚Д゚)「お前、相変わらずだな・・・」 
 
ξ゚听)ξ「ほら、早く並びましょ。物販も買うでしょ!?」 
 
(´・ω・`)「あ、そうだTシャツ買うんだった!」 
 
ツンの声に一同は列に並ぶ。 
物販コーナーではすでにいくつかの商品が売切れになっていた。 
 
ξ゚听)ξ「(いよいよか・・・)」 
 
ツンは今日のライブが成功するように心から祈った。 
その頃控え室では・・・ 
 
( ^ω^)「♪かーおで笑ってー!スネで泣くー!!」 
 
('A`)「ちょ、でかい声でそんなマニアックな歌歌うなよ。」 
 
( ^ω^)「だって歌わないと緊張して吐きそうになるんだお!!」 
 
('A`)「今俺に吐くとかいうな!!またこの部屋をゲロまみれにさせたいのか!?」 
 
( ^ω^)「あー歌詞間違えたらどうしおお!!今の内にウンコ行っといた方が良いかお!?」 
 
('A`)「え!?ちょ、早く行って来いよ!!もう時間ないぞ!」 
 
( ^ω^)「時間ないのはオープニングを務めるドクオだけだお。僕はまだまだ時間あるお。」 
 
('A`)「あああああああああ!!そうだったあああああああああああ!!! 
だれか練炭んんんんんんんんんん!!!」 
 
ドクオは顔が真っ青になっていた。ここまで緊張しているドクオは初めてだった。 
そして・・・ 
 
スタッフ「ドクオさん!!もう時間です!舞台のほうに行って下さい!!」 
 
('A`)「うああああああああ!!はははははははハイ!!!!」 
 
ドクオはよろよろと立ち上がり移動する。 
 
( ^ω^)「ちょwwwドクオ!手足一緒にでてるお!!」 
 
それから10分後。会場のほうから大歓声があがる。 
どうやらドクオが舞台に上がったようだ。 
 
( ^ω^)「(ドクオ・・・みんなにお前の力を見せてやるお!)」 
 
 
 
('A`)「・・・・・・」 
 
ドクオは今、武道館の舞台に立っていた。緊張して腰が抜けそうだ。 
しんと静まり返った客席を、ドクオは見渡す。 
 
-@∀@)「・・・・・・・」 
 
一番前の席に父がドクオのライブTシャツを身に着けて緊張した面持ちで立っていた。 
しかしどうやらTシャツのサイズがあっていないらしく、ピチピチになっている。 
そして恐ろしく似合っていない。 
 
('A`)「(・・・父ちゃん・・・似合ってねええええええ・・・)」 
 
ドクオはぐっと笑いを堪える。いつの間にか緊張は消えていた。 
マイクを手に取り、ドクオは言う。 
 
('A`)「こんばんは。このライブのオープニングを務めるドクオです。 
・・・では、少しですけど、聴いてください・・・」 
 
再び場内は大歓声へと包まれた。 
 
( ^ω^)「いよいよ始まったお・・・」 
 
会場の音はブーンの控え室にまで聞えていた。 
今ドクオはあの場所でギターを弾いている。 
そして1時間後には自分の番がやってくる。 
 
( ^ω^)「(ここまでいろいろあったお・・・)」 
 
ブーンは歌手になってから今日までの事を思い返していた。 
 
デビューが決まったときは嬉しさのあまり一瞬気を失ってしまった。 
あの時の両親の慌てふためく顔は今も鮮明に覚えている。 
 
初めて雑誌のインタビューの依頼が来たときは感動しきりでその日は家族でお祝いをした。 
学生のとき毎月欠かさず読んでいた雑誌にまさか自分が載るとは思ってもみなかった。 
 
初めて有名なレコード店に自分のCDが平積みで置かれていた時は 
喜びで目の前がクラクラし、また失神しそうになってしまった。 
 
売れていない時は「もう諦めた方が良いのかもしれない」と何度も思った。 
でも本当に諦める事なんてできなかった。 
自分を支えてくれている人たちの為にも諦める訳にはいかなかった。 
だから何があってもめげずにドクオと二人で励ましあって頑張った。 
 
そして今自分はこの場所に立てている。 
 
あの時、あの音楽に出会わなければ、 
あの時、あの出来事がなければ、自分は今何をしていたのだろう? 
・・・ちゃんと今も生きていただろうか? 
 
( ^ω^)「(僕は本当に恵まれてるお。 
良い音楽に優しい家族や友達や恋人に囲まれて・・・ 
僕ほどの幸せ者はきっといないお。本当に、生きてて良かったお。)」 
 
 
 
順調に曲目は進んでいき、終わるた度大きな拍手がドクオを包み込む。 
時間が迫ってきた。次でラストだ。 
 
('A`)「えーっと・・・あと一曲で終わりです。」 
 
客席からは「ええー」とブーイングが起こる。 
 
('A`)「・・・今日は物販にCDも置いてあるんで・・・もっと聴きたかったら買ってください。」 
 
ドクオの言葉に周囲はどっとわいた。 
 
最初のお客さんは小さな男の子とそのお母さんだった。 
あの男の子も今は6年生になり、4月からは中学生だ。 
そしてドクオの路上ライブにいつも来てくれていたあの高校生の少年も社会人になり、 
今も音楽を続けながら会社勤めをしている。 
3人にもチケットを送ったのだが、今日は来てくれているだろうか? 
 
('A`)「(いろいろあったなあ・・・)」 
 
最後の曲を精一杯演奏しながらドクオは思う。 
3年前の夜ライブが終わり、レコード会社の人に「うちでやってみないか?」と言われた時は 
およそ信じられなかった。絶対に騙されて壺の一つでも買わされると思った。 
 
しかしブーンはそんな弱気になっているドクオに言った。 
「そんな事はない。お前の演奏を聴いて騙そうと思う奴なんて絶対いない。 
だから信じろ。」そう言って背中を押してくれた。 
 
実際入ってみれば本当に良い会社だった。売れていないときも本当に良くしてくれた。 
「お前には才能があるから。」何度もそう言ってくれた。 
 
あの時ブーンに背中を押されてなかったら、自分は今も路上でやっていたのだろうか? 
 
('A`)「(あいつには本当に助けてもらいっぱなしだな・・・)」 
 
本当にいろいろな事があった。生まれてこなければ良かったと何度も思った。 
しかしその度に音楽が救ってくれた。 
そして今は最高の友人と、ドクオを無条件で信頼してくれるファンの人々、 
それからすっかり親バカに生まれ変わった父に支えられ今を生きている。 
 
本当に人生何が起こるか分からない。 
ずっとずっと闇の中にうずくまっていた自分が、今はこんなにも眩しい光の下で呼吸をしている。 
ギターを弾いて楽しそうに笑っている。 
これが幸せでなければなんなのだろう? 
 
そして最後の曲も弾き終わった。会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。 
 
('A`)「次は、ブーンの番ですね・・・ 
今日は何もかも忘れて楽しんで帰って下さい・・・」 
 
そう言い残しドクオはステージを後にした。 
ドクオがいなくなっても拍手は鳴り止む事はなかった。 
 
('A`)「あー、楽しかった。」 
 
控え室に帰ると、ドクオはばたりと倒れこんだ。 
 
( ^ω^)「良かったおドクオ!!僕鳥肌たったお!!」 
 
ブーンはドクオにタオルを渡す。 
 
('A`)「当たり前だろ。・・・次はお前だな。」 
 
そう言ってドクオはニヤっと笑う。 
 
( ^ω^)「そっ、そういえばそうだお!!あっ!僕まだウンコ行ってなかったお!!」 
 
('A`)「ちょwマジかよwww早く行ってこいよ。」 
 
( ^ω^)「そそそそうするお!!!!」 
 
ブーンがトイレに行こうとしたその時・・・ 
 
スタッフ「ブーンさん!早く出て!ちょっと時間押してます!」 
 
( ^ω^)「ええええええええ!でも僕ウンコ・・・」 
 
('A`)「ウンコで客を待たす訳にいけねーだろ・・・ほら、早く行け。」 
 
( ^ω^)「でっ、でも脱糞したらどうするんだお!? 
もうそこで僕の歌手生命終わりだお!? 
 
スタッフ「ブーンさん!早く!」 
 
( ^ω^)「ウンコおおおおおおおおお!!」 
 
結局ブーンはそのままステージに向かわされた。 
 
J(‘ー`)し「ブブブブーンは、ももももうすぐかしら・・・?」 
 
(´・ω・`)「そそそうですね。そ、そろそろじじ時間かと・・・」 
 
ξ゚听)ξ「み、み、皆さんはブ、ブーン達のライブって今日が初めてなんですか?」 
 
(゚Д゚)「あ、ああ、みんな初めてだよ。ツンちゃんは?」 
 
ξ゚听)ξ「わ、私もです。」 
 
J゚-゚)「ドキドキするねえ!ドクオ君もギターとっても上手だったね!」 
 
( ´∀`)「ああ、本当にそうだね。ところで私はもう緊張で脱糞しそうなんだが・・・」 
 
ξ゚听)ξ(゚Д゚)(´・ω・`)J(‘ー`)し「ちょwwwwwwwwwwww」 
 
そんな会話をしているうちに照明が落とされた。 
客席からは悲鳴にも似た大歓声が巻き起こる。 
 
ξ゚听)ξ「すご・・・」 
 
(´・ω・`)「い、いよいよだね・・・」 
 
そしてブーンが会場に現れると客席からは大歓声はさらに大きくなる。 
 
( ^ω^)「(・・・よし・・・やるお!)」 
 
いつの間にかブーンの便意は消えていた。 
ギターを手に取り、イントロのギターソロを弾き始める。 
再び周りからは歓声が上がる。 
そしてサポートのドラムとベースが唸るように響きだす。 
 
 
さあ、音楽を奏でよう。 
 
自分の愛する人の為に。自分を愛してくれる全ての人の為に。 
最上の喜びを最上の音楽で響かせよう。 
 
J゚-゚)「うわあ・・・ブーン君すっごくかっこいいねえ!」 
 
そんなユリの言葉も聞き取れないほどあたりは熱気と興奮に包まれていた。 
ブーンは歌った。懸命に。高らかに。今この瞬間を慈しむように。 
 
( ^ω^)「・・・みなさん、今日は来てくれてありがとうございますお。」 
 
3曲目が終わり、ブーンがそう呟くと場内はまた歓声に包まれる。 
 
( ^ω^)「今、ここにいるこの時だけは、嫌な事、辛い事、全て忘れて下さいお。 
僕は精一杯ここで歌います。精一杯ここで演奏をします。 
だから皆さんも精一杯楽しんでくださいお。 
明日から、また頑張って生きていけるように、今は幸せな気持ちでいて下さいお。」 
 
その言葉に、まるで地響きのような太い声援と、 
高く高く突き上げられた拳がブーンに贈られる。 
 
場内が静まったのを合図にまた曲が始まった。 
 
(゚Д゚)「(すげえなあ・・・)」 
 
ギコはブーンの歌を聴きながら周りを見渡す。 
そこには音楽に合わせて拳をあげる人、踊る人、ブーンと一緒になって歌っている人、 
それぞれがそれぞれに楽しんでいる。目をキラキラと輝かせながら。 
こんなにも楽しくて幸せな空間が、ブーンの力によって作られているのだ。 
 
(゚Д゚)「(ブーン・・・高校の時は、本当に大変な事があったけど・・・幸せになれて良かったなあ・・・ 
あの時のお前に今日の事教えてやったら、お前どんな顔するんだろうな・・・)」 
 
そんな事を考えてギコは少し笑った。 
 
(゚Д゚)「(俺、あいつに会えて良かったな。)」 
 
( ^ω^)「(・・・楽しいお・・・)」 
 
交錯するギターサウンド。飛び跳ねるドラム。しっかりと安定されたベースライン。 
客席からの熱気。興奮。押し寄せる光の波。音の洪水。 
ライブをやる度に、ブーンはいつも思う。 
「今自分のいる場所こそが天国じゃないのか?」と。 
「これ以上の快楽は、一体どこにあるのだろう?」と。いつもいつもそう思っていた。 
 
 
 
やがて、全ての曲が終わった。 
 
( ^ω^)「みなさん、本当に本当にありがとうですお!! 
また是非来て下さいお!そして一緒に歌って踊りましょう!!」 
 
そう言ってブーンは舞台を後にする。 
残念ながら時間が押してしまった為アンコールは出来なかったが 
コンサート終了の放送が流れてもなお観客からのアンコールは途絶えなかった。 
 
控え室・・・ 
 
( ^ω^)「いやー!終わった!終わったお!!」 
 
('A`)「お疲れさん。ほら、タオル。」 
 
( ^ω^)「ありがとだお。」 
 
ブーンはドクオから渡されたタオルで顔を拭く。とても心地の良い汗だ。 
 
('A`)「アンコール、出来なくて残念だったな。」 
 
( ^ω^)「仕方ないお。時間は守らないといけないし。 
でも本当に楽しかったお。またいつかここでやりたいお。」 

 

 

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